彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-
【季語と短歌:11月16日】
初しぐれ猿も小蓑(こみの)をほしげ也
松尾芭蕉
⬛ 中国「新エネルギー車」1000万台突破
中国でEV=電気自動車など「新エネルギー車」の年間生産台数が初めて
1000万台を突破(NHK 2024.11.14)
一方、中国製EVに対して欧米では、過剰生産によって不当に安く輸出され
ているなどとして、関税を引き上げる動きが出ている。この中で、中国政
府の幹部は「新エネルギー車の年間生産量が1000万台を突破した世界で最
初の国となった」と述べ、技術の進歩と市場規模の拡大を強調(国営の中
国中央テレビ)。
※安全で持続可能・高品質で廉価であれば大歓迎だ。日本は、「関連リサ
イクル法」を完備し、これらの輸入を促進すべき(原則)である。
◾近赤外光吸収と光熱変換に優れた化合物合成
がん治療法の一つである光温熱治療法では,光を吸収して熱に変換できる
物質を腫瘍内に集積させたのち,外部から光を照射することで局所的に熱
を発生させ,その熱によってがん細胞を死滅させることができる。この技
術により,低侵襲で副作用の少ないがん治療の実現が期待されている。
⬛ 失速「EV」相次ぐ火災事故で広がる不信の連鎖
リチウム二次電池の安全工学的考察 ⓼
3.特開2024-150335 リチウムイオン二次電池、及びリチウムイオン二次電
池の製造方法 株式会社カネカ
【要約】下図2のごとく、正極及び負極10、11は、被覆活物質粒子130
を含む、活物質層が形成された集電体20、120を、活物質層付き集電体
として含み、前記被覆活物質粒子は、Liイオンを含む被膜35で、活物質
粒子30が、被覆されてなり、前記正極の前記被膜である正極被膜の前記Li
イオンの平均濃度である正極被膜Liイオン平均濃度が、前記負極の前記被
膜である負極被膜の前記Liイオンの平均濃度である負極被膜Liイオン平
均濃度と、異なる、リチウムイオン二次電池とすることで、電解媒体分解に
よるガスの発生の抑制ができ、かつ、特性に優れたリチウムイオン二次電池
及びその製造方法を提供する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【0051】 シェル膜41は、これらの中でも、マンガン(Mn)元素を含む
リン酸イオン含有リチウム化合物膜であり、前記「強固結晶少酸素放出ポリ
アニオン」との特徴具備のLMPであることがより好ましい。
【0052】 そして、シェル膜41は、「LMP高抵抗」「移動電荷トラ
ップ」及び「電荷移動ポテンシャル障壁上昇」「界面ミスマッチ」の悪影響
を抑制しつつ「強固結晶少酸素放出ポリアニオン」の効果及び「挿入破壊防
止」層としての効果を十分に発揮せしめる観点から、好ましくは、その両面
で当該金属の成分及び/又は組成が異なり、活物質粒子30の中心から外側
に向かい、LFP/LMP2層構造のシェル膜41とすることが好ましく、
より好ましくは、構成遷移金属を、FeからMnに緩やかに変化させたシェ
ル膜41とすることであり、さらに好ましくは、後述する緩衝部42を含め
「Li系ポリアニオン」の金属成分の組成及び/又は比率を変化させること
である。
【0053】シェル膜41の厚みは、リチウムイオン伝導性酸化物の粒径よ
りも薄く、5nm以上20nm以下であることが好ましく、5nm以上15
nm以下であることがより好ましい。
【0054】この範囲であれば、シェル膜41での抵抗損失を抑制しつつ、
ガスの発生量を抑制できる。
【0055】シェル膜41は、正極活物質粒子40の表面の少なくとも一部
を覆っており、95%以上を覆っていることがより好ましく、完全に覆って
いることが好ましい。
【0056】シェル膜41は、後述する緩衝部42のSEI構造に消費され
た正極活物質粒子40のLiイオンを補充する「消費Li補充」観点から、
非晶質であることが好ましい。
(緩衝部42)緩衝部42は、リチウム元素を含み、さらに珪素元素を含む
珪素含有化合物膜である。
【0057】緩衝部42は、コアシェル粒子36と界面用電解液との間での
電気化学反応で生じる固体電解質界面(以下、SEIともいう)構造を有す
るものであり、好ましくは、珪素元素を含んだシロキサン改質被覆層である。
【0058】緩衝部42は、リチウムイオンのみを通過させ電子を通過させ
ない選択的透過膜であり、電解媒体6中でLiイオンとともに移動する分子
量の大きい有機溶媒分子等がコアシェル粒子36に、特に活物質粒子30の
Liイオン挿入脱離可能部位に、挿入され、その構造が破壊されることを防
止する「挿入破壊防止」層である。
【0059】緩衝部42は、コアシェル粒子36との界面近傍の表面、特に
浸透性細孔ネットワーク81との接触部においてSEI構造と一体不可分な
改質領域を含んでいることが好ましい。
【0060】緩衝部42は、リチウム元素と珪素元素に加えて、金属酸化物
及び/又は金属リン酸化物を含んでいてもよい。
【0061】そして、シェル膜41/緩衝部42の多層膜は、好ましくは、
その両面で当該金属の成分及び/又は組成が異なると共に、そのリン酸イオ
ンの濃度が異なることが、Li系ポリアニオン被覆による高抵抗化の悪影響
を抑制しつつ「強固結晶少酸素放出ポリアニオン」及び「消費Li補充」の
効果を十分に発揮せしめる観点から好ましく、活物質粒子30の中心から外
側に向かい、リン酸イオンの濃度を低下させ、酸化物の濃度を上昇させるこ
とが好ましく、シェル膜41がLMPを含む場合は、「移動電荷トラップ」
