極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境51

2024年11月14日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:11月14日】

       侘助や吾が一生も爆発期  
                    高山 宇 (赤鬼)

※侘助椿は、15世紀の茶人「侘助」が好んだ椿、茶席にしばしば活けら
 れ、厳冬に花を半開させる姿が、茶人たちに侘びの精神を象徴された。
 薄田泣菫がは著書「侘助椿」の中で「この花には捨てがたい侘がある」
 と評した。


⬛ 先端半導体は「2ナノ」へ TSMCの独走

2025年、先端半導体の最大のトピックは2nm世代へ移行
米Apple(アップル)が2026年に「iPhone」へ搭載するのを皮切りに、
米NVIDIA(エヌビディア)や米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイ
セズ)などが採用する見通しだ。これらAI(人工知能)銘柄の需要を総取
りする台湾積体電路製造(TSMC)の独走が続くか、競合の米Intel(イン
テル)や韓国Samsung Electronics(サムスン電子)が一矢報いるかが注
目されている。また、
データセンターのGPU(画像処理半導体)やCPU(
中央演算処理装置)、スマートフォンのCPUなどに使われるロジック(演
算用)半導体が、現行の3nm世代から2nm世代へ移行する。生成AI向けな
どで求められる高い演算能力に応える。

米IBMは業界初の2nm世代のテストチップを2021年5月に発表した(出所:IBM)

