③狙撃兵 そして誰もいなくなった……
2016年2月26日付 長周新聞
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/sogekiheisositedaremoinakunaltuta.html
アベノミクスを主導して得意気になってきた首相ブレーンの面面が、ここにきて
手のひらを返すように厳しい見通しを唱え始 め、自分たちが旗を振ってきた政
策から距離を置き始めている。竹中平蔵が「トリクルダウンは起きない」と発言
したのに続いて、生みの親といわれた浜田宏一・ 米エール大学教授も
GPIF(年金基金)の株投資について「大損する」「(国民を)教育しなけれ
ばいけなかった。損をするんですよ。これだけ儲 けるんだから(損もすること
を)いっておけと僕は色んな人にいいました」(TBS報道特集)などと弁明
し、逃げに転じている。
アベノミクス万歳派だった 経済学者の高橋洋一も失敗だっ たと某紙に寄稿し、
首相の経済アドバイザーだった内閣官房参与の本田悦朗までがテレビに出てきて
消費税増税の延期を提言した り、梯子外しは続いている。 23日に衆院財務金
融委員会に出席した日銀・黒田総裁も「マネタリーベースそのもので直ちに物
価、あるいは予想物価上昇率が 上がっていくということではな い」とのべ、こ
れまでの強気だった主張を覆した。「2年で2%の物価上昇をさせてデフレを脱
却する」という異次元緩和の失敗 を認め、お手上げ宣言したよう にも聞こえた。
取り残された首相が国会で「経済の好循環は確実に生まれている。アベノミクス
が失敗したなどという言説は全く根拠がな い!」「総雇用者所得は増えてい
る!」「ファンダメンタルズは良好だ!」等等、失敗を認めたくない一心で懸命
に応戦している姿が虚しい。本人が願望しようが すまいが、実質賃金は下が
り、 GDPも下がり、株価も下がり、経済指標は軒並み悪化しているのが現実
だ。だからこそ、アベノミクスをそそのかしてきた周囲 は蜘蛛の子を散らして
逃げてい るのである。精神論やその観念、願望では世界は動かないし、アン
ダーコントロールできないことを自覚するべきだろう。
金融緩和のお祭り騒ぎが終わりを迎え、『そして誰もいなくなった』の末路が見
えてきた。誰もいなくなって最後の一人まで放 り投げしていなくなった後、後
始末させられる側は大変だ。逃げ得は許されるものではない。ヘッジファンドに
持っていかれた年金損失分の20兆~30兆円に ついては厳密に責任を追及
し、 戦犯たちに償わせなければならないと思う。