つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

魂を売ることなかれ

2008-01-13 05:56:39 | ちょっとした出来事
自費出版最大手のS社が経営困難に陥ったと、
TVのニュースが伝えた。

「エーッ」と驚いたが、この驚きは“早い”という
驚きで、遅かれ早かれこんなことに…と感じていたのである。

新聞やTVで大々的に「あなたの本を出しませんか」と
広告を出し、賞などを設けて出版意欲をあおり、応募してきた人に
共同出版をすすめるのである。

数百万という、通常の自費出版にかかる費用以上の出資をさせて
利益を生むというシステムのようなのだ。

昨年数人の著者から。全国の有名書店に著書が置かれるといううたい文句が
実行されていないと、訴えられたのである。

こうなると当然ながら、出版する人が減るので、その数で
利益を生んでいたシステムが機能しなくなってしまうのである。

私が読んだある記事では、S社の出版数は講談社を超えたと
書いてあったのだ。

予測はしていたものの、我が心中は暗澹たる思いである。

友人2人がこのS社から本を出しているのだ。
私が知る限り、2人の作品には編集が関与した形跡がないのである。

私が四コマ漫画家の新人時代時代、作品の一本一本について編集者と
かんかんがくがく、やりあって完成させていた。

編集者もその作品が読者に受け入れられるかどうか、責任を
負っているので、必死なのである。

こうして完成させた作品が、やっと雑誌に載せてもらえるのだ。
いわば編集者との共同作業の結晶なのである。

ましてやそれが一冊の本で共同出版となると、何日も編集者とやりとりをして、
最高の完成を目指すのが当然なのである。

本というのはそこまでしても、中々売れないのが現状なのだ。

作者へ丸投げの本なんて、超有名作家か大ベテラン作家ぐらいの
ものであろう。

実際に我が友人も才能あふれる2人だっただけに、もっと
編集がかかわって、作品の完成度はかくあるべきと教えて
ほしかったのだ。

こうして作家を育てていくのも編集者の大事な仕事なのである。
だから作品に関与しないというのは、編集者としての仕事を
放棄しているのである。

社の方針で、じくじたる思いで仕事をこなしている編集者も
少なくないのではないだろうか。

仮にも編集者という職を得た人の本分は何なのか、胸に手を
当てて考えてもらいたいのである。

そして自分自身の人生を大切にしてもらいたいのだ。

“汝魂を売りたもうな”この一言をエールとして送りたい。



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