つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

三鬼の句

2006-11-04 08:13:06 | 俳句
水枕ガバリと寒い海がある

この句は俳人西東三鬼の代表句である。
私は以前のブログでも、自分に衝撃を与えた
俳句と俳人を紹介したが、この西東三鬼も好きな俳人の
一人である。

恐るべき君らの乳房夏来たる

なーんて分かりやすいし、男心の夏の到来を素直に
表現している。

俳句は自分の志向に合った俳人の影響を受けるし、
私淑もする。それは必ずしも一人に限らないので、私のように
何人かに及ぶ場合も少なくない。

算術の少年しのび泣けり夏

三鬼は歯科医であり、髭と帽子がトレードマークの
ダンディーな人だったという。

私は三鬼の句は尊敬するとか、私淑してその影響を
強く受けるとかというより、生理的に“好きな俳句”という
感が強い。

枯蓮のうごく時きてみなうごく
手品師の指いきいきと地下の街
微熱ありきのうの猫と沖をみる
中年や遠くみのれる夜の桃
元日を白く寒しと昼寝たり
秋の暮大魚の骨を海が引く
広島や卵食う時口ひらく
限りなく降る雪何をもたらすや

など、分かり易くて奥が深い。考えてみると
先人の俳人達は、色々な俳句の道を切り開いてくれている。
我々はその後を歩いて行くわけなのだが、それが歩きやすくもあり、また
難しくもある。しかし戦争の最中にそれこそ命を張って
切り開いたことを思えば、感謝しつつ歩かなければならないと思う。

限りなく降る雪何をもたらすや

この先人の思いは後人に何をもたらすのか。
重く受け止め、一歩一歩着実に歩いて行こうと思う。
そして

この道は行く人ぞなき秋の暮

芭蕉

このようにまだ誰も行ったことのない自分だけの道を
探し歩かなければならないと思う。
コメント
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