KK早朝じゃらんじゃらん
キナバル山へのピックアップは7時半。
ホテルエデン54にレストランはない。
この時間帯だと、24時間営業のムスリムレストランしかやっていないかも…と思いつつ、朝飯求めて午前6時のじゃらんじゃらん。
市場に行ったら、ナシブンクスくらいは買えるんじゃないかなと、早朝営業確実の市場に行くことにした。
空は晴れ。
なんとかこのまま1日もって~!
新記肉骨茶横のクダイコピ前を通ると白髪のオバチャンが激しくガン見してくる。
どっかで見たことあるオバチャン…。
通り過ぎてから思い出したが、アンズホテル下の、レモンチキンがおいしい發記のオバチャンだった。
長年發記で仁王立ちしていたが、おととしは新記にいて、けさはそのおとなり。
夜、新記が満席になると、隣の店に入れてバクテ食べさせるから、たぶん同族経営で、3店はきっとファミリーなんだろう。
オバチャンがこの時間にここで仁王立ちをしているとゆーことは、もうオープンしてるってことか…。
でも、市場、行っとこう。
人も車も少ない、静かな朝のKK。
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もちろん、市場に行けば、昼となんらかわりない人の数。
結局、市場は見学だけにして、目抜き通りに戻った。
この時間は、横断し放題。
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ガヤストリートに戻り、まだ準備中やシャッターが降りたまんまの店が多い中、もう開けている中華系クダイコピにてきとーに入る。
たぶん、このあたりのレストランは全店制覇してるかと思うが、どこで何を食べたかなんて、もう覚えちゃいない…。
今朝は炭水化物炭水化物したものが食べたくて、麺麺したパンミーにした。
パンミーを頼むと、冷蔵庫から何やらかたまりを取り出し、店主っぽい人がパスタマシーンみたいのをぐるぐる。
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具をよけるとパンミーが出てくる。
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塩味で、さっぱり。
葉物で繊維、海藻でミネラル、干し魚でカルシウム、バランスよく栄養とれて、悪くない。
ただ、まだ早朝で涼しいと思っていたが、すっかり大汗。
そうこうするうちに、時計は間もなく7時。
いいかげん戻らなくちゃ。
だけどその前に、忘れちゃいけないレッドブル。
セブンに寄って1本GET。
250mlカンがRM6.00だから安い。
今飲んだって、登山開始前に効果は消えそうだけど、気休めに。
キナバルパークへのドライブ
ホテルに戻ってチェックアウト。
レセプションには、サバハンサバハンしたおっちゃんがいて、お食事中のところに私がヌッと現れたので、驚かれた。
でも、愛想はいい。
「明日また戻ってくるから」といらない荷物を預けて下に降りる。
前回は、まったくの個人手配だったが、今回のキナバル山1泊2日と航空券はボルネオ専門旅行会社のジスコにお願いした。
日本人相手のジスコだから、7:30ジャストに、へたすりゃ時間より早くピックアップに来るとふんだが、なかなか来ない。
まあ、気長に待とう。
今回の旅は弾丸なので、あさって7時25分のフライトでもう帰る。
ちょうど48時間前なので、ホテルのワイヤレスがつながっているうちに、オンラインチェックインをしておきたいが、ホテルのワイヤレスは微弱。
画面が落ちたり、いらいらチェックインを試みていると、10分ほど遅れてワンボックスが着いた。
車内にはすでに6-7人の日本人男女が乗っていた。
私のあとにベルジャヤパレスでもひとり拾ってラナウへ向かう。
Safariでなかなかプルダウンがうまく動作せず、チェックインがやっと完了した頃には、もうリカス。
パケ代までかけて、高いチェックイン…
車がトゥアランからラナウ方面に曲がると、やがてキナバル山が前方に現れた。
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登り道は、タワウ-センポルナ間同様、走れないローリーが前に立ちはだかり、見通しのよい道になれば、チャンスと追い抜き。
キナバル山を眺めるには、進行方向に向かって左手に座っているのが有利。
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キナバル山はどんどん大きくなるが、車窓からだと常に電線や電柱と一緒。
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やがて、フルーツやスナック、土産物の並ぶ、昔懐かしい感じの販売所が数件並ぶところで車は止まった。
おっさんが現れ、ワンボックスの扉ががらーんと開くと、「VIEW POINT」とひとこと。
なるほど、目の前には、青いキナバル山が雄大にそびえている、すばらしい眺め。
キナバルパークまであと20分というところで、フォトタイム兼休憩。
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天気がよくて暑い。
イヌネコが、みな死んだかのように、手足をだらーんと投げ出して寝転んでいるが近づけば面倒くさそうに生き返る。
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見慣れない植物もいっぱい。
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ビューポイントを出発し、さらに標高が高くなると、もくもくと雲がわいてきて、さっきまでの青い空、白い雲のさわやかな世界から一転、どんよりとしたグレーの世界に転じてしまった。
気持ちもよどんでゆく…。
公園事務所到着
個人手配のように、入園料、ガイド代、ポーター代と、つど払わなくていいので、面倒はない。
入山前のペーパーワークも、保険手続きも、パスポートチェックもない。
さすがジスコ経由といったところ?
