今年3月以降、コロナ禍以来、初めての映画鑑賞となりました。
コロナ禍での映画館もご多分にもれず、検温、手のアルコール消毒、マスクの装着を入場時にしなくてはならず、館内では換気のため、上演中も時々扉を開けるとのアナウンスがありました。
しかし、今は席の間隔を空けることなく、かなりの観客が入っていました。
さて、この話は実際にあった昭和史に残る未解決事件を題材にした内容で、1984年(昭和59年)日本中を巻き込み震撼させた事件でした。
事件があったことは、僕自身、キツネ目の男が犯人だとかはニュースで、知っていたのですが、内容たるやまったくわかりませんでした。
食品会社を標的にした一連の企業脅迫事件で誘惑や毒物混入などの凶悪事件程度しか認識がありませんでした。
しかし、この映画は、あくまでフィクションであり、過去の事件を彷彿するものですが、物語が進むにつれて、実際に起こった錯覚さえ覚え、見るものを引き付け目の離せない展開で、142分が非常に短く感じました。
大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、2000年(平成12年)時効となっているこの未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、取材を重ねる日々を過ごしていました。
一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)は家族3人と幸せに暮らしていました。
声の主の少年も今は幸せな家族三人で過ごしていたのですが・・・
ある日、曽根の父の遺品の中に古いカセットテープを見つけ、それがあの未解決事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫のテープと全く同じ声で、それが自分の幼少時代の声だったとわかり、これがどのようにして録音されたのか、本人の意思とは関係なく犯罪に加担されたということを知ります。
その事件に巻き込まれたであろうあと二人の子供たちは、その後どのような人生を歩んだのか、子供達には何の罪もありません。
その疑問と向き合うことになり、ひょんなことからその事件を追っている曽根と会い、事件解明に奔走します。
つまり、事件を追う阿久津と、追いかけられる曽根の出会い、二人の意思、意図が通じる友情的なつながりが、事件を解決してゆきます。
阿久津と星野は、事件を同じ思いで追いかけていました。
現実、世の中には様々な事件が起こっています。
しかし、その事件の門外漢なる人たちにとっては、当事者やそれにかかわった人たちの苦しみやそれにまつわる様々な出来事は、わからず、また知るすべもありません。
阿久津は、「過去を掘り起こすことの意義」にたどり着きますが、それは、当事者以外にも、まわりには知らず知らずに事件に巻き込まれ苦しむ人がいることを知らなくてはならないことなのです。
事件後、首謀者の一人、曽根の伯父達雄は、イギリスに潜んでいましたが・・・
この映画には、イギリスでの出来事(株の操作や海外の類似事件)や、そのイギリスでの曽根の伯父 曽根達雄(宇崎竜童)と阿久津の会話にも、そして、最後に曽根の母 曽根真由美(梶芽衣子)の告白も興味深いもので、この映画が、単なる過去の事件を掘り起こすだけではないことを物語っています。