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ぽかぽか春庭「旧清明文庫(勝海舟記念館)」

2022-03-12 00:00:01 | エッセイ、コラム

 勝海舟記念館正面(旧清明文庫)

20220312
ぽかぽか春庭アート散歩>2022アート散歩建物巡り早春(1)旧清明文庫(勝海舟記念館)

 勝海舟記念館は、洗足池東側に建っています。東急池上線洗足池駅から道路を渡るとボート乗り場に着きます。
 ボート乗り場の東側に記念館があります。

 勝海舟は、西郷隆盛との江戸城明け渡し交渉に向かう途中、洗足池畔で休憩したのちに会談場所の池上本門寺へ向かったのだそうです。そのおり洗足池の風致が気に入り、池のほとりに別荘「洗足軒」を建てました。
 勝海舟の死後、遺族から財団法人清明会に土地が寄贈され、1928年、鉄筋コンクリート3階建ての洋館が竣工しました。外観はネオゴシックスタイル、内部はアールデコ装飾により建てられていますが、設計者がだれであるか施行者だれだったのか、記録が残されていません。

 西側から見る記念館
 

 勝海舟の遺蹟を保存するための清明文庫でしたが、戦後は出版社の所有となり鳳凰閣として存続。
 大田区が鳳凰閣を取得し、改修工事をほどこしたのち勝海舟記念館として2019年に一般公開しました。2000年に国登録有形文化財の指定をうけました。
 一般公開にあたって、東側にステンレス張りの新館が付け加えられました。現在、新館のエントランスから入場します。
 展示は撮影禁止ですが、建物の撮影はOK。内部は禁止のところ撮影OKのところがありました。

 旧清明文庫の玄関 玄関内側

 階段


 大田区の改修工事は、元の姿に近くなるよう修復されましたが、現在では手に入らない建材などは、できる限り復元を試みています。

 腰壁の泰山風タイル。
 

 2階講堂のステージわき飾り柱

天井の飾りは復元

 勝海舟の身長は154~156くらいだったそうです。(衣裳などから推定)
 等身大パネルといっしょに写真をとりました。


 記念館の展示物は撮影禁止なので、勝海舟の使用した印鑑の印影は撮影できませんでしたが、荷物を入れておいたロッカーのとびらに印影がプリントされていました。

 100年前の建物が、公共のものとして改修された例として、勝海舟記念館はよい一例かと思います。もうひとつ、旧公衆衛生院を港区が取得して改修し、港区郷土歴史館として区民のコミュニティにも利用できるようになるなどの例があります。関東大震災にも東京大空襲にも残った建物、大切にしてほしい。

 多くの近代建物が「耐震工事にお金がかかる」などの理由で解体撤去される例があとをたちません。個人の持ち物である建物などをできる限り公的に維持管理されていくよう、日本の近代建築史に残る建物が残されていくことを望んでいます。
 
 1928(昭和3)年に建てられたネオクラシック様式が残されている例は少ないということなので、勝海舟記念館として維持できることになり、よかったと思います。
 次回は港区郷土歴史館を紹介します。

<つづく>
コメント
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