公園事務所の中に入ることすらない。
ただ、私が買おうと思っていた木の杖を売る少年たちがいない。
前回はガイドがストックを貸してくれて、転ばぬ先の杖の重要性は認識していたが、1回だけの登山にストックを買おうとは思えず、現地で木の杖を買えばいいや、エコだしー、と思っていたのだ。
同じ車で来たみなさんは、山ガール・山ボーイらしく、全員、山仕様のリュックにストック持参。
キナバル山って、ダイビングのついでに登って帰る人多かったし、誰でも登れるというのがウリのわりには、私以外、みんな本格派っぽい。
公園事務所から出てきたおっちゃんは、「本当は、一組ごとにガイドをつけなければならないけれど、ハイシーズンなのでガイドが全然足りない。だから悪いけど3人。」との言いわけ。
そしてドゥスン族であろう、小柄なローカルガイドが3人。
名まえはフェリックスと、あとのふたりはドゥスンネームと思われ、一度では覚えられない。
フェリックスは、セレベス・エクスプローラのジェリーを彷彿させる体型と顔だちでメガネ。
あとは地味なおじさん、といっても30代か?
それと、髪の毛頑張ってツンツン立たせた若者。気ーつよそー。
ポーターに預ける荷物をよけて、ランチを受け取る。
みんな荷物が少なめなので、ガイド3人で数個ずつに分けて背負い、ガイドとポーター兼務するスタイル。
IDをもらったら、ブリーフィングらしいブリーフィングはなく、バスに乗ってスタート地点ティムポホンゲートへ。
10:36 Timpohon Gate着
事務所からティムポホンゲートまで、バスで約10分くらいだっただろうか?
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保護区のかんばん。
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バスを降りたら、また100メーターくらい歩いて、スタート地点のチェックポイントへ。
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10:39 Timpohon Gate 発
ゲストでいちばん慣れてるっぽい人を先頭に10:39スタート。
前回よりスタートが2時間も遅いんですけど…。
私、日没までにラバンラタ小屋に着けるんだろうか?
さて、キナバル山登山のスタートは、下りからはじまる。
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これが帰りには、最後の一撃って感じになるんだ。
そして、3~4分で滝が現れる。
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案の定、みなさんはベテランのようで歩みが早い。
私はさっさと息があがったので、後にいた人びとに先に行ってもらうことにした。
赤土。
次々と現れる階段。
やっぱり、登山って最悪だー。
前に行く男女は、何が楽しくて、山ガール、山ボーイをやってんだろ?
最悪なんだけど、予想通り後悔してるんだけど、この浄化される感覚はなに?
マイナスイオンをひしひしと感じる。
空気が、ほんとうに、超おいしいのだ。
最初の500メートルでの大発汗で、これまでの毒素が全部排出されてゆくのを感じる…。
そして、早い人たちがどんどん下山してくる。
パパに手をひかれたマレーの男の子は足取りも軽く、そしてトゥドゥンをかぶった運動しなそうなママと、ママに手をひかれた女の子も、難なく降りてくる。
日本人は「こんにちは。頑張ってください。」と感じよく、外人は「Good luck」と言う。
私は、Good luckというのが上から目線に聞こえて、なんかやだ。
それは、私が初めて読んだ洋書がサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」で、Good luckという言葉をクソくらえと思っている主人公がインプットされているからなんだろうな…。
11:02 KM1.0
みんなのペースに引きずられて、1キロ地点に到達。
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ガイドは後から歩いてくるので、慣れている人びとが、ピッチャープラントを見つけてくれる。
でも、ボケた。
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11:43 KM2.0
そして、2キロ地点。
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息苦しかったのは、最初の500mで、あとは息は切れしても、そんなにゼーハーゼーハーはいわない。
これは日ごろのカーディオトレーニングのおかげ?
