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ぽかぽか春庭「日本発掘 in 江戸東京博物館」

2014-08-27 00:00:01 | エッセイ、コラム

国宝「合掌土偶」

20140827
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十四事日記8月(7)日本発掘in 江戸東京博物館

 東京都美術館と西洋美術館で「息子とデート」して、息子がそう機嫌悪そうでもなかったので、老母は味をしめ、江戸東京博物館にもいっしょに行こう、と誘ってみました。
 息子が在籍中の大学は、キャンパスパスポートという制度に参加しているので、学生証があれば、博物館の通常展を無料で見ることができます。ランチおごるから、と誘い水。うまくのってくれたので、「発掘された日本列島2014-日本発掘」という考古学出土品の展示を見ることにしました。

 息子を持つ友人には、「男の子なんて、中学生になれば母親なんてうざいだけっていうようになるから、いつまでも手元におこうなんて考えちゃ、ヨメの来てがないよ」と、言っているのですが、我が家は、どうやら最初からヨメのなり手もなさそうな息子なので、大学生になっても「母親とデート」してくれます。あはは、世の息子を持つ母親たちよ。息子を囲っておきたければ、我が家のように、徹底的「非モテ男」に育てなさい。

 江戸東京博物館が開館して以来20年間の発掘品の中から、国宝や重要文化財に指定された優品が一同に展示されている、ということで楽しみに見にいきました。
 息子の専攻は戦国史なので、考古学の発掘品によって大きな成果があがる古代史とは違い、発掘品より古文書の新発見のほうがわくわくするみたいですけれど、見ておいて損はありません。


 平安京の貴族藤原良相(ふじわらのよしみ813-867)の邸宅跡から出土した土器のひらがな。近年の発掘のうち、へぇ、こういうものが出土したんだ、と、ときめきつつ新聞の報道写真を眺めました。鑑定によると、このかわらけは、9世紀後半の土器。そこにひらがなが書かれていました。

 万葉集は759年頃の成立。万葉仮名、すなわち漢字の音を利用して日本語を書き表しており、久羅下と漢字で書いて「くらげ」と読ませる方法で日本語の長歌短歌を記述しました。
 それから200年の間に、漢字を崩し字にして省略した「草仮名」が発達していきました。ひらがなが成立の時期については、これまでも諸説ありました。10世紀後半というのが、有力な説でしたが、さらに成立年代を50年さかのぼる発見が藤原良相邸跡からの墨書土器です。

 京都市埋蔵文化財研究所は2012年11月に京都市中京区貴族邸跡を発掘。9世紀後半の土器に、最古級のひらがなが書かれていたと発表しました。
 展示されていたのは、「ひとにくしとお(も)はれ(人憎しと思はれ)と読み取れる墨書土器の破片。
 京都で展示されていたときは、見に行くお金もなかった。報道から1年半がたち、江戸東京博物館に展示されている実物を見ることができて感激でした。



 次に印象に残ったのは、群馬県出土の縄文土器です。
 我がふるさと、埋蔵文化ファンにとっても重要な地域です。実家のすぐ近くから甲冑を着けた人骨が発掘されるなど、母が生きていたら、きっと発掘現場を見に行っただろうと思います。

 私の母は、岩宿遺跡を発見した相沢忠洋さんを尊敬していました。相沢さんは、納豆の行商をしながら独学で発掘を続け、ついに日本に旧石器時代があることを証明した人。郷土の誇りでした。
 母は、土の中から昔々の歴史が掘り出されるとについてたいそう興味を持ち、「私も学問する機会があったなら、考古学やってみたかった」と、言っていました。群馬県は古墳が多い土地柄で、埴輪や土器の出土も多い。
 考古学新発見のニュースは、いつもわくわくさせてくれました。

 今回の展示では、群馬県道訓前遺跡出土品が見事でした。道訓前遺跡は、縄文時代中期中葉から後葉にかけての大規模な環状集落で、竪穴住居跡も40軒分が見つかっています。縄文中期の土器、すばらしい造形で、迫力のある美しさでした。



 出土品のうち、私が惹かれるのは、やはり、埴輪や土偶などの人や動物の姿です。
横綱の土俵入り?踊る人?

犬、鳥、牛



葬られている人の顔をうつしたものか、「デスマスク」と呼ばれている土偶も。




 日本発掘展を見た後、7階の和食店でランチ。今まで何度も来ている江戸東京博物館ですが、7階で食べたのは数えるほどしかありません。高いから。でも、おごってやると言って息子をつれだしたので、江戸なんとか弁当1700円。これでも大盤振る舞いのうち。仕事先で食べるコンビニ弁当なんていつも500円以内で買えるものに決めています。賞味期限切れの肉が使われていたとしても、さもありなん、というような代物です。まあ、当分江戸東京の7階で食べることもないと思うので、記念に写真に撮りました。たいしたおかずもはいっていないで、私にとっては、「コストパフォーマンス悪い」です。


<つづく>
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