「電荷移動ポテンシャル障壁上昇」を抑制するために、より好ましく、「界
面ミスマッチ」を抑制するためには、徐々にこれら組成及び/又は濃度を変
化させることが好ましい。
【0062】緩衝部42は、コアシェル粒子36の表面の少なくとも一部を
覆っており、95%以上を覆っていることがより好ましく、完全に覆ってい
ることが好ましい。
(バインダー70)
バインダー70は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール
(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(P
AN)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイミド、及びそれらの誘導
体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0063】 バインダー70は、分散剤、増粘剤、バインダー材料に溶解す
る導電補助剤が含まれていてもよい。
【0064】バインダー70の量は、コアシェル粒子36を100重量部に
対して、1重量部以上30重量部以下であることが好ましく、活物質粒子3
0や前記コアシェル粒子130を一体の層として支持可能な強度を活物質層
2に付与でき、また、安定的に低抵抗導電ネットワーク80を構成でき、さ
らに、集電体20、120との接着強度を十分なものとすることができる。
【0065】この範囲であれば、コアシェル粒子36が十分な接着強度で接
着された正極活物質層21を形成でき、また、安定的に低抵抗な導電ネット
ワーク80を構成できる。さらに、集電体20に対しても十分な接着強度を
得ることができる。
(導電ネットワーク80)
導電ネットワーク80は、導電性材料で構成されるものであり、導電性炭
素材料で構成されていることが好ましく、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭
素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、
及びファーネスブラックから選ばれる少なくとも1種であることがより好ま
しい。
【0066】導電ネットワーク80の量は、コアシェル粒子36を100重
量部に対して、1重量部以上30重量部以下であることが好ましい。
【0067】この範囲であれば、正極部10の導電性を確保しつつ、バイン
ダー70との接着性が維持できる。また、集電体20との接着性を十分に得
つつ、当該集電体20との導電性を十分なものにできる。
【0068】導電ネットワーク80は、少なくとも一部がコアシェル粒子36
に接触しており、コアシェル粒子36との接触部分から外側に向かって延び
ている。
(海状部60)
海状部60は、図2(a)の拡大図のように、被覆活物質粒子30と、バ
インダー70と、導電ネットワーク80で構成されている。
【0069】海状部60は、隣接する被覆活物質粒子30,30同士の導電
経路よりも長く、鎖のような導電ネットワーク80が主骨格となっており、
この導電ネットワーク80に複数の被覆活物質粒子30が接触している状態
を、バインダー70が支持している。
【0070】活物質層2における電位均一化は、被覆活物質粒子130同士
の導電経路よりも、主に導電助剤により構成される長い鎖の如き導電ネット
ワーク80が担っているものと推察される。
【0071】 このような導電ネットワーク80に複数の被覆活物質粒子30
が接触している状態をバインダー70が支持する構造が形成される理由は、
後述する製法で作製すると、ペースト塗布工程で形成されるスラリーにおい
て、導電性材料、バインダー、及び溶媒を含めた疎水性媒体に親水性表面の
被覆活物質粒子30が並んでいる状態から、溶媒を乾燥除去することにより、
バインダー70が支持した状態になると考えられる。
(島状部61)
島状部61は、図2(a)のように、浸透性細孔ネットワーク81で構成
されている。
【0072】浸透性細孔ネットワーク81は、複数の細孔を有しており、こ
れらの細孔が互いに連通することで、電解媒体6が浸透可能となっている。
【0073】浸透性細孔ネットワーク81は、細孔の一部がコアシェル粒子
36に至って接触していることが好ましい。
【0074】浸透性細孔ネットワーク81は、少なくとも当該接触部分に、
SEI構造を有する非液体状のリチウムイオン伝導体が配されている。
【0075】当該リチウムイオン伝導体は、Mn、Fe、Al、Siから選
ばれる1種以上の金属元素を含むことが好ましい。
【0076】別の観点からみると、浸透性細孔ネットワーク81は、被覆活
物質粒子30と、バインダー70と、導電ネットワーク80のそれぞれの輪
郭によって構成された空洞であり、正極集電体20側(内側)から外側に向
かって三次元的に連続している。
【0077】 正極活物質粒子40又はシェル膜41の表面において、当該表
面の面積に対する細孔の面積の合計面積の比率は、0.1%以上30%以下
であることが好ましく、1%以上10%以下であることがより好ましい。
【0078】浸透性細孔ネットワーク81は、正極活物質粒子40又はシェ
ル膜41に接触しており、なくともLIB1の充放電時には、電解媒体6の
一部が浸透しており、そして、浸透性細孔ネットワーク81の当該接触部分
にはSEI構造含有非液体Liイオン伝導体が形成されていることが好まし
