福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

御大師様の先祖供養についてのお考え・・18

2019-06-18 | 先祖供養
御大師様の先祖供養についてのお考え・・18
「藤原冬嗣三回忌の願文」。ここでも写経は故人を覚りに導くのみでなく、施者を繁栄させ、一切の生類を悟らせると述べておられます。
「右将軍良納言(良岑安世)開府儀同三司左僕射(藤原冬嗣)のために大祥(三回忌)の斎を設くる願文
謹んで天長四年孟秋季旬(陰暦七月下旬)をもって、先の左僕射の大祥の奉恩に、金字般若経一十二紙を写し奉る。これを延くに龍象をもってし、これを衍ぶるに涌泉(経典)をもてす。方丈の草堂は法果(法界)を呑んで蟇芥(たいかい)たり。花山の松林は宝樹に変じて刹説す(良岑の花山の別荘の松林は珍宝の樹となり説法する)。梵曲は魚山の如く、錦花は竜淵(仏のいます竜淵)の如し。金剛の句句に結(煩悩)を断じ、解を証す。玉振の字字に障を除き、滅を得ん。
伏して願わくはその恵日を掲げて頓に昏夜を朗かにせん。心を飛閣に遊ばしめて神を翔桜に賞せん。当に法界を有って覚尊王と称せん(宇宙の覚王となることを)。寰中(かんちゅう畿内国内)の一分は必ず貫三(王)に帰す。仰ぎ願わくは、皇帝陛下、金輪、四天に転じ、智剣三障を斫らん。魔軍、面縛して海内波なからん。人は知足に等しく、寿は有頂に同じからん。太上天皇(嵯峨天皇)、藐山の逸楽(仙洞御所の楽しみ)契り桃椿よりも久しく、汾河の盤興の期(仙洞御所の楽しみの期間)芥石よりも永からん。関鳩甡甡として(かんきょうしんしん、夫人多く)鳳閣瓞瓞(ぼうかくてつてつ、子孫が多く内裏が栄える)たらん。瓊夏玉葉(皇族)文傑武雄、労を日月の明に尽くし、誉を山河の盟に流さん。十一の生類(金剛般若経、卵生・胎生・湿生・化生・有色・無色・有想・無想・非有想・非無想・それら全部)無余に入って度せず(無余涅槃に入ってそれ以上度する者はいない)。九種の譬剣有為を破して住するところなからん(能断金剛般若経に、一切有為法は、星・翳・灯・幻・露・泡・夢・電・雲のごとし、と)。愛溺をこの涯に忘れて、恵撥(智慧の筏)を彼岸に捨てん。」
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