私が毎朝緑地公園を散歩していた頃、同じく散歩中の人の犬が草むらに向かってやたら吠えている。飼い主もしきりに覗き込んでいる。
私も気になって行ってみると、見たこともないような鳥がいた。大きさはアヒルほどで、おでこのあたりが赤い色をしていた。ガチョウか、直感的にそう思った。この緑地公園にはよくペットなどが捨てられるのだ。
このガチョウ、それから毎日見かけるようになり、だんだん水辺に近づいていってついには水の上だけになった。そしていつの間にか水鳥に混じって行動するようになった。それはそれでめでたしめでたしなのだが、そう簡単にはいかない問題があったのだ。それはガチョウの声である。
「ギャーギャー」とそれはうるさい。池が見えなくなっても聞こえるくらいである。あいつあれで皆とうまくやっていけるのかなあ、といつもその様子が気になっていた。しかしやはり現実はそう甘くなかった。水鳥たちもあの声には閉口したのか、次第に距離を置くようになり、群れから外れるようになった。
やがてカレは完全に孤立し、いつも一羽で皆の後を追っかける感じになっていた。相変わらずあの声は「ギャーギャー」と遠くまで響き渡っていた。私は公園に行く度カレは元気でやっているか気になって池に目をやるのだったが、実際は目をやらなくても「ギャーギャー」とその声でわかるのだった。
そのうち私が会社に勤めるようになり、緑地公園から足が遠のいてしまった。それでもたまには公園に行くので、あの声を聞いては、あいつ元気なんだ、と安堵感を覚えるのだった。どのくらい経った頃だろうか、しばらくぶりに公園に行ってみるとあいつの声が聞こえないのである。池を見回しても姿は見えない。それっきりあいつの姿は見なくなってしまった。
水鳥たちは相変わらずすいすい泳ぎ回り以前の静かな池に戻っていた。居れば居たでうるさかったが、居ないとさみしい思いがするものである。あいつはどこへ行ってしまったのか、私は池を後にしながら今にもあいつの「ギャーギャー」が背中から聞こえてきそうな気がした…。
私も気になって行ってみると、見たこともないような鳥がいた。大きさはアヒルほどで、おでこのあたりが赤い色をしていた。ガチョウか、直感的にそう思った。この緑地公園にはよくペットなどが捨てられるのだ。
このガチョウ、それから毎日見かけるようになり、だんだん水辺に近づいていってついには水の上だけになった。そしていつの間にか水鳥に混じって行動するようになった。それはそれでめでたしめでたしなのだが、そう簡単にはいかない問題があったのだ。それはガチョウの声である。
「ギャーギャー」とそれはうるさい。池が見えなくなっても聞こえるくらいである。あいつあれで皆とうまくやっていけるのかなあ、といつもその様子が気になっていた。しかしやはり現実はそう甘くなかった。水鳥たちもあの声には閉口したのか、次第に距離を置くようになり、群れから外れるようになった。
やがてカレは完全に孤立し、いつも一羽で皆の後を追っかける感じになっていた。相変わらずあの声は「ギャーギャー」と遠くまで響き渡っていた。私は公園に行く度カレは元気でやっているか気になって池に目をやるのだったが、実際は目をやらなくても「ギャーギャー」とその声でわかるのだった。
そのうち私が会社に勤めるようになり、緑地公園から足が遠のいてしまった。それでもたまには公園に行くので、あの声を聞いては、あいつ元気なんだ、と安堵感を覚えるのだった。どのくらい経った頃だろうか、しばらくぶりに公園に行ってみるとあいつの声が聞こえないのである。池を見回しても姿は見えない。それっきりあいつの姿は見なくなってしまった。
水鳥たちは相変わらずすいすい泳ぎ回り以前の静かな池に戻っていた。居れば居たでうるさかったが、居ないとさみしい思いがするものである。あいつはどこへ行ってしまったのか、私は池を後にしながら今にもあいつの「ギャーギャー」が背中から聞こえてきそうな気がした…。