でも、どんだけ毎日運動していても、この山登りってアクティビティがつらいことには変わりがないし、体重が減っても、脚の骨がつながっていても、歩くスピードは、ちっとも早くならない。
やっぱりむかない…。
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それにしても、みんなはえーよ。
そして、また、ベテランさんたちが見つけたお花。
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11:56 Pondok Lown
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水をごくごく。
トイレを使った人たちが、トイレが滝のように流れると感動していた。
この前は、トイレに入った友だちが、「前の人のうんこがずっと流れへんのや。次の人がウチのウンコと思うんやでー」とぶつぶつ言ってたから、改善したのか?
ものすごい発汗で、トイレに行きたくはならない。
ガイドはみんなの荷物をかついで、後方から余裕でやってくる。
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木々は幽玄な感じで佇み…。
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シダ類って、太古な感じがする。
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12:25 KM3.0
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ああ、やっと3キロ。まだ3キロ。
げんなりうんざりと行った顔で歩いていて、元気に降りてきた日本人の若者に道を譲ったら、「朝日がキレイでしたよ。頑張ってください」と励まされた。
12:43 Pondok Mempening
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13:05 KM3.5
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ラヤンラヤン小屋って、もっと早く現れなかったっけ?
もう少しでラヤンラヤン小屋というところで、日本人のおばさんがのびていた。
ここまでは元気に歩いてきたんだろうに、もったいない。
13:40 ラヤンラヤン小屋
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ラヤンラヤン小屋で昼食。
ボックスランチの中身はサンドイッチとりんご。
ローカルランチの方がいいのに…。
500mlのミネラルウォーターが1本入ってて、ミネラルウォーターはみんな持っているのに重くさせよってとムカついてみる。
このシェルター界隈のリスはたちが悪い。
ベンチに荷物を置いていたりすると、図々しく飛びついたり、東京のカラス根性である。
同じ車で来たベテランさんがチョコをくれた。
ここでも、同じ車で来た人たちは、さっさと出発。
さっきのびていたおばさんが、みんなに運ばれて来た。
ラヤンラヤン小屋のところには、他にも若めの日本人男子が1グループいた。
雨が降って来た。
ダイソーの雨具を着てみる。
13:55 KM4.0
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このあたりをすぎると、大腿部の外側が、動きたいようには動かない感覚になった。
まあ、ワークアウトで使う筋肉とは違うわけでしようがないのだが…。
ラヤンラヤン小屋にいた日本人男子たちは、元気に歩いているように見えるが、よく休憩してた。
これが一般人だと思う。
やはりガイドははるか後ろとのこと。
この人たちも、チョコをくれたり励ましてくれたりした。
山ボーイ、山ガールって、感じがいいのね。
しばらくすると、後からぷっくりしたローカルの女性ガイドが来て、「あなたのガイドは前?後?」と声をかけられた。
「後から來る」と答えるが、「ID見せて」と言われ、「私のグループじゃないわね。」とひと言。
お客さんを覚えてないのね…。
それにしても、この女性ガイド、おなかも段腹だし、贅肉多しだけど、登れる人なんだ。
なんか、一生懸命やってきた日頃のワークアウトがむなしく感じたひととき。
灌木メインになり、木々で暗い感じはなくなってきた。
それにしても、もー、石は大小様々だし、水はちょろちょろ流れてるし、やだーーーー!