く、このようなSEI構造含有非液体Liイオン伝導体は、Mn、Si、Fe、
及びAlからなる群から選ばれる1種以上の金属元素を含むことが好ましく、
より好ましくは、Mn及びSiを含む。
【0079】
<導電材料>
本発明に係る導電ネットワーク80を構成する導電材料としては、導電性炭
素材料が好ましく、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノ
チューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びファーネスブラ
ックから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0080】活物質層2に含まれる当該導電材料の量は、(被覆)活物質粒子
30、130、被覆活物質前躯体粒子36の100重量部に対し1重量部以
上30重量部以下であることが好ましく、正極部10、負極部11の導電性
を確保しつつ、好ましくは、本発明に係る導電ネットワーク80の導電性を
十分に確保し、バインダー70との接着性が維持され、集電体20、120
との接着性を十分に得つつ、当該集電体20、120との導電性を十分なも
のとすることができる。
<電解媒体6>
電解媒体6は、電解液又は固体電解質であり、本実施形態では非水電解液
である。
【0081】電解媒体6は、特に限定されないが、非水溶媒に溶質を溶解さ
せた非水電解液、非水溶媒に溶質を溶解させた非水電解液を高分子に含浸さ
せたゲル電解質などを用いることができる。
【0082】電解媒体6は、特に限定されないが、非水電解液、ポリマー電
解質、又は固体電解質であり、非水溶媒に溶質を溶解させた非水電解液、非
水溶媒に溶質を溶解させた非水電解液を高分子に含浸させたポリマー電解質
であることが、本発明の効果を効果的に奏さしめる観点から好ましく、より
好ましくは非水電解液である。
【0083】
(電解媒体6)
電解媒体6は、あらかじめ正極部10及び負極部11と、そして、好ましく
は電解媒体6中に存在するセパレータ12と、に含ませてもよいし、正極部
10側と負極部11側との間にセパレータ12を配置したものを倦回、ある
いは積層した後に添加してもよい。
【0084】非水電解液は、非水溶媒に、Li塩を溶かした液体であり、必
要に応じて、後述する各種添加剤が添加され、それ以外にも、充放電サイク
ル特性の改善、高温貯蔵性、安全性の向上等の目的で、その他の添加剤を添
加できる。
【0085】ポリマー電解質用の高分子としては、PEG、PEO、PAn、
PVDF、フッ素系重合体、これに(メタ)アクリル重合体をグラフトした
高分子等があげられ、重量平均分子量としては、5000~20000とい
った値のものが用いられる。
【0086】固体電解質としては、高いイオン伝導性を有する限り利用する
ことができ、Liを含むセラミック電解質が好ましく、例えば、Li10Ge
P2S12、Li7P3S13、70Li2S-30P2S5、La0.1Li
0.34TiO2.94、Li1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3等が挙げ
られ、好ましい導電率は、1×10-4S/cm以上であり、より好ましくは、
1×10-3S/cm以上であり、好ましい厚みは、5μm以上200μm以下
で、5μm未満では固体電解質層の機械的強度が不足し短絡し易くなり、10
μm以上100μm以下がより好ましい。
【0087】
<非水溶媒>
非水溶媒としては、環状の非プロトン性溶媒及び/又は鎖状の非プロトン
性溶媒を含むことが好ましい。
【0088】環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状エ
ステル、環状スルホン及び環状エーテルなどが例示され、高品質SEI形成
の観点からは、不飽和結合を含んだり、ハロゲン原子を含んだりする環状カ
ーボネート系化合物を用いてもよい。
【0089】 鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カ
ルボン酸エステル、鎖状エーテル、及びアセトニトリルなどの一般的に非水
電解質の溶媒として用いられる溶媒を用いてもよく、高品質SEI形成の観
点からは、不飽和結合を含んだり、ハロゲン原子を含んだりする鎖状カーボ
ネート系化合物を用いてもよい。
【0090】より具体的には、非プロトン性溶媒としては、ジメチルカーボ
ネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカ
ーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ-ブ
チルラクトン、1,2-ジメトキシエタン、スルホラン、ジオキソラン、プ
ロピオン酸メチルなどを用いることができる。
【0091】これら溶媒は、1種類で用いてもよいし、2種類以上混合して
用いてもよいが、後述の溶質の溶解させやすさ、Liイオンの伝導性の高さ
から、2種類以上混合した溶媒を用いることが好ましい。
【0092】非プロトン性溶媒として2種類以上混合する場合、高温時の安
定性が高く、且つ低温時のLi伝導性が高いことから、ジメチルカーボネー
ト、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボ
ネート、及びメチルプロピルカーボネートに例示される鎖状カーボネートの
うち1種類以上と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチ
