徒然なるまま”僕の趣味と遊ぶ”

タイガース、水彩画、鉄道などの、僕の気ままな”独り言”

鉄道にも”ゆとり”が必要です。

2008年12月15日 11時42分47秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

昨日14日、新幹線0系の”本当”のラストランがありました。
本当の、というのは、ダイヤ上では11月30日でラストランが行われたのですが、多くの希望があり、今月3日間だけ、予約を受け付けていたのです。
最終列車は”ひかり347号”で語呂あわせで”3(さ)4(よ)7(なら)としたようです。

いつも寝台特急などが引退するときには、大勢の鉄道フアンが詰めかけ名残を惜しんでいますが、このような光景は、世界でも同じようなことがあるのでしょうか?
日本だけではないと思うのですが、これだけ、鉄道に対する思い入れが強いことの現れではないでしょうか?

      

さて、現在の鉄道の定時運転が将来も継続して維持出来るのでしょうか?
日本の近代化への道は、明治の時代から、昭和の高度成長期が終わったおよそ100年間、日本の社会が追い求めてきたものは、これといった資源のない中で、豊富で安価で勤勉な労働力と旺盛な消費意欲を背景に、効率的な大量生産・大量消費の仕組みを作ってきました。

ところが、ここ2,30年は多様化する価値観やライフスタイルで自分らしさを模索してきた結果、人々が同じような幸福になることではなく、人それぞれの幸福を認めることで、異なる価値観の尊重であり自分の時間を大切にすることとなってきたのです。

つまり、生活の安定を前提にして、ゆとりをもって生きようと考えているのです。
日本の定時運転は、鉄道マンや乗客の犠牲の上に成り立っている側面は否定出来ません。
世間一般にゆとりが行き渡ってきた中で、鉄道だけが、システムを始めとして限界に挑戦し続けることでは、鉄道離れが生じてくるのではないかと危惧されるのですが・・・・。

鉄道は人々の期待を一身に背負う交通機関でも、唯一の交通手段でもなくなっているのです。
”ゆとり”のない鉄道には、鉄道マンも集まらなくなり、乗客も去っていくのではないでしょうか?
今、鉄道が交通機関として優位に立っているのは、いまのところ「安全」で「正確」であることなのですが、これを今までと違ったやり方でやらなければならないのです。

 


鉄道、限界への挑戦

2008年12月12日 11時07分59秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

久しぶりに鉄道ネタです。
来年3月20日に阪神なんば線が開通されます。
近鉄では、将来、姫路から名古屋や伊勢志摩間の直通特急運行を検討するそうです。 運賃とJRの対応が気になります。

          

日本人の「公共のマナー」が定刻発車に協力してきたと言われています。
整列乗車や車内でもたくさんの人が座れるように席を詰め合うなどをしたり、ダイヤが乱れた時は、駅員や車掌の言葉に従うなど、自分ひとりのために世の中に迷惑をかけないという気持ちなど至極当然と思われることが、日本の鉄道をここまで正確なものにしたとも言えるのです。
と言いたいのですが、最近は、あまりこの意識が薄れてきていることは、少々嘆かわしいことですが・・・・。

日本の鉄道マン達がヨーロッパやアメリカの大都市の鉄道を見て、驚きと羨ましさをもって嘆いているのです。
というのも、駅の設備の豊かさが違うからなのです。

つまり、例えば東京駅の東北・上越新幹線の発着線の本数はたった2本の発着線で1日に217本、多い時は240本の列車を発着させているのに対して、ヨーロッパやアメリカの鉄道でゃ、5分や10分、いや30分遅れても、発着駅ホームに余裕があるという需要環境の違いと駅設備の膨大さがあるからなのです。

  水彩画”屋根” F20号

ニューヨークのグランドセントラル駅の発着ホームは、なんと96本もあり、ホームはいつも余裕があるそうです。
1本の線路に走らせる列車の数が少ないので、システムに余裕があり、少々の遅れは放置しても、システムが麻痺することがないのです。
トラブルによって臨時列車も出しやすいということになるのですが、日本の場合1本の臨時列車を出すために35本の他の列車の運行計画を変えなくてはならないそうです。

つまり、日本の鉄道、とりわけ大都市周辺の鉄道は世界の常識からすれば、とうに限界を超えるレベルまでたくさんの列車を1本の線路で走らせているのです。
これは、国土の広さの違いだけなのでしょうか?