 ⬛ 失速「EV」相次ぐ火災事故で広がる不信の連鎖

リチウム二次電池の安全工学的考察 ⑥

2. 特開2024-153730 非水電解液二次電池 株式会社GSユアサ⓶

【要約】下図いのごとく、本発明の一態様に係る非水電解液二次電池は、
正極と、非水電解液と、を備えた非水電解液二次電池であって、上記正極
が硫黄系活物質とメソポーラスカーボンとを複合した硫黄-メソポーラス
カーボン複合体を含み、上記非水電解液がフッ素化溶媒を含み、上記フッ
素化溶媒が、鎖状フッ素化カーボネート、鎖状フッ素化カルボン酸エステ
ル、又はこれらの組み合わせを含む、非水電解液二次電池で、充放電を繰
り返した際の容量保持率が高い硫黄系活物質を含む正極を備えた非水電解
液二次電池を提供する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
【0094】R及びRの少なくとも一方は、少なくとも一つの水素原
子がフッ素原子に置換されているフッ素化された炭化水素基である。R
及びRは、Rのみがフッ素化された炭化水素基であってもよく、R
みがフッ素化された炭化水素基であってもよく、いずれもがフッ素化され
た炭化水素基であってもよい。
【0095】この鎖状フッ素化カーボネートとしては、例えば、2,2-
ジフルオロエチルメチルカーボネート、エチル-(2,2-ジフルオロエ
チル)カーボネート、ビス(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、
2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネート、エチル-(2,2,
2-トリフルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2,2-トリフルオ
ロエチル)カーボネート等が挙げられる。
【0096】式(1)及び式(2)でのフッ素化された炭化水素基におい
て、置換するフッ素原子の数は特に限定されず、1個以上であればよい。
また、置換するフッ素原子の数が少ないと、耐酸化性が低くなり、耐還元
性が高くなり、正極で被膜を形成しやすく、負極で還元分解しにくくなる
と考えられる。このような観点から、置換するフッ素原子の数は6個以下
であるのが好ましく、5個以下であるのがより好ましく、4個以下である
のがさらに好ましく、3個以下であるのがよりさらに好ましい。フッ素原
子が結合する炭素は特に限定されず、炭化水素基の末端に位置する炭素で
あってもよく、末端以外の炭素であってもよい。
【0097】式(1)及び式(2)において、R、R、R及びR
炭化水素基は、好ましくは炭素数1~8であり、より好ましくは炭素数1
~5であり、よりさらに好ましくは炭素数1~3である。炭素数をこれら
の値とすることで、鎖状フッ素化カルボン酸エステル又は鎖状フッ素化カ
ーボネートの粘度を低くすることができる。
【0098】R、R、R及びRがフッ素化された炭化水素基でない
有機基の場合、これらの有機基はアルキル基又はアルケニル基であること
が好ましく、アルキル基であることがより好ましい。これらの有機基は直
鎖状でもよく、分岐状でもよい。
【0099】上記アルキル基としては、CH-、CHCH-、CH
CHCH-等、上記アルケニル基としては、CH=CH-、CH
CHCH-、CH=C(CH)-等が挙げられる。
【0100】非水電解液における鎖状フッ素化カルボン酸エステル及び鎖
状フッ素化カーボネートの合計含有割合の下限は、20体積%以上である
と好ましく、30体積%以上であるとより好ましく、40体積%以上であ
るとさらに好ましく、50体積%以上であるとよりさらに好ましい。上限
は、100体積%以下であり、90体積%以下であってもよく、80体積
%以下であってもよく、70体積%以下であってもよい。これにより、充
放電を繰り返した際の容量保持率を高める本発明の効果を、より確実に発
揮することができる。
【0101】この理由は定かではないが、例えば以下のことが推測される。
非水電解液に含まれる鎖状フッ素化カルボン酸エステル及び鎖状フッ素化
カーボネートは、正極で酸化分解し、硫黄系正極活物質の表面に被膜を形
成すると考えられる。この被膜によって、硫黄系活物質と非水電解液とが
直接接触する面積が減少し、リチウムポリスルフィドの非水電解液への溶
出が抑制されると考えられる。ところが、硫黄系活物質は充放電に伴う体
積変化が大きいため、充放電を繰り返すと被膜に割れが生じ、リチウムポ
リスルフィドが非水電解液に溶出する虞がある。ここで、非水電解液にお
ける鎖状フッ素化カルボン酸エステル及び鎖状フッ素化カーボネートの合
計含有量が20体積%以上であると、被膜に割れが生じても新たな被膜が
形成されやすい。これにより、リチウムポリスルフィドの溶出を確実に抑
制できるため、充放電を繰り返した際の容量保持率をとができると考えら
れる。
※漏洩・地下浸透の環境汚染の心配が残件するが、どうだろう?
【0102】フッ素化溶媒における鎖状フッ素化エーテルの含有割合の下
限は0体積%であり、0体積%超であると好ましく、5体積%であるとよ
り好ましく、7体積%であるとさらに好ましい。フッ素化溶媒における鎖
状フッ素化エーテルの含有割合の上限は20体積%以下であり、18体積
%以下であると好ましく、15体積%以下であるとより好ましく、10体
積%であるとさらに好ましい。フッ素化溶媒における鎖状フッ素化エーテ
ルの含有割合を上記の値とすることで、充放電を繰り返した際の容量保持
率を高めることと、充放電サイクルの初期における放電容量を高めること
とを両立することができる。
【0103】この理由は定かではないが、例えば以下のことが推測される。
鎖状フッ素化エーテルは、鎖状フッ素化カーボネート及び鎖状フッ素化カ
ルボン酸エステルと比べて、耐酸化性が高く、耐還元性が低い。このため、
非水電解液が鎖状フッ素化エーテルを上記含有割合となるよう含むことで、
非水電解液の耐還元性を大きく損なうことなく、正極におけるフッ素化溶
媒の反応性を適度に下げ、フッ素化溶媒の酸化分解を抑制することができ
ると考えられる。このようなメカニズムにより、充放電を繰り返した際の
容量保持率を高めつつ、充放電サイクルの初期における放電容量を高める
ことができると考えられる
【0104】フッ素化溶媒における鎖状フッ素化エーテルは、例えば、式
(3)で示される鎖状フッ素化エーテルを含んでもよい。式(3)  R
O-R【0105】式(3)中、R及びRはそれぞれ独立で1価の有
機基である。R及びRで示される有機基としては、R及びRで例示
したものと同様の有機基等が挙げられる。
【0106】R及びRの少なくとも一方は、少なくとも一つの水素原
子がフッ素原子に置換されているフッ素化された炭化水素基である。R
及びRは、Rのみがフッ素化された炭化水素基であってもよく、R
のみがフッ素化された炭化水素基であってもよく、いずれもがフッ素化さ
れた炭化水素基であってもよい。
【0107】この鎖状フッ素化エーテルとしては、例えば、CF3CF2
CH2OCH3、HCF2CF2OCH2CF2CF2H、HCF2CF
2CH2OCF2CHFCF3、CF3CF2CH2OCF2CHFCF
3、CF3CF2CH2OCF2CF2H、HCF2CF2OC2H5、
HCF2CF2OC3H7、HCF2CF2OC4H9、CF3CHFC 
 F2OC2H5、CF3CH2OCH2CH2OCH3等が挙げられる。
【0108】式(3)のフッ素化された炭化水素基において、置換するフ
ッ素原子の数は1個以上であればよい。上限は特に限定されないが、例え
ば11個以下であってもよい。フッ素原子が結合する炭素は特に限定され
ず、炭化水素基の末端に位置する炭素であってもよく、末端以外の炭素で
あってもよい。
【0109】式(3)において、R及びRの炭化水素基は、好ましく
は炭素数1~8であり、より好ましくは炭素数1~5であり、よりさらに
好ましくは炭素数1~4である。炭素数をこれらの値とすることで、鎖状
フッ素化エーテルの粘度を低くすることができる。
【0110】R及びRがフッ素化された炭化水素基でない有機基の場
合、これらの有機基はアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、
アルキル基であることがより好ましい。これらの有機基は直鎖状でもよく、
分岐状でもよい。
【0111】非水電解液は鎖状溶媒と環状溶媒とを含むことが好ましい。
非水電解液における鎖状溶媒と環状溶媒との混合割合は、体積比で、30
:70から70:30の範囲とすることが好ましい。これにより、非水電
解液の粘度を下げることと、非水電解液のイオン伝導度を高めることと
を両立することができる。
【0112】非水電解液に含まれるフッ素化溶媒の含有量の下限は、非水
電解液の全体積に対して、60体積%であってもよく、63体積%である
と好ましく、65体積%であるとより好ましく、68体積%であるとさら
に好ましく、70体積%であるとよりさらに好ましい。非水電解液に含ま
れるフッ素化溶媒の含有量の上限は、非水電解液の全体積に対して100
体積%であり、99体積%であってもよく、98体積%であってもよく、
97体積%であってもよく、95体積%であってもよい。これにより、充
放電を繰り返した際の容量保持率を高くすることができる。
【0113】フッ素化溶媒は鎖状フッ素化溶媒と環状フッ素化溶媒とを含
むことが好ましい。フッ素化溶媒における鎖状フッ素化溶媒と環状フッ素
化溶媒との混合割合は、体積比で、30:70から70:30の範囲とす
ることが好ましい。これにより、非水電解液の粘度を下げることと、非水
解液のイオン伝導度を高めることとを両立することができる
【0114】非水電解液に含まれる環状溶媒における、環状フッ素化溶媒
の含有割合は、50体積%以上100体積%以下であると好ましい。これ
により、充放電を繰り返した際の容量保持率を高めることができる。
【0115】フッ素化溶媒は、環状フッ素化カーボネートを含むことが好
ましい。これにより、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導
度を高めることができる。
【0116】環状フッ素化カーボネートとしては、フルオロエチレンカー
ボネート(FEC)、4,4-ジフルオロエチレンカーボネート、4,5
-ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネー
ト(4-(トリフルオロメチル)-エチレンカーボネート)、4-フルオ
ロ-4-メチルエチレンカーボネート、4-フルオロ-5-メチルエチレ
ンカーボネート、4-(フルオロメチル)-エチレンカーボネート等が挙
げられる。これらの中でも、フルオロエチレンカーボネート、4,4-ジ
フルオロエチレンカーボネート及び4,5-ジフルオロエチレンカーボネ
ートが好ましく、フルオロエチレンカーボネートがより好ましい。
【0117】非水電解液は、非フッ素化溶媒を含むことが好ましい。非水
電解液が非フッ素化溶媒を含むことで、充放電を繰り返した際の容量保持
率をさらに高めることができる。この理由は定かでは無いが、例えば、非
フッ素化溶媒がリチウムポリスルフィドと反応しやすく、硫黄系活物質の
表面に被膜を形成しやすいことが、充放電を繰り返した際の放電容量の保
持率を高くできる理由として推測される。
【0118】非フッ素化溶媒は特に限定されないが、分子構造中にC=O
二重結合を含む化合物を含むことが好ましい。このような非フッ素化溶媒
としては、カーボネート、エステル、アルデヒド、ケトン等が挙げられる。
このような非フッ素化溶媒を用いることで、充放電を繰り返した際の放電
容量の保持率を高くすることができる。
【0119】非フッ素化溶媒における、分子構造中にC=O二重結合を含
む化合物の含有割合は、50体積%以上100%以下であると好ましく、
60体積%以上100%以下であるとより好ましく、70体積%以上10
0%以下であるとさらに好ましく、80体積%以上100%以下であると
よりさらに好ましい。これにより、より確実に充放電を繰り返した際の放
電容量の保持率を高くすることができる。
【0120】非フッ素化溶媒として用いることができるカーボネートは、
環状カーボネートでもよく、鎖状カーボネートでもよい。環状カーボネー
トとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボ
ネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート
(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカー
ボネート、カテコールカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、
1,2-ジフェニルビニレンカーボネート、スチレンカーボネート、1-
フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネー
ト等が挙げられる。これらの中でも、エチレンカーボネートとプロピレン
カーボネートが好ましく、酸化・還元されにくいエチレンカーボネートが
より好ましい。鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロ
ピルカーボネート、n-プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチ
ルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、n-ブチルメチル
カーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t-ブチルメチルカーボ
ネート、エチル-n-プロピルカーボネート、n-ブチルエチルカーボネ
ート、イソブチルエチルカーボネート、t-ブチルエチルカーボネート等
が挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、
ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n-プロ
ピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル-n
-プロピルカーボネートが好ましく、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、エチルメチルカーボネートが特に好ましい。
【0121】非フッ素化溶媒として用いることができるエステルとしては、
例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状カルボン酸エス
テル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル(M
P)、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0122】非水電解液に含まれる非フッ素化溶媒の含有量の下限は、非
水電解液の全体積に対して、1体積%としてもよく、2体積%が好ましく、
3体積%がより好ましく、5体積%がさらに好ましい。非水電解液に含ま
れる非フッ素化溶媒の含有量の上限は、40体積%としてもよく、35体
積%が好ましく、32体積%がより好ましく、30体積%がさらに好まし
い。これにより、充放電を繰り返した際の容量保持率を高くすることがで
きる。
【0123】非水電解液は、上述したもののほかに公知の非水溶媒を含ん
でもよい。非水溶媒としてはカルボン酸エステル、リン酸エステル、スル
ホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒
として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換され
たものを用いてもよい。
【0124】電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電
解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウ
ム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
【0125】リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiB
、LiClO、LiN(SOF)、LiAsF、リチウムジフ
ルオロオキサレートボレート(LiFOB)等の無機リチウム塩、LiS
CF、LiN(SOCF、LiN(SO、Li
N(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、Li
C(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が
挙げられる。これらの中から選択される少なくとも一種を用いてもよく、
二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、電気伝導度の観
点からLiPF、LiBF、LiN(SOF)、LiN(SO
が好ましく、さらにカチオン解離度の観点からLiN(SOF)
、LiN(SOCFがより好ましい。
【0126】非水電解液における電解質塩の含有量の下限としては、
0.1Mが好ましく、0.3Mがより好ましく、0.5Mがさらに好まし
く、0.7Mが特に好ましい。電解質塩の含有量の上限としては、例えば、
2.5Mが好ましく、2Mがより好ましく、1.5Mがさらに好ましい。
【0127】非水電解液は、添加剤を含んでもよい。なお本明細書におい
ては、添加剤とは非水電解液における含有量が20質量%よりも小さいも
のを意味する。添加剤としては、例えば、リチウムビス(オキサレート)
ボレート(LiBOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホス
フェート(LiFOP)等のシュウ酸エステル基を有する塩;ビフェニル、
アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シク
ロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェ
ニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニ
ル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロ
ベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロ
アニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソ
ール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;
メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク
酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコ
ン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチ
レン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、プロペン
スルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、ト
ルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジ
メチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルス
ルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,
4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、4-メチ
ルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチ
オラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジス
ルフィド、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン
酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノ
フルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で
用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0128】非水電解液全体に対するこれらの添加剤の含有割合の下限と
しては、0.01質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、0.2
質量%がさらに好ましい。添加剤の含有割合の上限としては、10質量%
が好ましく、7質量%がより好ましく、5質量%がより好ましく、3質量
%がさらに好ましい。添加剤の含有割合を上記範囲とすることで、高温保
存後の容量保持性能又は充放電サイクル性能を高めることや、安全性を高
めることができる。
【0129】当該非水電解液二次電池は、固体電解質を備えてもよい。
【0130】固体電解質としては、チウム、ナトリウム、カルシウム等の
イオン伝導性を有し、常温(例えば15℃~25℃)において固体である
任意の材料から選択できる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電
解質、酸化物固体電解質、及び酸窒化物固体電解質、ポリマー固体電解質
等が挙げられる。
【0131】硫化物固体電解質としては、リチウム二次電池の場合、例え
ば、LiS-P系等が挙げられる。硫化物固体電解質としては、例
えば、LiS-P、LiI-LiS-P、Li10Ge-
12、等が挙げられる。
【0132】当該非水電解液二次電池の形状は特に限定されるものではな
く、例えば、円筒型電池、パウチ型電池、角型電池、扁平型電池、コイン
型電池、ボタン型電池等を挙げることができる。図1に角型電池の一例を
示す。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角
型のケース3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と
電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電
気的に接続されている。