レンカーボネート、及びγ-ブチルラクトンに例示される環状化合物のうち1
種類以上との混合が好ましい。
【0093】ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、及びジエ
チルカーボネートに例示される鎖状カーボネートのうち1種類以上と、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートに例示
される環状カーボネートのうち1種類以上との混合が特に好ましい。
【0094】
<溶質>
溶質は、特に限定されないが、例えば、LiClO4、LiBF4、LiP
F6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiBOB(Lithium Bis (Oxalato)
Borate)、LiN(SO2CF3)2などは溶媒に溶解しやすいことから好ましい。
【0095】(非水電解液6の添加剤)
非水電解液6の添加剤としては、電極保護剤、ガス発生抑制剤、SEI形
成剤、SEI形成促進剤、SEI特性向上剤、安定剤、金属溶出抑制剤、難
燃剤等が挙げられる。
【0096】(珪素含有化合物)
前記珪素含有化合物としては、例えば、一つ以上の不飽和基を含むシロキサ
ン系化合物、シラザン系化合物、シリルアミド系化合物等があるが、好まし
い珪素含有化合物としては、2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,
8-テトラメチルシクロテトラシロキサン(4VC4S)等のビニル基を有
する環状シロキサンを挙げることができる。
【0097】一つ以上の不飽和基を含むシロキサン系化合物は、—Si—
O—Si—結合(シロキサン結合)、及び炭素—炭素二重結合を少なくとも
一つ以上含んでおり、シロキサン結合部位はLiイオンを伝導可能と、また、
この二重結合は架橋結合によりSEI構造の形成に寄与可能と、考えられる。
(セパレータ12)
セパレータ12は、図1のように、正極部10と負極部11との間に設置
され、絶縁性かつ電解媒体6を含むことができる構造となっている。
【0098】セパレータ12は、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスル
ホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、
ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、及びそれらを2種
類以上複合したものの織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。
【0099】セパレータ12には、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤が含ま
れてもよいし、金属酸化物等が被覆されていてもよい。
【0100】
(正極用取出部材13、負極用取出部材14)
取出部材13、14は、一又は複数の正極部10、一又は複数の負極部11
と接続され、外部負荷に対して接続可能な端子であり、外装体3の内外に亘
って設けられるものである。
【0101】
(Liイオン二次電池1の製造方法)
続いて、本実施形態のLiイオン二次電池1の製造方法について説明する。
【0102】 (全固体LLIBの製法)
全固体LIBの製法としては、固体電解質スラリーを、用意した正極部10
および負極部11の両面にドクターブレード法を用いて塗布し、溶媒を揮発
させて固体電解質層を形成した後、該固体電解質層を介して正極部10と負
極部11とを、好ましくは交互に、積層した電極積層体5を加熱乾燥(例え
ば、大気中、150℃)した後、プレス機により圧縮成形することで全固体
LIBの基本構成が完成する。
【0103】
(非水電解液LIB)
非水電解液LIBの製法である、本実施形態のLiイオン二次電池1の製
造方法は、主に、被覆活物質形成工程と、ペースト塗布集電体焼成工程と、
電極積層体形成工程と、電池組立体作成工程と、界面用電解液注入工程と、
電圧印加工程と、電解媒体注入工程と、エージング工程で構成されている。
<被覆活物質形成工程>
被覆活物質形成工程は、被覆活物質粒子30,130を形成する工程であ
る。
【0104】被覆活物質形成工程は、主に、活物質粒子準備工程と、シェル
膜形成工程と、ペースト塗布工程で構成されている。
(活物質粒子準備工程)
活物質粒子準備工程では、活物質粒子40,140を準備する工程である。
(シェル膜形成工程)
シェル膜形成工程は、活物質粒子40,140の表面にリン酸イオン含有
Li化合物膜であるシェル膜41を形成する工程である。
【0105】具体的には、シェル膜形成工程は、まずボールミル等の粉砕装
置によって、リン酸イオン含有Li化合物を粉砕し、リン酸イオン含有Li
化合物粒子を形成する(粉砕工程)。
【0106】 続いて、粉砕工程で粉砕し、微粒子化したリン酸イオン含有
Li化合物粒子を分散溶媒に分散させ、微粒子流動体を形成する(微粒子流
動体形成工程)。
【0107】このときに使用される分散溶媒は、一又は複数のアルコール溶
液であることが好ましく、揮発性や安全性の点からエタノールであることが
より好ましい。
【0108】このときに形成される微粒子流動体は、透明であってゾル状態
の透明ゾルであり、流動性を有している。
【0109】続いて、せん断力、圧縮力、衝突力、及び遠心力の少なくとも
