「ガングリオンですね」と女医さんはキッパリ言った。
「ガ…ガングリ…お…ん」この微妙なニュアンスが脳内に響きわたった。
実は脳のMRIを撮るにあたり、カミさんと来ていたのだ。
「後で御親族の方と一緒にいらしてください」。などと
言われるのはかなわないからである。
MRIが午前10時頃に終了して、診察が12時の予定なので
2時間も空いてしまう。そこで外でお茶でも飲んでランチ
でも食べて診察を受けようかと、思ったのだが、外は土砂降りの雨。
仕方なく院内の食堂で、二人コーヒーを飲んで時間をつぶすことにした。
「これどうしようかなあ」とカミさんに手の甲にできた1センチ大の
瘤を見せた。まるで骨が出てるように硬くて丸い瘤なのだ。
一週間ほど前から目立つようになったのだ。
「ヤダ~気持ちワル~イ」と最初に見せた時、カミさんと娘は口をそろえた。
「丁度時間あるし、診てもらったら」とカミさんも言うので、
冒頭のやりとりになったのである。
ここは大きい大学病院なので、大抵の科は揃っている。
そして、いま整形外科にいるのだ。
「手を洗ってきてください」と女医さん。
石鹸できれいに洗う。「バイキンが入るといけませんからね」
「エッ…てことは今すぐ…」「今からハリで刺します。
そこから粘っこい液が出れば、間違いなくガングリオンです」。
「骨かと思ったんですが、液ですか」「骨は一、二週間で
出てくるようなことはありませんよ」と笑っておっしゃる。「なるほど」
「横になってください」。私はベッドに右手を差し出すようにして
横たわった。「ちょっとチクッとしますよ」
この予告は良いのか悪いのか、いつもチラリと頭をかすめるのだが、
ままよ…と目をつぶった。
そして微妙な間合いの後にチクリ、ときた。
「出ましたねえ、間違いなくガングリオンです」。
「今からこれを吸い出します、そうするとこの瘤はなくなる
ハズです」。「ちょと我慢してくだいね」
「…ツ、ツ、」どうやら吸い出してるらしくちょっと痛い。
しかしほんの数分で終わった。
「傷口にテープを張りますから約2分ぐらい押さえていて
ください」。
先生にお礼を言って診察室を出てきた。
体の各関節部には、潤滑液みたいなものがあって、
それが何らかの原因で、液を入れてる袋みたいなとこが
破れて洩れ出たらしい。その良性の腫瘍のことを「ガングリオン」
というのだそうで心配はいらないという。
待っていたカミさんに説明すると「ふ~んそれが、ガン…」
「ガングリオン」と私。
とにもかくにもホッとした。「腹減ったなあ飯でも食うか」
脳の診察まで丁度1時間ほどあったので、いいタイミングで
院内の食堂で食事することが出来たのだった。
お茶を飲みつつ、ちょっと血がにじんですっかり凹んだ
ガングリオン跡をしみじみ眺めてみるのだった。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en2.gif)
「ガ…ガングリ…お…ん」この微妙なニュアンスが脳内に響きわたった。
実は脳のMRIを撮るにあたり、カミさんと来ていたのだ。
「後で御親族の方と一緒にいらしてください」。などと
言われるのはかなわないからである。
MRIが午前10時頃に終了して、診察が12時の予定なので
2時間も空いてしまう。そこで外でお茶でも飲んでランチ
でも食べて診察を受けようかと、思ったのだが、外は土砂降りの雨。
仕方なく院内の食堂で、二人コーヒーを飲んで時間をつぶすことにした。
「これどうしようかなあ」とカミさんに手の甲にできた1センチ大の
瘤を見せた。まるで骨が出てるように硬くて丸い瘤なのだ。
一週間ほど前から目立つようになったのだ。
「ヤダ~気持ちワル~イ」と最初に見せた時、カミさんと娘は口をそろえた。
「丁度時間あるし、診てもらったら」とカミさんも言うので、
冒頭のやりとりになったのである。
ここは大きい大学病院なので、大抵の科は揃っている。
そして、いま整形外科にいるのだ。
「手を洗ってきてください」と女医さん。
石鹸できれいに洗う。「バイキンが入るといけませんからね」
「エッ…てことは今すぐ…」「今からハリで刺します。
そこから粘っこい液が出れば、間違いなくガングリオンです」。
「骨かと思ったんですが、液ですか」「骨は一、二週間で
出てくるようなことはありませんよ」と笑っておっしゃる。「なるほど」
「横になってください」。私はベッドに右手を差し出すようにして
横たわった。「ちょっとチクッとしますよ」
この予告は良いのか悪いのか、いつもチラリと頭をかすめるのだが、
ままよ…と目をつぶった。
そして微妙な間合いの後にチクリ、ときた。
「出ましたねえ、間違いなくガングリオンです」。
「今からこれを吸い出します、そうするとこの瘤はなくなる
ハズです」。「ちょと我慢してくだいね」
「…ツ、ツ、」どうやら吸い出してるらしくちょっと痛い。
しかしほんの数分で終わった。
「傷口にテープを張りますから約2分ぐらい押さえていて
ください」。
先生にお礼を言って診察室を出てきた。
体の各関節部には、潤滑液みたいなものがあって、
それが何らかの原因で、液を入れてる袋みたいなとこが
破れて洩れ出たらしい。その良性の腫瘍のことを「ガングリオン」
というのだそうで心配はいらないという。
待っていたカミさんに説明すると「ふ~んそれが、ガン…」
「ガングリオン」と私。
とにもかくにもホッとした。「腹減ったなあ飯でも食うか」
脳の診察まで丁度1時間ほどあったので、いいタイミングで
院内の食堂で食事することが出来たのだった。
お茶を飲みつつ、ちょっと血がにじんですっかり凹んだ
ガングリオン跡をしみじみ眺めてみるのだった。
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