彦根根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井
伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。
【季語と短歌:11月4日】
文化の日少くなれど増す豊穣
高山 宇 (赤鬼)
【今日の短歌研究:続・MLB2024】
デコピンに映るファンの歓喜の渦を問うも楽しかな
バーコード六ポイントでマイボトルお茶で世界を美しくする
木の衛星宇宙で持続可能よと世に先駆けて打ち上げ準備
再稼働またも停止す女川は不安掻き立て連動する
世の中の民主主義に覆う暗黒危うし人類
⬛ 眼精疲労・血流改善対策はじめる
ω(オメガ)-3とは、魚油に含まれているDHAやEPA、エゴマや亜麻種子
などの植物油に含まれているα-リノレン酸などの脂肪酸の総称をいう。栄
養学では健康のために意識して摂るべき必須脂肪酸として位置づけられて
いる。血流改善やコレステロール値の低下、アレルギー抑制など幅広い効
果が期待されている。最近、何気なく右親指付近の手のひらの付け根の血
管に黒い班状のものがあり、害虫でも侵入している様に見え右の親指で指
先に押し込む様に圧迫し出血させ、消毒し、二日間症状の異変を観察し、
その間、DHAやEPAとアリナミンを服用する。いまのところ異変なく鎮静
化した。以降、経過報告していく。
◾脳や神経に対する効果
ω(オメガ)-3のひとつであるDHAには、脳や神経に密接に関係しており、
不足することで異常が現れる。軽度から中程度のアルツハイマー患者にω
(オメガ)-3を24週間(1.8g/日)摂取させたところ、症状の改善が認め
られた、という報告がある。神経細胞を活性化し、情報伝達をスムーズに
したり、脳機能を活性化させ記憶力や学習能力を高める効果があり、それ
以外に、皮膚のしわやたるみ予防、アンチエイジング効果・うつ症状の軽
減効果、アレルギー抑制効果あり、ω-3を含む食材には、いわしやさばな
どの青魚・亜麻仁油・エゴマ油がある(これは以前に掲載している)。
【関連論文】
・Hatzitolios A, Savopoulos C, Lazaraki G, Sidiropoulos I, Haritanti P,
Lefkopoulos A, Karagiannopoulou G, Tzioufa V, Dimitrios K. 2004
“Efficacy of omega-3 fatty acids, atorvastatin and orlistat in non-alcoholic
fatty liver disease with dyslipidemia.” Indian J Gastroenterol. 2004 Jul
-Aug;23(4):131-4
・マルハニチロは、消費者庁の定める機能性表示食品制度で、DHA/EPA
の血中中性脂肪低下作用、DHAの情報記憶サポート作用、効果効能が表示
できるようになり、DHAの有用性について、特設サイト「DHA Lab.」を
開設している。
⬛ わざと空に「汚染物質」をまいて地球を強制冷却するという恐るべ
期き計画を真剣に議論する時が来ていると気候学者
1991年に起きたフィリピンのピナトゥボ山噴火では、1700万トンもの二
酸化硫黄が成層圏に放出され、北半球の平均気温が約0.5度下がった。
この現象に触発されて気候変動の研究に生涯をささげることを決めたとい
うシカゴ大学のデビッド・キース氏と、同氏が提唱するジオエンジニアリ
ング(気候工学)にまつわる議論について、The New York Timesがまとめ
ている。
※David Keith Has an Idea to Slow Global Warming: Geoengineering -
The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/08/01/climate/david-keith-solar-
geoengineering.html
毎年のように観測史上最高気温が塗り替えられ、気候変動による異常気象
や災害がますます激化するにつれ、人為的に地球環境を操作するジオエン
ジニアリングへの関心が高まっている。こうした議論には、炭素の回収や
雲の太陽光反射率の改善、海洋や植物の炭素吸収能の向上などさまざまな
方法が含まれているが、その中で最も物議を醸しているのが成層圏に二酸
化硫黄を散布するソーラー・ジオエンジニアリング、あるいは太陽放射管
理(SRM)と呼ばれる手法。
例えば、2024年5月には海運業界の排ガス規制強化が「大気汚染物質の減
