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ぽかぽか春庭「日本語教師養成講座文法その1」

2021-03-13 00:00:01 | エッセイ、コラム

20210313
ぽかぽか春庭ニッポニアにっぽん語教師日誌>日本語教師養成講座(1)文法その1

 日本語教師養成講座のつづきです。

 日本語レベルがN2N1(日本語能力試験2級1級)になった人は、自分の日本語力にかなり自信をもってきたことと思いますが、日本語を覚えて使えるようになることと、それを学習者にわかりやすく教えることはまた別の難しさがあります。

 日本語の動詞を覚えた時、何が難しかったか、思い出してください。1つは助詞との結びつき。もう1つは活用です。 

・ワークショップ第2回 日本語文法力を高めよう。 

 日本語を数年間学んできた経験を持つ皆さんは、日本語と中国語の違いに気づく点が多々あったと思います。

日本語には自立語(名詞・動詞・形容詞・副詞など)と、ことばの文中の役割を表す非自立語(助詞)があります。助詞は中国語にはないことばですから、ひとつひとつの助詞の役割を文脈の中で覚えてきたでしょう。

日本語学習者が、日本語を習い始めたときに、助詞の区別がつかないでとまどうことがあります。助詞の違いを尋ねられた時、教師であるあなたは答えられますか。 

☆タスク2-1 日本語学習者が質問しました。「先生、教えてください。椅子に座る、と、椅子で座る、は同じですか」 

 中国語母語話者に中国語で文法的な働きの違いを説明をするのは、いちばん簡単な方法です。多くの中国人日本語教師はそうしていると思います。しかし、今、日本にいるのですから、中国語ができない日本人教師が、中国語を使わないで「に」と「で」の違いを学習者に知らせる方法を考えてみましょう。

 私は、絵カードとジェスチャーを使います。直接法(Direct Method)の教え方の基本です。 

@ 絵カードによる補助(ジェスチャー実演) 

いすで すわる

いすに すわる

  

    

「で」=動作・行為をする場所

「に」=動作の目的地。動作の終了地点の場所を示す。動作の方向を示す。 

 ほかにも、どちらが日本語として適切な表現になるか考えてみましょう。 

☆クイズ2-2 どちらが正しい表現ですか。

① A: 大学から卒業する  B: 大学を卒業する

② A: ドアに寄りかかる   B: ドアを寄りかかる

③ A: 試験に合格する   B: 試験を合格する

 

 日本語では、連語(コロケーション)=名詞と動詞の結びつきを覚えることが大切です。動詞を覚えるときは、必ず助詞をつけて覚えること、またどんな種類の名詞と結びつくか、いっしょに覚えていきます。

 「~を飲む」という助詞と動詞の結びつきは、初級では、「コーヒーを飲む(喝咖啡)」などの液体食品名詞が結びつきますが、中級では「息をのむ」など派生的な「のむ」、さらに「条件をのむ」など、比喩的な意味も加わってきます。中国語連語では「薬」は「飲む」と結びつきません。「吃药」を日本語に直訳すると「薬を食べる」です。しかし、日本語では「薬を飲む」といいます。助詞の意味を知り、名詞・動詞との結びつきの違いをしっかりと覚えていきましょう。 

 中国語母語話者がとまどうのは、助詞の次に、動詞の活用形です。中国語の動詞は形が変わりません。「走」は、「走」という形が変わることがありません。しかし、日本語の動詞は、「走ら-ナイ」「走り-マス」「走れ-ば」というように、形がかわります。だいたいどの初級教科書でも、名詞文、動詞文、形容詞文を学んだあと、10課から15課の間に動詞の活用形をテ形から習います。

 N1級に合格した人なら、もう活用形で間違えることはないでしょうが、初級学習者には、「(誤)ドアのかぎが掛かりない(正)かからない)」「(誤)髭(ひげ)を伸ばすば(正)伸ばせば」などのまちがいはしばしば見受けられます。

 「いちりっての歌」は、学習者に有効な「活用の覚え方」です。

 一般的な日本語教育では、マス形から日本語動詞を覚えます。日本語教育では、動詞活用を3つのグループにわけて指導します。

2グループ(1段動詞)見ます 食べます 起きます 着ます 出ます 教えます

 2グループ動詞は、マスを取り、テをつければテ形動詞になります。見て 食べて 起きて 着て 出て 教えて

 3グループ(か変さ変)は、ふたつだけですから、丸ごと覚えます。

来ます⇒来て  します⇒して(勉強して そうじして せんたくして、、、、)

 難しいのは1グループ(5段動詞)のテ形です。ここは、日本語教育最初の関門です。

 マス形の前の音が「い」「ち」「り」になる動詞 会ます 買ます 立ます 借ます  い⇒っ  ち⇒っ  り⇒っ  「いちりって」と覚えます。会って、買って、立って、、、、

 マス形の前の音が「に」「み」「び」になる動詞  死ます 読ます 遊ます

  に⇒んで  み⇒んで  び⇒んで  「にみびんで」 と覚えます。

 きいて・ぎいて   聞きます→きいて、書きます→かいて、泳ぎます→およいで、漕ぎます→こいで など。
 話します→はなして 。行きます→行って。

 この活用の規則を覚える為&、楽しい教室活動のために、取り入れられるのが「いちりっての歌」。歌で規則を暗記します。
・初音ミク歌唱、カントリーロードのメロディで。
・ジブリアニメ「トトロ」のさんぽのメロディで。

タスク2-2 動詞活用の教え方を確認しましょう。
 当学院の教師の教え方の一例をご紹介しましょう。
 動詞活用の授業です。「みんなの日本語初級Ⅰ 14課」の授業です。


 

 

 

 

 さらに、中国人母語話者に多い間違いは、自動詞他動詞の間違いです。中国語では「打开」も「我打开」も「」は同じ形で使われます。しかし日本では「私は門を開ける」他動詞「あける(2グループ動詞・2段動詞)」と「門が開く」、自動詞「あく(1グループ動詞・5段動詞)」のふたつの動詞を使い分けます。 

  • クイズ2-3  自動詞と他動詞を 書いてください。

1. 水が( 流         ) 水を(           )

2. 肉が( 焼         ) 肉を(            )

3. あかちゃんが( 生          ) 母があかちゃんを(           )

4. 車から( 降           )  車から荷物を(           )

5. 風で木の枝が( 折          )  父が木の枝を (            )

 

 この先、もう少し文法について学ぶ機会も設けますので、今回はここまで。

 

 

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