源泉徴収制度と年末調整

2012年01月23日 | Weblog

毎日寒い日が続きますが、みなさまお元気にお過ごしでしょうか。私は、毎月の通常業務に加え、年末調整、法定調書、給与支払報告書、償却資産の申告、法人の申告等で慌ただしい日々を過ごしています。

 

今日は、年末調整がひと段落したので、源泉徴収制度と年末調整についてお話したいと思います。

 

まず、源泉徴収制度とは、給与や利子、配当、税理士報酬等の所得を支払う者(源泉徴収義務者といいます。)が、その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、支払者がその所得税額を差し引いて国に納付するというものです。

給与所得を例に挙げると、給与の支払者がその支払いのたびごとに、その支払額に応じた税額を徴収し、国に納付するものとされています。さらに給与等が一定の金額以下の者(給与所得が2,000万円以下の方なので、大多数の方が該当します。)については、その年の最後の給与等の支払いの際に年末調整を行い、その年の給与の総額に対する正式の所得税額とそれまでの源泉徴収税額の合計額を比較し、過不足を精算することとされています。そして、この場合、他の所得が一定金額以下である場合には、確定申告をする必要が無いため、大部分の給与所得者にとっては、源泉徴収で全ての課税関係が終了することになります。

 

このように、給与所得者の源泉徴収は所得税の前払いであって、年末調整はその精算だと考えると分かりやすいと思います。年末調整で戻ってくる方、徴収される方がいらっしゃいますが、年税額の精算であって、戻ってくるから得したとか、徴収されたから損したということはありません。戻ってくる方は知らない間に余計に払っていて、徴収された方は本来より少なめに徴収されていただけなのです。

源泉徴収制度は、給与所得者にとっては年末調整により課税関係が完了してしまうので、手間がかからないというメリットがある半面、税に対する意識が薄くなるというデメリットが指摘されています。

 

以上は、受給側のお話でした。続いては、給与を支給する側のお話です。

基本的には、支給者は従業員に給料を支払う場合、所得税を天引き徴収し、それを翌月10日に納付する仕組みになっています。

 

そこで、もしもですが、徴収しなかったらどうなるでしょう。

源泉徴収方式においては、国、源泉徴収義務者(支給者)および納税義務者(受給者)の三者が登場しますが、源泉徴収義務者が納税義務者から税金の源泉徴収をするのを忘れていた場合には、国と納税義務者のやり取りではなく、源泉徴収義務者が国に対して源泉徴収による所得税を納付する義務がありますのでご注意ください。

それから、もう一点。納期の特例を受けている事業者であれば、毎月10の納付を半年に1回(7/101/10)にまとめる事が出来ます。ただし、納期限の特例は、給与と税理士・司法書士・労務士に対する報酬源泉だけに適用されるのであって、その他の源泉、たとえば講演料等の支払時に源泉徴収したものについては納期の特例の適用を受けていても報酬を支払った翌月10日が納期限になるので注意が必要です。

 

最後になりますが、今般の消費税や所得税など多くの税目で増税議論が繰り広げられていることを鑑みれば、この先、税に無関心という訳にもいかなくなるように思います。手間がかかり面倒かもしれませんが、サラリーマンも確定申告が必要ということになると、きっと多くの方々の税に対する意識が高まり、ひいては税を通じたより良い社会づくりに繋がっていくのではないでしょうか。