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14:55 KM5.0
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標高3000Mの高所に来たら、息切れ感はたいしてないのに、クウキを吸っても吸っても、なんか吸い足りないような気がする。
そのせいかちょっと歩くと立ち止まりたくなる。
そしてますます、大腿部の外側を司る筋肉に力が入らない。
もっと早く歩きたいが、この大腿部の外側の脱力感で、思うような高さ、スピードで脚が持ち上がらない。
前回の記憶は、延々と続く階段への嫌悪感が色濃いが、このあたりで、こんなに手こずった記憶がない。
鮮明に覚えているつもりでも、やはり10年ぶりだから、前回の記憶はあてにならないのかも。
突然、雲がとぎれ、おごそかに浮かび上がるキナバル山。
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そして、どろどろの山道。
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振り向けば、どんより。
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15:40 KM5.5
あと500mだ…。
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たかが500、されど500。
気温が低く、iPhoneでの写真は曇ってしまったし、バッテリー消耗して、この1枚を撮ったら、iPhone自ら電源オフしてしまった。
私ももう、iPhoneのごとくフェイントしそう。
結局、いつの間にか近くについてきてくれていた気ーつよそーな若者ガイドに付き添われ、小屋が登場。
ワラス小屋だ。
ワラス小屋からラバンラタまでの距離は、記憶の中にあった位置関係より近くて、すぐにバンラタ前の砂利引きのヘリスペースに着いた。
ガイドに「Welcome to Laban Rata…」と言われ、小屋に足を踏み入れたとき、時計は16:20。
6時間弱かかってしまった。
ラバンラタ小屋 年越しは仮眠
先に着いていたフェリックスが部屋に連れていってくれ、扉を開けると「あ、ごめんなさい!ここは男子部屋!」
と思ったら、男女混合相部屋であった。
同じ車でやってきて、私よりうんと早くここにたどり着いていた日本人の男女が5人。
同じ車で来たのに、二部屋に分かれたもよう。
みんなナイスな山ガールに山ボーイだった。
というよりは、みんな本気のクライマーさんたちだった。
みんな、ほぼ毎月山行ってるようだし、ネパール、キリマンジャロといった山アウトサイダーの私でも知っているビッグネームがぽんぽん飛び出す。
なんとか連峰縦走とか、すごいすごい。
部屋には二段ベッドが4つ置かれており、上段には柵がない…。
衣類はかかっているが、だれもいない二段ベッドがひとつ。
誰もまだそのベッドの人には会っておらず、誰かは謎とのこと。
ラバンラタの夜は早い。
16:30から早くも夕食で、みんなでダイニングに降りるが、ほぼ満卓状態で、みんなで座れるような場所はなく分散。
そしてここで新たに出会った日本人も皆、気合の入った登山者のみ。
それに10年前とちがって、日本人登山者がものすごく若返っている。
もしかして、登山ってブーム?
ダイバーは高齢化がすすむ一方なのに。
かんじんの夕食。
品数豊富で、味もまあまあ。
だって山小屋なのに、中華鍋からは炎があがるほど。
サユルマニスがあったのがうれしい!
そして、サバティーがおいしい。
外は雲海で、サンセットは無理そう。
部屋に戻り、シャワーは水という噂なので、全員がパス。
山ガールたちは、こざっぱりしているわりには、そこんとこずぼらであった。
まあ、ダイバーは潮でガビガビのままじゃ、ちょっときついもんなー。
みんなよりひと足先に部屋に戻り、誰もいないからと盛大に着替える。
ほどなくみんなが帰って来た。
しばらく雑談して、トイレに行って戻ってくると、空いていたベッドの下段で毛布にくるまって抱き合う男女ふたり。
こんなことをするのは外人に違いない。
なにやら英語で内緒話だか、愛を語りあってんだか。
でも、男性はUKな発音だし、女性はアジアなまり。
そのまま二人仲良く就寝かと思いきや、眠るときはじゃっ、て感じで男性は上段へ上がっていった。
サミットトレイルは2:45出発。
朝食が2時からなので、その間に食べておいてくださいとのこと。
協議の結果、1時半にアラームをセットすることに決定。
そして、18:30にはみんな就寝。
「よいお年を」がおやすみのあいさつ。
雨で冷えた体がなかなか温まらない。
階下からはクリスマスソングが流れてくるし、足音はするし、ちょびっと寒いし、眠気が来ない。
寝なければという焦りで、ますますさえざえ。
やっとうとうとしたと思えば、廊下を歩く誰かの足音で覚醒。
さらに隣の部屋からは、日本人が、山についてなんか語ってる声が耳につき眠れない。
しだいに、こんどは体が暖まりすぎて眠れない。
トイレにゆきたいが、面倒くさい。
もんもんとしているうちに、周囲は静まり返り、トイレにゆくのもはばかられる。
延々眠気がさしてこないので、もう年あけたんじゃないかと時計をみたら、まだ22:30。
アラームまで3時間。
3の倍数寝るのがいいんだから、なんとか寝なくちゃ。
が、しかし、眠れない。
トイレは行きたいし、うー、いまいちど時計をみたら23:30。
今年の老廃物は今年のうちに出しとけ!
