今回は静かな戦い、心理戦である。
家康(内野聖陽)は、夜を徹して〝鬨の声〟をあげさせ、敵を寝かせずイライラさせる。
叔父・信尹(栗原英雄)を使って、幸村(堺雅人)を寝返らせようとする。
そして内通者・織田有楽斎(井上順)による和睦の誘導。
その根本にある思想は、
「いかに兵を損なわずして城を落とすか」
幸村も同じ思想で、いくさをしている。
「いかに兵を損なわずしていくさに勝つか」
亡き妻・梅(黒木華)の言っていたことでもある。
だから城にこもっての持久戦。
幸村は<攻め来る敵を真田丸で撃退していけば必ず徳川方に離反者が出て来る>と考えている。
実際、福島正則(福水元基)や平野長泰(近藤芳正)などの離反者が出て来ていた。
幸村は家康の仕掛けてくる心理戦をひとつひとつ撃退していく。
秀頼(中川大志)が有楽斎に乗せられて和睦を考えた時も、淀(竹内結子)を使ってこれをつぶす。
このやり方に秀頼が文句を言うと、
「その断に誤りがあれば、私はいかなる手段を使ってでも食い止めまする」
幸村は必要があれば、秀頼の顔をつぶすことも平気でやってのけるのだ。
家康の心理戦と持久戦にイラつく後藤又兵衛(哀川翔)、毛利勝永(岡本健一)たちに対しては、夜襲を許し、ガス抜きをさせた。
刀や銃を交えていなくても、幸村と家康はいくさをしているのだ。
その根本は、<組織の不満や綻びにいかに対応していくか>。
ただ、実権を持たない幸村は家康より分が悪い。
堤防の穴がひとつ開くと、いちいちそれに対応しなければならない。
まさに孤軍奮闘。
皆があっちこっちで勝手なことを言っていて、幸村の心の中はかなりハードであっただろう。
しかし、決定的な出来事が起きた。
大坂城の天守閣に落ちた一発の砲弾だ。
これで豊臣側の心が折れた。
崩れたのが大坂城の天守閣というのも象徴的。
目の前で自分の侍女が死んだのも、トラウマを持つ淀を心を折るのに十分だっただろう。
こうなると、幸村がいくら孤軍奮闘していても収められない。
今まで鬱積していたものが吐き出される。
これで心理戦の決着がついた。
……………………
あとは個々の人物について。
信之(大泉洋)は、人生で一度だけ〝無茶〟をしたかったんですね(笑)
信之のコンプレックスは、自分が<実直で面白みがない人間>であることだったため、一度でいいから無茶をしてみたかった。
しかし、稲(吉田羊)と出浦(寺島進)に止められて……。
お婆様が亡くなる時言っていたが、人には持って生まれた役割・宿命がある。
信之の役割は、真田家を存続させることだったんですね。
きり(長澤まさみ)は相変わらず本質を見抜く。
徳川側の鬨の声を、「あたしたちを怖がらせようとしているだけ」と見事に見抜いた。
きりが男だったら、幸村の見事な参謀になっていただろう。
叔父・信尹はクール。
幸村に裏切りを誘う書状を渡して、
「大御所様からの書状じゃ。読まんでいい」
そして、まっすぐ幸村の目を見つめる。
信尹は最初から調略する気なんかなかったんですね。
まっすぐに見つめる目は、がんばれ、と言っているよう。
淀は妹・初(はいだしょうこ)が言っていたように、死にたがっている。
城が焼け落ちるのを待っていて、それが運命だと思っている。
同時に秀頼と穏やかに暮らすことを願っている。
おそらく、このふたつの思いに引き裂かれているのだろう。
幸村は、死にたがっている淀を一喝し、秀頼と生きることを主張するんだろうな。
幸村が大坂城に入った理由は、<死にたがっている淀を止めること><生かすこと>なのかもしれない。
家康(内野聖陽)は、夜を徹して〝鬨の声〟をあげさせ、敵を寝かせずイライラさせる。
叔父・信尹(栗原英雄)を使って、幸村(堺雅人)を寝返らせようとする。
そして内通者・織田有楽斎(井上順)による和睦の誘導。
その根本にある思想は、
「いかに兵を損なわずして城を落とすか」
幸村も同じ思想で、いくさをしている。
「いかに兵を損なわずしていくさに勝つか」
亡き妻・梅(黒木華)の言っていたことでもある。
だから城にこもっての持久戦。
幸村は<攻め来る敵を真田丸で撃退していけば必ず徳川方に離反者が出て来る>と考えている。
実際、福島正則(福水元基)や平野長泰(近藤芳正)などの離反者が出て来ていた。
幸村は家康の仕掛けてくる心理戦をひとつひとつ撃退していく。
秀頼(中川大志)が有楽斎に乗せられて和睦を考えた時も、淀(竹内結子)を使ってこれをつぶす。
このやり方に秀頼が文句を言うと、
「その断に誤りがあれば、私はいかなる手段を使ってでも食い止めまする」
幸村は必要があれば、秀頼の顔をつぶすことも平気でやってのけるのだ。
家康の心理戦と持久戦にイラつく後藤又兵衛(哀川翔)、毛利勝永(岡本健一)たちに対しては、夜襲を許し、ガス抜きをさせた。
刀や銃を交えていなくても、幸村と家康はいくさをしているのだ。
その根本は、<組織の不満や綻びにいかに対応していくか>。
ただ、実権を持たない幸村は家康より分が悪い。
堤防の穴がひとつ開くと、いちいちそれに対応しなければならない。
まさに孤軍奮闘。
皆があっちこっちで勝手なことを言っていて、幸村の心の中はかなりハードであっただろう。
しかし、決定的な出来事が起きた。
大坂城の天守閣に落ちた一発の砲弾だ。
これで豊臣側の心が折れた。
崩れたのが大坂城の天守閣というのも象徴的。
目の前で自分の侍女が死んだのも、トラウマを持つ淀を心を折るのに十分だっただろう。
こうなると、幸村がいくら孤軍奮闘していても収められない。
今まで鬱積していたものが吐き出される。
これで心理戦の決着がついた。
……………………
あとは個々の人物について。
信之(大泉洋)は、人生で一度だけ〝無茶〟をしたかったんですね(笑)
信之のコンプレックスは、自分が<実直で面白みがない人間>であることだったため、一度でいいから無茶をしてみたかった。
しかし、稲(吉田羊)と出浦(寺島進)に止められて……。
お婆様が亡くなる時言っていたが、人には持って生まれた役割・宿命がある。
信之の役割は、真田家を存続させることだったんですね。
きり(長澤まさみ)は相変わらず本質を見抜く。
徳川側の鬨の声を、「あたしたちを怖がらせようとしているだけ」と見事に見抜いた。
きりが男だったら、幸村の見事な参謀になっていただろう。
叔父・信尹はクール。
幸村に裏切りを誘う書状を渡して、
「大御所様からの書状じゃ。読まんでいい」
そして、まっすぐ幸村の目を見つめる。
信尹は最初から調略する気なんかなかったんですね。
まっすぐに見つめる目は、がんばれ、と言っているよう。
淀は妹・初(はいだしょうこ)が言っていたように、死にたがっている。
城が焼け落ちるのを待っていて、それが運命だと思っている。
同時に秀頼と穏やかに暮らすことを願っている。
おそらく、このふたつの思いに引き裂かれているのだろう。
幸村は、死にたがっている淀を一喝し、秀頼と生きることを主張するんだろうな。
幸村が大坂城に入った理由は、<死にたがっている淀を止めること><生かすこと>なのかもしれない。