この限界への挑戦が、今の日本の鉄道が正確でなければならないということになったのです。


新幹線は、急に止まれない

2007年10月13日 10時13分19秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

自動車では時速100Kmで走っている時に急ブレーキをかけると100mほど必要とされていますので、新幹線の場合、時速300Kmの場合、300mほどが必要なのでしょうか?

コトはそう単純ではありません。

 

500系のぞみは300Kmで走っていますが、実際にはATSによる制限速度が305Kmなので、そのギリギリの304Kmまで出します。

 

ゴムタイヤの自動車と違って、鉄道は鉄車輪、鉄レールだから摩擦は、非常に少なく、高速になればなるほどブレーキを強くすると車輪が空転(スキッド)してしまい、ましてや雨の場合は、より滑りやすくなります。

 

そのため、高速から低速まで徐々にブレーキを強くするアンチスキッドブレーキ装置等が開発され、300Km走行でのブレーキ試験結果から、以前より強いブレーキをかけられるようになりました。

500系のぞみは、時速300Kmから非常ブレーキをかけて停まるまでの距離は約4000mだそうです。

 

    500系新幹線

 

ゲーム機の”電車でGO”でも、停車位置が難しいのは、ブレーキの掛け方にあるようです


常時、僕がオーバーランをしていまうのは、このブレーキをかけるタイミングが巧く出来ないためと思いますが・・・・。
この状態では、僕は日勤教育を受けてばかりになりそうです。

 

 

新幹線の場合は、時速300Kmから駅に停車するまではATCによって段階的に速度を落としてゆき、ATC区間を3又は2.5Kmごとに区切って、所定の速度制限を加えてゆきます。

つまり、時速300Kmから275Km、230Km、170Km、120Kmと区間ごとに減速して、その後は、70Km検知点と30Km検知点まで減速します。


時速30Kmからは、運転手の操作でホームに停止します。

 

だから通常時速300Kmから駅に停まる場合、ATC区間を4区間ごと速度を落とすために約10Kmの距離が必要となります。


お国柄で異なる列車ダイヤ

2007年09月30日 09時48分06秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

日本では、列車が数分でも遅れれば、鉄道会社からその旨を謝るアナウンスが駅構内に流れます。
乗客も、もし10分でも遅れようなものなら、怒り出します。

その様子を見ていた某国の人は、笑いながら「僕の国では、列車が10分遅れで着いたなら拍手ものだよ」と・・・・

あのJR福知山線の脱線事故は、海外でもトップ記事扱いで報じられましたが、その際に海外の多くの人が驚いたのが、事故原因となった「1分半遅れ」でした。
彼らの眼には、この痛ましい事故は非常に「日本的な事故」と映ったようです。
つまり、多くの国では、この原因で事故など起こり得ないということです。

  ”夏のなごり” F6号

ドイツと言うと時間が正確なイメージがありますが、1時間や2時間遅れなどは日常茶飯的に起こっているそうです。

インドには、こんな逸話もあります。
インドでも鉄道はしょっちゅう遅れ、人々は慣れたもので、それに一々目くじらを立てることはありません。
ある日、列車が時間通りに到着し、発車してしまいました。
乗り遅れた人は、「いつも遅れるくせに、どうしてくれるのだ」と駅員に抗議しました。

すると、駅員はすました顔で「ご安心下さい、今の列車は、昨日の列車です。今日の列車が来るのはまだまだ先ですから」


音の鳴らない目覚まし時計?

2006年10月18日 09時22分22秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

鉄道には正確な運行が求められますので、発車の遅れは許されません。
では、不規則な生活になりがちな運転士や車掌はどうやって起きているのでしょうか?

