福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

佛説淨飯王般涅槃經

2021-09-11 | 諸経



佛説淨飯王般涅槃經
宋居士沮渠京聲譯
如是我聞。一時佛王舍城耆闍崛山中に住せり。
大比丘衆とともなり。爾の時き世尊。光明韑韑。喩えば日
出でて世間を照明するが若し。時に舍夷國王あり。名ずけて淨飯と曰う。
正法を以って治め、禮徳仁義、常に慈心を行ず。時に重病に被る。身中の
四大。同時倶作。其體を殘害す。支節欲解。喘息不定なり。如駛水流。輔相宣令國中明醫。皆悉く集會し王所疾を瞻、病に隨って授藥し、種種療治すれども能く
愈すもの無し。瑞應已至。將に久しからずして死せんとす。時に王煩躁す。轉側不停。魚の水少なきが如し。夫人婇女。其を見て如是、益す更に愁惱す。時に白飯王、斛飯王、大稱王等、及び諸群臣、同じく發聲言す。今王設に崩れんとす。永く覆護を失う。國將に虚弱なるべし。王身戰動。脣口乾燥。語聲數絶。眩目涙下なり。

時に諸王等、皆敬意を以って長跪叉手、同じく共に白して言さく。大王の素性は彈指頃を経ても惡をなすを好まず。積徳を厭うこと無し。人民を護養し、安を得ささざるなし。名聞は十方なり。大王今日。何故ぞ愁惱すや。

時に淨飯王、語聲輒出して諸王に告げて曰く。我命逝くと雖ども以って苦となさず。但だ恨むらくは我子悉達を見ざることなり。又た恨むらくは次子難陀を見ざることなり。(彼は)以って貪婬世間諸欲を除く。復た恨むらくは斛飯王子阿難陀をみざることなり。(彼は)佛法藏を持し、一言も失せず。又た恨むらくは孫の羅を見ざることなり。年幼稚というと雖も、神足純備、戒行無缺なり。吾れ設ひ是諸子等を見るを得るとも、我病篤しと雖も、未だ生死を離れずとも以って苦となさず。諸の王邊にありとも、聞如是語、啼泣せざることなし。涙下如雨。

時に白飯王。淨飯王に答えて言く。我れ聞く、世尊は王舍城耆闍崛山中におられ、此を去ること懸遠。五十由旬なり。王今轉羸す。設え使者を遣すとも、道路懸邈なり。懼だ恐る遲晩なることを。加益するところ無し。唯だ願くは大王、莫だ大に諸子愁悒懸念す。時に淨飯王。是語を聞き已りて。垂涙而して言く。白飯王に答う。我子等輩。復た遼遠と雖も、意望不斷。所以者何。我子佛と成る。以大慈悲。恒以神通。天眼徹視。天耳洞聽。衆生應に度すべきものを救接す。百千萬億の衆生有るが如し。水に溺れるところを、慈愍心を以って爲に船筏を作り、之を度脱するが如し。
終に勞疲せず。譬えば人ありて賊の所圍するところとなり、或いは怨敵惶怖失計に値い、自ら濟うこと望めず、唯だ救護を求め、有勢者に依って、欲從恐難して解脱を得んと欲す如し。譬えば人ありて時に重病を得、欲良醫を得て以って其疾を療線と欲するがごとし。如我今日。望見世尊。亦復如是。所以然者。世尊晝夜。常三時を以って、恒に天眼を以って、觀於衆生應受化者。慈愍心を以って、母が子を念ずるが如し。

爾時世尊在靈鷲山。天耳遙に迦維羅衞大城の中。父王悒遲及び諸王の言を聞き、即ち天眼もって、遙に父王、病臥著床羸困憔悴して命終りに向わんと欲っするを見て、父渇仰諸子を見んと欲するを知る。爾時世尊難陀に告げて曰く。父王淨飯。勝世間王。是我曹父なり。今重病を得る。宜しく當さに往って見ん。餘命少在なり。時に嚴速發す。我曹應往。及命存在。得與に相見。王の願を滿たしめん。難陀教を受て。長跪して作禮す。唯然り世尊。淨飯王者。是我が曹父。所作奇特。能く聖子を生じ、世間を利益す。今宜に往詣して、育養の恩を報ぜん。阿難合掌して前白佛言。我世尊に隨い、貪共に相見ん。淨飯王者。是れ我が伯父。我出家して佛弟子となるを聽す。得佛爲師。是の故に往かんと欲す。羅云復前而白佛言。世尊。是我父と雖ども。國を棄て道を求む。我祖王の育養を蒙り成就し、出家するを得たり。是故に往って祖王を覲奉らんと欲す。佛言。善哉善哉。宜是時を知り、王の願を滿たしめん。

