今日一月十九日は大師が、渤海国大使王孝廉から書状並びに新詩一章を送られ返書を呈された日です。(高野雑筆集、弘法大師全集).
弘仁六年(815,大師42歳)一月十九日の時です。王孝廉は弘仁五年渤海大使として副使高景秀らとともに渤海の前王元瑜(定王)の死と新王言義(僖王)の即位を奏上する名目で来日,方物(貢献物)を献じ、弘仁六年従三位を授けられています。学才豊かで《文華秀麗集》に漢詩(「海国来朝、遠き方よりし、百年一酔天裳に謁ゆ。日宮座外、何の見る攸ぞ。五色の雲飛び万歳に光る。」)を残しています。大師とも親交があったとされます。
弘仁六年帰国途中越前に漂着、病死しています。
大師の書状です。
「渤海国大使王孝廉宛
信満(大師の弟子)至る。辱かなくも一封の書状及び一章の新詩を枉まげらる。これを誦し口手倦まず。面はしなわち胡越なれども心は傾蓋なり(身は離れていても心は通じている)。一度は喜び、一度は懼る。喩とすることを知らず。
孟春(早春)余りに寒し。伏して惟んめれば大使動止万福なりや。伏して承る、国家の寵遇恒品に百倍すと。慶賀殊に深し。このごろ消息を取らんと欲するに信満遅く来るに依って交参すること能わず。悚悵(しょうちょう、失意)何ぞ言わん。未だ審し。早晩発帰すべきや。また先に諮申するところの王好(渤海国大使王孝廉 )等の官品具に録示せらるる。幸甚幸甚。謹んで信満を遣し上り、状を奉る。不宣。謹んで状す。
正月十九日 西岳(高雄山)沙門空海状して上る。
渤海の王大使 閣下」
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