南極大陸の一部では、主に降水量の増加で氷の量は増えているかもしれないが、同大陸全体
でみた場合、氷の量は大きく減少している。この氷河系は均衡が崩れており、氷が解けるペ
ースは氷河流による補充を上回っている。
アラ・カゼンダール(Ala Khazendar)
【RE100倶楽部:オールソーラー技術粛々と向上】
26日、東京都地球温暖化防止活動推進センタは、スマートエネルギー都市の実現に向け、再生可能エネルギーの
普及啓発に取り組んでいるが、同センターはスターバックス コーヒー ジャパン株式会社と連携し、移動可能で店
舗等でも導入しやすい新型シティチャージをモデル設置すると公表。それによると、シティチャージは、太陽光パ
ネルからの電気でスマートフォンなどの充電が手軽にできるソーラー充電スタンド。太陽光発電を身近に感じるこ
とができ、外国人旅行者へのおもてなしにも資するもので、非常用電源としても活用可能。センタでは、昨年10
月より東京タワーなど都内3か所に日本初となるシティチャージを設置。今後、シティチャージの一層の普及を図
るとのこと。
当の シャープは、高効率な化合物太陽電池が発電した電気をスマートフォンなどの充電に利用できる椅子型「ソー
ラー充電スタンド」を開発。今般、公益財団法人東京都環境公社(東京都環境公社)が再生可能エネルギーの普及啓
発に向けて推進する「シティチャージ普及促進事業」の設置事業者に応募し採用され、開発した椅子型の「ソーラ
ー充電スタンド」は、背もたれの裏側に人工衛星などに採用されている高効率な化合物太陽電池を搭載しました。
約30%の高い変換効率を実現、テラス席など屋外に設置することで効率良く発電できる。利用者は座ってコーヒ
ーを飲みながら、手軽にスマートフォンなどを充電できる。また、発電した電気は、座面の下に搭載した蓄電池に
蓄えられるので、日照量が少ない時でも利用可能です。椅子型なので移動も簡単。当社は、昨年も東京都環境公社
の同事業の設置事業者に選定され、日本で初めの「シティチャージ」として、東京タワーの近くにソーラー充電ス
タンドを設置し、旅行者などからご好評をはくし、今後も太陽光発電システムを活用したエネルギーソリューショ
ンの提供に取り組んとでアナウンスする。
NEDO技術開発機構
● カネカ 結晶シリコン太陽電池モジュールで世界最高変換効率
27日、カネカは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで、結晶シリコン型太陽電池モ
ジュールで世界最高となる変換効率24.37%達成したことを発表。20年に14円/kWh(業務用電力価格並)、
30年に7円/kWh(従来型火力 発電並)とする発電コスト目標の達成に向け高効率結晶シリコン太陽電池の技術
開発。 これまで、結晶シリコン太陽電池(ヘテロ接合バックコンタクト型)1セルにおいて世界 最高の変換効率
26.333%を実用サイズ(180平方センチメートル)で達成している(2016年9月14日付ニュースリリース)。
ところで、太陽電池は、通常複数の太陽電池セルを接続し、強化ガラス等で表面を保護した太陽電池モジュー ルに
組み立て使用。今回の太陽電池モジュールは結晶シリコン太陽電池(ヘテロ接合バック コンタクト型)セル108
枚を使い、さらにモジュール内での抵抗損失を最小限にセル間配線技術やモジュールに照射された光の収集効率を
高める技術などを新たに開発することで、結晶シリコン太 陽電池モジュールとして世界最高の変換効率24.37
%(モジュール面積 513,177平方センチメートル)を実現。今回NEDOが太陽光発電開発戦略で掲げる発電
コスト目標(2020年14円/ kWh)実現の目安の一つであるモジュール変換効率22%を世界で最も普及している結
晶シリコン太陽電池モジュールで上回り今後発電コスト目標達成に向けて大きく前進する。
● ペロブスカイト太陽電池1000時間以上性能安定
国立研究開発法人物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点 韓 礼元 上席研究員をはじめとする研究
グループは、ペロブスカイト太陽電池のホール輸送層に用いる新規添加剤を開発し、安定性を大幅に向上させるこ
とに成功。暗所保存では1000時間を経ても性能の劣化が見られず、連続光照射下においても初期効率の85%
まで劣化するのに要する時間は従来の添加剤より6倍長くなり、安定性が大幅に改善されたことを公表。これで、
