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ぽかぽか春庭「教員研修生日本語で研究発表するその2お菓子で化学」

2019-11-24 00:00:01 | エッセイ、コラム
20191123
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>再録・日本語教師日誌(30)教員研修生日本語で研究発表するその2お菓子で化学」

 春庭コラムから日本語教師日誌を再録しています。
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2007/02/21 水
ニッポニアニッポン語教師日誌>研究発表会(4)楽しい英語

 発表二番手は、タイのハイスクールで英語を教えてきたナーン。
 ナーンは、日本の中学校英語教育について分析をしたレポートを発表しました。

 ナーンのアンケート分析によると、日本の中学生は、なんらかの形で、学校の授業のほか、英語塾、会話教室など英語を学んでいる割合が高い。また、中学校に入学前に英語学習を始めていた生徒は54%、中学校で初めて英語にふれた生徒は48%、と報告している。
 実情として、中学生の半数以上が小学校時代に何らかの形で英語に触れてから中学英語授業を受け始めているのだという。

 日本の英語授業は、アクティビティ(教室活動)が工夫され、適切な教授法が計画されているが、英語に関して、ほとんどの生徒は外国人と会話したいと望んでいるのに、その機会はあまりない。
 英語が将来必要になるだろうと予測している中学生は88%もいるのに、一方12%は将来英語に関わる仕事をしたくない、と思っている。

 ナーンの結論部分の日本語を一部引用します。
=====================
 「 日本の中学校英語授業では、英語と日本語の両方が使われていた。しかし、教師はできるだけ英語を使用するのが望ましいと思われた。
 また、生徒たちはクラス全体のディスカッションに参加していない姿が見られたが、これも、今日した楽しく面白い教室活動を準備することで解決できるのではないかと思われた。」
====================

 質疑応答では、タイの英語教育との比較などが出されました。
 ナーンは「タイでは、小学校から英語教育がはじまるので、中学校では英語の基礎ができあがった状態で学習をはじめます。
 したがって、日本の中学生とタイの中学生を同レベルで比較することはできませんが、今後、日本の小学校で英語教育を始めたあと、日本の中学校での英語教育がどのように行われていくのか、研究を深めていきたい。」
と、希望を述べていました。

 韓国の英語教師ヒョソンさんの報告では、韓国は1997年に小学校3年生(8歳)から英語教育を始めており、まもなく、小学校1年生からの英語教育が導入されことになっているそうです。

 小学校英語教育を受けた世代とそうでない世代を比べると、同じ英語テストをおこなったときに、800点満点で45~50点の差がでて、小学校から英語教育を受けた世代のほうが成績がよかった。
 単純に点数だけで英語教育の成果ははかれないが、早く英語をはじめたほうが、圧倒的に有利との考えをヒョソンさんは持っています。

 ただし、韓国では、ネイティブの教師が正式な小学校教師として英語を担当していることにより、効果がある程度だせたのだ、という話をききました。

 日本の英語教育は、韓国とは事情が異なりますが、小学校から英語教育を導入することに、タイのナーンも韓国のヒョソンさんも賛成で、できれば小学校1年生から英語のことばあそびや歌などをいれて、「楽しい英語」を教えるべきと考えていました。

 私は、中学校や高校の「英語を話すことも英語で論文を書くことも自在にはできない先生が教科書を教えることもあり、たまにネイティブのALT(英語指導助手)が会話を受け持つという現行のカリキュラム」のまま授業を続け、なおかつ「受験英語で勝ち残らなければ、評価されないという現状」のままにしておいて、小学校英語教育を拙速で導入することに反対する意見を述べたことがあります。
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/haruniwa/diary/200612A

 「母語と異なる言語を楽しむ」という喜びを子供たちに与えられない授業をするなら、英語ぎらいの子供をふやす結果になるだけで、塾で英語学習をしていける層とそうでない層の格差を生むだけだろうと思います。

