【パリ発】安倍政権と酷似のマクロン 生活苦の庶民が全土で蜂起
2018年12月9日 田中龍作ジャーナル
http://tanakaryusaku.jp/2018/12/00019217
デモ隊はバリケードを築きながら凱旋門に迫って行った。=8日、シャンゼリゼ通り 撮影:田中龍作=
「もう生活してゆけない」・・・金持ち優遇の穴埋めのために、なけなしのカネを吸い上げられるのはゴメンだ。生活に困窮するフランスの中・低所得者たちが8日、全国約100ヵ所で蜂起した。
主戦場は今回も凱旋門だったが、警察が凱旋門につながるシャンゼリゼ通りを封じ込めたために“援軍”が入れず、デモ隊は消耗していった。(現場のもようは拙ツイッター@tanakaryusakuで詳報しております)
催涙ガスに煙るシャンゼリゼ通りでデモ参加者に聞いた。
「月収は1,150ユーロ(14万7,660円)。すべてが上がっているから生活は苦しい。家賃と光熱費を払うと月末には50ユーロ(6,420円)しか残らない」(30才男性・食品加工場勤務)。
フランスの最低賃金は1,100ユーロ(14万1,240円)。男性の給料は最賃すれすれだ。その最賃もマクロン政権下で引き下げられている。
「年金が毎月40ユーロ(5,136円)ずつ減らされてゆく。金持ちはすでに金持ちなのに、我々はますます貧しくなってゆく」(年金生活者・64歳)。
フランスメディアによると、18日、全土で1,000人が警察に拘束された。うちパリは673人(8日午後5時現在)。戦域的には権力がデモ隊を押さえ込んだ形だ。だが、生活苦にあえぐ中・低所得者たちの怒りは、マグマのように溜まったままだ。全土に広がる蜂起は収まりそうにない。
人々は「富の分配のための革命が進行中」と書いた横断幕を掲げ凱旋門に向かって前進した。=8日、シャンゼリゼ通り 撮影:田中龍作=
法人税減税の穴埋めに社会保障費の掛け金や公共料金を値上げする。解雇しやすい制度が整備されており、高プロもある。労働者の実質賃金は下がる一方だ。日本のことではない。
手取り月収1,170ユーロ(15万228円)以下の貧困層は600万人にも上る。労働人口の20%強だ(以上、フランス国立統計経済研究所)。
野党は圧倒的劣勢で、労働組合は頼りない。マクロン氏は、議会に諮ることなく大統領令で金持ち優遇政策を進めてしまう。フランスの政治・社会状況は日本と酷似する。マクロン大統領と安倍首相の政治手法はほとんど同じだ。
にもかかわらず、フランスの情勢を報道する日本のマスコミの論調は「ガソリン税の値上げに抗議する人々が暴徒化して」だった。ガソリン税はone of them に過ぎないのに。最近になってやっと「金持ち優遇政策に反発した人々がデモをかけた」と伝え始めた。
安倍政権がマクロン政権と同じネオリベで金持ちのための政策を取り、なけなしのカネを吸い上げられる国民の多くは生活に困窮する・・・とはどのメディアも言わない。
「俺たちはこんなに苦しいのに、マクロンはエリゼ宮でいい物食べてんじゃないよ」。デモ参加者の一人(40代男性)は目に涙を浮かべながら訴えた。安倍首相と記者クラブに聞かせたい言葉だった。
警察は男性2人をデモ隊から引きずり出して逮捕した。追いかけて撮影しようとしたメディアに向かって催涙弾の水平撃ちをした。=8日、シャンゼリゼ通り 撮影:田中龍作=
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この先も安倍政権が続くと、日本にはさらに大量の生活困窮者が生まれます。「アベシンゾーに野垂れ死にさせられる前にフランスの惨状を伝えたい」。田中は破産も覚悟で世界一物価の高いフランスに乗り込みました。ご支援何とぞ宜しくお願い致します… [http:tanakaryusaku.jp/donation]http:tanakaryusaku.jp/donation
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③【パリ発】黄色いベストが襲撃するネオリベ金融機関とスタバ ‘MACRON HARAKIRI’