1種のエネルギーを正極活物質粒子30及び/又はシェル膜41を構成する
リン酸イオン含有Li化合物粒子に付与しつつ、活物質粒子30と微粒子流
動体内のリン酸イオン含有Li化合物粒子を機械的に接触させるメカニカル
コーティング法によって、正極活物質粒子30の表面にシェル膜41を形成
する。
【0110】本実施形態では、摩砕式ミル等の摩砕装置によって、微粒子流
動体を活物質粒子30に摩砕させ、摩砕物を形成する(摩砕物形成工程)。
【0111】このときの摩砕装置に入れるリン酸イオン含有Li化合物粒子
は、0.5wt%以上であることが好ましい。
【0112】このときの摩砕装置に入れるリン酸イオン含有Li化合物粒子
は、2.5wt%以下であることが好ましく、1.6wt%以下であること
がより好ましく、1wt%以下であることが特に好ましい。
【0113】このときの摩砕装置での処理温度は、5℃以上100℃以下で
あることが好ましく、8以上80℃以下であることがより好ましく、10℃
以上50℃以下であることがさらに好ましい。
【0114】このときの摩砕装置での処理時間は、5分以上90分以下であ
ることが好ましく、10分以上60分以下であることがより好ましい。
【0115】このときの摩砕装置での雰囲気は、不活性ガス雰囲気下又は空
気雰囲気下であることが好ましい。
【0116】続いて、摩砕物に対して熱処理を行い、摩砕物から分散溶媒を
除去し、シェル膜41を形成する(除去工程)。
【0117】このときの熱処理温度は、300℃以上であることが好ましく、
350℃以上であることがより好ましい。
【0118】熱処理温度が300℃を下回ると、活物質粒子30とシェル膜
41の密着性が不十分であるため電池の充放電時にシェル膜41が剥離し、
電池の長期信頼性の低下に繋がるおそれがある。
【0119】一方、熱処理温度が高くなりすぎると、シェル膜41の結晶構
造が変化し、Liイオン伝導度が低下して電池の充放電が正常に行われなく
なる場合があるため、熱処理温度は850℃以下であることが好ましく、好
ましい場合がある一部形成されたシェル膜41の非晶質部分の結晶化を抑制
する観点から500℃以下であることがより好ましい。
【0120】熱処理時間は、30分以上であることが好ましく、45分以上
であることがより好ましい。熱処理時間は、180分以下であることが好ま
しく、150分以下であることがより好ましい。
【0121】以上が、活物質粒子30の表面にリン酸イオン含有Li化合物
膜であるシェル膜41を形成するシェル膜形成工程の説明である 正極活物質
粒子40の表面にリン酸イオン含有Li化合物膜であるシェル膜41を形成
するシェル膜形成工程と、負極活物質粒子140の表面にリン酸イオン含有L
i化合物膜であるシェル膜41を形成するシェル膜形成工程とは、被覆する
活物質粒子30が、正極活物質粒子40であるか、負極活物質粒子140で
あるかの違いであり、基本的に同様である。
(ペースト塗布工程)ペースト塗布工程は、シェル膜41が形成された活物
質粒子40,140を導電助剤とバインダーと必要に応じて珪素含有化合物
とともに混合し、溶媒に分散させてペースト状にしてスラリーを形成し、集
電体20,120にスラリーを塗布したペースト塗布集電体を形成する工程
である。
【0122】この工程に使用される溶媒は、活物質粒子40,140と導電
助剤とバインダーを溶解又は分散できるものであれば特に限定されないが、
例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、及
びテトラヒドロフランなどが使用できる。これらに分散剤、増粘剤を加えて
もよい。
<ペースト塗布集電体焼成工程>
ペースト塗布集電体焼成工程は、所定の焼成時間、所定の焼成温度でペー
スト塗布集電体を焼成し、正極活物質粒子40を含む仕掛正極部と負極活物
質粒子140を含む仕掛負極部をそれぞれ形成する工程である。
【0123】焼成温度は、ペースト塗布集電体が焼成してスラリーが固化す
る温度であれば特に限定されるものではないが、例えば、80℃以上200
℃以下であることが好ましい。
<電極積層体形成工程>
電極積層体形成工程は、仕掛正極部と仕掛負極部を、セパレータ12を挟ん
で仕掛電極積層体を形成する工程である。
<電池組立体作製工程>
電池組立体作製工程は、仕掛電極積層体を外装体3の内部に入れて仕掛電
池組立体を作製する工程である。
<界面用電解液注入工程>
界面用電解液注入工程は、例えば、真空包装機を用いて、内部を0.1気
圧以下まで減圧しつつ、内部に仕掛電極積層体を入れた外装体3の注入口以
外を封止した後、仕掛電池組立体の外装体3内に界面用電解液を注入する工
程である。
【0124】界面用電解液は、Liイオン伝導性を有し、活物質層2を構成
する珪素含有化合物を含むものとすることができ、その場合は、上記した電
解媒体6に加えて、本発明に係る珪素化含有合物を含む。
<電圧印加工程>
電圧印加工程は、仕掛電極積層体の正極用取出部材13と負極用取出部材1
4の間に電圧を印加する工程である。
【0125】電圧印加工程によって界面用電解液中の珪素含有化合物が仕掛
電極積層体のシェル膜41上に積層され、活物質層2が形成され、正極部1
0と負極部11を備えた電極積層体5が形成される。
【0126】この工程において正極用取出部材13と負極用取出部材14の
間に印加する電圧は、界面用電解液中の珪素含有化合物がシェル膜41の表
面に析出する電圧であり、リチウム溶解析出電位に対し4.5V以上5V以
