キャッシュ・フロー経営

2013年03月23日 | Weblog
春らしい陽気となり、ここ福岡では桜がきれいに咲いています。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?


本日のテーマは、「キャッシュ・フロー経営」です。

会社や個人事業を経営される上で、キャッシュフロー(お金の流れ)を理解しておくことは
必要不可欠です。
得意先からの入金や仕入先などへの支払いのサイクルなど、資金繰りについて多くの経営者の
方が気にされていらっしゃるところではないでしょうか。

私どもも貸借対照表や損益計算書などの決算書からキャッシュフローや資金繰りの状況を
日々確認させて頂いております。


そこで、本日はキャッシュフローの視点から、私どもが決算書を見る際に注意する点を
お話させて頂きます。


皆様は、「勘定あって銭足らず」という言葉をお聞きになられたことがありますでしょうか。


これは、損益計算書では利益が出ているのにお金が残っていない状態のことを言います。


では、なぜこのような状態が起こるのでしょうか。


それは、経営上で支払ったものの全てが費用(経費)になるわけではないためです。


経費にならないものの代表例としては“借入金の元本の支払い”があります。

通常、借入金の返済には元本と利息の支払いがあります。このうち、利息の支払いは
費用(経費)になりますが、元本の支払いは費用(経費)にはなりません。


従いまして、借入金の元本は儲けた利益の中から支払っていくことになるのです。


また借入金の元本以外にも、利益が出た場合にはそこから法人税などの支払いがあることも
把握しておかなければなりません。


それでは、具体的に金額を用いてご説明をさせて頂きます。

具体例

 A社の今期の状況は以下のとおりです。

 ・損益計算書の税引前当期純利益   100万円(A)
 ・法人税等の税率(実効税率)      35%(B)
 ・借入金の元本の支払い        65万円(C)

 
 A社に残ったお金はいくらになるでしょうか?

     利益        法人税等の支払い     借入金の元本の支払い
   100万円(A)  - 100万円(A)× 35%(B)  -  65万円(C)  = 0円


このように、A社の利益は100万円出ているのですが、その利益から支払わなければならない
税金や借入金があるため、結果的にA社に残るお金は0円となるのです。


今回の具体例のように、損益計算書の利益をゴールとするのではなく、利益をスタートとして
決算書を活用されると、別の視点から経営状況を理解することができると思います。


決算書には会社や個人事業の様々な情報が入っています。本日ご紹介させて頂きました項目は
その一つですが、是非、決算書を経営判断の材料の一つとしてご活用頂ければ幸いです。


木山 浩晃