社会保険診療報酬の所得計算の特例、年収7000万円超で適用外に

2013年01月28日 | Weblog

自民、公明両党は1月24日、2013年度税制改正大綱をまとめました。

所得税、相続税の最高税率アップ、住宅ローン控除の拡充、自動車取得税の廃止など皆様の生活に直接関わる部分がたくさんあり興味深いものだったと思います。

医業・歯科医業に関わる部分で注目すべき改正が盛り込まれていました。

社会保険診療報酬の所得計算の特例措置が年収7000万円超で適用外になる、というものです。


【社会保険診療報酬の所得計算の特例措置】

医業または歯科医業を営む個人及び医療法人が、年間の社会保険診療報酬5000万円以下であるとき、当該社会保険診療に係る実際経費にかかわらず、社会保険診療報酬の金額に応じた4段階の経費率をかけた金額を経費とすることができる特例措置。小規模医療機関の事務負担軽減のために設けられた措置。


この制度については以前から議論されてきてました。

多額の自由診療収入があっても社会保険診療の収入が5,000万円以下であることにより特例を適用していたり、特例の概算経費率と実際経費率に差があり多額な差が生じたりしていたことを問題視していたのです。

これを受け、日本医師会と日本歯科医師会で平成24年6~8月に4段階制の実態調査を実施しました。その結果、

①保険診療収入5000万円以下の診療所のうち、42.5%が4段階制を適用している
②医師では70歳以上、歯科医師では60~69歳で4段階制の適用が多い
③4段階制適用のうち、総収入5000万円以下は75.3%(医科)
④4段階制適用のうち、総収入が7000万円~8000万円の層では、自由診療収入が4割を超えている(医科)
⑤4段階制廃止により、医師の41%、歯科医師の40%が「事業継続ができなくなるおそれあり」と回答している

この結果を踏まえ厚生労働省は、「4段階制が小規模医療機関等の事務処理負担軽減にとって有効に機能しており、継続することが適当」と判断。ただし、多額な自由診療を得ている医療機関については、小規模とは言えないことなどから、「自由診療収入も含めた収入額が一定額以上の者を適用対象から除外する」ということになっていました。

これらの経緯があって今回年収7000万円というラインがひかれたようです。

個人については平成26年以後の所得税と27年以後の住民税について、 法人は平成25年4月1日以後に開始の事業年度から適用となります。

 

川上裕也