きしむ床をふみしめながら、トイレにゆき、これで落ち着くかと思いきや、ぜんぜん眠くならない。
ま、昔、シパダンで「彼女は決して眠らない」と言われた不夜城説もあった私である。
そうそう普段寝てない時間に眠れるわけがないのだ。
横になっているだけでも体は休まるもの、言い聞かせて、とうぶんアラームが鳴らないことを祈るのであった。
キナバル山へのピックアップは7時半。
ホテルエデン54にレストランはない。
この時間帯だと、24時間営業のムスリムレストランしかやっていないかも…と思いつつ、朝飯求めて午前6時のじゃらんじゃらん。
市場に行ったら、ナシブンクスくらいは買えるんじゃないかなと、早朝営業確実の市場に行くことにした。
空は晴れ。
なんとかこのまま1日もって~!
新記肉骨茶横のクダイコピ前を通ると白髪のオバチャンが激しくガン見してくる。
どっかで見たことあるオバチャン…。
通り過ぎてから思い出したが、アンズホテル下の、レモンチキンがおいしい發記のオバチャンだった。
長年發記で仁王立ちしていたが、おととしは新記にいて、けさはそのおとなり。
夜、新記が満席になると、隣の店に入れてバクテ食べさせるから、たぶん同族経営で、3店はきっとファミリーなんだろう。
オバチャンがこの時間にここで仁王立ちをしているとゆーことは、もうオープンしてるってことか…。
でも、市場、行っとこう。
人も車も少ない、静かな朝のKK。
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もちろん、市場に行けば、昼となんらかわりない人の数。
結局、市場は見学だけにして、目抜き通りに戻った。
この時間は、横断し放題。
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ガヤストリートに戻り、まだ準備中やシャッターが降りたまんまの店が多い中、もう開けている中華系クダイコピにてきとーに入る。
たぶん、このあたりのレストランは全店制覇してるかと思うが、どこで何を食べたかなんて、もう覚えちゃいない…。
今朝は炭水化物炭水化物したものが食べたくて、麺麺したパンミーにした。
パンミーを頼むと、冷蔵庫から何やらかたまりを取り出し、店主っぽい人がパスタマシーンみたいのをぐるぐる。
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具をよけるとパンミーが出てくる。
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塩味で、さっぱり。
葉物で繊維、海藻でミネラル、干し魚でカルシウム、バランスよく栄養とれて、悪くない。
ただ、まだ早朝で涼しいと思っていたが、すっかり大汗。
そうこうするうちに、時計は間もなく7時。
いいかげん戻らなくちゃ。
だけどその前に、忘れちゃいけないレッドブル。
セブンに寄って1本GET。
250mlカンがRM6.00だから安い。
今飲んだって、登山開始前に効果は消えそうだけど、気休めに。
キナバルパークへのドライブ
ホテルに戻ってチェックアウト。
レセプションには、サバハンサバハンしたおっちゃんがいて、お食事中のところに私がヌッと現れたので、驚かれた。
でも、愛想はいい。
「明日また戻ってくるから」といらない荷物を預けて下に降りる。
前回は、まったくの個人手配だったが、今回のキナバル山1泊2日と航空券はボルネオ専門旅行会社のジスコにお願いした。
日本人相手のジスコだから、7:30ジャストに、へたすりゃ時間より早くピックアップに来るとふんだが、なかなか来ない。
まあ、気長に待とう。
今回の旅は弾丸なので、あさって7時25分のフライトでもう帰る。
ちょうど48時間前なので、ホテルのワイヤレスがつながっているうちに、オンラインチェックインをしておきたいが、ホテルのワイヤレスは微弱。
画面が落ちたり、いらいらチェックインを試みていると、10分ほど遅れてワンボックスが着いた。
車内にはすでに6-7人の日本人男女が乗っていた。
私のあとにベルジャヤパレスでもひとり拾ってラナウへ向かう。
Safariでなかなかプルダウンがうまく動作せず、チェックインがやっと完了した頃には、もうリカス。
パケ代までかけて、高いチェックイン…
車がトゥアランからラナウ方面に曲がると、やがてキナバル山が前方に現れた。
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登り道は、タワウ-センポルナ間同様、走れないローリーが前に立ちはだかり、見通しのよい道になれば、チャンスと追い抜き。
キナバル山を眺めるには、進行方向に向かって左手に座っているのが有利。
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キナバル山はどんどん大きくなるが、車窓からだと常に電線や電柱と一緒。
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やがて、フルーツやスナック、土産物の並ぶ、昔懐かしい感じの販売所が数件並ぶところで車は止まった。
おっさんが現れ、ワンボックスの扉ががらーんと開くと、「VIEW POINT」とひとこと。
なるほど、目の前には、青いキナバル山が雄大にそびえている、すばらしい眺め。
キナバルパークまであと20分というところで、フォトタイム兼休憩。
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天気がよくて暑い。
イヌネコが、みな死んだかのように、手足をだらーんと投げ出して寝転んでいるが近づけば面倒くさそうに生き返る。
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見慣れない植物もいっぱい。
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ビューポイントを出発し、さらに標高が高くなると、もくもくと雲がわいてきて、さっきまでの青い空、白い雲のさわやかな世界から一転、どんよりとしたグレーの世界に転じてしまった。
気持ちもよどんでゆく…。
公園事務所到着
個人手配のように、入園料、ガイド代、ポーター代と、つど払わなくていいので、面倒はない。
入山前のペーパーワークも、保険手続きも、パスポートチェックもない。
さすがジスコ経由といったところ?