下であることが好ましい。
<電解媒体注入工程>
電解媒体注入工程は、必要に応じて界面用電解液を外装体3内から排出し、
電解媒体6を電池組立体2の外装体3内に注入する工程である。
<エージング工程>
エージング工程は、電池組立体2の初期の劣化を確認する工程であり、初
期充電操作工程と、養生操作工程で構成されている。
【0127】初期充電操作工程は、電極積層体5の正極用取出部材13と負
極用取出部材14の間に電圧を印加して充電する工程である。
【0128】 養生操作工程は、外装体3を養生して電極積層体5と電解媒体
6を封止する工程である。
【0129】 本実施形態のLiイオン二次電池1によれば、活物質粒子40,
140を被覆する被膜41,141が、リン酸イオン含有Li化合物を含み、
好ましくは、シェル膜41がFe、Mn、Si、及びAlからなる群から選
ばれる1以上の金属を含み、より好ましくは、活物質粒子40,140をシ
ェル膜41が均一に被覆しており、さらに好ましくは、活物質層2を有する
ので、活物質粒子40,140が、非水電解液5と接する面積が小さくなり、
電解媒体6の分解によるガスの発生を抑制できる。
【0130】本実施形態のLiイオン二次電池1によれば、好ましくは、活
物質層2に導電ネットワーク80と浸透性細孔ネットワーク81を有するの
で、電解媒体6と活物質粒子40,140との電荷及びLiイオンの授受が
円滑となり、電極反応が起こりやすい。
【0131】本実施形態のLiイオン二次電池1によれば、好ましくは、浸
透性細孔ネットワーク81は、活物質粒子40,140又はシェル膜41と
の接触部分から細孔に向かってLiイオン伝導体が設けられているので、電
解媒体6と活物質粒子40,140との電荷及びLiイオンの授受がより円
滑となり、より電極反応が起こりやすい。
【0132】本実施形態のLiイオン二次電池1によれば、活物質層2は、
珪素元素を含む珪素含有化合物膜を有するので、より活物質層2の結着性が
良好となり、クラック等が生じにくい。
【0133】本実施形態のLiイオン二次電池1によれば、シェル膜41が
Li元素をもち、シェル膜41のLiが何等かの要因により消費されたLi
の補充に使用できるので、性能が低下しにくい。
【0134】本実施形態のLiイオン二次電池1によれば、正極活物質粒子
40のMnの電解媒体6への溶出を抑制できるので、性能が低下しにくい。
【0135】上記した実施形態では、界面用電解液注入工程において界面用
電解液を注入し、電圧印加工程において正極用取出部材13と負極用取出部
材14の間に電圧を印加することで活物質層2を形成していたが、本発明は
これに限定されるものではない。
【0136】例えば、ペースト塗布工程においてスラリーに珪素元素を含む
珪素含有化合物を添加してペースト塗布集電体焼成工程で活物質層2を形成
してもよい。
【0137】また、ペースト塗布集電体焼成工程の後に仕掛正極部と仕掛負
極部に、含珪素含有化合物を含むペーストを塗布し、加熱や紫外線等によっ
て固化することで活物質層2を形成してもよい。
【0138】電極積層体形成工程の後に、仕掛電極積層体に含珪素含有化合
物を含むペーストを塗布し、加熱や紫外線等によって固化することで活物質
層2を形成してもよい。
【0139】上記した実施形態では、緩衝部42を形成したが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、緩衝部42を形成しなくてもよい。この場合
電池組立体作成工程、界面用電解液注入工程、及び電圧印加工程が省略され、
電池組立体作製工程の後に電解媒体注入工程が実施される。
【0140】上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各
実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
【実施例】【0141】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下の
実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更し
て実施できる。
【0142】 (実験例1)(i)正極の作製
まず、オリビン型の結晶構造をもつリン酸マンガンリチウム(以下、LM
Pともいう)粉末に溶剤となるエタノールを所定量混合し、直径0.5mm
のジルコニア球を用いて3時間遊星ボールミル処理を行った。処理後の混合
物からジルコニア球を篩で取り除いた後、120℃で乾燥してエタノールを
除去してLMP微粉末を得た。次に、前記LMP微粉末とエタノールを混合
し、エタノールにLMP微粉末が分散した固形分が16.4wt%のスラリ
ーを得た。
【0143】 正極の活物質として、メジアン径が5μmのスピネル型のニッ
ケルマンガン酸リチウム(LiNi0.5Mn1.5O4、以下、LNMO
ともいう)を用いた。
【0144】LNMO30gを摩砕式ミル(ホソカワミクロン株式会社製、
製品名:ノビルタ)に投入し、クリアランス0.6mm、ローター負荷動力
1.5kW、2600rpmで回転させながら、LMP微粉末のエタノール
分散スラリーをLMP微粉末の添加量が0.6wt%となるように二回に分
けて投入した。その後、前記ローター回転数を2600rpm~3000
rpmの範囲に保って空気雰囲気下、室温で10分間処理し、LMPで表面
を被覆したLNMOを得た。得られた表面被覆LNMOを350℃で1時間
