福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

止風雨法

2020-07-08 | 諸経
止風雨法(密教大辞典等による)
暴風悪雨を止め、あるいは大法会等の当日の降雨を止むるに修する法。「金剛光焔止風雨陀羅尼經」を本軌として修し、止風雨経法とも称す。この法の本尊に火天、摩那斯龍王、迦楼羅天、不動明王、金剛薩埵、観自在。あるいは釈迦・金剛手・観自在の三尊。あるひは釈迦・金剛手・観自在・火天・摩那斯龍王の五尊、を本尊とする等数説あり。火天は梵焼を主るがゆえに本尊とし、摩那斯龍王(摩那斯龍王について、「まなし」とは大身・慈心と訳す。八大龍王の一つ。降雨をつかさどる。諸神と阿修羅が海水を攪乱したとき、身を以て喜見城を守った。)
は「金剛光焔止風雨陀羅尼經」に「當に便ち、此の素龍王に摩那斯龍王と授名す。諸毒龍の主なり。當に誓願して言く『一切災風惡雲惡雨雷雹霹靂を攝禦禁止す。諸惡毒龍は一時に順伏す。摩那斯龍王は倶に來りて甕に入る。則ち災惡毒氣を斷じ禁止す。如是に修治せば、則ち一切諸惡毒龍の災風毒氣惡雲惡雨雷雹霹靂一時に順伏するを得る。而して皆之により止む。」と説けるに依る。

迦楼羅天を本尊とするは同じく「金剛光焔止風雨陀羅尼經」に「復た大身蘖嚕荼王(かろだ・迦楼羅と同じ)あり。・・白言世尊に白して言く『我に金剛嘴光焔睒電眞言あり。如是の眞言の神力は威猛なり。諸惡毒龍の身心膚肉を能く燒き能く壞す。亦た能く一切災
害惡風暴雨雷雹霹靂を禁止す。亦た能く大地一切卉木藥草苗稼花果子實滋味を増長す』」と説けるによる。「金剛峯樓閣一切瑜伽瑜祇經降伏一切魔怨品」には「仏あり、名けて金剛大薬叉・・即ち蘖嚕拏となり、諸龍毒を噉食す。」と説く。

不動明王を本尊とするは、「不動使者念誦法」に「次に師子奮迅印を作せ。・・・誦すること七遍、能く一切惡魔等を降伏す。印を以て惡雲雨を靡せ。應に時に皆な散ぜん。散じ已れば解印せよ。若し惡風雨止らざれば、棘針を取りて白芥子に和し、燒け。呪すること一
百八遍。更に根本呪一百八遍を誦せ。但に風雨散止するのみにあらず、其の龍神等却り來って行者を擁護せん」と説き、「底哩三昧耶經」に亦この義を説ける等を本拠とす。長寛二年七月二十八日に八条女院の御堂供養の時、宗明不動明王を本尊として修し、雨を止めたりといふ。

次に「釈迦如来・金剛手・観自在」の三尊は請雨経法の本尊にして、諸尊に皆祈雨・止雨の功徳あるがゆえに今また、三尊或いはその中の金剛薩埵(金剛手)又は観自在一尊を止雨法の本尊とするなり。

釈迦・金剛手・観自在・火天・摩那斯龍王の五尊を本尊とするは、請雨経法の本尊たる三尊(釈迦・金剛手・観自在)に火天と止雨龍王とを配合したるものにて口傳の説なり。仁海の傳等これにして、弘法大師唐に在りて相伝したまふと称す。
乳味鈔十には、霖雨を止除し、甘雨を祈求するには火天を本尊とし、御即位あるいは庭儀灌頂等一日の快晴を祈願するには五尊(釈迦・金剛手・観自在・火天・摩那斯龍王)を本尊とするといふ。

上述のほか、諸経に止雨の文あり。覚禅鈔止雨法に引けり。守護経九に止雨陀羅尼を説き、「おん あみりていてい うん ていしった そわか」といふ。」
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