公園事務所の中に入ることすらない。
ただ、私が買おうと思っていた木の杖を売る少年たちがいない。
前回はガイドがストックを貸してくれて、転ばぬ先の杖の重要性は認識していたが、1回だけの登山にストックを買おうとは思えず、現地で木の杖を買えばいいや、エコだしー、と思っていたのだ。
同じ車で来たみなさんは、山ガール・山ボーイらしく、全員、山仕様のリュックにストック持参。
キナバル山って、ダイビングのついでに登って帰る人多かったし、誰でも登れるというのがウリのわりには、私以外、みんな本格派っぽい。
公園事務所から出てきたおっちゃんは、「本当は、一組ごとにガイドをつけなければならないけれど、ハイシーズンなのでガイドが全然足りない。だから悪いけど3人。」との言いわけ。
そしてドゥスン族であろう、小柄なローカルガイドが3人。
名まえはフェリックスと、あとのふたりはドゥスンネームと思われ、一度では覚えられない。
フェリックスは、セレベス・エクスプローラのジェリーを彷彿させる体型と顔だちでメガネ。
あとは地味なおじさん、といっても30代か?
それと、髪の毛頑張ってツンツン立たせた若者。気ーつよそー。
ポーターに預ける荷物をよけて、ランチを受け取る。
みんな荷物が少なめなので、ガイド3人で数個ずつに分けて背負い、ガイドとポーター兼務するスタイル。
IDをもらったら、ブリーフィングらしいブリーフィングはなく、バスに乗ってスタート地点ティムポホンゲートへ。
10:36 Timpohon Gate着
事務所からティムポホンゲートまで、バスで約10分くらいだっただろうか?
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保護区のかんばん。
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バスを降りたら、また100メーターくらい歩いて、スタート地点のチェックポイントへ。
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10:39 Timpohon Gate 発
ゲストでいちばん慣れてるっぽい人を先頭に10:39スタート。
前回よりスタートが2時間も遅いんですけど…。
私、日没までにラバンラタ小屋に着けるんだろうか?
さて、キナバル山登山のスタートは、下りからはじまる。
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これが帰りには、最後の一撃って感じになるんだ。
そして、3~4分で滝が現れる。
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案の定、みなさんはベテランのようで歩みが早い。
私はさっさと息があがったので、後にいた人びとに先に行ってもらうことにした。
赤土。
次々と現れる階段。
やっぱり、登山って最悪だー。
前に行く男女は、何が楽しくて、山ガール、山ボーイをやってんだろ?
最悪なんだけど、予想通り後悔してるんだけど、この浄化される感覚はなに?
マイナスイオンをひしひしと感じる。
空気が、ほんとうに、超おいしいのだ。
最初の500メートルでの大発汗で、これまでの毒素が全部排出されてゆくのを感じる…。
そして、早い人たちがどんどん下山してくる。
パパに手をひかれたマレーの男の子は足取りも軽く、そしてトゥドゥンをかぶった運動しなそうなママと、ママに手をひかれた女の子も、難なく降りてくる。
日本人は「こんにちは。頑張ってください。」と感じよく、外人は「Good luck」と言う。
私は、Good luckというのが上から目線に聞こえて、なんかやだ。
それは、私が初めて読んだ洋書がサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」で、Good luckという言葉をクソくらえと思っている主人公がインプットされているからなんだろうな…。
11:02 KM1.0
みんなのペースに引きずられて、1キロ地点に到達。
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ガイドは後から歩いてくるので、慣れている人びとが、ピッチャープラントを見つけてくれる。
でも、ボケた。
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11:43 KM2.0
そして、2キロ地点。
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息苦しかったのは、最初の500mで、あとは息は切れしても、そんなにゼーハーゼーハーはいわない。
これは日ごろのカーディオトレーニングのおかげ?