熱処理し、正極複合活物質を得た。
【0145】得られた正極複合活物質、導電性材料としてのアセチレンブラ
ック、及びバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、それ
ぞれ固形分濃度で90重量部、6重量部、及び4重量部含む混合物を、N-
メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散させたスラリーを作製した。なお、
前記バインダーは固形分濃度5重量%のN-メチル-2-ピロリドン(NM
P)溶液に調整したものを使用し、後述の塗工をしやすいように、さらにN
MPを加えて粘度調整した。
【0146】 前記スラリーを20μmのアルミニウム箔に塗工した後に、
120℃のオーブンで乾燥させた。この操作をアルミ箔の両面に対して実施
した後、さらに170℃で真空乾燥することによって正極を作製した。
【0147】 (ii)負極の作製
負極活物質として、スピネル型のチタン酸リチウム(Li4Ti5O12、
以下、LTOともいう)を用いた。前記LTO、導電助材としてのアセチレ
ンブラック、及びバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、
それぞれ固形分濃度で100重量部、5重量部、及び5重量部を含む混合物
を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散させたスラリーを作製し
た。なお、バインダーは固形分濃度5wt%のNMP溶液に調製したものを
使用し、後述の塗工をしやすいように、さらにNMPを加えて粘度調整した。
【0148】 前記スラリーを20μmのアルミニウム箔に塗工した後に、1
20℃のオーブンで乾燥させた。この操作をアルミ箔の両面に対して実施し
た後、さらに170℃で真空乾燥することによって負極を作製した。
【0149】 (iii)リチウムイオン二次電池の作製
上記(i)及び(ii)で作製した正極及び負極と、20μmのポリプロピ
レン製のセパレータを用いて、以下の手順で電池を作製した。
【0150】まず初めに、正極及び負極を80℃で12時間、減圧乾燥した。
次に、負極/セパレータ/正極の順に正極を15枚、負極を16枚使用して
積層した。最外層はどちらもセパレータとなるようにした。次に、両端の正
極及び負極にアルミニウムタブを振動溶着させた。
【0151】外装材となる二枚のアルミラミネートフィルムを準備し、プレ
スにより電池部となる窪みとガス捕集部となる窪みを形成後、前記電極積層
体を入れた。
【0152】非水電解質注液用のスペースを残した外周部を180℃×7秒
でヒートシールし、未シール箇所から、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネート、及びエチルメチルカーボネートを、体積基準でエチレンカー
ボネート/プロピレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=15/15
/70の割合で混合した溶媒に、LiPF6を1mol/Lとなる割合で溶
解させ、非水電解質を入れた後に、減圧しながら未シール箇所を180℃×
7秒でヒートシールした。
【0153】得られた電池を0.2C相当の電流値で電池電圧が終止電圧
3.4Vに到達するまで定電流充電を行い、充電を停止した。その後、60
℃の環境で24時間静置した後、0.2C相当の電流値で定電流放電を行い、
電池電圧が2.5Vに達した時点で放電を停止した。放電停止後、ガス捕集
部に溜まったガスを抜き取り、再シールを行った。以上の操作により、評価
用のリチウムイオン二次電池を作製した。
※(実験例2)~(実験例18)割愛
【0178】 (ガス発生量測定)
各実験例1~18におけるサイクル特性評価前後のリチウムイオン二次電池
のガス発生量の評価は、アルキメデス法、すなわちリチウムイオン二次電池の
浮力を用いて評価した。評価は下記の通りに行った。
【0179】最初に、リチウムイオン二次電池の重量を電子天秤で測定した。
次に、比重計(アルファミラージュ株式会社製、品番:MDS-3000)を
用いて水中での重量を測定し、これら重量の差をとることによって浮力を算出
した。この浮力を水の密度(1.0g/cm3)で除算することによって、リ
チウムイオン二次電池の体積を算出した。エージング後の体積と、下記のサ
イクル特性評価後の体積を比較することによって、発生したガス量を算出した。
【0180】 (リチウムイオン二次電池のサイクル特性評価)
各実験例1~18で作製したリチウムイオン二次電池を、充放電装置(H
J1005SD8、北斗電工株式会社製)に接続し、サイクル運転を行った。
60℃の環境下で、1.0C相当の電流値で電池電圧が終止電圧3.4Vに
到達するまで定電流充電を行い、充電を停止した。続いて1.0C相当の電
流値で定電流放電を行い、電池電圧が2.5Vに達した時点で放電を停止し
た。これを1サイクルとして充放電を繰り返した。
【0181】また、サイクル特性の安定性は、1回目の放電容量を100と
したときの500回目の放電容量を、容量維持率(%)として評価した。
【0182】 (レート特性評価)
各実験例1~18で作製したリチウムイオン二次電池に対して、25℃、
0.2Cで充放電を行い、続けて2.0Cで充放電を行うことでレート特性
の評価を行った。
【0183】このときの充電終止電圧及び放電終止電圧は、それぞれ2.5