【0133】<蓄電装置の構成>
当該非水電解液二次電池は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(
HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、
パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用
電源等に、複数の非水電解液二次電池1を集合して構成した蓄電ユニット
(バッテリーモジュール)を、さらに集合した蓄電装置として搭載するこ
とができる。この場合、蓄電装置に含まれる少なくとも一つの非水電解液
二次電池
に対して、本発明の技術が適用されていればよい。図2に、電気
的に接続された二以上の非水電解液二次電池1が集合した蓄電ユニット20
をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の
非水電解液二次電池1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の
蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)を備えていても
よい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の非水電解液二次電
の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。

【0134】<非水電解液二次電池の製造方法>
当該非水電解液二次電池蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択
できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備する工程と、非水電解液
を準備する工程と、電極体及び非水電解液を容器に収容する工程と、を備
える。電極体を準備する工程は、正極及び負極を準備する工程と、正極及
び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより電極体を形成
する工程と、を備える。
【0135】非水電解液を容器に収容する工程は、公知の方法から適宜選
択できる。例えば、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、
注入口を封止すればよい。

【0136】<その他の実施形態>
尚、本発明の非水電解液二次電池は、上記実施形態に限定されるものでは
なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置
き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除するこ
とができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加すること
ができる。
【0137】上記実施形態では、非水電解液二次電池がリチウム二次電池
として用いられる場合について説明したが、非水電解液二次電池の種類、
形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、リチウム二次電池以外の種
々の非水電解液二次電池にも適用できる。

【実施例】【0138】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の
実施例に限定されない。【0139】
[実施例1](硫黄-メソポーラスカーボン複合体の作製)
硫黄と、メソポーラスカーボン(CNovel(クノーベル))(東洋炭
素株式会社製)とを質量比77:23で混合した。メソポーラスカーボン
の物性は、平均細孔径5nm、ミクロ細孔容積0.34ccg-1、メソ
細孔容積1.02ccg-1、全細孔容積1.7ccg-1、比表面積15
00m-1であった。この混合物を、密封式の電気炉に入れた。1時間
のアルゴンフローを行った後、昇温速度5℃/分で150℃まで昇温し、
5時間保持した後、硫黄が固化する温度である80℃まで放冷し、その後、
再び5℃/分で300℃まで昇温し、2時間保持する熱処理を行った。以
上の手順により、実施例1の硫黄-メソポーラスカーボン複合体を得た。

【0140】(非水電解液二次電池の作製)
硫黄-メソポーラスカーボン複合体、導電助剤としてのアセチレンブラッ
ク、及びバインダとしてのCMC/SBRを80:10:10の質量比で
混合し、水を分散媒とするスラリーを調整した。CMCとSBRとは質量
比で1.2:2.1となるよう混合した。調整したスラリーを集電体に塗
布し、乾燥して電極を作製した。作製した電極を正極とし、金属Liを負
極とし、酢酸2,2,2-トリフルオロエチル(TFEA)とフルオロエ
チレンカーボネート(FEC)との混合溶媒に、1Mのリチウムビス(ト
リフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を溶解させた非水
電解液を備える電池を作製した。TFEAとFECとの混合比は、体積比
で50:50とした。上記電池は、アルミラミネートフィルムで覆い、パ
ウチ型セルとした。