是において世尊、即ち神足をもって猶し鴈王の如く身を虚空に踊らし、忽然として迦維羅衞に現在され、大光明を放つ。國中の人民。遙に佛の來ませるを見、皆共に聲を擧げ、涕涙して言く、設えば大王崩れれば、舍夷國名必ず絶滅せんか。城中の人民。佛に向って啼哭す。世尊白して言く。爾時太子。宮城踰出して、藍毘樹下に詣じ、坐して思惟す。父王見之。稽首敬禮。大王如是。命斷不久。唯願如來。宜しく時に往じて共に相見るべし。國中人民。宛轉自撲、哽咽啼哭。中に自ら瓔珞を絶する者あり。中に自ら衣服を裂壞する者あり。中に自ら其髮を拔く者あり。中に灰土をとりて自坌するものあり。痛み骨髓に徹す。猶し顛狂人のごとし。佛見是已。國中の人を諫む。無常別離古今有是。汝等諸人。當思念之。生死を苦と爲す。唯だ道のみ是れ眞なり。佛法雨を以って衆生の心を灌す。以種種法。而開解之於。是世尊。即ち十力四無所畏十八不共諸佛之法って、大光明を放ち、更に復た重ねて三十二相八十種好を以って大光明を放つ。以從無量阿僧祇劫。所作功徳。放大光明。其光照曜。内外通達。國界を周遍し、王身を光照すし、患苦安きを得る。

王遂に怪みて言く。是れ何の光なるやと。日月光諸天光となるや。光我身觸るや、天の栴檀の如し。我身中患苦息むを得しむ。我れ遂に疑怪す、儻ち是れ我子悉達の來る也と。先に光明を現す。是其瑞耳。時に大稱王。外より宮に入る。大王に言して白さく。世尊已に來る。將に諸弟子。阿難難陀羅睺羅云之等。乘空來至。王宜ち歡喜し、愁毒心を捨つ。王佛の來るを聞き、敬意踊躍し、覺ず起坐す。須臾之頃。佛便入宮。王見佛到。遙に兩手を擧げ接足して言く。唯願如來。手をもって我身に觸れ、我を安ぜしめたまえ。病によって困るところ、麻油を壓するが如し。痛不可忍。我命將に逝かんとす。寧可還反。我今最後。世尊を見るをえて、痛恨即ち除く。佛父王の病、重羸痩なるを知る。色變じて識難し。覩見形體。憔悴叵看。

佛難陀に告げたまわく、王の本時を觀るに、形體巍巍、顏色端正、名聲遠聞なりき。今重病を得、乃ち識べからず。端正形容、勇健之名、今いずくにか所在すと。爾時淨飯王、一心合掌して世尊を歎じて言く、汝願已に成就 せり、亦衆生の願を滿す。 我今重病を得、 願くは佛我厄を度し 瞿曇種 を嚴飾したまえ 汝甚だ奇特と爲す 末世に正法を説く 無護にして作護す 法王法味を以って 諸衆生を灌澤したまえ、如是後世人 我子極めて慈孝の人 中之上寶 名は大千界に達し、上淨居天に至り、 獨歩等雙無し。

佛言、唯だ願くは父王、復愁悒すること莫れ。所以然者。道徳純備。缺減有ることなし。佛從って袈裟の裏より金色の臂を出す。掌蓮華の如し。即ち手を以って父王額上に著す。王是清淨。戒行之人。心垢已に離れたり。今まさに歡悦すべし。宜しく煩惱すべからず。當に諦思念し、諸經の法義、牢固ならざるにおいて堅固の志を得べし。已に善根を種む、是の故に大王、宜しく當に歡喜すべし。命雖え終らんと欲すといえども、自ら寛意なるべし。

時に大稱王。恭敬心を以って、淨飯王に言して白さく。
佛是王子。神力具足。等しきもの者無し。次子難陀。
亦是王子。已に生死諸欲之海を度す。四道無礙なり。斛飯王子。阿難陀者。已に法味を服す。佛の説く所の法、猶若淵海。一句も不忘。悉く之を總持す。王孫羅ごら云く、道徳純備、諸禪定を逮し、四道果を成ず。是四子等。已に魔網を壞す。時に淨飯王。聞是語已。歡喜踊躍。不能自勝。即以自手。捉於佛手。其心上に著す。

王於臥處。仰向合掌。世尊に言して白さく。我如來を瞻るに、目 不眴。之を視れども無厭。我願い已に滿つ。心意
踊躍。從是取別。如來眞に至り、多所饒益す。其有得見。聞所説者。此輩之等皆是有相。大功徳人。今日世尊。是我之子。接遇過多。不見捐棄。王於臥處。合掌心禮世尊足下。時に佛手掌。故在王心。無常對至。命盡氣絶。忽ち後世に就く。於是諸釋。 咷啼哭。擧身自撲。兩手で地を拍つ。髻を解き髮を亂し、同じく聲言を發す。永く覆蓋を失う。中に自ら瓔珞を絶する者あり。中に自ら衣服を壞裂する者あり。中に灰土を取て自坌する者あり。中に自ら其髮を總拔する者あり。中に王に説いて順政治國人民を枉せざる者あり。中に復言する有。諸の小國等、其の覆護を失う。王中の尊王。今已に崩背。國威神を失。

