税込経理と税抜経理

2017年04月17日 | 税務情報(法人関係)

皆さん、こんにちは。
桜の時期ですね。福岡市は残念ながら、4月2週目の雨で随分散ってしまいました。
皆さんの地域はどうでしょうか?新しい門出に桜が迎えてくれると良いですね。

さて今回は、消費税の入力の基本である経理処理の話をします。
消費税の経理処理は、税込経理と税抜経理があります。
税務署への届け出はなく、どちらの処理をいつでも選択しても良いことになっています。
どちらの経理処理でも消費税の納付金額は基本的に同じとなります。
 
 <税込経理>            <税抜経理> 
 現預金 108/ 売上 108      現預金 108/ 売上 100
                      / 仮受消費税 8
 租税公課 8/未払消費税 8    仮受消費税  8/ 未払消費税 8

未払消費税8で、どちらも変わりありませんね。   
ただし、税込経理、税抜経理には、それぞれメリット・デメリットがあります。     
     
税込経理から考えると例えば・・・。     
<メリット>     
①売上金額を大きく見せることができる
②経理処理方法が簡便(会計ソフトによります)
③控除対象外消費税が生じないので、その知識が不要     
④特別償却や税額控除の判定では「×××万円以上の資産」という要件が多いので有利になる     
<デメリット>  
①交際費損金不算入額が大きくなるため不利(不算入額が大きくなると、所得金額も増える)
②償却資産税の課税標準20万円以上の要件に該当するので不利 
③中小企業の少額減価償却資産等の30万円未満の判定では不利 
④期中では消費税の納税額がよく分からない
     
総合的にどちらが良いとは言い難いですが、
デメリットの①~③が多い企業や事業主は税抜経理が有利と思われます。 
税込経理、税抜経理は会計ソフトで簡単にできますが、消費税の知識は必要です。
     
ちなみに印紙税は、次の3点については、税込、税抜関係なく本体価格に対して判断されます。
(1)第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)
(2)第2号文書(請負に関する契約書)
(3)第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)
例えば、5万円と領収証に記載があれば、印紙税200円かかります。
5万円(うち消費税3,704円)と領収証に記載があれば、5万円未満で印紙税はかかりません。 
5万円(税込)と領収証に記載されていると印紙税がかかります。
節税になるなら、しっかり記載することをお勧めします。
     
冒頭で税込経理と税抜経理は、いつでも選択が可能と記述しましたが、一旦採用した会計処理は継続することが大事です。     
なぜなら、前年比較損益を見たときに比較ができなくなり、本当に注力すべき経営課題が見つからなくなるので注意しましょう。

 

監査部2課 吉野伸明