平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

スパイダーマン3

2007年09月21日 | 洋画
 スパイダーマンという力をもらったピーター・パーカー。
 しかし彼の心は正義のヒーローというには未熟だ。
 その未熟さがドラマになっているのがいい。

 まずすぐ調子に乗る。
 ニューヨーク市民栄誉賞。
 嬉しくてピーターは逆さになって司会の女の子とキスをする。
 それはメリー・ジェーーン(MJ)だけにしていたキス。
 MJはブロードウェイの主役から降ろされたこともあり、怒りをピーターに。
 それを感じることのできないKYのピーターはプロポーズをフレンチレストランで演出して見事に空振り。
 MJはやりきれない想いからハリー・オズボーンに一瞬心を動かされ、さらに混乱。
 そして事態はさらに深刻に。
 父親をピーターに殺されたと思い込んでいるハリーの記憶が蘇り、ハリーはピーターに復讐を考える。
 それはまずピーターの心を破壊すること。
 MJを脅迫してピーターと別れさせる。
 ピーターの失望とそれを仕組んだハリーへの憎しみ。

 これに加えてピーターにさらなる憎しみが襲いかかる
 すなわち……
・叔父殺しの真犯人マルコへの憎しみ。
・スパイダーマンを陥れる偽造写真を撮ったカメラマン・エディへの憎しみ。

 そんなピーターに襲いかかる黒い生命体。
 これは人の心の中の攻撃性を高める寄生生物。
 ピーターの中の怒りと憎しみの心がこの生命体と結びつき、ピーターはブラックスパイダーマンになる。
 
 市民栄誉賞の受賞式のキスから始まって、様々な要素が絡み合い、ピーターが悪にどんどん染まっていく。心の未熟さゆえにピーターがどんどん暗い闇の中に落ちていく。
 このドラマづくりがいい。
 作者はこれでもかこれでもかとピーターに人間不信の苦難を課し、ピーターの心を壊していく。
 それはまるでクモの糸に絡み取られるかの様。

 絶体絶命のピーター。
 しかしスパイダーマンはヒーロー。
 これらの困難に打ち勝たなくてはならない。
 解決の仕方はこう。
 まるで絡まったクモの糸を解いていくかの様。
 まず寄生した黒い生命体を自分の体から剥がす(金属音がこの生命体の弱点。結果、生命体はエディに寄生し新たな敵となってしまうが)。
 そしてハリーの誤解を解いて敵との共闘を求める。
 敵はMJを人質にピーターに闘いを挑んできたマルコのサンドマンとエディに取り憑いた黒い生命体ヴェノムだ。
 助けに行ってピーターはMJと和解する。
 
 ヒーロー失格からヒーロー復活へ。
 見事なドラマのうねりだ。
 絡み合った糸が解けていくというのもいい。

 この作品は特撮CGがすごいだけの作品ではない。
 人間の憎悪、失意、焦燥、弱さを描いた見事なヒーロードラマだ。



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