でも、どんだけ毎日運動していても、この山登りってアクティビティがつらいことには変わりがないし、体重が減っても、脚の骨がつながっていても、歩くスピードは、ちっとも早くならない。
やっぱりむかない…。
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それにしても、みんなはえーよ。
そして、また、ベテランさんたちが見つけたお花。
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11:56 Pondok Lown
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水をごくごく。
トイレを使った人たちが、トイレが滝のように流れると感動していた。
この前は、トイレに入った友だちが、「前の人のうんこがずっと流れへんのや。次の人がウチのウンコと思うんやでー」とぶつぶつ言ってたから、改善したのか?
ものすごい発汗で、トイレに行きたくはならない。
ガイドはみんなの荷物をかついで、後方から余裕でやってくる。
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木々は幽玄な感じで佇み…。
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シダ類って、太古な感じがする。
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12:25 KM3.0
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ああ、やっと3キロ。まだ3キロ。
げんなりうんざりと行った顔で歩いていて、元気に降りてきた日本人の若者に道を譲ったら、「朝日がキレイでしたよ。頑張ってください」と励まされた。
12:43 Pondok Mempening
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13:05 KM3.5
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ラヤンラヤン小屋って、もっと早く現れなかったっけ?
もう少しでラヤンラヤン小屋というところで、日本人のおばさんがのびていた。
ここまでは元気に歩いてきたんだろうに、もったいない。
13:40 ラヤンラヤン小屋
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ラヤンラヤン小屋で昼食。
ボックスランチの中身はサンドイッチとりんご。
ローカルランチの方がいいのに…。
500mlのミネラルウォーターが1本入ってて、ミネラルウォーターはみんな持っているのに重くさせよってとムカついてみる。
このシェルター界隈のリスはたちが悪い。
ベンチに荷物を置いていたりすると、図々しく飛びついたり、東京のカラス根性である。
同じ車で来たベテランさんがチョコをくれた。
ここでも、同じ車で来た人たちは、さっさと出発。
さっきのびていたおばさんが、みんなに運ばれて来た。
ラヤンラヤン小屋のところには、他にも若めの日本人男子が1グループいた。
雨が降って来た。
ダイソーの雨具を着てみる。
13:55 KM4.0
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このあたりをすぎると、大腿部の外側が、動きたいようには動かない感覚になった。
まあ、ワークアウトで使う筋肉とは違うわけでしようがないのだが…。
ラヤンラヤン小屋にいた日本人男子たちは、元気に歩いているように見えるが、よく休憩してた。
これが一般人だと思う。
やはりガイドははるか後ろとのこと。
この人たちも、チョコをくれたり励ましてくれたりした。
山ボーイ、山ガールって、感じがいいのね。
しばらくすると、後からぷっくりしたローカルの女性ガイドが来て、「あなたのガイドは前?後?」と声をかけられた。
「後から來る」と答えるが、「ID見せて」と言われ、「私のグループじゃないわね。」とひと言。
お客さんを覚えてないのね…。
それにしても、この女性ガイド、おなかも段腹だし、贅肉多しだけど、登れる人なんだ。
なんか、一生懸命やってきた日頃のワークアウトがむなしく感じたひととき。
灌木メインになり、木々で暗い感じはなくなってきた。
それにしても、もー、石は大小様々だし、水はちょろちょろ流れてるし、やだーーーー!
