その表情は暗かった。
「おれはどうしてここに居るんだ、どうしてこんなところで
働いているんだ」そう顔に書いてあった。
これが我が友F氏との出会いだった。
私は漫画家くずれの中途採用社員、彼もまた
中途で入ってきたドライバーであった。
彼は本社勤務、私は支社の工場で働いていた。
彼はドライバーなので、配送、回収、のとき
支社の工場に寄るのである。
彼と話すようになったのは、本社の休憩室だった。
たまたま魚の話になり、釣りの話になって
話は弾んだ。私は今は釣りを引退したが、かつては
大好きで、釣りの専門誌で沖釣りの実践釣行記の
仕事を十年以上も続けたことがあったのだ。
彼は渓流のフライフィシングをやるそうで、
「オレ格好から入るんだよねえカッコマンだから」と言う。
釣りの種類は違ったが、我らは意気投合した。
以来、本のやりとり、「魚の絵がほしいなあ」と言われれば、
魚の絵を進呈した。
彼はパソコンを自由にあやつり、全体会議などでは、
歯に衣着せぬ発言を堂々と述べた。
彼は珍しく私の目に止まった正真正銘のまっとうな人物だった。
我らは何かのイベントで本社と合流する時、
社員旅行、など、いつも一緒に行動するようになった。
それが割りと、短い間だったので、支社のパートの人などに
「あの人とどうやって知り合ったの?」また本社のパートの人にも
「二人はなんで知ってんの?」と俄かに出来た怪しい?コンビに
興味津々だった。それほど本社と支社の
交流は薄かったのと、漫画家くずれの変なオヤジと
「頭良過ぎて近寄りがたい」と本社事務員に言わしめる
F氏とのコンビは、ちょっと奇異に映った様だった。
我らはたまにお互いの家で飲みあい、
渓流釣りにも連れて行ってもらった。
私が勤め先で出会ったった一人の親しい友人だった。
私は最初に彼を見た暗いイメージの話をしてみると、
「あの時はそうだったな」と苦笑いしつつ認めた。
そのうち彼は内勤に移り、たちまち頭角を現し、
役職も得て、リーダー格になった。
そんな彼が会社をやめた。「このままは楽なんだけどね」
と言っていたのだが…。
壮年は荒野をめざしたのである。
私は彼の決断に反対はしなかったが、寂しく
なるのは間違いなかった。「会えなくなるわけじゃなし、
最低でも年に一度は会って飲もう」と
約束して、送別の飲み会で彼を送った。
その後、数ヶ月後だったかで会って、久々に酒を酌み交わした。
F氏は会社の帰りで、ビシッと決めたスーツとコートが、
すでに似合う人になっていた。
あれから一年経つのか経たないのか…。
「新聞に載ってたねえ」F氏から電話が掛かってきた。「また飲もう」
彼は元気だった。そして私も相変わらず夢を追っかけ回している。
私の前の荒野は、はるかに近くに揺れている。そこに彼の姿も…。
彼とのクロスオーバー人生に乾杯!なの…ダ。
「おれはどうしてここに居るんだ、どうしてこんなところで
働いているんだ」そう顔に書いてあった。
これが我が友F氏との出会いだった。
私は漫画家くずれの中途採用社員、彼もまた
中途で入ってきたドライバーであった。
彼は本社勤務、私は支社の工場で働いていた。
彼はドライバーなので、配送、回収、のとき
支社の工場に寄るのである。
彼と話すようになったのは、本社の休憩室だった。
たまたま魚の話になり、釣りの話になって
話は弾んだ。私は今は釣りを引退したが、かつては
大好きで、釣りの専門誌で沖釣りの実践釣行記の
仕事を十年以上も続けたことがあったのだ。
彼は渓流のフライフィシングをやるそうで、
「オレ格好から入るんだよねえカッコマンだから」と言う。
釣りの種類は違ったが、我らは意気投合した。
以来、本のやりとり、「魚の絵がほしいなあ」と言われれば、
魚の絵を進呈した。
彼はパソコンを自由にあやつり、全体会議などでは、
歯に衣着せぬ発言を堂々と述べた。
彼は珍しく私の目に止まった正真正銘のまっとうな人物だった。
我らは何かのイベントで本社と合流する時、
社員旅行、など、いつも一緒に行動するようになった。
それが割りと、短い間だったので、支社のパートの人などに
「あの人とどうやって知り合ったの?」また本社のパートの人にも
「二人はなんで知ってんの?」と俄かに出来た怪しい?コンビに
興味津々だった。それほど本社と支社の
交流は薄かったのと、漫画家くずれの変なオヤジと
「頭良過ぎて近寄りがたい」と本社事務員に言わしめる
F氏とのコンビは、ちょっと奇異に映った様だった。
我らはたまにお互いの家で飲みあい、
渓流釣りにも連れて行ってもらった。
私が勤め先で出会ったった一人の親しい友人だった。
私は最初に彼を見た暗いイメージの話をしてみると、
「あの時はそうだったな」と苦笑いしつつ認めた。
そのうち彼は内勤に移り、たちまち頭角を現し、
役職も得て、リーダー格になった。
そんな彼が会社をやめた。「このままは楽なんだけどね」
と言っていたのだが…。
壮年は荒野をめざしたのである。
私は彼の決断に反対はしなかったが、寂しく
なるのは間違いなかった。「会えなくなるわけじゃなし、
最低でも年に一度は会って飲もう」と
約束して、送別の飲み会で彼を送った。
その後、数ヶ月後だったかで会って、久々に酒を酌み交わした。
F氏は会社の帰りで、ビシッと決めたスーツとコートが、
すでに似合う人になっていた。
あれから一年経つのか経たないのか…。
「新聞に載ってたねえ」F氏から電話が掛かってきた。「また飲もう」
彼は元気だった。そして私も相変わらず夢を追っかけ回している。
私の前の荒野は、はるかに近くに揺れている。そこに彼の姿も…。
彼とのクロスオーバー人生に乾杯!なの…ダ。
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