昔は、乗務員の宿泊所に「お越し番」と呼ばれる係がいて、それぞれの乗務員を起床時間に起こすのが一般的でした。
その「お越し番」が居ない時は目覚まし時計をセットしていました。

   
    今日の絵は”美山町のわらぶき” F8号

しかし、今日ではもっと進んだ方法をしています。
JRでは「自動起床装置」なるユニークな目覚ましを使用しています。

この装置は、敷布団の下の背中辺りに空気袋を入れ、起床時間をセットしておくと、設定時間に送風機から空気袋に空気が送り込まれる。
送風機は7秒間隔で送風と停止を繰り返し、それにともなって空気袋が膨らんだり縮んだりします。

すると、身体が持ち上がられたり、降ろされたりし、始めは小さいが、繰り返すうちに段々大きくなっていき、最も大きく膨らんだ状態で、空気袋は、約20cmまで達し身体は弓なりに状態となります。

この装置だと、普通の目覚まし時計と違って音が鳴らないので、まだ眠っている人を起こしてしまう心配がありません。

実際、自動起床装置を導入してから、寝過ごした人は誰もいないそうです。

 


車両のない鉄道会社とは・・・・

2006年09月20日 17時24分23秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

普通は、鉄道会社と言えば、レールや駅があって、車両を保有し、乗務員がいるものと思っています。
しかし、線路はあるが、車両がない鉄道会社と言えば神戸高速鉄道があります。

関西に住んでいる人はご存知でしょうが、かっては、神戸のターミナル駅は分断され、接続アクセスがしにくい状態にありました。
JRの三ノ宮駅、阪急の三宮、阪神の元町、山陽電鉄の西代、神戸電鉄の湊川と各鉄道会社の主要終点駅がバラバラでした。

 

そのため神戸市は、1958年(昭和33年)に、上記の内阪急、阪神、神戸、山陽の各鉄道のターミナル駅を接続させる目的で第三セクター神戸高速鉄道を設し、レールを敷設した。
この会社は、各私鉄の接続がメインで駅舎は建てましたが、専用車両を持たず、乗務員もいません。

この会社に走っているのは各私鉄の車両だけで、各電鉄会社は、神戸高速鉄道の線路を借りています。

阪急と阪神の統合
で、梅田でもこのようなアクセス線路が出来るのでしょうか?
又、京阪も中ノ島新線が出来中ノ島の玉江橋まで延伸(2009年開通予定)されます。これらの各私鉄が、梅田を基点とするアクセスの良い線路を敷くことが出来るのでしょうか?

このように線路を借りているのは、成田空港高速鉄道線JR東日本と京成電鉄関西国際空港連絡鉄道JR西日本、南海電鉄があります。

 

また、自前の線路は極端に少なく、大方を他線の線路を借りている鉄道会社があります。
9000Kmにも及ぶ日本最大の営業距離を持つ、JR貨物がその鉄道会社です。
JR貨物は、53.8Kmの線路しか持っておらず、営業距離のほとんどはJR6社のレールを借りて、貨物列車を走らせています。

           


狭い日本、急いでどこへ行く!!!

2006年08月07日 17時27分24秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

電車が2~3分遅れるだけで腹を立てる日本人。
なぜ私たち日本人は、”定刻発車”にこだわるのでしょうか?

江戸時代の参勤交代時の鐘「正確なダイヤ」と深く関わり、優れた作業マニュアル、鉄道マンによる驚異の運転技術やメンテナンス、さらに危機回避の運行システムなどが定時運転を支えてきたことが、原因ということを以前、述べました。

では、何時頃から、このように”定刻発車”にこだわるようになってきたのでしょうか
日本の鉄道が本格的に正確な運転に向かわせた事情は、大正期になってのことのようです。

  今日の絵は”蒸気機関車”F8号

元から分単位を要求していた訳ではありませんが、日本人は江戸時代から時間感覚には敏感であったようです。
しかし、一般の人が腕時計を身に付け出しのは、昭和39年に腕時計の普及率が97%となった時ですが、それ以前は、せいぜい15分とか20分単位で充分であったはずです。

だから、日本の鉄道が大正期に、1分を争う正確な鉄道を求めたのは、乗客が求めたのではなく、鉄道側の事情によるとされています。

つまり、大正期になって本格化する急激な都市化や産業の発展によるところから、輸送需要の急激な増加が必要となってきたからだそうです。

大正期以降、日本の鉄道人は、この急激な需要の伸びを受けて、いつも乗客を「捌く(さばく)」鉄道を作らなくなります。
その必要性が、鉄道事業者をして、正確な鉄道を作らせたのです。
それが、また定時運転が当たり前と思う鉄道員を育て、正確な鉄道は、さらなる都市の発展や産業の発展をもたらし、そのことでまた正確な鉄道を求めてきたのです。

そして、遂に乗客も腕時計の普及とともに、それが当たり前のようになっていくのです。

              