少」と「海温の上昇」を招いたとの研究結果が報告されたことがある。
キース氏をはじめとするソーラー・ジオエンジニアリングの推進派は、大
気汚染により太陽光が遮られる現象を逆手に取ることで、地球を冷却して
気候変動の影響を相殺することが可能だと主張。キース氏によると、この
技術によって今後100年間の地球温暖化のペースを1度でも鈍化させること
ができれば、10年ごとに数百万人が熱中症で命を落とすのを防げるとのこ
と。また、日照が減少する影響や大気汚染による目や呼吸器の疾患の増加
も、気候変動による健康被害の増加に比べれば軽微であるとキース氏は考
えている。
一方、懐疑派の専門家は気象パターンの乱れによる予測不能な影響や、大
気汚染による健康被害、一度始めたら止めることも引き返すこともできな
いソーラー・ジオエンジニアリングの危険性を理由に、強く反対している。
気候工学が議論されるようになったのは、省エネや再エネなどの「ふつう
の対策」だけでは危険な温暖化を避けられない可能性があるから、とされ
えいる。確かに、現在の各国の排出削減目標はパリ協定の1.5〜2℃目標に
遠く足りず、このままでは気候危機は避けられないという現実は重く受け
止める必要がある。
他方、気候工学がうまくいく見通しも立っていない。IPCC第5次評価報告
書には「…提案されているジオエンジニアリング手法の全てにはリスクと
副作用が伴う。SRMとCDRはともに科学的理解の水準が低いため、これ以
上の結果はまだ予想できない。」とある。
さらに、気候工学の熱心な推進者は米国やサウジアラビアに多く、過去に
地球温暖化の懐疑論を唱えてきた論者と重なる部分もあるとされ、「本当
は化石燃料を使い続ける口実がほしいだけではないか」との不信感を招い
ている。なお、日本国内では、経済産業省や環境省などが気候工学のひと
つに分類されうるCCUSなどを推進している(気候工学に含まない分類の
考え方もある)。政府は、このような技術のイノベーションによって将来
の経済成長につなげたいとの思惑がある。
他方、研究者や環境NGOなどから、数多くの批判や懸念が提起されている。
第1に、そもそも実現不可能という指摘。現時点では、気候工学は、実施
できる段階にありませ、そうなる見込みもたっていない。
第2に、地球・周辺の環境への悪影響です。気候工学によって、生態系や
人類社会に悪影響を及ぼす可能性がある。特に、SAIは、将来的に何らか
の理由で実施できなくなった場合、10〜20年という短期間に急激で破滅
的な気温上昇を招くリスクがある(終端問題と呼ばれる)。
第3に、民主的なガバナンスが困難という点。ごく一部の先進国のごく一
部の科学者や企業の手に地球の気候全体をコントロールしうる気候工学
の実施を委ねてよいのか、仮に委ねるとしてもどうやるのか、という問
題。
第4に、費用の問題。省エネや再エネは投資回収が見込まれるが、気候工
学は持ち出しであって投資回収は不可能。安価な手法もあるとの見解もあ
るが、比較対象や割引率次第で、一概に安価とは言えないとの指摘もある。
また、外部費用(気候工学の実施によって発生する環境への悪影響及びそ
れに起因する被害への対処の費用等)を考慮に入れれば、費用が想定より
も膨れ上がる恐れもある。
第5に、国際平和への脅威です。天候パターンを改変できるようなある種
の気候工学は兵器に転用されるリスクがあるとされる。この観点からは、
研究を進めること自体にも問題がある。
⬛ 気候工学をめぐる国際社会の対応
気候変動枠組条約(UNFCCC)のCOPのサイドイベントなどで気候工学の
リスクについて議論されてきたが、排出削減の具体策について各国の裁量
に任せているUNFCCCのプロセスでは、現時点では気候工学の実施を奨励
したり禁じたりする決定はない。
他方、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10名古屋会議)
は、科学的知見の不足などを理由に、海洋肥沃化を念頭に、気候工学の一
時凍結(モラトリアム)を求める決定を出している。
2019年3月にケニアで開催された国連環境総会(UNEA)でも気候工学に
関する議論があった。全く国際管理やルールのない状態で気候工学の実験
が進められていることを問題視したスイスなど10ヶ国以上が、気候工学の
科学的知見やリスク、不確実性等について評価し、国際管理のやり方につ
いて検討することを求める提案をしたが、ガーディアンの報道によれば、
日本、米国とサウジアラビア、その他の国々が反対し、合意が得られなか
つた。
⬛ 気候工学の議論にどう向き合うか?