ペロブスカイト太陽電池の実用化への取り組みが加速するだろう。
塗布プロセスで製造可能なペロブスカイト太陽電池は20%以上の変換効率が報告されてから大きな注目が集まり、
現在世界中で熾烈な研究開発競争が行われている。その結果、効率は着実に向上してきたが、安定性には大きな課
題が残されている。特に酸化チタン/ペロブスカイト/ホール輸送層で構成された順セル構造のペロブスカイト太陽
電池は最も高い変換効率を示していますが、安定性が非常に低く、光照射のない状態でも劣化が進み、200時間
で約3割も変換効率が低下する。そのため安定性の低さの原因究明と新規材料開発による長期安定性の向上が、実
用化のために大きな課題となっていた。
この成果のポイントは、順セル構造のホール輸送層に用いるピリジン系の添加剤T
この成果は、順セル構造のホール輸送層に用いるピリジン系の添加剤TBP(シャリーブチルピリジン)に着目。
実験結果の解析によりTBPとペロブスカイト材料が化学反応を起こすことが安定性を低下させる大きな原因であ
ることを突き止める。さらに、赤外分光やX線回折による分析の結果、反応は主にピリジン環にある窒素原子とペ
ロブスカイト結晶の間で生じる。そこで、この反応を防ぐために、窒素原子の隣接位置にアルキル基を導入するこ
とで、立体障害効果 (二つの反応原子を空間的に近づくことを防ぐこと) が生じ、この化学反応の抑制に成功。そ
の結果、新規ピリジン誘導体を用いたペロブスカイト太陽電池は、暗所において11000時間を経ても性能の低
下が認められませんでした。連続光照射下においても、初期の変換効率から85%まで劣化する時間が、従来の添
加剤の場合は25時間弱だったものが、今回開発した新規添加材を使用すると150時間まで伸ばすことができ、安
定性が6倍以上改善したことになる。この「立体障害」を人工的に作製することができれば、機能性有機化合物特
有の"ターンオーバー"(ルーチン限界回数)が克服できるため、仮に、30%超の変換効率×10年間(1日3.5
時間稼働)できれば、7円/キロワットアワーはたやすく実現する。そのらめには(1)立体障害作製方法と(2)
変換効率向上技術の研究開発が焦点となる。
Antarctic glacier thinning more rapidly than thought – study
● 南極の氷河、予想以上に急速に減少
25日、西南極(West Antarctica)にある巨大氷河では、7年間で最大500メートルの厚さの氷が失われ、科学
者らの予想を超える急速なペースで氷河が減少していると発表。米航空宇宙局(NASA)による上空からの調査で
収集されたデータに基づく研究では、南極のアムンゼン海(Amundsen Sea)に注ぐスミス氷河(Smith Glacier)は
02~09年の期間に年間最大70メートル薄くなった。論文の主執筆者で、NASAジェット推進研究所の研究者
アラ・カゼンダール(Ala Khazendar)は「1種類の測定器だけで収集されたデータを使っていたら、目にしている
結果を信用しようとは思わなかっただろう。それほど、薄化の度合いが大きかった」と述べる。つまり、氷の厚さ
を測定するアイスレーダーと、レーザー高度測量の両方で同じ結果ということが決め手となる。カゼンダールは英
科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された論文で報告。
スミス氷河では、09年以降も氷塊の消失が続いたが、そのペースはわずかに減速したと、カゼンダールは話して
いる。より精度の低い測定技術を用いたこれまでの研究では、スミス氷河から延びる2つの棚氷は、同期間に年間
約12メートル薄くなったと推算。この研究結果は、温度が上昇した海水が南極の氷河の底部、特に氷河が海と接
触する「接地線」付近を以前より速いペースで浸食していることを示す新たな証拠となる。「南極大陸の一部では、
主に降水量の増加で氷の量は増えているかもしれないが、同大陸全体でみた場合、氷の量は大きく減少している。
この氷河系は均衡が崩れており、氷が解けるペースは氷河流による補充を上回っている」と。
Nature Communications 7, Article number: 13243 (2016)
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