福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

善財童子の訪問者と教え(華厳経入法界品)33

2019-10-03 | 諸経
善財童子の訪問者と教え(華厳経入法界品)33
丗二番目、閻浮提の迦毘羅婆(かぴらば)城  婆沙婆陀夜天(ばしゃばだやてん)

善財は日没に迦毘羅婆城に入り婆沙婆陀夜天を探すと城上虚空中に坐して身は真金の如く、目髪は紺色で端厳殊妙な姿で、身の上に一切の星宿・光明を現じ無量の衆生を化度している。ここでは善財は今までと違い「一切智の道を開示し顕現したまえ」と婆沙婆陀夜天に聞きます。婆沙婆陀夜天は直接の答えはありませんでしたが自分は【菩薩の光明普く諸法を照し、衆生の愚癡を壞散する法門】を成就している、といい、衆生の業にあわせて大慈心・大悲心・歓喜心・無二心・清浄新・正道心・一切智道心など九心を起こし普く衆生を済度せよといいます。

「善男子。我已に【菩薩の光明普く諸法を照し、衆生の愚癡を壞散する法門】を成就せり・・・
善男子。我常に如是に思惟して衆生を教化す。夜闇人靜りて鬼神盜賊の遊行時、比丘の威儀を離るる時、重雲煙塵が日月を昏蔽して不見色の時、若し衆生ありて城邑聚落山巖曠野八方大海に在らん、乃至一切水陸の衆生をも此衆生において種種方便を以て其の恐怖を滅せん。若し衆生有りて海難・雲難・山難・大風洄澓及以び波浪に遭い迷惑して道を失い邊岸を見ざる、如是等の種種の海難に遭はば、我爾時において或は船形と作り或は馬王・象王・狗王・阿脩羅王・海神王の形となり、如是等の形となりて、方便を以て衆生の海難を度脱せしめん。陸地の衆生の為には或は淨月及び諸星宿・炬火・電光・諸寶光明・天身光明・菩薩光明となり、如是等の無量方便を以て衆生を救護せん。如是の心を發して我れ一切衆生の為に常に歸依となりて煩惱を除滅し、死を畏れる者をして無畏法を得しめ、貧窮者をして皆な富樂を得しめ・・無量無数劫に我常に大慈を修して普く諸の群生を覆う、善財まさに速やかに具うべし・・」

これは菩薩五十二位の下から丗一番目、十地の一番下ということで華厳五十五所絵巻でも「第一歓喜地」としています。歓喜地とは、「長い修行の末,この位に上って初めて無漏智を生じ,聖者となって大いに歓喜する位であるから,初歓喜地という」とありました。

仙台で歴史上二人目の大峰千日回峰行者となった塩沼亮潤師にお会いしたことがありますが、師は温容を以て来るものを拒まず淡々と信者の相談に接しておられる姿に感動しました。まさに沙婆陀夜天の御姿かもしれません。


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