気候工学の実施や研究には賛否両論ある。気候工学の研究に補助金を充て
ることや、実際の自然環境で実験することを禁止すべきという主張もある。
ギャンブルのような気候工学よりも、脱化石燃料と再エネ100%への転換
という「ふつうの対策」にこそ限られた資源を割り当てるべきという考え
もある。
気候ネットワークを含む世界の気候変動NGOは、特効薬になる保障もなく、
劇薬となるリスクが大きい気候工学には重大な懸念を持っている。他方、
日本政府は、すでに商業運転されている再エネには抑制的である一方、リ
スクの大きい未知の技術には積極的。危険な賭け事よりも、堅実な再エネ
にこそ税金を使って支援すべきではないか?!
手段に過ぎないはずの技術が目的化し、逆に技術のために人々が犠牲にな
ることは避けなければならない。
⬛ 温室効果ガスを微細な気孔に閉じ込める粉末「COF-999」が開発さ
れた。大気中の二酸化炭素を削減し、気候変動を押さえる効果が期待
されている。
⬛ MITのエンジニアが太陽光発電で1日最大5000リットルのきれいな
水を生成する淡水化システムを開発
【海水有価物回収水素製造並びに炭素化合物製造事業論 ②】
⬛ 日立評論にみる「水素社会貢献事業」への意気込み
1. 再生可能エネルギーを活用した低コストグリーン水素供給
風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用したグリーン水素
の普及をめざし,電力系統と連携させた水素製造技術の開発を進めている。
電力系統と連携する再生可能エネルギーの変動や余剰電力で高効率に水素
を製造に,電力制御設備構成や水電気分解装置の接続構成の最適化と階層
制御に基づいた運転制御方法を開発するとともに,風力などの発電設備の
挙動,電気分解の物理モデルなどから構成される仮想プラントにより検証
を行い,分散サイトから大電力サイトまで適用可能なスケーラブルグリー
ン水素製造システムの開発を行っている。
「水素を活用したグリーンエネルギーシステムについて,産学官と連携し
た実証実験などを通じて,30円/m3以下の低価格なグリーン水素を製造し
国内外の水素普及に貢献していく」と明言。
[01]系統に連系した水電解の階層制御とスケーラブルデザイン
2. 循環型社会実現に向けた人工光合成の開発
地球環境再生・循環型社会実現に向けて,水と大気と太陽光からクリーン
な燃料を直接製造可能な人工光合成の開発を行っている。人工光合成反応
の中でも光触媒・光電極を用いた水分解水素製造(ソーラー水素)やソー
ラー燃料は,簡易な構造で実現できるため有望な技術。従来の光触媒は紫
外光を利用しているため,太陽光に含まれるわずかなエネルギーしか活用
できない。これに対して日立は,太陽エネルギー変換効率の向上をめざし
て可視光応答材料の開発を行っており,シミュレーションやマテリアルズ
インフォマティクスを活用し,酸硫化物・酸窒化物などの最適な材料・構
造の開発を進めている。
将来的には,無機材料デバイス技術とバイオ技術の融合により大気中のCO2
を利用し,従来の化学合成では製造困難な医薬品や繊維などの高付加価値
物質を,環境負荷ゼロで再資源化する人工光合成技術にも取り組み,技術を
通して社会課題の解決をめざすとのこと。
【関連特許事例】
◾特開2024-095341 光触媒装置 株式会社日立製作所
【要約】
下図1のごとく、光起電力作用を両極で利用すると共に、光触媒作用と光起
電力作用を共役させて、光エネルギを利用した電極上の酸化還元反応によ
って効率的に物質変換を行う光触媒装置1は、アノードとして機能する第
1電極10と、カソードとして機能する第2電極20とを備え、第1電極
10は、光透過性および導電性を有する第1透明導電基板(11,12)
と、第1透明導電基板(11,12)上に配置されており、光を吸収して
