籠池証人喚問<上> 昭恵夫人「安倍晋三から」と現ナマ封筒
2017年3月23日 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/202057
「『安倍晋三からです』と封筒に入った100万円を下さった」「政治家の関与はその都度あった」――。日本中が固唾をのんで見守った、23日の森友学園・籠池泰典理事長に対する証人喚問。理事長は冒頭から、日付や実名を次々ブチ上げ、爆弾を炸裂させた。安倍首相夫妻とのズブズブの関係も、ハッキリ明言した。もはや安倍首相は逃げられない。政権は大激震だ。
■“口封じメール”も発覚
籠池理事長は午前9時10分に国会に到着した。黒のスーツに渋めのゴールドのネクタイ姿。比較的、落ち着いた様子だった。
証人喚問は参院の予算委員会で午前10時からスタート。山本一太委員長から「籠池康博君、ご本人ですか」と戸籍名で呼びかけられると、理事長は「はい、そうでございます」と答えた。これまで記者会見などで聞いた声のトーンと変わらず、緊張した様子はほとんどない。宣誓書への署名を求められると、手元を震わせることなく、淡々と署名した。
喚問では、質疑応答の前に最初の10分間、籠池理事長の発言が許された。理事長は水を飲んでから立ち上がり、そこからは、“籠池砲”を連発。特に、安倍昭恵夫人との親密な関係や、いかに安倍首相夫妻が森友学園が新設しようとした小学校に共鳴していたかを強調した。
「真に日本国のためになる子供を育てたいという教育者としての思いから、今年4月に『瑞穂の國小學院』を開校できるよう頑張ってきました。教育者としての私の思いについて、安倍首相や昭恵夫人、大阪府議など多くの関係者にご理解をいただいたことは今でも感謝している。結果として、手続き上の問題や幼児教育の現場の行き過ぎなどがあったことは反省している。弁護士の指示で申請を取り下げたが、応援してくれていた方が手のひらを返すように離れていくのを目の当たりにして、どうしてこうなってしまったのかという思いもあります」
「(小学校は)松下村塾が念頭にあった。長州出身で私の理念に共感していただいている安倍首相に敬意を表し、『安倍晋三記念小学校』とするつもりで昭恵氏に相談し、ご理解いただいたと思っていた」
「昭恵氏は3回、講演・視察に来た。名誉校長に就任していただいたのは、平成27(2015)年9月5日の講演の時のこと。昭恵氏は控室だった園長室でお付きの方に席を外すように言った後、『どうぞ安倍晋三からです』と封筒に入った100万円を下さった。私たちにとっては名誉なことなので、鮮明に覚えております」
「府議会議長だった故・畠成章氏は、森友学園の幹事も務め、松井府知事の父親とのお付き合いもあったので、知事や府に力添えいただけるようお願いした。小学校設置の認可申請では『特別な取り計らい』を頂いたと感謝している」
国有地の格安払い下げという土地取引についても、昭恵夫人の“口利き”と財務省の“忖度”をにおわせた。
10年の定期借地から長期使用への変更を希望し、2015年10月、昭恵夫人の携帯電話に留守電メッセージを残したところ、昭恵夫人付の秘書役、谷査恵子氏から連絡があったという。
「谷氏からは『なかなか難しい』と言われたが、同年11月17日、谷氏からファクスが来て『昭恵夫人に報告はしております』とありました。(その後)財務省の中でどのようなことがあったのか詳しくわからない。昭恵氏、谷氏、財務省関係者に詳しく聞いて欲しい」
昭恵氏の国会招致を要求した形だ。
生活ゴミ撤去で8億円ものディスカウントがあったことについては、「想定外の大幅な値下げにちょっとびっくりした」と答え、当時の近畿財務局や財務省の迫田理財局長、森友の顧問弁護士だった酒井康生氏に聞いて欲しいと、こちらについても国会招致を求めた。
「財務省から10日間、身を隠してほしい」と言われたという一件については、「(佐川理財局長の)部下の島田氏に10日間隠れていて」と言われたと改めて明言した。
発言の最後はやはり、昭恵夫人についての言及に戻った。あれほど自分たちの教育に理解を示し、協力をしてくれ、親しくしてくれたのに……、という悔しさと恨み骨髄なのだろう。森友問題がはじけて以降、昭恵氏が籠池夫人へのメールで、「主人も大変なことに巻き込まれていることもご理解を」「私が関わったということは、裏で何かがあると疑われないように」と“口止め”ともとれるメールが来たことも明らかにした。
