城戸賞を受賞し、ベストセラーになった土橋章宏氏の同名作を映画化されたコミカルな時代劇です。
城戸賞とは、映画製作者として永年に亘り、我が国映画界に寄与され、また多くの映画芸術家や技術者の育成に務まられた故城戸章宏氏の新しい人材発掘し、その創作活動を奨励することを目的として昭和49年12月1日の「映画の日」に制定されたものです。
時は、元文元年春、磐城国の湯長谷藩は、徳川8代将軍吉宗(市川猿之助)の治める徳川幕府から、通常8日かかる道のりにも関わらず突然5日以内に参勤交代をするように命じられる。
湯長谷藩内に金が獲れたという隠密の報告を鵜呑みにした老中 松平信祝(陣内孝則)の策略によるもので、この無理難題憤りながらも、藩主 内藤政酵(佐々木蔵之介)は、家老相馬兼継(西村雅彦)に対策を命じます。
わずか1万5千石の小藩にとって、貯金も人手もなく、あまりにも短い日程を強いられる参勤交代の行列を組むことすら出来ません。
山中を少人数で近道して駆け抜け、街道では中間を雇い、大人数に見せるという作戦を立て、実行してゆきます。
山中では、雲隠段蔵(伊原剛志)を道案内に雇いますが、この行列を阻止するために、老中も伊賀忍者を使い色々と邪魔をしてゆきます。
湯長谷藩士に、個性的な者が多く絡み、コミカルに話が進みます。
話の内容としては、たわいもありませんが、次々と事件が起こります。
その中に、飯盛り女 お咲(深田 恭子)との絡みや忍者との壮絶な争いが、滑稽さと痛快さを噛みあわせ、そこに藩士の、荒木源八郎(寺脇康文)、秋山平吾(上地雄輔)、増田弘忠(柄本時生)、鈴木吉之丞(知念侑季)、今村清右衛門(六角精児)、の個性派の俳優が、より物語を盛り上げています。
ともかく、話の筋は、先さきが読めますが、理屈抜きで、笑えて、肩の凝らない映画でした。