平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒15 「嘘吐き」~誰が真実を言い、誰が偽証しているのか?

2016年11月17日 | 推理・サスペンスドラマ
 アパートに住む漫画家の三ツ門夏音(柳生みゆ)が聞いてしまった隣人の男女の言い争いと暴力。
 翌日、隣人の女性はまったく違う女性に変わっていた。
 夏音が知っている隣人の女性は〝地味で背が高い女性〟だったのに、現在の女性は〝派手で小柄〟。
 アパートの管理人に聞くと、隣人の女性は〝派手で小柄〟だったと言う。
 これは、いったい、どういうことか?
 おまけに事件はこれだけで済まず、毎夜、謎の中年夫婦が隣の部屋を尋ねてくる。
 彼らは、いったい何者なのか?

 奇怪な事件である。
 事件を普通に解釈するとこうなる。

★アパートの隣の女性が痴話ゲンカで殺されて、遺体損壊&遺棄。
 それを三ツ門夏音が知ってしまったため、口封じのため襲われた。

 しかし、この解釈だと、<管理人の証言>と<毎夜訪ねてくる中年夫婦>の説明がつかなくなる。
 右京(水谷豊)たちが調べていくと、夏音には〝虚言癖〟があったことがわかる。
 ということは、すべては夏音の虚言・妄想なのか?

 しかし、この事件には第三の真相があった。
 ………………

 黒澤明の映画『羅生門』で描かれたとおり、
 現実は<見る角度>や<スポットのあて方>で、さまざまに解釈が出来るんですね。
 今回はその典型。
 探偵や刑事は事実の断片をつなぎ合わせ、解釈して真相に迫っていく。

 右京が今回おこなったのは、<隣人の猪口勇人><殺された?瀬戸はるか><管理人><中年夫婦>の共通点を探ること。
 これをすることで、真相が見えてきた。
 彼らは実はつながっていて、共通の利害と動機があったのだ。
 ミステリ作品を読んだり見たりする時、この<共通点を探す>という方法は、結構、有効ですよね。
 こんがらがっていた糸が一気に解ける。
 今回の共通点は、ちょっと強引だけど。

 青木(浅利陽介)は便利キャラですよね。
 青木が<謎の中年夫婦>の正体を割り出さなければ、今回の真相には迫れなかった。
 製作側にとっては有り難い存在だが、視聴者にとっては便利すぎて作品をつまらなくする存在。
 ………………

 脚本家さんは落語を意識していたのかなぁ。
『三軒長屋』
『ウソつきの国』
 米沢さんがいたら絶対に言及しそう。
 ひさしぶりに寄席に行ってみますか。

コメント
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