 ナーンさんの発表をきいて、せっかく小学校英語教育導入するなら、やはりしっかりした児童英語指導者の養成と、中学高校を含めた9年間12年間の全体を見通したカリキュラムをきちんとたてないと、結局母語も英語もダメという中途半端な言語能力しか持てない子供に育ってしまう、という感を強くしました。

<つづく>

2007/02/20 火
ニッポニアニッポン語教師日誌>研究発表会(3)風船で分子構造、お菓子で化学

 クリスは分子モデルを細長いゴム風船、丸い風船をつかって、示し、赤い色の風船は油分子、水色は水の分子など、目で分子がどのようにくっついたり離れたりするのか、わかりやすく示していました。

 その上で、日常生活で毎日行う「シャンプーで髪を洗う」「石鹸でくつ下を洗う」などが、どのような化学反応によっているのか、生徒に理解させる授業案を示し、生徒が授業を理解できたか、興味をもてたか、などのアンケート結果を分析していました。

 日本でも、「化学記号を覚えるのもたいへん」「化学式の計算方法が面倒だから、大学入試に化学がある学部はさける」など、化学嫌いが増えているようです。

 クリスが身近な事例から化学の実験を行った授業はとても興味深いものでした。
 「日本と同じ化学の単元のあるインでネシアでも、実際に授業を行って検証していきたい」と、レポートをまとめていました。

 風船を使って分子構造を視覚的に理解させていくクリスの授業報告を聞いて、私の娘が単位制高校で受けた化学の授業を思い出しました。
 娘は高校で、「生涯教育開講科目」になっていた「お菓子と化学」という授業を履修しました。

 定年をあと1年後にひかえた化学の先生が、「教員生活の最後に、自分の思いどおりの楽しい化学授業を行ってみたい」という決意で、趣味のお菓子づくりを生かした「日常生活に密着した化学教育」をすることになりました。

 都の「生涯教育」として「お菓子づくりをしながら、日常生活に関わる化学を学ぶ」というカリキュラムを組み、応募した都民が参加します。同時に、在籍している現役高校生もこの授業を履修すれば化学の単位がもらえるのです。

 小学校のころからお菓子づくりが大好きだった娘は、「理科は生物と地学だけ履修すれば、卒業単位は足りるから、化学はパスのつもりだったけれど、お菓子づくりならがんばれるかも」と、科目登録しました。

 100分授業の前半はみなで楽しくお菓子を作ります。砂糖を混ぜるのも、粉がふくらむのも、化学が応用されています。粉や卵やバターの化学反応を引き出すのがお菓子づくりなのです。

 たとえば、重曹の正式名は炭酸水素ナトリウム。酸性物質(ヨーグルトやレモンなどのすっぱい材料)といっしょにすると、化学反応を起こして炭酸ガスを発生し、お菓子がふくらみます。

 また、ベーキングパウダーは、でんぷんのなかに数種類の化学膨張材が混ぜ込まれています。水分を加えると室温で反応し、炭酸ガスを発生します。パン生地がオーブンの中で加熱されるともう一度炭酸ガスを発生し、生地の膨らみを助けます。

 授業後半は、お菓子やパンを作る過程で見た化学反応を化学式で確認したり、計算したり。日常生活のなかにたくさんの化学反応があることを学びました。

 娘はついに元素記号を全部は覚えませんでしたし、化学ペーパーテストの成績はまあまあという程度でしたが、お菓子づくりの手際は抜群だし、熱心に受講したので、化学の成績は5段階評価で「5」でした。
 「化学なんて不得意に決まっている」と毛嫌いしていた娘ですから、うれしい誤算でした。また成績以上に嬉しかったのは、毎週娘が作ったケーキやクッキーの「おみやげ」を食べられたこと。おいしかったです。

 小学校や中学校の科学教育でも「まず興味をもたせる」「日常生活はさまざまな化学や物理を応用してなりたっている」ということから始めれば、楽しく科学教育が行えるだろうと思います。