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14:55 KM5.0
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標高3000Mの高所に来たら、息切れ感はたいしてないのに、クウキを吸っても吸っても、なんか吸い足りないような気がする。
そのせいかちょっと歩くと立ち止まりたくなる。
そしてますます、大腿部の外側を司る筋肉に力が入らない。
もっと早く歩きたいが、この大腿部の外側の脱力感で、思うような高さ、スピードで脚が持ち上がらない。
前回の記憶は、延々と続く階段への嫌悪感が色濃いが、このあたりで、こんなに手こずった記憶がない。
鮮明に覚えているつもりでも、やはり10年ぶりだから、前回の記憶はあてにならないのかも。
突然、雲がとぎれ、おごそかに浮かび上がるキナバル山。
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そして、どろどろの山道。
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振り向けば、どんより。
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15:40 KM5.5
あと500mだ…。
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たかが500、されど500。
気温が低く、iPhoneでの写真は曇ってしまったし、バッテリー消耗して、この1枚を撮ったら、iPhone自ら電源オフしてしまった。
私ももう、iPhoneのごとくフェイントしそう。
結局、いつの間にか近くについてきてくれていた気ーつよそーな若者ガイドに付き添われ、小屋が登場。
ワラス小屋だ。
ワラス小屋からラバンラタまでの距離は、記憶の中にあった位置関係より近くて、すぐにバンラタ前の砂利引きのヘリスペースに着いた。
ガイドに「Welcome to Laban Rata…」と言われ、小屋に足を踏み入れたとき、時計は16:20。
6時間弱かかってしまった。
ラバンラタ小屋 年越しは仮眠
先に着いていたフェリックスが部屋に連れていってくれ、扉を開けると「あ、ごめんなさい!ここは男子部屋!」
と思ったら、男女混合相部屋であった。
同じ車でやってきて、私よりうんと早くここにたどり着いていた日本人の男女が5人。
同じ車で来たのに、二部屋に分かれたもよう。
みんなナイスな山ガールに山ボーイだった。
というよりは、みんな本気のクライマーさんたちだった。
みんな、ほぼ毎月山行ってるようだし、ネパール、キリマンジャロといった山アウトサイダーの私でも知っているビッグネームがぽんぽん飛び出す。
なんとか連峰縦走とか、すごいすごい。
部屋には二段ベッドが4つ置かれており、上段には柵がない…。
衣類はかかっているが、だれもいない二段ベッドがひとつ。
誰もまだそのベッドの人には会っておらず、誰かは謎とのこと。
ラバンラタの夜は早い。
16:30から早くも夕食で、みんなでダイニングに降りるが、ほぼ満卓状態で、みんなで座れるような場所はなく分散。
そしてここで新たに出会った日本人も皆、気合の入った登山者のみ。
それに10年前とちがって、日本人登山者がものすごく若返っている。
もしかして、登山ってブーム?
ダイバーは高齢化がすすむ一方なのに。
かんじんの夕食。
品数豊富で、味もまあまあ。
だって山小屋なのに、中華鍋からは炎があがるほど。
サユルマニスがあったのがうれしい!
そして、サバティーがおいしい。
外は雲海で、サンセットは無理そう。
部屋に戻り、シャワーは水という噂なので、全員がパス。
山ガールたちは、こざっぱりしているわりには、そこんとこずぼらであった。
まあ、ダイバーは潮でガビガビのままじゃ、ちょっときついもんなー。
みんなよりひと足先に部屋に戻り、誰もいないからと盛大に着替える。
ほどなくみんなが帰って来た。
しばらく雑談して、トイレに行って戻ってくると、空いていたベッドの下段で毛布にくるまって抱き合う男女ふたり。
こんなことをするのは外人に違いない。
なにやら英語で内緒話だか、愛を語りあってんだか。
でも、男性はUKな発音だし、女性はアジアなまり。
そのまま二人仲良く就寝かと思いきや、眠るときはじゃっ、て感じで男性は上段へ上がっていった。
サミットトレイルは2:45出発。
朝食が2時からなので、その間に食べておいてくださいとのこと。
協議の結果、1時半にアラームをセットすることに決定。
そして、18:30にはみんな就寝。
「よいお年を」がおやすみのあいさつ。
雨で冷えた体がなかなか温まらない。
階下からはクリスマスソングが流れてくるし、足音はするし、ちょびっと寒いし、眠気が来ない。
寝なければという焦りで、ますますさえざえ。
やっとうとうとしたと思えば、廊下を歩く誰かの足音で覚醒。
さらに隣の部屋からは、日本人が、山についてなんか語ってる声が耳につき眠れない。
しだいに、こんどは体が暖まりすぎて眠れない。
トイレにゆきたいが、面倒くさい。
もんもんとしているうちに、周囲は静まり返り、トイレにゆくのもはばかられる。
延々眠気がさしてこないので、もう年あけたんじゃないかと時計をみたら、まだ22:30。
アラームまで3時間。
3の倍数寝るのがいいんだから、なんとか寝なくちゃ。
が、しかし、眠れない。
トイレは行きたいし、うー、いまいちど時計をみたら23:30。
今年の老廃物は今年のうちに出しとけ!
きしむ床をふみしめながら、トイレにゆき、これで落ち着くかと思いきや、ぜんぜん眠くならない。
ま、昔、シパダンで「彼女は決して眠らない」と言われた不夜城説もあった私である。
そうそう普段寝てない時間に眠れるわけがないのだ。
横になっているだけでも体は休まるもの、言い聞かせて、とうぶんアラームが鳴らないことを祈るのであった。