平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

真田丸 第44回「築城」~この出城、仕上げよ。私が許す。私はそなたたちを信じておる

2016年11月07日 | 大河ドラマ・時代劇
「城の名は何とします?」
「決まっておる、真田丸よ」
 今回は全尺を使って<真田丸>が完成するまでが描かれた。
 籠城が決まって、幸村(堺雅人)が建てた策は、大坂城の弱点とされる南側で出城を造ること。
 この策は後藤又兵衛(哀川翔)も考えていて、幸村は出城の建造は自分に任せてくれないかと交渉。
 又兵衛は幸村から、出城によって勝つ策を聞かされて、「面白えじゃねえか!」
 いいですね、又兵衛の価値判断の基準は<功名>ではなく、<面白さ>。

 他の牢人たちも自分の動機をもって、ここにいる。
 塙団右衛門は大名になるため。
 明石全登はキリシタンの布教のため。
 そして彼らはマイペースで自分を見失わない。
 塙団右衛門は木札の名刺を配りまくって名前を売り、明石全登はいくさの前なのにミサを欠かさない。
 こういう人たちがいるチームは強い。

 しかし、大坂城の中枢は牢人たちを信用していない。
 もし、牢人たちが徳川の内通者だったら……と不安でしょうがないのだ。
 幸村も言っていたが、信用で結ばれていないチームは弱いよな~。

 以下、作品は<信用>はテーマになる。
 牢人たちは、奇しくも、大坂城の中枢に信用されていないという点で、ひとつになった。
 大野治長(今井朋彦)は直に牢人たちと話をしているだけあって、半分、信用している。
 しかし、組織人で官僚だから上の決定には逆らえない。
 木村重成(白石隼)は牢人たちの武将としての凄さに気づき、学ぼうとしている。
 しかし、大蔵卿を中心とする大坂城の中枢の<牢人たちへの不信>は変わらない。
 こんな状態に毛利勝永(岡本健一)は叫ぶ。
「俺は降りた。ここに俺たちの居場所はないぞ!」
 そりゃあ、そうだよね。
 人間、信用されていないことほど、つらいことはない。
 いい加減な思いなら割り切れるが、真剣であればあるほど、つらくなる。

 一方、幸村。
 彼は揺るがない。
 どんなに不本意な決定が出ても、次の策を探す。
 信用されていないのだから、城を出て徳川につこうと誘われても、豊臣のために戦うという。
 幸村は強い人間だ。
 この強さの根っこにあるものは何だろう?
 秀吉や石田三成のそばにいて、大きな組織というものを知っているという点では、牢人たちとは違うのだが。

 そしてラスト。
 そんな幸村を見て、秀頼(中川大志)は言う。
「この出城、仕上げよ。
 私が許す。
 私はそなたたちを信じておる」
 幸村たちは信用されたのだ。
 おおっ、感動!
 これぞ、ドラマ!
 昨年の大河ドラマでは、やたら<赤誠>が叫ばれたけど、松陰たちは反抗してるだけで、あまり説得力がなかったもんなぁ。

 最後は徳川。
 幸村が大坂城にいると聞いた上杉景勝(遠藤憲一)は複雑な顔。
 義を尊ぶ景勝は本来、大坂城にいるべき人。
 伊達政宗は幸村のことを「愚かなやつですな」と言っていたが、内心、何を思っているのか?
 家康(内野聖陽)は老いて、半分ボケていたが、出城に幸村がいると聞いて、鋭い顔に。
「真田!? また真田か!」
 登場人物がそれぞれにドラマを抱えているから、「真田丸」は面白い。

 さあ、さまざまな人間模様の中、いよいよ大坂冬の陣が始まる。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする