20210320
ぽかぽか春庭ニッポニアにっぽん語教師日誌>日本語教師養成講座(8)動詞辞書形の教え方
日本語教師志望者に「日本語の教え方」を伝授するシリーズ。今回は昨年9月にも再掲した「辞書形の教え方」を一部改変の上、再々掲載。何度でも活用します。活用形の教え方だけに。
日本語教師志望の日本人学生に「日本語の教え方」を伝えるのは、手仕事の職人が弟子たちに「理屈じゃねぇんだ、よく見て盗め!」と叱咤するように、「留学生に日本語を指導する様子」を再現して「よく見てマネして」というのも楽しい指導でした。中国語母語話者が中国語を媒介語として中国人学習者に教える場合も、直接法の教授法で教えるのが基本です。
それでも日本人学生たちは、自分たちが普段使っている日本語を何気なく使ってしまう。「日本語学習者に未習の語や文法をつかってはならない」と、口を酸っぱくして言うのですが。受身形を習っていない学習者に「きのうは、大雨でしたね。私も雨に降られました」と言っても、「降られる」の意味はわからないのです。
アジア系の学生は、先生が言うことを黙って聞いていますが、欧米系の学生は「先生、わかりません」「先生は、まだそのことばを教えていません」と、目ざとい(耳ざといかな)。
それでも日本人学生たちは、自分たちが普段使っている日本語を何気なく使ってしまう。「日本語学習者に未習の語や文法をつかってはならない」と、口を酸っぱくして言うのですが。受身形を習っていない学習者に「きのうは、大雨でしたね。私も雨に降られました」と言っても、「降られる」の意味はわからないのです。
アジア系の学生は、先生が言うことを黙って聞いていますが、欧米系の学生は「先生、わかりません」「先生は、まだそのことばを教えていません」と、目ざとい(耳ざといかな)。
辞書形の導入。(英語を媒介語として使えるクラスの例。中国語、ベトナム語、ネパール語学生のいるクラスには、英語の部分を翻訳サイトによってある程度は翻訳しておく)
1,文字カードを準備。
カードに「ピンポン」「バレーボール」「バスケットボール」「テニス」「ボクシング」「すもう」「Swimming」「Walking」「Watching」「Standing」「Taking photograph」などと書いてある。
2,日本語学習者をふたつのチームに分ける。カードを配り、ふたり一組になってジェスチャーを出題し、相手チームに何をしているか、あてさせる。あたったら、ポイントゲット。
これは、カードの語句の意味を理解しているかどうか、確認するための遊び。
「Swimming」「Walking」などは、ジェスチャーで当てられるが、「Watching」「Standing」などは、ジェスチャーが巧みでないと、答えが出にくい。ただ、じっと立ち続けるジェスチャーでは「立っています」という答えが出ないのだ。
「すもう」のジェスチャーなどは知らない学生もいるので、できそうな人にあてておく。学生ができないときは、教師がジェスチャーすると、みな大喜び。私は調子にのると、横綱土俵入りのジェスチャーまでサービス。
3,「Please answer. Do you like sports. 答えてください.スポーツが好きですか」スポーツが好きそうな学生に質問する。学生は「好きです」と答える。
①テニスが好きそうな学習者に質問「テニスが好きですか」学習者の答え「はい、テニスが好きです」
②女子学生に質問「ボクシングが好きですか」好きだと答えたら「ボクシングができますか」「いいえ、できません」「そうですか、○○さんは、ボクシングができません。○○san can not play boxing.」
① わざと、すもうができるか聞いてみたりする。冗談で「できる」と答える学生がいたら、「Let's play the game. I am Ozeki. You are yokozuna.」と、のせる。ふたりで、立ちあい「みあって、見合って、はっけよいのこった」と、立つまでをジェスチャーでやったり。がっぷり四つに組むのは、ちょっと遠慮。(濃厚接触だからね)
カードに「ピンポン」「バレーボール」「バスケットボール」「テニス」「ボクシング」「すもう」「Swimming」「Walking」「Watching」「Standing」「Taking photograph」などと書いてある。
2,日本語学習者をふたつのチームに分ける。カードを配り、ふたり一組になってジェスチャーを出題し、相手チームに何をしているか、あてさせる。あたったら、ポイントゲット。
これは、カードの語句の意味を理解しているかどうか、確認するための遊び。
「Swimming」「Walking」などは、ジェスチャーで当てられるが、「Watching」「Standing」などは、ジェスチャーが巧みでないと、答えが出にくい。ただ、じっと立ち続けるジェスチャーでは「立っています」という答えが出ないのだ。
「すもう」のジェスチャーなどは知らない学生もいるので、できそうな人にあてておく。学生ができないときは、教師がジェスチャーすると、みな大喜び。私は調子にのると、横綱土俵入りのジェスチャーまでサービス。
3,「Please answer. Do you like sports. 答えてください.スポーツが好きですか」スポーツが好きそうな学生に質問する。学生は「好きです」と答える。
①テニスが好きそうな学習者に質問「テニスが好きですか」学習者の答え「はい、テニスが好きです」
②女子学生に質問「ボクシングが好きですか」好きだと答えたら「ボクシングができますか」「いいえ、できません」「そうですか、○○さんは、ボクシングができません。○○san can not play boxing.」
① わざと、すもうができるか聞いてみたりする。冗談で「できる」と答える学生がいたら、「Let's play the game. I am Ozeki. You are yokozuna.」と、のせる。ふたりで、立ちあい「みあって、見合って、はっけよいのこった」と、立つまでをジェスチャーでやったり。がっぷり四つに組むのは、ちょっと遠慮。(濃厚接触だからね)
4,教師「○○san do you like TV watching ?テレビ見ますか。TVwatching、好きですか。」
日本語学習者学生「Yes 」
教師「そう、テレビが好きですね。テレビを見ますね。日本語で言ってください」
学生「テレビ見ます、好きです」
教師「Please say full sentence.もう一度。わたしは~、はいどうぞ」
学生「わたしはテレビを見ます が 好きです」
5,教師「今の日本語は正しい日本語ではありません。もういちど、言ってください」
学生「わたしはテレビをみますが好きです」
教師「ちがいます。『みますが好きです』は、正しい日本語ではありません」
学生「Ah!わかりません」
ここまでが、辞書形導入のための動機付け部分。ここまでで10~15分ほど。これはゆっくり進むクラスの場合。日本語学校でExpressコースではこんなに動機づけに時間をかけられないほうが多い。
6 ここで、動詞の辞書形(基本形)を導入する。テ形ナイ形を学習したあとなので、辞書に出ている形(基本の形)があることは、初級学習者に理解できる。
7 辞書形の作り方。
・3グループ動詞(スペシャルサ変カ変)します⇒する きます⇒くる
・2グループ動詞(1段動詞) マスを取ってルをつける 見ます⇒みる
食べます⇒たべる 教えます ⇒おしえる
・1グループ動詞(5段動詞) Kak i masu yom i masu マスの前の「i」を「u」におきかえる。 マスの前の音を「う段」におきかえる。
会います⇒あう 書きます⇒かく 話します⇒はなす
「みんなの日本語Ⅰ」18課の辞書形一覧表

8 動詞カード(絵カード、フラッシュカード)を使って、教師がマス形を言い、学生に辞書形を言わせる。はじめは、教科書A練習に出ている動詞。次に2グループ、3グループ、1グループの順に、動詞を繰り出して、辞書形への変換練習。
9 ①「こと」を用いた、動詞の名詞化の練習。カードをみせながら、あるいは口答練習で「Walking →あるくこと」「Watching →みること」の変換練習
講演を歩くことが好きです、テレビを見ることが好きです。
「みんなの日本語Ⅰ」A練習の辞書形文の練習

②「~ができます」の文型で練習。
③「趣味は、動詞~ことです」の代入練習。
③「趣味は、動詞~ことです」の代入練習。
A練習で形ができたら、自分自身の趣味を言わせる「趣味はお酒を飲むことです」「趣味は映画を見ることです」「趣味は絵を描くことです」などの例文を練習。

10 自分ができること、自分の趣味について、学生自身のこととして表現する練習。乗りやすいクラスと、そうでないクラスでは、例文を使い分ける。やたらに「うけねらい」の文を発表しようと、はりきる学生がいるクラスがある。調子にのりやすい男子学生がいるクラスだと、「趣味は、きれいな女の人の写真をとることです」「趣味はかわいい女の人と話すことです」などと、うけねらいの短文が続出。
逆に、ちょっとでもふざけた文を言うと、ブーイングを出す、まじめ学生のいるクラスも。
教師も、クラスの個性にあわせて臨機応変に。
逆に、ちょっとでもふざけた文を言うと、ブーイングを出す、まじめ学生のいるクラスも。
教師も、クラスの個性にあわせて臨機応変に。
10 形の練習ができたら、B練習の質問と答えの練習。AとBのペア練習
例文)教師のキュー(きっかけ合図)どんな外国語を話しますか。
A: どんな外国語を話すことができますか。
B: 英語を話すことができます。
キュー 漢字をいくつ書きますか。
A: 漢字をいくつ書くことができますか。
B: 100くらい書くことができます。
A:〇〇さん、趣味はなんですか。
B:絵をかくことです。
などの練習をして、短いスキット会話練習に進みます。(「みんなの日本語
C練習」)
ここまでで、45分授業3コマ~4コマを使います。
<つづく>