ソール通りに入った。もうテルトル広場の手前まで戻ってきた。サクレクール聖堂も、街並みから頭一つ抜けて大きくそびえ立つ。
名画のポスターを売る店が、店頭にずらりと絵を並べ始めた。
その奥、「ル・コンシュラ」はロートレックやモネらがよく集まって芸術論議を展開したカフェだった。今はムール貝のおいしい店になっていた。
隣りの面白い看板の店「オーベルジュ・ド・ラ・ボンヌ・フランケット」は、中庭をゴッホが描いたことで後世に名前が残る店になった。
テルトル広場周辺は次第ににぎわい始めた。
しゃれた格好の観光客も。カフェの店先で語らうカップルは、モンマルトルの風景にピッタリ溶け込んでいた。
周辺は坂道だらけだけど、続々と観光客が階段を上ってくる。
上から見ると、高低差はかなりのもの。
またぶらぶらと歩きながらサンピエール・ド・モンマルトル教会に入った。
この教会はルイ7世が入手した土地に1147年、教会が設立された。現存するパリ最古の教会といわれる。聖イグナチオがイエズス会の設立を宣言した教会としても知られている。
「モンマルトルの聖母」と呼ばれる像。両手で胸を覆い軽くうつむく姿は、清楚で慈悲深いマリア像の典型として、慕われているそうだ。
ステンドグラスだけは新しそう。
写真を撮り忘れたけれども、ここには聖ドニの像もあった。3世紀、首を斬られてもその首を持って10数キロ離れたサンドニまで歩いたといわれる伝説の殉教者だ。その彼が斬られた現場はまさにここ、モンマルトルだった。