2018年12月10日 田中龍作ジャーナル
http://tanakaryusaku.jp/
米国資本の象徴的存在であるスターバックス。窓ガラスは徹底的に破壊されていた。=9日、パリ市内 撮影:田中龍作=
デモの嵐から一夜明けたパリの街を歩いた。「黄色いベスト」の攻撃対象となり、窓ガラスが割られるなどしていたのは、金融機関とスターバックスが中心だった。
日本のマスコミが伝えるようなブランドショップではない。ブランドショップは早々と防護板を張るなどして自衛策を講じていた。
金融機関は金持ちが 中・低所得者 から吸い上げたカネを貯めておく所だ。スタバは米国資本の象徴と言える。金融機関と米国はネオリベの総本山だ。ネオリベは庶民から なけなし のカネを吸い上げるシステムでもある。
地元銀行の窓ガラスも大きく割られていた。=9日、パリ市内 撮影:田中龍作=
マクロン大統領を罵った落書きは、街の至る所にあった。なかでも金融機関には、ショッキングな文言が書かれていた。世界最大級のメガバンクであるHSBCの防護板には「マクロンは切腹せよ」。血を連想させる赤のスプレーだ。
金融機関ではないが、ビルの壁には「マクロンを刑務所に」。街の落書きのほとんどはマクロン批判だ。
ロスチャイルド系の銀行で副社長を務めたことのあるマクロン氏の年収は、20万ユーロ(2億5,680万円)だった、などという話(wiki)もある。
世界最大級のメガバンクであるHSBCは防護板を張って、攻撃を防いだ。「MACRON HARAKIRI」の落書きが目を引く。 =9日、パリ市内 撮影:田中龍作=
金持ちを優遇するための原資を 中・低所得者から巻き上げる。ネオリベ・システムの特徴だ。ネオリベ政策は30年近くも前から続いてきたが、オランド前大統領が強化し、マクロン現大統領が一気呵成に完成の域にまで高めた。庶民はたまったものではない。
中・低所得者から収奪して肥え太った金融機関と米国資本は、当然憎しみの対象となる。収奪システムに君臨するマクロン大統領も同様だ。
凱旋門とシャンゼリゼ通りを警察力で封鎖して守れても、フランス全土で金融機関とスタバは攻撃に遭い、マクロン大統領を罵る落書きは国中にあふれるだろう。
このままでは、フランスは荒廃を免れない。
スタバの壁には「打倒、帝国主義」(手前)、「金持ちはオカマを掘らせろ」。=9日、パリ市内 撮影:田中龍作=
~終わり~
④ロシア、仏「黄色いベスト」運動でも暗躍か ツイッターで偽情報拡散の疑い
2018年12月10日 AFP日本語版
http://www.afpbb.com/articles/-/3201257?act=all
仏パリであった「黄色いベスト」のデモで、催涙ガス缶を投げる参加者(2018年12月8日撮影)
【12月10日 AFP】フランスで激化しているエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)政権への抗議運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」をめぐり、ロシアと関連した数百のアカウントがデモの扇動に使われていることが分かった。英紙タイムズ(Times)が報じた。
フランス当局は、デモへの支持をあおっているとされるソーシャルメディアアカウントの活動に対して捜査に乗り出した。関係筋がAFPに明らかにした。
タイムズが伝えたサイバーセキュリティー企業ニュー・ナレッジ(New Knowledge)の分析によると、これらのアカウントはツイッター上で、仏当局が残酷と印象づけるために別のデモで負傷した人の画像を使うなど、偽情報を拡散していたという。
仏各地で8日に起きたジレ・ジョーヌのデモでは、全国で2000人超が拘束された。運動は周辺諸国にも飛び火し、ベルギーの首都ブリュッセルで同日あったデモでは約400人が拘束され、オランダの複数の町でも平和的な抗議活動が行われた。