【0141】[実施例2]
溶媒として2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネート(TFE
MC)とFECとの混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1と同様の電
池を作製した。
【0142】[実施例3]
溶媒としてビス(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート(FD
EC)とFECとの混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1と同様の電
池を作製した。
【0143】[実施例4]
溶媒として3,3,3-トリフルオロプロピオン酸メチル(FMP)とF
ECとの混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1と同様の電池を作製した。
【0144】[比較例1]
溶媒として1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テ
トラフルオロプロピルエーテル(TFETFPE)とFECとの混合溶媒
を使用したこと以外は、実施例1と同様の電池を作製した。
【0145】[実施例5]
溶媒としてTFEAとFECとを体積比70:30で混合した混合溶媒
を使用したこと以外は、実施例1と同様の電池を作製した。
【0146】[実施例6]
溶媒としてTFEMCとFECとを体積比70:30で混合した混合溶媒
を使用したこと以外は、実施例1と同様の電池を作製した。
【0147】
[実施例7]
溶媒としてFDECとFECとを体積比70:30で混合した混合溶媒を
使用したこと以外は、実施例1と同様の電池を作製した。
【0148】[実施例8]
溶媒としてFMPとFECとを体積比70:30で混合した混合溶媒を使
用したこと以外は、実施例1と同様の電池を作製した。
【0149】[比較例2]
溶媒としてTFETFPEとFECとを体積比70:30で混合した混合
溶媒を使用したこと以外は、実施例1と同様の電池を作製した。
【0150】[実施例9乃至実施例18]
溶媒として、表2に示す組成の混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1
と同様の電池を作製した。なお、表中のEMCはエチルメチルカーボネー
トのことを指す。
【0151】[実施例19及び実施例20]
溶媒として、表3に示す組成の混合溶媒を使用したこと以外は、実施例1
と同様の電池を作成した。
【0152】[比較例3]
実施例1のメソポーラスカーボンに代えて、ミクロポーラスカーボン(C
NovelMH、東洋炭素株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1
と同様の手順により、硫黄-ミクロポーラスカーボン複合体を作製した。
ミクロポーラスカーボンの物性は、平均細孔径5nm、ミクロ細孔容積0.
40ccg-1、メソ細孔容積0.25ccg-1、比表面積1800m
-1であった。実施例1の硫黄-メソポーラスカーボン複合体に代えて
硫黄-ミクロポーラスカーボン複合体を使用したこと、及び溶媒としてT
FEMCとFECとを体積比50:50で混合した混合溶媒を使用したこ
と以外は、実施例1と同様の電池を作製した。
【0153】式(4)から式(8)にTFEA、TFEMC、TFDEC、
FMP、TFETFPEの構造をそれぞれ示す。

000005000006

000007000008

000009


【0154】<試験例1>(10サイクル目容量保持率)
実施例1乃至実施例8、比較例1及び比較例2の各電池について、以下の
条件にて充放電サイクル試験を行った。25℃で1Vまで0.1Cの定電
流放電を行った。放電後に25℃で3Vまで0.2Cの定電流充電を行っ
た。これら放電及び充電の工程を1サイクルとして、このサイクルを12
サイクル繰り返した。なお、放電後及び充電後には25℃にて10分間の
休止を設けた。放電、充電及び休止ともに25℃の恒温槽内で行った。充
放電サイクル試験が終了した電池について、3サイクル目の放電容量に対
する12サイクル目の放電容量の比率を「10サイクル目容量保持率」と
した。以下の表1に、実施例1乃至実施例8、比較例1及び比較例2の結
果を示す。
【0155】【表1】

000010
【0156】
表1から、鎖状フッ素化カルボン酸エステルであるTFEA
又はFMPを含む実施例1、4、5、及び8の電池では、鎖状フッ素化カ
ルボン酸エステルを含まない比較例1及び比較例2の電池に比べて高い容
量保持率を示すことが分かる。

【0157】また、鎖状フッ素化カーボネートであるTFEMC又はFD
ECを含む実施例2、3、6、及び7の電池では、鎖状フッ素化カルボン
酸エステルを含む実施例1、4、5、及び8の電池と同様に、高い容量保
持率を示すことが分かる。

【0158】FDECを用いた実施例3及び7に比べ、TFEA、TFE
MC、又はFMPを用いた実施例は高い容量保持率を示した。TFEA、
TFEMC、又はFMPは、FDECに比べて結合したフッ素原子の数
が少ないことから、耐還元性が高く、より高い容量保持率を示したと考え
られる。

【0159】実施例1乃至4と、実施例5乃至8とを対比すると、非水電
解液における鎖状フッ素化カルボン酸エステル又は鎖状フッ素化カーボネ
ートの含有量を変えた場合であっても、高い容量保持率を示すことが分かる。

【0160】非水電解液に鎖状フッ素化カーボネート及び鎖状フッ素化カ
ルボン酸エステルを含まず、鎖状フッ素化エーテルであるTFETFPE
を50体積%以上含む比較例1及び比較例2は容量保持率が低かった。こ
れは、鎖状フッ素化エーテルの耐還元性が、鎖状フッ素化カーボネート及
び鎖状フッ素化カルボン酸エステルよりも低く、負極で還元分解されるた
めと考えられる。

【0161】以上の結果から、硫黄-メソポーラスカーボン複合体を含む
正極を備えた非水電解液二次電池においては、鎖状フッ素化カーボネート、
鎖状フッ素化カルボン酸エステル、又はこれらの組み合わせを含む非水電
解液を備えることにより、高い容量保持率を得ることができるといえる。


【0162】
<試験例2>(100サイクル目容量保持率)
実施例9乃至実施例18の各電池について、充放電サイクル数を12サイ
クルから102サイクルに変えたこと以外は、上述した充放電サイクル試
験と同様の試験を行った。充放電サイクル試験が終了した電池について、
3サイクル目の放電容量に対する102サイクル目の放電容量の比率を「
100サイクル目容量保持率」とした。表2に、実施例9乃至実施例18
の結果を示す。

【0163】【表2】
000011

【0164】表2から明らかなように、非水電解液に、鎖状フッ素化カー
ボネート又は鎖状フッ素化カルボン酸エステルと、非フッ素化溶媒である
EMC又はECとを含む実施例11乃至実施例18は、100サイクル目
容量保持率が100%となり、充放電を繰り返した後の容量保持率に特に
優れた非水電解液二次電池を実現し得ることが確認された。
【0165】<試験例3>
(サイクル初期放電容量、10サイクル目容量保持率)
実施例2、実施例19及び実施例20の各電池について、以下の条件にて
充放電試験を行った。25℃で1Vまで0.1Cの定電流放電を行った。
放電後に25℃で3Vまで0.1Cの定電流充電を行った。これら放電及
び充電の工程を1サイクルとして、このサイクルを12サイクル繰り返し
た。放電後及び充電後には25℃にて10分間の休止を設けた。放電、
充電及び休止ともに25℃の恒温槽内で行った。充放電サイクル試験が終
了した電池について、3サイクル目の放電容量を「サイクル初期放電容量」
とした。3サイクル目の放電容量に対する12サイクル目の放電容量の比
率を「10サイクル目容量保持率」とした。表3に、実施例2、実施例
19及び実施例20の結果を示す。
【0166】【表3】

