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ぽかぽか春庭「旧原邦造邸-原美術館(品川)」

2014-01-29 00:00:01 | エッセイ、コラム

2014/01/29
ぽかぽか春庭@アート散歩>明治の館、大正のお屋敷、昭和の邸宅(10)旧原邦造邸-原美術館

 1月26日の午後、原美術館へ行きました。前から行きたい邸宅ではあったのですが、現代美術専門の展示なので、なかなか足が向きませんでした。もひとつ言うと2000円で都内各所の美術館の通常展に入れる「ぐるっとパス」の対象美術館ではなかったので、入館料千円を「高い!」と感じていた、というせこい理由もあります。

  1月26日は、増上寺で友人K子さんと会う約束があったので、「お寺と東京タワー」といういつもの図柄を写真に撮ってから、品川へ。原美術館に足が向かなかったのは、品川から10分ほど歩くからです。駅から1~5分が、私の歩ける範囲。10分は「遠い」と感じるけれど、タクシー使うほどでもないし、御殿山散歩だと思って歩きました。

  1月26日の午後、原美術館は混みこみでした。なんとなれば、1月26日の午前中、NHKの日曜美術館で原美術館の展示「ミヒャエル ボレマンス-アドバンテージ」を取り上げたので、午前中の放映を見て午後出かけてきた善男善女が押しも切らず。



 混んでいる日に出かけてきたこちらが悪いのですから、人の姿が写りこまないように、カメラを手にしたまま、「そこの人、のんびり入口に立って煙草吸っていないで、さっさと帰ってくださいまし」と、しばし待って建物写真を撮りました。
 
 館内禁煙のため、エントランスに灰皿が置いてあって、なかなか人のいないエントランスを撮影できませんでした。ついに喫煙中の人も含む写真を撮ってしまったけれど、後ろ向きだから、ま、いいか。


 さて、館内撮影禁止です。これには、わたくし異論がござります。

 建物撮影の「私的規則」。
1)個人所有で現住している建物は、住んでいる人の許可がなければ撮影しない。(Googleアースは勝手に撮影して勝手に公開しているけれど)
2)一般公開している施設の建物は、外観は勝手に撮影。内部は、人の顔が写りこまないようにして撮影する。
3)「館内撮影禁止」と書いてあるところが多いけれど、自分自身の私的規則に従いつつ、節度ある撮影を勝手にする。著作権があるアート作品などの撮影禁止はわかるけれど、著作権が切れている作品で、当館の所有作品については、西洋美術館や近代美術館、東京国立博物館のように、撮影許可を出すべき。アートを広く公に開示するのが、公共美術館や博物館の役目だと思うので。

 さて、原美術館は、財団法人アルカンシェール美術財団の運営。所蔵作品のうち、著作権が作家にある場合、撮影禁止の措置はわかります。しかし公的に活動をしている財団法人なら、「館内撮影全面禁止」というのは厳しすぎ。個人が特定されるように人を撮さないことやフラッシュ禁止などの注意事項を守るという書面にサインをした者に、撮影許可シールでも発行して、撮影させてほしいです。

 元の邸宅の2階トイレをそのまま利用しているとおぼしき「この水は飲用できません-椿」という作品や、階段下の空間を利用した森村泰昌『輪舞』を撮影したかったのですが、我慢しました。
 しかし、3階に上がる階段など、人がいない時に(無許可で!)撮影しました。

 建物の設計者渡辺仁(1887 - 1973)は、ホテルニューグランド(1927)や、ネオ・ルネサンス様式を取り入れた服部時計店(現・銀座の和光)(1932)などを手がけた建築家です。

中庭から見る


 原邦造邸は、1938(昭和13)の建設で、「初期モダニズム」の作品。家の形がとてもユニークです。扇の、「紙が貼ってある部分の形」といえばイメージできるでしょうか。
 カーブしている廊下を撮りたかったのですが、大勢の人が行き交っていて、人が写りこまないで撮影できる瞬間がありませんでした。

階段を3階から見下ろす


下から見上げる   

 1階エントランスからすぐの部屋は吹き抜けになっていて、中2階から見下ろせる空間があるなど、とてもおもしろい造りでした。
 建物の説明パンフレットが置いてなかったので、建築史家が説明をしてくれるツアーなどがあるときに是非また訪れたいと思います。

  2階のロフト部屋だったと思われる空間に、奈良美智作品が並べられています。奈良美智、マグカップからTシャツから、なんにでも奈良作品をくっつけて売りまくっているアーティスト。たしか、東日本大震災復興のためには、奈良作品をパブリックドメインとして利用していいと宣言したような気がしたので、この部屋の写真を撮ったからといって、著作権うんぬんする人じゃないと思うので撮りました。原美術館から削除要請があれば、消します。



 ミヒャエル・ボレマンス展は、点数すくなかったけれど、ゆったりした展示で、なかなかよかったです。
 でも、現代代美術ってほんと、わかんないです。好きか嫌いかのどちらかでいいんだけれど。奈良美智は、私の中では、ヒロヤマガタやラッセンと同じイメージでした。奈良自身は、ラッセンと同列にされて怒っているみたいですけれど、まあ、そうおこらんで欲しい。私には、奈良も村上隆もウォーホールもわからぬ。

 奈良作品、ポスターやら版画やらグッズ、売れたもん勝ち、みたいな。村上隆ほど自己プロデュースができていないと思ったけれど、原美術館のミュージアムショップでは、若いカップルが奈良美智グッズを買っていました。ほら、かれら、「付き合って1年目の記念日グッズ」として、マグカップお買い上げです。私は息子が6歳のときに母の日記念にくれた百均のマグカップをいまだにつかっているがな。

 帰りは、御殿山公園を通り抜け、三菱開東閣(旧岩崎家高輪別邸)の1万坪の広さを確認すべく、2m以上ある石垣の周りをぐるりと回って、高輪4丁目のお屋敷町を歩きました。高輪ハウスとの境目のすきまから開東閣を覗き込もうとしたら、監視カメラ下の街灯がピカピカ点滅しはじめたので、あわてて離れる。ずっとそこにいたら、きっと警備員に尋問されたんだろう。

 白金台や渋谷松濤のお屋敷町を歩いたときと同じように「お前などがウソウソと歩いていい町ではないぞぇ」という無言の圧力を感じましたが、「天下の公道、下々が歩いてもいいんです。税金払ってるし」と思いながら、歩いて、高輪プリンス前のバス停からバスに乗りました。御殿山の1万坪、これを見れば、田園調布の100坪なんて貧乏人だと思います、確かに。

 都内山手線内の高級住宅街No.1の御殿山地区のイメージがわかない方は、皇后ご実家の正田家(家屋は現存せず)があった池田山や、IT長者の若夫人がシロガネーゼと名付けられて闊歩しているという白金などが並ぶ町の品川側ということで想像してください。具体的にいうと、たった100坪のビンボーな家を建てるなら、土地代は7億円ほどですわ。有名建築家設計のおうちは、そうね、3億くらいとして、10億円もあればそこそこの家ができあがるんじゃございませんこと?おほほ。

 3月末に群馬県渋川市に建つ、磯崎新設計の原美術館別館も見たいと思っています。
 3月29日、ご用とお急ぎでない方がいらっしたら、現地集合して、いっしょに建物と現代美術鑑賞をいたしましょう。

<つづく>
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