「(昭恵氏は)あんなに私たちの学校の開校を楽しみにしていたのに、どうしてなのか割り切れない思い。トカゲの尻尾切りで私だけに罪をかぶせるのではなく、その他の関係者も呼んで、真相を究明して欲しい」
最後はこう締めくくった。
②籠池証人喚問<中> 100万円受け取った状況を生々しく証言
2017年3月23日 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/202058/1
籠池理事長は参院予算委の山本一太委員長(自民)の総括尋問に対する答弁でも、驚きの発言を連発した。
籠池理事長は、安倍首相から受け取ったという「100万円の寄付」について、山本委員長からあらためて事実関係を問われると「事実」と断言。
「平成27年9月5日、昭恵ご夫人に当園で講演会をしていただいた時。園長室でお話をさせていただき、(昭恵氏が)かばんの中から封筒を取り出し、『どうぞ』といただいた。中を見ると金子が入っており、『いいんでしょうか』と言うと、『安倍晋三からです』とおっしゃった。頂いた時は私と昭恵夫人2人きり。中身を確認したら100万円で、金庫の中に入れて『しんきた』の郵便局で(振り込んだ)」と詳述した。
■昭恵夫人に講演料10万円渡した
●西田昌司(自民)
――昭恵夫人には何を相談したのか。
瑞穂の國記念小學院ではこのような副読本はどうでしょうかと見せたこともありますし、教育的なことをお願いしたということであります。
――なぜ、野党議員だけ集めて会見したのか。
(補佐人に相談)ええ、私の方から別に拒否することもありませんから。何か問題あるのでしょうか。
――その時に昭恵夫人からメールがあり、奥さまとのやりとりがあったと。野党議員に見せたか。
それは記憶にございません。
――総理は絶対に寄付金を渡していないと言っている。密室の中の話だし、証拠もない。あなたが寄付金を集めるのがしんどいから、当初は安倍さんの名前を使って募金を集めようという思いがあったのだろう。
寄付金集めのためだったら、安倍記念小学校という名前は使わない。
――小学校を建てるのに、大阪(私学)審議会に7億5000万円と提出し、藤原工業は15億5000万円と言っている。
(補佐人に相談)それは刑事訴追を受ける可能性があるのでお答えすることはいたしません。
――これが問題の本質、初めからお金が足りなかったのではないか。
この問題の本質は、口利きがあったかどうか。議員の質問は的外れだと思う。
――あなた、ハシゴ外されたと思っている?
外したのは、大阪府の松井知事と思っています。
●福山哲郎(民進)
――設立の趣旨に賛同した昭恵夫人に電話、27年10月、留守電に残した。谷査惠子氏から、国有地取得について「現段階では難しい」と連絡があった。谷査惠子氏は総理大臣夫人付スタッフか。
おっしゃる通りです。
――FAXで「希望に沿うことはできない」と。
そうでございます。
――証明できるものがあるか。
いただいたFAXは残っている。
――内容を紹介して欲しい。
ちょうど定期借地が終わった頃です。買い受け特約10年が付いていた。そのころ介護施設は(特約が)50年付くが学校法人はどうかとお聞きした。その結果、学校法人は無理ということだった。
――近畿財務局とか、(関係各所に)問い合わせた形跡があるということか。
その通りです。
――この時期に夫人付が各役所に問い合わせなどをしていたとしたら。当時は昭恵夫人は名誉校長か。
そうでございます。
――忖度が働いても仕方がない状況だ。昭恵夫人に10万円を講演料として渡したのか。
10万円の講演料を先に用意しておりましたので、100万円をいただく前に用意しておりましたので。お帰りになる時にお渡ししました。お菓子の袋にその封筒、10万円入っております。封筒に感謝と銘を入れてお持ち帰りいただいたということです。
――昭恵夫人も寄付を否定されている。なぜ、今、公にしたのか。
2月8日に問題が勃発し、政府の方が何とかうまく対応すればいいと見守っていた。私はご助力いただいていると思っていたのに、手のひらを返すように学校を潰しにかかってきた。何が起こっているのかを解明しないと、国民の皆さんに申し訳ないと思った。
――昭恵夫人から口止めとも思われるメールが来たと言った。いつ頃届いた?
大体、2月18日以降、25日までの間だと思う。
――かなりやりとりしている?