000012
【0167】表3から明らかなように、実施例2、実施例19及び実施例
20の電池は、いずれも容量保持率が優れていた。中でも実施例19の電
池は、容量保持率が高いだけでなく、初期放電容量も高いことが確認され
た。
                           この項つづく
 今日の楽曲  映画音楽 『キンムダム』
            キングダム 運命の炎 
            宇多田ヒカル「Gold ~また逢う日まで~」

 今日の言葉:

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エネルギーと環境㊿

2024年11月14日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-



【季語と短歌:11月14日】

       侘助や吾が一生も爆発期  
                    高山 宇 (赤鬼)

※かんむり座T星が爆発すると騒がれている。それも愛でたいと。




⬛ CIS型薄膜太陽電池の光電変換効率向上

11月14日、産総研は希少金属インジウムを含まないCIS型薄膜太陽電池の
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2. 特開2024-153730 非水電解液二次電池 株式会社GSユアサ
【要約】下図いのごとく、本発明の一態様に係る非水電解液二次電池は、
正極と、非水電解液と、を備えた非水電解液二次電池であって、上記正極
が硫黄系活物質とメソポーラスカーボンとを複合した硫黄-メソポーラス
カーボン複合体を含み、上記非水電解液がフッ素化溶媒を含み、上記フッ
素化溶媒が、鎖状フッ素化カーボネート、鎖状フッ素化カルボン酸エステ
ル、又はこれらの組み合わせを含む、非水電解液二次電池で、充放電を繰
り返した際の容量保持率が高い硫黄系活物質を含む正極を備えた非水電解
液二次電池を提供する。

図1.非水電解液二次電池の一実施形態を示す外観斜視図
【符号の説明】1    非水電解液二次電池 2    電極体 3    ケース
4    正極端子 41  正極リード 5    負極端子 51  負極リード
20  蓄電ユニット 30  蓄電装置
【概要】リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、高
エネルギー密度、高出力密度を有することから、パーソナルコンピュータ、
通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。リチウムイオン二次
電池の正極材料として、LiCoO、LiNiO、LiMn
LiNi1/3Co1/3Mn1/3等のリチウム遷移金属複合酸化物が
実用化されているが、これらの材料は質量あたりの容量が限られている。
そこで、より高いエネルギー密度を有する非水電解液二次電池を実現する
ために、リチウム遷移金属複合酸化物に代わる正極材料として硫黄が検討
されている。硫黄は、質量あたりの理論容量が1675mAhg-1であ
り、従来の正極材料の理論容量の6倍以上のエネルギー密度を有する。
【0004】しかし、正極活物質として硫黄を用いた非水電解液二次電池
においては、充放電時に生成する中間生成物である一部の組成のリチウム
ポリスルフィドLi(4≦x≦8)が非水電解液に可溶であるため、
充放電を繰り返すと、硫黄がリチウムポリスルフィドとして非水電解液に
溶出し、容量が低下する問題があった。これに対し、非水電解液の成分調
整により、容量低下を改善する技術が提案されており、国際公開番号WO
2018/163778には、正極活物質として硫黄を含むリチウムイオ
ン二次電池において、非水電解液に1moldm-3LiTFSI(Lit
hiumbis(trifluoromethanesulfonyl)
imide)/FEC(fluoroethylenecarbonate)
:D2(1,1,2,2-tetrafluoroethyl-2,2,
3,3-tetrafluoropropyl ether)を用いること
が開示されている。上記特許文献1には、細孔体積比(ミクロ孔/メソ孔)
が2.1である炭素材料と硫黄とを含む炭素複合材料を含む正極と、非水
電解液にHFCCFCHOCFCFHとFECとを60:40の
組成になるように混合し、これにLiTFSIを1.0モル/リットルの
濃度となるよう添加して得た非水電解液と、を用いた非水電解液二次電池
が開示されている。
【先行技術文献】【非特許文献】【非特許文献1】第58回電池討論会要
旨集、1E16(2017)
【特許文献】【特許文献1】国際公開番号WO2018/163778

本発明の目的は、充放電を繰り返した際の容量保持率が高い硫黄系活物質
を含む正極を備えた非水電解液二次電池を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様は、正極と、非水電解
液と、を備えた非水電解液二次電池であって、上記正極が硫黄系活物質と
メソポーラスカーボンとを複合した硫黄-メソポーラスカーボン複合体を
含み、上記非水電解液がフッ素化溶媒を含み、上記フッ素化溶媒が、鎖状
フッ素化カーボネート、鎖状フッ素化カルボン酸エステル、又はこれらの
組み合わせを含む、非水電解液二次電池である。
【発明の効果】【0013】
本発明によれば、充放電を繰り返した際の容量保持率が高い硫黄系活物質
を含む正極を備えた非水電解液二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、非水電解液二次電池の一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図2は、非水電解液二次電池を複数個集合して構成した蓄電装置
の一実施形態を示す概略図である。

図2.非水電解液二次電池を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態
を示す概要図
【発明を実施するための形態】【0015】
始めに、本明細書によって開示される非水電解液二次電池の概要について
説明する。本発明の一態様に係る非水電解液電池は、正極と、非水電解液
と、を備えた非水電解液二次電池であって、上記正極が硫黄系活物質とメ
ソポーラスカーボンとを複合した硫黄-メソポーラスカーボン複合体を含
み、上記非水電解液がフッ素化溶媒を含み、上記フッ素化溶媒が、鎖状フ
ッ素化カーボネート、鎖状フッ素化カルボン酸エステル、又はこれらの組
み合わせを含む、非水電解液二次電池である。この構成によれば、充放電
を繰り返した際の容量保持率を高めることができる。【0018】
この理由は定かではないが、例えば以下のことが推測される。鎖状フッ素
化カーボネート及び鎖状フッ素化カルボン酸エステルは、フッ素化エーテ
ル等と比べて還元分解しにくい。このため、当該非水電解液二次電池では、
負極におけるフッ素化溶媒の分解を抑制できると考えられる。また、鎖状
フッ素化カーボネート及び鎖状フッ素化カルボン酸エステルは、フッ素化
エーテル等と比べて酸化分解しやすい。このため、硫黄系活物質と非水電
解液との界面に被膜が形成されやすく、リチウムポリスルフィドの溶出を
抑制できると考えられる。さらに、メソポーラスカーボンはミクロポーラ
スカーボンよりも細孔径が大きい。このため、硫黄系活物質の表面に形成
された被膜と非水電解液との接触面積が大きくなり、被膜中のキャリアイ
オンの輸送がスムーズになると考えられる。このような現象によって相乗
効果がもたらされ、充放電を繰り返した際の容量保持率を高めることがで
きると考えられる.
【0031】ここで、上記フッ素化溶媒における鎖状フッ素化エーテルの
含有割合は、0体積%以上15体積%以下であってもよい。
【0032】これにより、充放電を繰り返した際の容量保持率を高める効
果を確実に発揮することができる。
【0033】ここで、上記フッ素化溶媒が鎖状フッ素化エーテルを含み、
上記フッ素化溶媒における鎖状フッ素化エーテルの含有割合が5体積%以
上15体積%以下であってもよい。
【0034】この構成によれば、充放電を繰り返した際の容量保持率を高
めつつ、充放電サイクルの初期における放電容量を高めることができる。
【0035】この理由は定かではないが、例えば以下のことが推測される。
鎖状フッ素化エーテルは、鎖状フッ素化カーボネート及び鎖状フッ素化カ
ルボン酸エステルと比べて耐酸化性が高く、耐還元性が低い。このため
非水電解液が鎖状フッ素化エーテルを5体積%以上15体積%以下含むこ
とで、耐還元性を大きく損なうことなく、正極におけるフッ素化溶媒の反
応性を適度に下げ、フッ素化溶媒の酸化分解を抑制することができると考
えられる。このようなメカニズムにより、充放電を繰り返した際の容量保
持率を高めつつ、充放電サイクルの初期における放電容量を高めることが
できると考えられる。【0036】以下、本発明の一実施形態に係る非水
電解液二次電池(以下、単に「電池」ともいう。)の構成及び製造方法に
ついて、リチウム二次電池(以下、単に「リチウム電池」ともいう。)を
例に詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成要素の名称は、背景
技術に用いられる各構成要素の名称と異なる場合がある。