時に諸釋子。衆香汁を以って、王身を洗浴す。劫波育 及諸帛を以って纒い、棺を以って斂し、師子座を作す。七寶莊挍し、眞珠羅網を其傍に垂繞す。便ち棺を擧げて師子座上に置く。散華燒香。佛難陀と共に、喪に在りて頭前に肅恭にして立つ。阿難羅云く、住在喪足。難陀長跪。佛言して白さく、父王我を養う。願くは難陀父王棺を擔ぐを聽せ。阿難合掌して、前白佛言。唯だ願くは我伯父の棺を擔ぐを聽せ。羅ごら復云く、前而白佛言。唯だ願くは我れ祖王の棺を擔ぐを聽せ。

爾時世尊。當に來世を念じて。人民兇暴。父母育養之恩に報いず、是の不孝之者の爲に、爲是當來衆生之等、設え禮法の故えといえども、如來躬身、自ら父王之棺を擔がんと欲す。即時に三千大千世界、六種に震動し、一切衆山、駊騀涌沒すこと水上の船の如し。爾時欲界。一切諸天。無央數百千眷屬と倶に來赴して喪す。北方天王毘沙門。諸夜叉鬼神之等億百千衆を將いて、倶に來赴して喪す。東方天王提頭頼吒。從諸伎樂鬼神之等。億百千衆とともに來赴して喪す。南方天王毘樓勒叉。鳩槃荼鬼神之等、億百千衆を從えて、倶に來赴して喪す。西方天王毘留婆叉。諸龍神億百千衆を從えて、倶に來赴して喪す。皆共に哀を發し、擧聲啼哭す。時に四天王。竊に共に思議す。瞻望世尊。當來
世、諸不父母に孝順ならざる者のための故に、大慈悲を以って現自躬身父王の棺を擔ぐ。時に四天王。倶共長跪。同時に發聲す。倶に白く佛言。唯然世尊。願くは我等が父王の棺を擔ぐを聽せ。然る所以の者は、我等亦是佛之弟子なり、亦復佛に從い、聞法意解、得法眼淨、須陀洹を成す。是を以っての故に。我曹宜擔父王之棺。爾時世尊。四天王父王の棺を擔ぐを聽す。時に四天王、各自變身、人形像の如し。手を以って 棺。肩上に擔ぐ。擧國人民。一切大衆。啼哭せざる莫し。

爾時世尊。威光益顯。萬日並ぶが如し。如來躬身。手に香爐を執り、喪に在て前行す。出詣葬所。靈鷲山上。千阿羅漢有り。神足力を以って、乘虚來至し、佛足に稽首す。復た佛に言して白く。唯だ願くは世尊。何事か勅使せん。時に佛便ち諸阿羅漢に告ぐ。汝等疾く大海渚上往き、牛頭栴檀種種香木を取れ。即ち教勅を受け、彈指の如くの頃に、各
大海に到り、共に香薪を取り、臂を屈伸する頃に、便ち已に來到す。佛與大衆。共積香薪。擧げて棺上に置き、火を放ちて之を焚す。一切大衆。火盛然を見、皆佛前に向い宛轉自撲す。益更悲哭。得道の者は皆自ら慶幸す。未だ道を獲ざる者は心戰惶怖。衣毛爲竪す。

爾時世尊。衆會に告げて曰く。世皆無常。苦空非身。堅固有ることなし。如幻如化。熱時炎の如く、水中の月の如し。命久居せず。汝等諸人。勿ち此の火を見よ。便ち以って熱となす。諸欲之火。極復過此。是故に汝等。當に自ら勸勉し、永く生死を離れ大安を得よ。時に火焚大王身燒已んぬ。爾時諸王。各各皆五百瓶乳を持し、以滅火に用う。火滅之後。競共收骨す。金凾を盛置し、即其上に便ち共に起塔し、幡蓋及種種鈴を懸け塔廟を供養す。時に諸大衆。同時に發聲す。倶白佛言。大淨飯王。今已に命終す。神は何所に生ずるや。唯だ願くは世尊。分別解説したまえ。時に世尊。衆會に告げて曰く。父王淨飯。是清淨人。淨居天に生ず。衆會是語を聞き已りて、便ち愁毒を捨てぬ。佛經を説き竟んぬ。諸天龍神。及四天王。所將眷屬。世間人民。一切大衆佛に作禮し各自還去す。

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