V及び3.4Vとした。0.2Cでの放電容量に対する2.0Cでの放電容
量の割合を放電レート特性とした。
【0184】 まず、各実験例1~7の評価結果を表1に示す。
【0185】【表1】
被膜を形成した実験例1~7では、表1のように、いずれも100サイクル
後のガス発生量が10cc/Ah以下に抑えられていた。
【0186】このことから、被膜を形成することでガス発生を抑制する効果
(以下、ガス発生抑制効果ともいう)を奏することが示唆された。
【0187】被膜としてLMPを使用した実験例1~3では、表1のように
、被膜としてLFPを使用した実験例4,5やLATPを使用した実験例6,
7に比べて、レート特性が向上した。
【0188】被膜としてLFPを使用した実験例4,5やLATPを使用し
た実験例6,7では、添加量が大きくなるにつれて初期容量が小さくなると
ともに2Cの値も小さくなり、ガス発生量が小さくなっていた。一方、被膜
としてLMPを使用した実験例1~3では、被膜の添加量が増えるにつれて
初期容量が大きくなるとともに2Cの値がほぼ一定となり、ガス発生量が大
きくなっていた。
【0189】 このことから、被膜としてLMPを使用する場合には、被膜の
添加量を少量にしても容量が維持されるとともに、ガス発生を抑制する効果
が高いことが示唆された。
【0190】 続いて、各実験例1、2、8~11の評価結果を表2に示す。
【0191】【表2】
各実験例1、2、8~11では、表2のように、いずれも100サイクル後
のガス発生量が10cc/Ah以下に抑えられており、処理温度が高くなる
につれてクラックの発生が懸念されたが、800度で熱処理しても明確なガ
ス発生量の増加がみられなかった。
【0192】また、添加量が0.6wt%の実験例1,8,9を比較すると、
処理温度が大きくなるにつれて初期容量及び2Cの値が大きくなっていた。
【0193】同様に、添加量が0.9wt%の実験例2,10,11を比較
しても、処理温度が高くなるにつれて初期容量及び2Cの値が大きくなって
いた。
【0194】これらのことから、処理温度を高くすることで、ガス発生抑制
効果を奏しつつ、初期容量及び2Cの値が上昇することが示唆された。
【0195】続いて、各実験例1,2,12,13の評価結果を表3に示す。
【0196】【表3】
各実験例1,2,12,13では、表3のように、いずれも100サイクル
後のガス発生量が10cc/Ah以下に抑えられていた。
【0197】被膜の添加量が0.6wt%の実験例1,12では、処理時間の
増加に伴い、100サイクル後のガス発生量及び300サイクル後のガス発
生量がほとんど変化なかった。
【0198】被膜の添加量が0.6wt%の実験例1,12では、被膜の添
加量が0.9wt%の実験例2,13に比べて、300サイクル後のガス発
生量が少なくなった。
【0199】また、実験例1,2,12,13では、処理時間の増加に伴い、
初期容量及び2Cの値が増加した。
【0200】これらのことから、処理時間を長くすることで被覆の均一性
が向上してガス抑制効果が向上することが示唆された。また、処理時間を長
くすることで初期容量も回復し、添加量を少量にして薄く被覆することで、
被覆による効果が高くなることが示唆された。
【0201】 続いて、各実験例14~18の評価結果を表4に示す。
【0202】【表4】
被膜を形成した各実験例14~17では、被膜を形成していない実験例18
に比べて、レート特性がほとんど変わらないものの、500サイクル後の
ガス発生量が35cc/Ah以下に低減され、容量維持率も向上した。
【0203】このことから、負極においても被膜を形成することでガス発
生抑制効果が得られることが示唆された。
【0204】また、実験例14,15を比較すると、処理温度が上昇する
につれてレート特性が向上した。同様に実験例16,17を比較すると、
処理温度が上昇するにつれてレート特性が向上した。
【0205】このことから、処理温度を高くすることでレート特性が向上
することが示唆された。
【0206】LMPを被覆した実験例14,15では、LFPを被覆した
実験例16,17に比べてガス発生量が低減し、レート特性が向上した。
【0207】以上のことから、活物質粒子の表面にリン酸イオン含有リチ
ウム化合物を含む被膜を被覆することで、ガス発生量を抑制できることが
わかった。
【0208】 特に、活物質粒子の表面にLMPを被覆することで、ガス
発生量を抑制でき、レート特性が向上することが分かった。
今日の映画音楽 『 Ghostbusters』
Theme Song • Ray Parker Jr.
● 今日の言葉:気候変動の災害増加が女性への暴力増加と関連している?!
気候変動災害の増加が暴力と関連するのではないかとは
思えないことはないが、具体的な示唆されるとはね?!
(GIGAZINE 2024.11.16)
※掲載記事
・The impact of environmental shocks due to climate
change on intimate partner violence: A structural
equation model of data from 156 countries ( PLOS
Climate)
・Climate change linked to increased violence against
women - Earth.com
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