春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「分離派建築会100年展 in パナソニック美術館」

2021-02-02 00:00:01 | エッセイ、コラム

20210202

ぽかぽか春庭アート散歩>2020アート散歩回顧()分離派建築会100年展 in パナソニック美術館

 

 庭園巡りをしたり、美術館博物館を訪れたり、休みの日の散歩の楽しみはいろいろありますが、建築を見ることが趣味のひとつになってから、都内近郊の散歩も楽しみが一段と増しました。

 埼玉県立近代美術館の建築散歩の学習会に何度か参加したのですが、最初のころは、解説の先生が「ああ、この部分はセセッションの影響が見られますね」などというと、ふむふむとうなずく建築趣味の参加者を前に「セ、セッションって、なんですか、、、、」ということばも出せず飲み込んでいました。

 ひとり散歩も年月がたつと、バロック様式の教会とか、ジョージ5世様式の家具であるとか、建築のことばもいくらかは見分けがつくようになりました。それでも不勉強のまま、ただ「見て楽しい」ということを中心に散歩していますから、いつまでたっても、建築理論にはなじめません。

 

 パナソニック美術館で「分離派建築会100年展 建築は芸術か」という展覧会が開かれていると知り、出掛けていきました。

 

 パナソニック美術館の口上

 大正時代、日本の建築界に鮮烈なインパクトをもって現れた新星たちがいました。日本で最初の建築運動とされる分離派建築会です。大正9(1920)年、東京帝国大学建築学科の卒業をひかえた同期、石本喜久治、瀧澤眞弓、堀口捨己、森田慶一、矢田茂、山田守によって結成され、その後、大内秀一郎、蔵田周忠、山口文象が加わり、昭和3(1928)年まで作品展と出版活動を展開しました。結成から100年目の2020年。本展は、図面、模型、写真、映像、さらには関連する美術作品によって、変革の時代を鮮やかに駆け抜けた彼らの軌跡を振り返ります。分離派建築会が希求した建築の芸術とは何か。日本近代建築の歩みのなかで果たした彼らの役割を、新たな光のもとに明らかにしていきます。

 

 建築図面や完成図、建築模型などが並んでいて、建築を志す人々には大きな参考になったろうと思う展示でしたが、ことばの徒である春庭にとっては、最も感銘を受けたのは、6人の学生が東京大学建築学科を卒業するにあたって、高々と掲げた「分離派宣言」です。

 

我々は起つ。過去建築圏より分離し、総ての建築をして真に意義あらしめる新建築圏を創造せんがために。我々は起つ。過去建築圏内に眠つて居る総てのものを目覚さんために溺れつつある総てのものを救はんがために。我々は起つ。我々の此理想の実現のためには我々の総てのものを悦びの中に献げ、倒るるまで、死にまでを期して。我々一同、右を世界に向つて宣言する

 なんとまあ、若々しいことばでしょう。若さの溌剌とした言葉が躍動しています。

 若さとは、同時に「若気の至り」でもあることがしばしばあることですが、6人は既存の建築界からは一線を画した新しい建築、新しい造形を目指して突き進みました。

分離派建築会創立時の集合写真 1920(大正9)年2月1日 

前列左から矢田茂、山田守、石本喜久治、

後列左から 森田慶一、堀口捨己、瀧澤眞弓。

 後に大内秀一郎、蔵田周忠(ちかただ)、山口文象(ぶんぞう)が加わりました 。

瀧澤眞弓 《山の家》模型 1921(大正10)年 再制作:1986年 瀧澤眞弓監修

 

 分離派の活動期間はそう長くはありませんでした。  1920(大正9)の第一回展覧会から、1928(昭和3)年の第7回展まで、若者達の建築運動は、その後の日本の建築に大きな足跡を残しました。

 11月12月にいろいろな美術展を回った中で、12月15日に会期が終わる前の日曜日になんか出掛けたパナソニックが一番混み混みでした。

 入り口で入場制限があり、30分も列に並んでようやく会場に入れたのですが、中はいっぱいの人。他の人と1.5m間隔を開けてください、と係員は観客に呼びかけ続けていましたが、みな見たいものの前でじっと立ち尽くしているものだから、どうしても間隔が狭くなっていきます。みな入り口で発熱検査を受け、アルコール消毒をしてマスクをしているし、観覧しながら話している人もいないのですが、もっと早く平日にくればよかったと後悔。

 ほかの美術館は、展示室に私と娘だけというような会場が多かったので、この分離派展が一番の混みようでした。ともあれ、何事もなくこの展覧会を見ることができたこと、ありがたし。

 

<つづく>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする