俳句をかじってるせいか、歌を聴いていて
その歌詞のワンフレーズにしびれてしまったりすることがある。
メロディーが好きになって、いいなあと思って聴いていても、
歌詞がつまらないと、何度か聞いているうちにゲンナリ
して、聴きたくなくなってしまったりする。
ところが、歌詞が好きだった曲はそのようなことがないのだ。
俳句は五・七・五という17文字の日本で最短の
文芸なので、その短さの中に最高のフレーズを見つけなければ
ならない。かの俳聖松尾芭蕉は、「舌頭千遍」せよと言ったとか。
つまり、それほどに何度も推敲せよというのである。
ハウンドドックの「フォルティシモ」など、その推敲ぶりが
うかがえて、素晴らしい歌詞になっている。「お前の涙も
俺を止められない」いきなりのこの出だしである。「こぶしを
固めろ、叩きのめされても」男っぽいフレーズに「わずかな
温もり分かち合ったように」「愛が全てさ」と、ソフトに包んでいく…。
これらの言葉も相当に練られていて素晴らしいが、
一番推敲したのでは…と感心したのは、「お前の涙を振り返りはしない」
の後の「全ての祈りが叶えられるまで」の“祈り”だ。通常ここは
願い、想い、又は夢といくとこだろうが、どうしてもそうはいきたくなかったので
ありましょう。ここで舌頭千遍して、出てきたのが「祈り」の言葉だと思う。
それで、グッと深みを増した言葉になったのである。
逆に、我が好きな某の「腹を立てたり、怒ったり」って歌詞、どっちも同じ
意味なんだよね…。某はこの類が多いんで、格調がちょっと…。
好きなだけにもっと辛抱して、舌頭千遍…頼むよー。
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