大乘入楞伽經(實叉難陀譯)斷食肉品第八(全)・・5/6
大慧。世に復た人あり。心に慈愍無く專ら慘暴を行うこと猶し羅刹の如し。若し衆生其身充盛なるを見ては便ち肉想を生じて言はく、『此は食するに可なり』と。大慧。世に肉の自殺にあらず・他殺に非ず、心に疑わずして殺して食うべき者あることなし。是義を以ての故に我は聲聞に如是の肉を食すことを許せり。大慧。未來の世に愚癡人有りて、我法中において出家となり、妄りに毘尼を説いて正法を壞亂し我を誹謗して『食肉を聴し亦自も曾って食せり』という。大慧。我若し声聞に肉食を聽せば我は則ち、慈心に住する者・觀行を修する者・頭陀を行ずる者・大乘に趣く者にあらず。云何が諸善男子及善女人にすすめて諸衆生において一子の想を生ぜしめ一切の肉を断ぜむや。大慧。我は諸處において十種を遮し三種を許す、と説けるは是れ漸く禁斷し其をして修學せしめんがためなり。今此經中において自死他殺凡び是肉なる者は一切を悉く斷ぜり。大慧。我曾って弟
子に食肉を許さざりき。亦た現に許さず。亦た當に許さざるべし。大慧。凡そ是れ肉食は出家人において悉く是れ不淨なり。