【0037】<非水電解液二次電池>
本発明の一実施形態に係る電池は、正極と、負極と、非水電解液とを備える。
【0038】(正極)
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正
極合剤層とを有する。
【0039】正極基材は、導電性を有する。正極基材の材質としては、ア
ルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金
が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの
観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材として
は、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがっ
て、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。
アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2
014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
【0040】正極基材の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10
μmがより好ましい。正極基材の平均厚さの上限としては、50μmが好ま
しく、40μmがより好ましい。正極基材の平均厚さが上記下限以上であ
ることで、正極基材の強度を高めることができる。正極基材の平均厚さが
上記上限以下であることで、電池の体積当たりのエネルギー密度を高める
ことができる。「平均厚さ」とは、任意の十点において測定した厚さの平
均値をいう。他の部材等に対して「平均厚さ」を用いる場合にも同様に定
義される。【0041】
中間層は、正極基材と正極合剤層との間に配される層である。中間層は、
炭素粒子等の導電性を有する粒子を含むことで正極基材と正極合剤層との
接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、樹脂バイ
ンダ及び導電性を有する粒子を含む。「導電性」を有するとは、JIS-
H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω
・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が
10Ω・cm超であることを意味する。
【0042】正極合剤層は、正極活物質を含む。正極合剤層は、必要に応
じて、導電剤、バインダ(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
【0043】本発明の正極には、硫黄系活物質とメソポーラスカーボンと
を複合した硫黄-メソポーラスカーボン複合体が含まれる。なお、ここで
いう複合とは、導電性材料から硫黄系活物質が離脱しない程度に、導電性
材料の表面に硫黄系活物質を固定化することをいう。
【0044】硫黄系活物質としては、単体硫黄、金属硫化物、及び有機硫
黄化合物等を挙げることができる。金属硫化物としては、Li(1
≦x≦8)、MS(M=Ni,Co,Cu,Fe,Mo,Ti、1≦x≦4)
等を挙げることができる。有機硫黄化合物としては、有機ジスルフィド化
合物等を挙げることができる。
【0045】本明細書において、メソポーラスカーボンとは、メソ細孔容
積がミクロ細孔容積よりも大きい多孔性カーボンを意味する。メソ細孔容
積及びミクロ細孔容積はガス吸着法により算出される。具体的には以下の
とおりである。多孔性カーボンの試料を120℃で一晩乾燥する。その後、
この試料の77Kにおける窒素ガスの吸脱着等温線を測定する。測定した
吸脱着等温線の脱着側等温線から、BJH法及びMP法により細孔分布を
計算する。BJH法による計算結果から得られる、直径2nm以上50nm
以下の細孔に由来する細孔容積をメソ細孔容積とする。MP法による計算
結果から得られる、直径2nm未満の細孔に由来する細孔容積をミクロ細
孔容積とする。