35、36回はやりとりしている。
――鴻池先生の言う「こんにゃく」とは何か。
中身ということでしょうか。封筒の中に3万円、型紙の中に入った商品券です。
――何のために(鴻池事務所にこんにゃくを)持って行ったのか。
入院されてましたのでお見舞いも兼ねてもありますが、その時にこういう風な土地の関係はこうなっていますと報告はさせていただいたということであります。
――近畿財務局とは問題発覚後もやりとりがあったと。それのひとつが、10日間隠れてろという話なのか。
近畿財務局とはあの一件がありましてからもやりとりしてました。私も当時の顧問弁護士の酒井先生もです。10日間うんぬんも酒井先生がされておりました。
――財務省の島田さんから10日間隠れてろと言われたのか。
財務省の島田さんから言われたということであります。
――稲田大臣との関係を聞く。顧問契約や法律相談はあったのか。
稲田先生の事務所と顧問契約を結んでおりました。出廷されたこともあったと記憶しておりますけれど、今回の土地のことにつきましても平成28年1月には稲田龍示事務所に相談に行っております。
(続く)
③籠池証人喚問<下> 鴻池氏以外に挙がった政治家3人の実名
2017年3月23日 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/202059
左から時計回りに東徹、北川イッセイ、柳本卓治の3氏(C)日刊ゲンダイ
●竹谷とし子(公明)
――昭恵夫人にメールなどでお礼をしたか。
黙っていてと言われたからしていない。
――3月16日に、総理から寄付をもらったと言い出したのはなぜか。
あの日、申請を取り消した。一生懸命造った建物を存続するために、安倍晋三氏の寄付が入っているんだ、何とか存続させて欲しいと思ったから。
――安倍晋三記念小学校の寄付を募る際に、許可は取ったか?
取ってません。
――本人の許可なく名前を使って寄付を募るのは詐欺ではないか?
詐欺ではないと思います。
●小池晃(共産)
――昭恵夫人は名誉校長の要請を最初は断った?
1秒ほど止まってらっしゃいましたが、すぐに即断をしていただきました。
――昭恵さんと更地の豊中の敷地に行ったことあるか。
一緒に行かせていただきまして、ここに学校が出来るとお話しさせていただきました。
――昭恵夫人からサジェスチョンはあったのか。
いい田んぼができそうですね、ということでありましたね。それで瑞穂の國記念小學院とさせていただきました。
財務省が前向きに動いていると感じましたのは、生活ゴミが出てきた後が一番著しかったと記憶しています。
――どういう動きを見て?
私どもの弁護士が入っていましたから、動き方、スピード感が非常に速かったと思います。
――3月10日の記者会見で、大阪府の設置基準緩和に4年ほどかかったと。政治家に協力を頼んだことはあるのか。大阪府の議員を含めて。
ございます。
――どなた。
ええ、東徹(参院)議員です。
――そのほか、この問題で名前が出ている政治家で、鴻池議員以外でだれかいるか。
すでにおやめになっていますが、国交副大臣の北川イッセイ先生、(参院議員の)柳本卓治先生、うーん、ええ、はい、そういうところで。
■ハシゴを外したのは松井大阪府知事です
●浅田均(維新)
――ハシゴを外したのは大阪府のトップと言っている。では、ハシゴをかけたのは誰か。
ハシゴをかけたのは私。
――松井一郎氏に会ったことはあるか?
直接、お目にかかったことはありません。
――松井府知事の喚問を要求します。
●山本太郎(希望=自由、社民)
――現金100万円の寄付を受けた際に、昭恵夫人が「一人にさせてすみません」と。同志だから言えることだ。感動したか。
うれしく、これで物事は進んでいくなと思った。
――ハシゴを外されたと怒りを覚える政治家は。
大阪府知事です。
●松沢成文(無所属クラブ)
――大阪府知事の松井氏に便宜を図ってくれとお願いしたことはあるか。
しておりません。ええ、人は頼みになるものという認識の中で亡くなっていかれた方もいますので。ご意志を継いでいかれるのであればそのままでいくだろうと思っていましたので。その他にはしておりません。
――昭恵夫人に対し、(小学校の)認可を安倍総理経由で府知事にお願いして欲しいと言ったことはあるか。
その点については致しておりません。
――鴻池議員ルート。国有地払い下げの件でお願いに行った。秘書が動いた。その時、鴻池議員に麻生財務大臣に伝えてほしいと依頼したことはあるか。
麻生大臣の方に伝えてくださいませんか、と言ったことはあります。
――麻生大臣は(小学校)設置者からの要望を知っていたと。
なかったと思います。私はお伝えしましたが、伝わってなかったと思います。