 クリスはインドネシアに帰って、きっとよい科学指導者になれることでしょう。

<つづく>


2007/02/21 水
ニッポニアニッポン語教師日誌>研究発表会(4)楽しい英語

 発表二番手は、タイのハイスクールで英語を教えてきたナーン。
 ナーンは、日本の中学校英語教育について分析をしたレポートを発表しました。

 ナーンのアンケート分析によると、日本の中学生は、なんらかの形で、学校の授業のほか、英語塾、会話教室など英語を学んでいる割合が高い。また、中学校に入学前に英語学習を始めていた生徒は54%、中学校で初めて英語にふれた生徒は48%、と報告している。
 実情として、中学生の半数以上が小学校時代に何らかの形で英語に触れてから中学英語授業を受け始めているのだという。

 日本の英語授業は、アクティビティ(教室活動)が工夫され、適切な教授法が計画されているが、英語に関して、ほとんどの生徒は外国人と会話したいと望んでいるのに、その機会はあまりない。
 英語が将来必要になるだろうと予測している中学生は88%もいるのに、一方12%は将来英語に関わる仕事をしたくない、と思っている。

 ナーンの結論部分の日本語を一部引用します。
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 「 日本の中学校英語授業では、英語と日本語の両方が使われていた。しかし、教師はできるだけ英語を使用するのが望ましいと思われた。
 また、生徒たちはクラス全体のディスカッションに参加していない姿が見られたが、これも、今日した楽しく面白い教室活動を準備することで解決できるのではないかと思われた。」
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 質疑応答では、タイの英語教育との比較などが出されました。
 ナーンは「タイでは、小学校から英語教育がはじまるので、中学校では英語の基礎ができあがった状態で学習をはじめます。
 したがって、日本の中学生とタイの中学生を同レベルで比較することはできませんが、今後、日本の小学校で英語教育を始めたあと、日本の中学校での英語教育がどのように行われていくのか、研究を深めていきたい。」
と、希望を述べていました。

 韓国の英語教師ヒョソンさんの報告では、韓国は1997年に小学校3年生(8歳)から英語教育を始めており、まもなく、小学校1年生からの英語教育が導入されことになっているそうです。

 小学校英語教育を受けた世代とそうでない世代を比べると、同じ英語テストをおこなったときに、800点満点で45~50点の差がでて、小学校から英語教育を受けた世代のほうが成績がよかった。
 単純に点数だけで英語教育の成果ははかれないが、早く英語をはじめたほうが、圧倒的に有利との考えをヒョソンさんは持っています。

 ただし、韓国では、ネイティブの教師が正式な小学校教師として英語を担当していることにより、効果がある程度だせたのだ、という話をききました。

 日本の英語教育は、韓国とは事情が異なりますが、小学校から英語教育を導入することに、タイのナーンも韓国のヒョソンさんも賛成で、できれば小学校1年生から英語のことばあそびや歌などをいれて、「楽しい英語」を教えるべきと考えていました。

 私は、中学校や高校の「英語を話すことも英語で論文を書くことも自在にはできない先生が教科書を教えることもあり、たまにネイティブのALT(英語指導助手)が会話を受け持つという現行のカリキュラム」のまま授業を続け、なおかつ「受験英語で勝ち残らなければ、評価されないという現状」のままにしておいて、小学校英語教育を拙速で導入することに反対する意見を述べたことがあります。
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/haruniwa/diary/200612A

 「母語と異なる言語を楽しむ」という喜びを子供たちに与えられない授業をするなら、英語ぎらいの子供をふやす結果になるだけで、塾で英語学習をしていける層とそうでない層の格差を生むだけだろうと思います。

 ナーンさんの発表をきいて、せっかく小学校英語教育導入するなら、やはりしっかりした児童英語指導者の養成と、中学高校を含めた9年間12年間の全体を見通したカリキュラムをきちんとたてないと、結局母語も英語もダメという中途半端な言語能力しか持てない子供に育ってしまう、という感を強くしました。

<つづく>
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