なお、多孔性カーボンの試料を、非水電解液二次電池を解体して取り出し
た正極から回収する場合には、次の手順により準備する。まず、非水電解
液二次電池を0.05Cの電流で定電流充電する。定電流充電は、正極の
電位が3V(vs.Li/Li)となる電圧まで行う。次に、電流値が
0.02Cに減少するまで定電圧充電する。その後、非水電解液二次電池
を解体し、正極を取り出す。取り出した正極をDMC(ジメチルカーボネ
ート)で洗浄し、室温にて一昼夜の乾燥後、正極合剤を回収する。この正
極合剤を水で洗浄することで、硫黄-多孔性カーボン複合体を取り出す。
この硫黄-多孔性カーボンを200℃で加熱処理することで、測定に供す
る多孔性カーボンの試料を得る。
【0046】硫黄-メソポーラスカーボン複合体における硫黄系活物質の
含有割合は、50質量%以上95質量%以下であることが好ましい。これ
により、硫黄-メソポーラスカーボン複合体のエネルギー密度を高めつつ
、電子伝導性を高めることができる。
【0047】メソポーラスカーボンの単位質量あたりの全細孔容積は、硫
黄系活物質の放電状態における体積密度の1倍以上2倍以下であることが
好ましい。例えば、硫黄系活物質として充電時における体積密度が0.9
cm-1である単体硫黄を使用し、硫黄-メソポーラスカーボン複合
体における単体硫黄の含有割合を50質量%とする場合、単位質量あたり
の全細孔容積は0.9cm-1以上1.8cm-1以下とすること
が好ましい。これにより、硫黄-メソポーラスカーボン複合体のエネルギ
ー密度を高めつつ、硫黄を細孔内に十分に保持することができる。
【0048】メソポーラスカーボンの単位質量あたりのメソ細孔容積は、
0.50cm-1以上2.0cm-1以下であると好ましく、
0.60cm-1以上1.8cm-1以下であるとより好ましく、
0.70cm-1以上1.5cm-1以下であるとさらに好ましい。
これにより、硫黄-メソポーラスカーボン複合体のエネルギー密度を高め
つつ、正極合剤のかさ密度の低下を抑制することができる。
【0049】メソポーラスカーボンの単位質量あたりのミクロ細孔容積は、
0.18cm-1以上0.50cm-1以下であると好ましく、
0.24cm-1以上0.44cm-1以下であるとより好ましく、
0.30cm-1以上0.38cm-1以下であるとさらに好まし
い。これにより、硫黄-メソポーラスカーボン複合体のエネルギー密度を
高めつつ、正極合剤のかさ密度の低下を抑制することができる。
【0050】メソポーラスカーボンのミクロ細孔容積に対するメソ細孔容
積の比は、下限が1.0以上であればよく、1.5以上であるとより好ま
しく、2.0以上であるとさらに好ましい。これにより、硫黄-メソポー
ラスカーボン複合体における、硫黄系活物質の表面に形成された被膜と、
非水電解液との接触面積を大きくすることができる。ミクロ細孔容積に対
するメソ細孔容積の比の上限は特に限定されないが、例えば10以下であ
ってもよい。これにより、硫黄-メソポーラスカーボン複合体における硫
黄系活物質の電子伝導性を高めることができる。
【0051】メソポーラスカーボンは、log微分細孔容積分布において、
1.0nmから6.0nmの範囲にピークを有することが好ましい。これ
により、細孔内への電解液の浸透性を高めつつ、細孔内に担持される硫黄
系活物質粒子の大きさを小さくすることができる。
【0052】メソポーラスカーボンは、log微分細孔容積分布における
ピークが単一であることが好ましい。これにより、これにより、硫黄-メ
ソポーラスカーボン複合体中の硫黄系活物質粒子の粒子径が均一となり、
硫黄系活物質の利用率を高めることができる。
【0053】メソポーラスカーボンは、log微分細孔容積分布における
ピークの半値幅が、1.0nm以上2.5nm以下であると好ましい。こ
れにより、硫黄-メソポーラスカーボン複合体中の硫黄系活物質粒子の粒
子径が均一となり、硫黄系活物質の利用率を高めることができる。
【0054】メソポーラスカーボンの平均細孔径は、0.5nm以上15
nm以下であると好ましく、0.7nm以上10nm以下であるとより好
ましく、1.0nm以上6.0nm以下であるとさらに好ましい。なお、
ここでいう平均細孔径とは、BJH法により算出した全細孔容積をBET
比表面積で除した値を意味する。平均細孔径をこれらの下限以上とするこ
とで、硫黄-メソポーラスカーボン複合体に含まれる硫黄系活物質粒子の
大きさが小さくなり、イオン伝導性及び電子伝導性を高めることができる。
平均細孔径をこれらの上限以下とすることで、硫黄-メソポーラスカーボ
ン複合体の細孔内への非水電解液の浸透性を高めることができる。
【0055】メソポーラスカーボンのBET比表面積は、1000m
-1以上4000m-1以下であると好ましく、1500m-1
上3500m-1以下であるとより好ましく、2000m-1以上
3000m-1以下であるとさらに好ましい。これにより、硫黄系活
物質とメソポーラスカーボンとの接触面積を大きくすることができる。ま
た、硫黄-メソポーラスカーボン複合体に含まれる硫黄系活物質と非水電
解液との接触面積を大きくすることができる。
【0056】メソポーラスカーボンは、メソ細孔容積がミクロ細孔容積よ
りも大きい多孔性カーボンであればよく、形状及び大きさは特に限定され
ない。【0057】なお、本発明の一実施形態における正極は、硫黄系活
物質に加えて、硫黄系活物質以外の活物質を備えていてもよい。このよう
な活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。具体的に
は、リチウム遷移金属複合酸化物、遷移金属酸化物、ポリアニオン化合物
等を挙げることができる。
【0058】
(任意成分)
正極合剤層は導電剤を含んでもよい。導電剤を含むことで、正極合剤層の
電子伝導性を高めることができる。導電剤は、導電性を有する材料であれ
ば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、黒鉛;ファー
ネスブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;金属;導電性
セラミックス等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が
挙げられる。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレ
ンブラックが好ましい。
【0059】正極合剤層における導電剤の含有量の下限としては、1質量
%が好ましく、3質量%がより好ましい。導電剤の含有量の上限としては、
15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。導電剤の含有量を上
記範囲とすることで、電池の電気容量を高めることができる。
【0060】硫黄-多孔質カーボン複合体を用いる場合、多孔質カーボン
は導電剤としても機能する。このため、硫黄-多孔質カーボン複合体を用
いることで、正極合剤層に上述した導電剤を含まない場合であっても、良
好な電子伝導性を発揮できることが期待される。なお、硫黄-多孔質カー
ボン複合体と導電剤とは併用してもよい。
【0061】多孔質カーボンと導電剤とを併用する場合、正極合剤層にお
ける多孔質カーボン及び導電剤の合計の含有量の上限としては、40質量
%が好ましく、30質量%がより好ましい。
【0062】正極合剤層におけるバインダとしては、正極活物質等を固定
でき、かつ使用範囲で電気化学的に安定であるものが通常用いられる。バ
インダとしては、水系バインダを用いてもよいし、非水系バインダを用い
てもよい。
【0063】水系バインダは、水に分散又は溶解するバインダである。中
でも、20℃において、水100質量部に対して1質量部以上溶解するバ
インダが水系バインダとして好ましい。水系バインダとしては、例えば、
ポリエチレンオキサイド(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレンオ
キサイド(ポリプロピレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリア
クリル酸、ポリメタクリル酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、
スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピ
レン(PP)、ポリエチレンイミン(PEI)、ニトリル—ブタジエンゴ
ム、セルロース等が挙げられる。
【0064】非水系バインダは、N-メチルピロリドン(NMP)等の非
水溶媒に分散又は溶解するバインダである。中でも、20℃において、N
MP100質量部に対して1質量部以上溶解するバインダが非水系バイン
ダとして好ましい。非水系バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリ
デン(PVDF)、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共
重合体(PVDF—HFP)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、
ポリアクリロニトリル、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、セルロースとキト
サンピロリドンカルボン酸塩との架橋重合体、キチン又はキトサンの誘導
体等が挙げられる。
【0065】バインダを用いる場合、バインダが水系であれば水を分散媒
とするペーストを形成し、バインダが非水系であれば非水溶媒を分散媒と
するペーストを形成する。形成したペーストは、正極基材に塗布・乾燥し、
正極合剤層を形成する。ここで、硫黄の昇華する温度は180℃程度であ
ることから、ペーストの分散媒には沸点が180℃よりも低い溶媒を用い
ることが好ましい。沸点が180℃よりも低い溶媒としては、融点が低く、
扱いが容易な水を用いるのが特に好ましい。このような事情から、バイン
ダには水系バインダを用いるのが好ましい。
【0066】正極合剤層におけるバインダの含有量の下限としては、1質
量%が好ましく、3質量%がより好ましい。バインダの含有量の上限とし
ては、15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。バインダの含
有量を上記範囲とすることで、活物質を安定して固定することができる。
【0067】増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(C
MC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチ
ウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基
を失活させてもよい。
【0068】フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプ
ロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオラ
イト、ガラス、アルミナシリケイト等が挙げられる。
【0069】正極合剤層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非
金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典
型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo
、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増
粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
【0070】
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負
極合剤層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で
例示した構成から選択することができる。
【0071】負極基材は、導電性をする。負極基材の材質としては、銅、
ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又は
これらの合金が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負
極基材としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好まし
い。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の
例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
【0072】負極基材の平均厚さの下限としては、3μmが好ましく、5
μmがより好ましい。負極基材の平均厚さの上限としては、30μmが好ま
しく、20μmがより好ましい。負極基材の平均厚さが上記下限以上とす
ることで、負極基材の強度を高めることができる。負極基材の平均厚さが
上記上限以下とすることで、電池の体積当たりのエネルギー密度を高める
ことができる。
【0073】負極合剤層は、負極活物質を含む。負極合剤層は、必要に応
じて導電剤、バインダ(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示し
た材料から選択できる。
【0074】負極合剤層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非
金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典
型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo
、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、
バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
【0075】負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択き
る。リチウム二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを
吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、
例えば、金属Li;Si、Sn、Sb等の金属又は半金属;Si酸化物、
Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;ポリリン酸化
合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭
素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。
【0076】これらの材料の中でも、作動電位が低い材料が好ましい。特
に金属Liを用いるのが好ましい。また本実施形態において、負極活物質
として黒鉛等のLiを含まない材料を用いる場合、正極及び負極いずれか
にリチウムイオンを挿入する工程が必要となる。これに対し、負極活物質
として金属Liを用いれば、上記リチウムイオンを挿入する工程を省ける
ことからも、金属Liが好ましい。負極合剤層においては、これら材料の
1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0077】なお、「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線
回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.
33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒
鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点
で、人造黒鉛が好ましい。
【0078】「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線
回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.
34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素の結晶子
サイズLcは、通常、0.80~2.0nmである。非黒鉛質炭素として
は、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素とし
ては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチ由来の材料、アルコール由来
の材料等が挙げられる。
【0079】ここで、「放電状態」とは、負極活物質として炭素材料を含
む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において
、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。開回路状態での金属Li
対極の電位は、Liの酸化還元電位とほぼ等しいため、上記単極電池にお
ける開回路電圧は、Liの酸化還元電位に対する炭素材料を含む負極の電
位とほぼ同等である。つまり、上記単極電池における開回路電圧が0.7
V以上であることは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵
放出可能なリチウムイオンが十分に放出されていることを意味する。
【0080】「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上
0.42nm以下の炭素材料をいう。難黒鉛化性炭素は、通常、非黒鉛質
炭素の中でも、3次元的な積層規則性を持つ黒鉛構造が生成し難い性質を
有する。
【0081】「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上
0.36nm未満の炭素材料をいう。易黒鉛化性炭素は、通常、非黒鉛質
炭素の中でも、3次元的な積層規則性を持つ黒鉛構造が生成し易い性質を
有する。【0082】
負極合剤層における負極活物質の含有量の下限としては、60質量%が好
ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。負極
活物質の含有量を上記下限以上とすることで、電池の電気容量を高めるこ
とができる。負極活物質の含有量の上限としては、99質量%が好ましく
98質量%がより好ましい。負極活物質粒子の含有量を上記上限以下とす
ることで、負極の製造が容易になる。
【0083】
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータと
して、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双
方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を
使用することができる。セパレータの基材層の材質としては、例えば、織
布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの材質の中でも、
強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観
点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャット
ダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド
等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料
を用いてもよい。
【0084】耐熱層に含まれる耐熱粒子は、大気下で500℃にて重量減
少が5%以下であるものが好ましく、大気下で800℃にて重量減少が5
%以下であるものがさらに好ましい。重量減少が所定以下である材料とし
て無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケ
イ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニ
ウム、酸化アルミニウム-酸化ケイ素複合酸化物等の酸化物;窒化アルミ
ニウム、窒化ケイ素等の窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫
酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結
合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタ
イト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナ
イト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、
2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、酸化ケ
イ素、酸化アルミニウム、又は酸化アルミニウム-酸化ケイ素複合酸化物
が好ましい。【0085】
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電
性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体
積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。【0086】
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを
用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエ
チレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、
ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等
が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、電池の漏液を抑制する効果があ
る。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等
とポリマーゲルを併用してもよい。
【0087】
(非水電解液)
非水電解液は、フッ素化溶媒を含む非水溶媒と、この非水溶媒に溶解され
ている電解質塩とを含む。非水電解液は、フッ素化溶媒として鎖状フッ素
化カルボン酸エステル、鎖状フッ素化カーボネート、又はこれらの組み合
わせを含む。
【0088】非水電解液は、例えば、式(1)で示される鎖状フッ素化カ
ルボン酸エステルを含む。
【化1】
000003
【0089】式(1)中、Rは水素又は1価の有機基であり、Rは1価
の有機基である。R及びRで示される有機基としては、例えば、炭素
数が1~10のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール
基等の炭化水素基や、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原
子(塩素、フッ素、臭素、ヨウ素原子等)、オキシアルキレン基、スルホ
基、チオール基、アルデヒド基、シアノ基、アミド基等の官能基で置換さ
れた炭化水素基、これら炭化水素基において、-O-、-NH-、-N(
CH)-、-SO-、-CO-、-COO-等が介在した基等を挙げ
ることができる。
【0090】
及びRの少なくとも一方は、少なくとも一つの水素原子がフッ素原
子に置換されているフッ素化された炭化水素基である。R及びRは、
のみがフッ素化された炭化水素基であってもよく、Rのみがフッ素
化された炭化水素基であってもよく、いずれもがフッ素化された炭化水素
基であってもよい。