電子と正孔を生じる第1光発電層14と、第1光発電層14上に配置され
ており、光を照射されて酸化反応を触媒する光触媒層15とを有し、第2
電極20は、光透過性および導電性を有する第2透明導電基板(21,22)
と、第2透明導電基板(21,22)上に配置されており、光を吸収して
電子と正孔を生じる第2光発電層24と、第2光発電層24上に配置され
ており、還元反応を触媒する触媒層27とを有する。
図1.光触媒装置を模式的に示す図
図2 本発明の第2実施形態に係る光触媒装置を模式的に示す図
ードとして機能する第1電極10や、カソードとして機能する第2電極20
や、電解槽100,200等を備えている。本実施形態に係る光触媒装置
2が、前記の光触媒装置1と異なる点は、第1電極10の光触媒層15の
表面に、助触媒16に代えて、助触媒層17が形成されている点である。
図3.第3実施形態に係る光触媒装置を模式的に示す図
本実施形態に係る光触媒装置3が、前記の光触媒装置1と異なる点は、第
1電極10に絶縁体18が埋設されており、第1電極10の電極要素が絶
縁体18によってセル構造に細分化されている点である。光触媒装置3の
他の主要な構成は、前記の光触媒装置1と同様である。
図4. 第4実施形態に係る光触媒装置を模式的に示す図
る第1電極10や、カソードとして機能する第2電極20や、電解槽100,
200等を備えている。本実施形態に係る光触媒装置4が、前記の光触媒
装置1と異なる点は、第1電子輸送層13の第1光発電層14側の表面に
細線構造19が形成されている点である。光触媒装置4の他の主要な構成
は、前記の光触媒装置1と同様。
本実施形態に係る光触媒装置5が、前記の光触媒装置1と異なる点は、導
電反射層26と触媒層27との間に導電密着層28が形成されており、第
2電極20に絶縁体29が埋設されている点である。光触媒装置5の他の
主要な構成は、前記の光触媒装置1と同様である。
図6. 従来の光触媒電極の電極電位と電流密度との関係の一例を示す図
図6に示すように、光照射を行わなかった場合、光触媒電極の電極電位は
上昇せず、光電流が流れない結果となった。一方、光照射を行った場合、
光触媒電極の電極電位が光触媒作用によって上昇し、電極電位に応じた光
電流が流れた。図6では、光触媒作用によって1.5V以上の電極電位が
発生した。
【図7】従来の光触媒電極の出力時間と電流密度との関係の一例を示す図
図8 光触媒電極の電極電位と電流密度との関係の一例を 示す図
図9. 光触媒電極の電極面積毎の出力時間と電流密度との関
係の一例を示す
9. 日立北大ラボ:持続可能な地域社会の実現に向けた地産地
消自立型エネルギーシステムの開発
日立北大ラボでは,北海道大学や他のステークホルダーと連携して,北海
道における過疎化,少子高齢化などの社会課題解決と持続可能な地域社会
の実現に向け,健康・農食・エネルギーが連携した共生のまちづくりを推
進。
地域における地産地消低炭素な電力供給と災害時も供給可能な電力網の構
築をめざして,岩見沢市と連携して,地産地消自立型エネルギーシステム
の実証設備を構築した。本設備は地域の未利用資源や太陽電池で発電した
電力を自動操縦ドローンなどに活用することで,農業の低炭素化に貢献す
る。さらに,本設備は既存の電力系統に頼らない自立運転が可能であり,
災害時は自立した電力供給によって地域の防災機能強化に貢献できる。
今後,産学官地域連携を通じて本設備のフィールド実証と技術開発を加速
し,地産地消エネルギーを活用した地域産業の持続的な発展に寄与すると
ともに,地域に安心・安全な生活基盤の提供をめざす。
⬛ 温度差発電システムと技術現状
非原子力・ゼロカーボン発電及び蓄電リサイクルシステム構想で遅れてい
