20140806
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>検索キーワード(3)原爆詩集
げんしばくだんがおちると
ひるがよるになって
人はおばけになる(坂本はつみ 作詞当時小学校3年生)
今日の検索は「原爆詩集」です。
「峠三吉 原爆詩集」と、検索すれば、青空文庫が出てきますので、どの詩でもいいですから、読んでください。忘れないために。
今年も8月6日には、峠三吉「原爆詩集」を朗読して一日を始めます。一人で朗読しても、世の中の動静になんの影響もないのは、わかっています。でも、毎年、やらずにはいられない。それじゃ、元日の初詣のようにじゃないか、単なる習慣さと揶揄されれば、そうなのかもしれないと答える。
8月6日に失われた数十万の命を振り返ることもせずに、また下々の命など一銭五厘だと思っている「国益を守る」立派な方々が、平和平和と言いながら戦争へ向かっていく。
ときに無力感に襲われますが、私は私のやり方で、亡くなった人々を追悼し、平和を祈念します。
峠三吉「八月六日 原爆詩集より」
八月六日
あの閃光が忘れえようか
瞬時に街頭の三万は消え
圧おしつぶされた暗闇の底で
五万の悲鳴は絶え
渦巻くきいろい煙がうすれると
ビルディングは裂さけ、橋は崩くずれ
満員電車はそのまま焦こげ
涯しない瓦礫と燃えさしの堆積であった広島
やがてボロ切れのような皮膚を垂れた
両手を胸に
くずれた脳漿を踏み
焼け焦こげた布を腰にまとって
泣きながら群れ歩いた裸体の行列
石地蔵のように散乱した練兵場の屍体
つながれた筏へ這いより折り重った河岸の群も
灼やけつく日ざしの下でしだいに屍体とかわり
夕空をつく火光かこうの中に
下敷きのまま生きていた母や弟の町のあたりも
焼けうつり
兵器廠の床の糞尿ふんにょうのうえに
のがれ横たわった女学生らの
太鼓腹の、片眼つぶれの、半身あかむけの、丸坊主の
誰がたれとも分らぬ一群の上に朝日がさせば
すでに動くものもなく
異臭いしゅうのよどんだなかで
金かなダライにとぶ蠅の羽音だけ
三十万の全市をしめた
あの静寂が忘れえようか
そのしずけさの中で
帰らなかった妻や子のしろい眼窩が
俺たちの心魂をたち割って
込めたねがいを
忘れえようか!
忘れませんとも。
<つづく>
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>検索キーワード(3)原爆詩集
げんしばくだんがおちると
ひるがよるになって
人はおばけになる(坂本はつみ 作詞当時小学校3年生)
今日の検索は「原爆詩集」です。
「峠三吉 原爆詩集」と、検索すれば、青空文庫が出てきますので、どの詩でもいいですから、読んでください。忘れないために。
今年も8月6日には、峠三吉「原爆詩集」を朗読して一日を始めます。一人で朗読しても、世の中の動静になんの影響もないのは、わかっています。でも、毎年、やらずにはいられない。それじゃ、元日の初詣のようにじゃないか、単なる習慣さと揶揄されれば、そうなのかもしれないと答える。
8月6日に失われた数十万の命を振り返ることもせずに、また下々の命など一銭五厘だと思っている「国益を守る」立派な方々が、平和平和と言いながら戦争へ向かっていく。
ときに無力感に襲われますが、私は私のやり方で、亡くなった人々を追悼し、平和を祈念します。
峠三吉「八月六日 原爆詩集より」
八月六日
あの閃光が忘れえようか
瞬時に街頭の三万は消え
圧おしつぶされた暗闇の底で
五万の悲鳴は絶え
渦巻くきいろい煙がうすれると
ビルディングは裂さけ、橋は崩くずれ
満員電車はそのまま焦こげ
涯しない瓦礫と燃えさしの堆積であった広島
やがてボロ切れのような皮膚を垂れた
両手を胸に
くずれた脳漿を踏み
焼け焦こげた布を腰にまとって
泣きながら群れ歩いた裸体の行列
石地蔵のように散乱した練兵場の屍体
つながれた筏へ這いより折り重った河岸の群も
灼やけつく日ざしの下でしだいに屍体とかわり
夕空をつく火光かこうの中に
下敷きのまま生きていた母や弟の町のあたりも
焼けうつり
兵器廠の床の糞尿ふんにょうのうえに
のがれ横たわった女学生らの
太鼓腹の、片眼つぶれの、半身あかむけの、丸坊主の
誰がたれとも分らぬ一群の上に朝日がさせば
すでに動くものもなく
異臭いしゅうのよどんだなかで
金かなダライにとぶ蠅の羽音だけ
三十万の全市をしめた
あの静寂が忘れえようか
そのしずけさの中で
帰らなかった妻や子のしろい眼窩が
俺たちの心魂をたち割って
込めたねがいを
忘れえようか!
忘れませんとも。
<つづく>