福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

妙法蓮華経秘略要妙・観世音菩薩普門品第二十五(浄厳)・・14

2024-01-14 | 諸経

妙法蓮華経秘略要妙・観世音菩薩普門品第二十五(浄厳)・・14

二には饒益を結す。

「無盡意。觀世音菩薩。有如是等 大威神力多所饒益。是故衆生常應心念。」

「無盡意」とは対告衆を呼ぶ。(「外國には阿差未と構す。此には無蓋意と言ふ。大集経に云く。初獲心の時すら已に審くすべからず。況や復た、智慧と神通と慈悲と読法と而も審くすべけんや。正意をもつて言はば、衆生無壼なるが故に大悲無窮なり。故に無霊意

と云ふ。」)

観世音等の十七字(觀世音菩薩。有如是等 大威神力多所饒益)は利益を挙ぐ。「威神」とは威徳神通なり。「饒」とは増の義なり。益の義と同じ。

「是故衆生常應心念。」とは修行を勧るなり。

若し秘密趣に約して解せば、観音の内證三摩地は妙観察智の説法の徳、蓮華三昧の至極なり。此の内證に三毒を浄むる功能あり。先ず蓮華は汚泥に在っても染せざるが如く、観音の大悲化他の如玄三昧は生死の凡夫の形となって衆生を導き玉へども、唯外相のみ凡夫にして内心は更に凡夫に非ず。此れ則ち生死の貪染の中に在りながら而も貧に染まらず、是貧を対治する力用なり。次に蓮華は水に生じて其の性清浄なり。是大悲を以て衆生を潤すことを表す。大悲の水能く瞋恚の火を消す用あり。

次に妙観察智は五眼清浄にして邪正謬らず、是愚痴を断ずる用なり。若し手に観音の印を結び、口に観音の真言(おんあろりきゃそわか)を唱え、心に観音の三昧たる「さ」

(梵字)字の三諦不可得の理を観じ、専注一境して此と相応する時は自身の三業全く観音の三業なるが故に三毒の業悩自ら消滅して餘なきものなり。是新に始めて観音となるにあらず、心中本有の観音を今三密修行の増上縁を以て彰すなり。密宗の正意は一切の佛菩薩乃至六道の凡夫までも皆自心本有の徳なり。若し善行を作せば佛菩薩二乗人天を修し顕はれ、悪業を造れば三悪道を現起す。此の故に因果歴然として一毫も違ふことなし。是に知ぬ、諸悪莫作衆善奉行の誡、まことに佛法の深旨を盡せりと云ふことを。唯この八字(諸悪莫作衆善奉行)を以て師とせば生死に於いて自在を得る日近きにあるべき者なり。

 

三には身の機に應ずるに二。初めには二求を明かすに二つ。初めには男を求む。

「若有女人設欲求男。禮拜供養觀世音菩薩。便生福徳智慧之男」

「若有女人設欲求男」とは、子息を求むる苦を明かす。

問、子なければ父母俱に憂ふ。子あれば父母俱に喜ぶ。何ぞ女人をのみ挙るや。

答、女人は子なきを以て苦とす。夫に棄られ、並婦に軽んじられ、傍人に笑はる。皆是子なきが故なり。又女人に七去あり。一には容悪し。二には性妬す。三には公(しうと)に事(つかへ)ず。四には姑に事へず。五には食を貪る。六には子なし。七には拙し(愚痴なり)。此の七つの中に餘は猶堪忍すべし。子無き最も劇し。故に父母共に苦しむといへども、別して女人を標すなり。

「禮拜供養」等の九字(禮拜供養觀世音菩薩)は修行を明かす。是則ち機なり。一禮に無盡の禮拝を具足し、一香一華も法界無邊の雲海の供養となること皆上に注し了んぬ。能く分別して修行すべし。

若し秘密の釈ならば、今は且く外宜に就いて禮拝供養を身行の修行とせり。而も實には一切皆三密具足す。謂く身に禮拝するは身密なり。口に普禮の真言を唱ふるは語密なり。此の身を塵刹に邊じて一一の佛菩薩の前にして禮し奉ると観ずるは意密なり。供養もまたかくの如し。謂く、口に供養の「おん」(梵字)の字を誦するは語密なり。意に周遍法界の観を作すは意密なり。手に香華等を取て供養するは身密なり。かくの如く今行ずる三密と観音の三密と一切衆生の三密と無二平等なりと観達する時は、自身即観音なるが故に、一切の所願意に任せて成就するなり。

「便生福徳」等(便生福徳智慧之男)は應を明かす。「福徳智慧」とは所生の男息の徳業を出す。凡そ士に百行あり。智は其の最上なり。されども智のみにして福徳なきときは位卑しく、財匱(ともし)きが故に途に触て坎壈(かんらん・志を得ない)す。智福兼ぬる時は互いに扶顕すが故に名聞博遠して諸人の尊敬する所なり。豈母の慶びに非ざらんや。事證をいはば昔唐の晋の代に益州に孫道徳と云者、仙道に歸すること年久し。五十を過ぐるまで未だ子息あらず。其の人の住宅、寺に近し。宋の第二の主、少帝の景平年中(5世紀)

に至って或沙門、道徳に語りて曰、汝必ず子を願はば至心に観音を禮し普門品を誦ぜよと。道徳即ち仙道を捨て観音に誠を盡しかば、少日の中に夢の告げあって婦即ち懐妊して男子を産めり(冥禪記に出たり)。観心の解は下に明すべし。

 

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