【0091】この鎖状フッ素化カルボン酸エステルとしては、例えば、2,
2-ジフルオロ酢酸メチル、2,2,2-トリフルオロ酢酸メチル、2,
2,2-トリフルオロ酢酸エチル、3,3,3-トリフルオロプロピオン
酸メチル、3,3,3-トリフルオロプロピオン酸エチル、酢酸トリフル
オロメチル、酢酸2,2-ジフルオロエチル、酢酸2,2,2-トリフル
オロエチル、プロピオン酸トリフルオロメチル、プロピオン酸2,2,
2-トリフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピオン酸2,2
,2-トリフルオロエチル等が挙げられる。
【0092】非水電解液は、
例えば、式(2)で示される鎖状フッ素化カーボネートを含む。

【化2】
000004
【0093】
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立で1価の有機基である。R
びRで示される有機基としては、R及びRで例示したものと同様の
有機基等が挙げられる

                     この項つづく
【脚注】
1. 
メソポーラス材料: mesoporous material) は、細孔の直径が 2nm
ら50nmの多孔質材料である。多孔質材料は細孔の大きさに応じていくつ
かの種類に分類される。IUPACの表記によると、細孔の直径が 2 nm 未満
のものはミクロポーラス材料 (microporous material) 、50 nm より大き
いものはマクロポーラス材料 (macroporous material) とされ、メソポー
ラス材料はその中間にあたる。メソポーラス材料の代表例として、同じよ
うな大きさの微細なメソ細孔を持つ二酸化ケイ素メソポーラスシリカ
酸化アルミニウムが挙げられる。メソポーラスな、ニオブタンタル
チタンジルコニウムセリウムスズの各酸化物も報告されている。
IUPACによると、メソポーラス材料には、秩序立ったメソ構造を持つもの
もあれば、無秩序なメソ構造を持つものもある。イオン結晶の物質では、
メソポーラスな構造は単位格子の数を著しく制限するため、固体の化学的
性質を大きく変化させる。例えば、電気活性物質にメソポーラス材料を使
った電池の性能は、そうでないものと比べ、大きく異なっている


窒素含有規則性メソポーラスカーボン (nitrogen-containing ordered
mesoporous carbon, N-OMC) の電子顕微鏡画像。 (a) はチャネル細孔に
沿った方向から、 (b) は、チャネル細孔と垂直な方向から見たもの。
2.  特許6,182,901 カーボン硫黄複合体の製造方法 東レ株式会社
 
 今日の楽曲  映画音楽 『キンムダム』
          『
ONE OK ROCK - Delusion:All
 

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