鉄道は正確が当たり前!!ーその19-

2006年01月08日 09時12分22秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

七日正月も終わり、松の内が済み、お正月気分も抜けてきた時分ですが、豪雪や火事と悲惨な出来事が多く発生しています。 昨年の秋には、気象庁は暖冬と予想していましたが、急遽変更しました。 自然は、人間の予想を越えて中々都合の良いようには行かないようです。

 

生物が環境への適応を果たす中で独自の生き残りを見出すように、日本の鉄道も地理的条件や社会環境への適応戦略として世界に稀に見るほど正確に運行する鉄道をつくりあげてきました。

そしてその環境と仕組みは、実際に列車を動かす運転手ばかりではなく、計画担当者から個々の現場に至るまでの非常に大勢の鉄道員たち、それに乗客をも巻き込んで繰り広げられる撹乱要因との闘いの結果としてつくりあげられてきたものであった。

 

日本の鉄道は「遅れない鉄道」をつくるだけでなく、「遅れてもすぐに回復する鉄道」をつくってきました。

そこには蒸気機関車から電車への大きな転換もあったし、新幹線の出現もあり、組織の組み換えも何度かありました。
そして新たな仕組みづくりの中で鉄道の輸送力が増強されると、それによって又新たな都市化が進み、さらにそれがまた新たな輸送力の増強をし、車両も改良に改良を重ねてきたのが日本の鉄道の歴史です。


日本の鉄道は正確が当たり前!!-その18-

2005年12月26日 08時53分45秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

日本の鉄道は、日本の地理的条件や社会環境への適応戦略として、世界に稀に見る程に正確に運行する鉄道を作り上げました。

その仕組みは、実際に列車を動かす運転手ばかりではなく、計画担当者から個々の現場に至るまで非常に多くの鉄道員たち、それに乗客をも巻き込んで繰り広げられる撹乱要因との闘いの結果として作り上げられてきました。

    
 明治頃の新宿駅付近

日本の鉄道は「遅れない鉄道」を作るだけではなく「遅れてもすぐに回復する鉄道」を作ってきました。

わずか100年前の明治30年頃には、キツネの親子が線路を横切っていた新宿駅のその場所に、今日は毎日160万人の乗客が行き来する。

 加減速性能のよい車両の投入、短い列車間隔をも可能にする安全装置の強化、長編成列車の運行駅の構造の変化、線路の増強や電力設備の増強新しい情報通信システムの構築自動改札の導入・・・・・etc。

    自動改札

日本の都市では、外国人が呆れるほどに、いつもどこかでビルの建築工事が行われていますが、その鉄道もいつもどこかで何かしらの工事を行ってきました。

鉄道の環境は変わり、その仕組みも変わり、定時運転をつくる技術も時代ごとに変化してきました。


鉄道は正確が当たり前!!!-その17-

2005年12月03日 09時32分15秒 | 鉄道は正確が当たり前!!

トラブルがあった時、列車をなるべく駅間に止まらぬようにするダイヤの組み方をするとは如何してなのでしょうか?
もし、駅間に長時間止まっていると、乗客がパニックに陥り、それが新たなトラブルを生み出すことになり、そのことが列車を益々遅れを増幅します。

列車を駅に止まれば、乗客を降ろすことが出来、車両は自由度が増し、折り返し運転も出来ます。


小田原駅の待避線

駅には、待避線もあれば、別の線路に移動することが出来る分岐器もあり、駅はシステムの安全装置となり、トラブルの発生したら駅に止まるようなダイヤの組み方をしていれば、運転整理の自由度が増し、ダイヤ回復力が出るのです。

 分岐器

        ダイヤモンド分岐器

幸いにも、日本の鉄道は、人が歩いて旅をした名残で、在来線に限って言えば、駅間が比較的短く、駅員も現場に駆け付きやすく、駅への停車がしやすく、ダイヤ回復にとって有利となります。

実は、日本の鉄道では、年に一度のダイヤ改正の他に、毎日毎日違うダイヤが作られているのです。 基本ダイヤとは別に「実施ダイヤ」というものがあって実施ダイヤは毎日違うのです。

例えば、今日に線路の補修工事があるとすれば徐行運転をしなくてはならず、行き違いや、待避駅は、このように変更するといったダイヤ修正を毎日、どこらかで行っています。

このように基本ダイヤを毎日のように変更できるのは、このダイヤにそもそも可変性があるから出来ることなのです。