事業分野で「温度差発電」。今回、その分野の現状を調べてみる。
◾海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion:OTEC)
表層の温かい海水(表層水)と深海の冷たい海水(深層水)との温度差を
利用する発電技術。海洋の表層 100m 程度までの海水には、太陽エネルギ
ーの一部が熱として蓄えられており、低緯度地方ではほぼ年間を通じて26
~30℃程度に保たれている。一方、極地方で冷却された海水は海洋大循環
に従って低緯度地方へ移動する。移動に従い、周辺の海水との間に温度差
が生じ密度が相対的に大きい極地方からの冷たい海水は深層へと沈み込ん
でいく。この表層水と深層 600~1,000m に存在する1~7℃程度の深層水
を取水し、温度差を利用して発電する。海洋温度差エネルギーは、昼夜の
変動がなく比較的安定したエネルギー源であり、季節変動が予測可能であ
るため、ベース電源として使え、計画的な発電が可能となる。
(1)発電方式1
海洋温度差発電のシステムは、蒸発器、タービン、発電機、凝縮器、作動
流体ポンプ、表層水ポンプ、深層水ポンプで構成され、各機器はパイプで
連結されている。主な発電方式として、⓵オープンサイクル、②クローズ
ドサイクル、⓷ハイブリッドサイクルの3種類がある。
【ポテンシャル】IEA-OES4の資料によると、世界の海洋温度差エネルギー
の理論的な年間発電量は、10,000TWhとされている。
(2)日本
図表 7.12に日本の経済水域内におけるポテンシャル試算例を示す。日本の
経済水域内の熱エネルギーの総量は106,000TWhと試算されており、この
うち1%を電力として取り出した場合でも発電電力量は1,060TWhとなり、
日本の年間電力需要をまかなえる規模となる5。また、これは約1億トンの
石油に相当するエネルギー量である。なお、海洋温度差発電のポテンシャ
ルをさらに正確に見積もるためには、海象条件、気象条件等の詳細な調査
が必要であり、今後の課題の一つに挙げられる。
⬛発電と蓄電の機能を併せ持つ熱電蓄電池システム
◾ IoT用センサーのバッテリーフリーを可能に
東北大学マイクロシステム融合研究開発センターおよび大学院工学研究科
機械機能創成専攻の小野崇人教授らによる研究グループは2019年1月、温
度差で発電し蓄電機能も併せ持つ、新たな原理の「熱電バッテリー」を開
発したと発表した。IoT(モノのインターネット)用センサーなどのバッテ
リーフリーを可能とする技術として期待される。(EE Times Japan)新たに
開発した熱電バッテリーは、ナノメートルサイズのチャネル(貫通穴)に
おける熱浸透流を活用して発電する。蓄電は、温度差がないと電解液中の
イオンによりナノチャネルが閉じてしまうことを利用するという。
熱電バッテリー素子の模式図とその原理図 出典:東北大学
一般的に、ナノチャネル内部では、イオンが移動することにより電気二重
層と呼ばれるイオン層が形成される。チャネルの寸法が小さいと、電気二
重層により電気は流れない。一方、素子の両端に温度差が生じると、ナノ
チャネル内の電気二重層の厚さ分布が変わる。そして圧力(熱キャピラリ
ー力)により、低温側から高温側へとプラスイオンによる熱浸透流が生じ
る。今回試作した熱電バッテリーは、電解液を入れた容器(セル)の両端
に金属電極を設けた。セル内部は、直径10nmのナノチャネルが高密度に
形成された薄膜で2つに分割された構造となっている。
研究グループは、この素子の両端に温度差を与え、その時の温度差と出力
電圧あるいは出力密度を測定した。この結果、30℃の温度差において、250
μW/cm2の出力密度を得られることが分かった。また、出力を開放にして
電荷の保持特性も評価した。そうしたところ、電荷は48時間以上経過した
