平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒15 「ブルーピカソ」~俺はもう描けない。描いても描いても、あの贋作がついて来る

2016年11月10日 | 推理・サスペンスドラマ
 発見されたピカソの幻の絵画・ブルーピカソ。
 だが、その真贋を調べているうちにブルーピカソは贋作にすり替えられ、画商は賠償金2億円を払うことに。
 画商が贋作にすり替えられたことに気づいたのは、画を止める鋲だった。
 発見されたブルーピカソの鋲は欠けていたが、すり替えられた贋作の鋲は欠けていなかった。

 さて、この事件を素直に解釈すると次のようになる。
『犯人はブルーピカソを贋作にすり替えて盗み出し、それを闇市場で売って大金を得た』

 これを『相棒』はひと捻りした。
『犯人は画商に2億円の賠償金を支払わせるために詐欺をおこなった。
 発見されたブルーピカソとすり替えられた贋作は実は同じもの。
 欠けた鋲を欠けていない鋲に取り替えただけだった。
 すべては賠償金を得るために仕組んだこと。
 本物のブルーピカソなど存在していなかった』

 うまい捻り方ですね。
 今回は、しっかり〝トリック〟があり、ミステリしてた。
 短編ミステリにありがちなトリックだけど。
 1時間の推理ドラマはワンアイデアのトリックがあれば成り立つんですね。

 贋作画家が、絵の中に偽物であることを示すメッセージを込めていた所も捻っている。
 メッセージとは画商がよく行く店のコースターに描かれたタロットカード。
 贋作画家は、画商に気づいて欲しかったのだ。
 しかし、画商は、欠けている鋲には気づいたが、コースターのメッセージには気づかなかった。
 何という皮肉。
 贋作画家の思いも伝わってくるし、こちらの捻りの方が面白い。
 ……………………

 ドラマとしては事件に関わった三人の人物のリアクションが面白い。

 贋作をおこなった画家・三上は、
「俺はもう描けない。
 描いても描いても、あの贋作がついて来る」

 詐欺事件の発覚を怖れて、衝動的に贋作画家を殺してしまった犯人・筒井は、
「流れるあいつの血が頭から離れないんです。
 今度は私が眠れなくなりました」

 こんなふうにふたりとも罪に苦しんでいるのに対し、詐欺事件を仕組んだ一番の黒幕は、
「筒井も勝手なことをしてくれたよ。
 放っときゃあ、三上は勝手に自殺したんだ」

〝悪いやつほど、よく眠る〟
 自ら手を染めないせいもあるけれど、一番悪いやつというのは罪を犯しても何も感じない。
 逆に開き直っている。
 こういう人間にはなりたくないなぁ。
 豊洲新市場の問題でも現場の責任者の名前は明らかになったが、裏で甘い汁を吸ってる本当に悪いやつは他にいるんじゃないの?
 
コメント
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