後で6割以上も保持されることが判明した。
これらの実験結果から、発電性能と発電容量は既存の固体熱電素子と同等
電容量の実現を目指すとともに、2022年にはIoTセンサー向けサンプル品
の供給を始める予定。
⬛ 超電導体を利用し環境発電機能を実証
環境発電とは、身の回りにある様々な“揺らぎ”から、使える電力を取り出
す技術。例えば、熱エネルギーという揺らぎを⓵電力に変換する熱電変換
素子、②マイクロ波を電流へと変換するレクテナなど。このような揺らぐ
エネルギーから電力を得るためには、一般に整流効果と呼ばれる現象が必
要だとされる。整流効果を利用している代表的なものといえば、ダイオー
ドが挙げられる。電子回路などに使われるダイオードは、n型半導体とp型
半導体を結合させる。n型半導体とp型半導体の界面では、原子スケールの
長さで電気的な性質が大きく変わり、非常に大きな電気的なバリアが形成
うる。このため一方向に電流が流れ、整流効果を発現する。 このような整
流効果を生み出す仕組みは、環境発電をはじめとして現代の電子機器の核
となる要素技術で、ダイオードのような人工的な構造物や、対称性を下げ
た材料を利用して、新たな整流素子を生み出そうとする研究である。
図1.実験に使用した試料と測定セットアップの模式図。ガドリニウムガ
リウムガーネット(GGG)基板上にYIG単結晶を成長させた試料に、MoG
eをスパッタリング成膜している。MoGe膜上に、電気測定(電流(I)、
電圧(V))の電極を作製した。磁場(B)はMoGe膜の面内方向に印加す
る。
⬛ スピン熱電発電素子と電気二重層キャパシタで発電充電
スピンゼーベック効果によるスピン熱電 (STE:spin thermoelectric) 発電
電圧VSTEを測定することを目的としてペルチェ素子を用いた電圧測定器を
作製した。STE 素子は,フェリ磁性絶縁体とパラ磁性金属の二層構造で現
在の商用ゼーベック熱電発電素子より小型化が可能であり,形状の自由度
が大きい。また,STE による電力を蓄電するために,「電気二重層キャパ
シタ (EDLC:Electric Double Layer Capacitor)」との組み合わせによる充電
システムを検討。
作製したスピン熱電発電測定器を用いて,STE 素子のVSTE を測定して,
有用なデータを得ることができた。用いた液相成長 (LPE:Liquid Phase
Epitaxy) のイットリウム鉄ガーネット (YIG:Yittrium iron garnet) 磁性薄
膜で,STE素子の高い発電電圧が得られることがわかった。しかし,発電
電圧を更に向上させる必要がある。我々は素子の白金膜長を長くすること
に着目している (Figure3)。白金膜の抵抗値R=ρℓ/S に基づき、ℓに例えば
これまでの 3 倍の長さを考えると,3倍のVSTEを得ることができる。高い
VSTEを得るためには更に複数個直列に接続することも必要となる。
⬛ 送電ロスがゼロ? 超電導送電の最新動向 2024.07.24
億kWhになり、100万kW級の発電所がフル稼働した場合に5年以上。超電
導送電は、高温超電導材料でケーブルを製造し、液体窒素で冷却しながら
送電を行う技術。実用化されている超電導機器の多くは、液体ヘリウム温
度(-269℃)で超電導状態になる物質が使われているため、冷却コストが
高いという欠点がある。
図3: 超電導材料の変遷
出典: 株式会社三菱総合研究所「超電導技術の将来展望」
図8: 大仁駅に導入されたシステムの概要 出典: 公益財団法人 鉄道総合技
術研究所
※ 水素として分散送達するか超電導ケーブルで集中送達するか、実用速
度・コスパ・ローリスクインパクト他の評価計量法の要調査。
今日のカバー曲集 『13年ぶりの「風」 22才の別れ~海岸通』