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ぽかぽか春庭「白井晟一 入門 in 松濤美術館」

2022-03-15 00:00:01 | エッセイ、コラム


20220320
ぽかぽか春庭アート散歩>アート散歩建物拾遺2021(1)白井晟一 入門 in 松濤美術館 in 松濤美術館
 
 何度も訪れてきた松涛美術館。中庭の噴水や池に反射する光、2階にかけられた池の上の渡り廊下、池を取り囲む建物など、いい建物だなあと眺めてきましたが、設計者が白井晟一であることを意識したこともありませんでした。
 
 林芙美子のパリ生活の日記などに出てくる白井晟一。
 とてもダンディ、おしゃれな風貌で、夫ある身の芙美子をも虜にする青年だったろうなあと当時の写真などをみてきました。パリ在住時にはまだ建築家としても装丁家としても確立していないころで、「何かを求めて留学してきた日本青年」というだけのワカゾーでした。林芙美子の日記には「s」と書かれています。

 白井晟一の解説 by 松濤美術館 
 白井晟一(1905~1983)は京都で生まれ、京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)図案科卒業後、ドイツで哲学を学ぶなど異色の経歴をもつ建築家です。
 林芙美子などと交流した滞欧期を経て帰国後、義兄の画家・近藤浩一路の自邸の設計を手掛けたことを契機に独学で建築家への道に進みました。その後「歓帰荘」「秋ノ宮村役場」といった初期の木造の個人住宅・公共建築から、「親和銀行本店」「ノアビル」「渋谷区立松濤美術館」など後期の記念碑的建築まで、多くの記憶に残る作品を残しました。そのユニークなスタイルから哲学の建築家などとも評されてきました。
 一方で、建築以外の分野でも才能を発揮し、多くの装丁デザインを手がけ、そのなかには「中公新書」の書籍装丁など現在まで使用されているものもあります。また著作や、書家としての活動など、建築の枠組みを超え、形や空間に対する思索を続けました。
 本展は、初期から晩年までの白井建築や、その多彩な活動の全体像にふれる、いわば白井晟一入門編として構成するものです。
 第1部では白井晟一の設計した展示室でオリジナル図面、建築模型、装丁デザイン画、書などを、白井晟一研究所のアーカイヴを中心に展示し、その活動をたどります。第2部では、晩年の代表的建築のひとつである松濤美術館そのものに焦点をあてます。長年、展示向けに壁面等が設置されている展示室を、白井がイメージした当初の姿に近づけ公開します。

 第2部(会期:2022年1月4日(火)~1月30日(日) )は、建築当初の姿に戻した白井が設計したままの「松濤美術館の建物を見る」というものでしたが、1月中にでかけることができず、残念でした。展示用に使われるときは、茶室などは見ることができませんし、展示の章名のために窓に黒幕がかけられたりしていたから、見ておきたかったのですが。

 松濤美術館が自館紹介に出している画像 正面入り口。


 私が観覧したのは第1部の展示。白井の建築図面や建築模型、すでに失われてしまっている建物の写真などが展示されていました。
 第1部/白井晟一クロニクル 2021年10月23日(土)~12月12日(日)

 白井の作品、群馬県松田町役場の写真、ノアビルの模型などの展示がありました。もう建物が残っていない作品も多いのですが、写真を見ることができただけでも、貴重な機会でした。白井の設計した小住宅は、ほとんど「現存せず」になっていました。

 設計図と映像作品による「原爆堂」は、すばらしい展示でした。白井がビキニ環礁の水爆実験のあと、ビキニや長崎原爆への鎮魂のために設計した慰霊堂ですが、実現することなく終わりました。
 CG動画が会場内で公開され、原爆堂の外部から内部を歩く擬似体験ができました。 
 設計図やそれをもとにした模型などで、全体のようすがよくわかりました。できるなら、長崎の平和公園にこの慰霊堂が実現できたらいいなあと思います。


 白井の作品のうち、小住宅は「現存せず」のものが多いですが、松井田町役場は、かろうじて建物は残されています。しかし、新しい耐震設備を施せないままに「廃墟」のようになっているというので、残念です。最新の写真を見ると、正面には「見学不可」とあり、中に入ることはできないようですが、群馬に行けたら、せめて外観を見てきたいです。

 松井田町役場の保存、長崎慰霊堂の実現、どこか志のある方、修理費建設費を工面できないものでしょうか。

 旧松井田町役場 2021年12月撮影の画像を借用


 松濤美術館の画像を見ていると、1月の「建築当初の美術館そのものを展示する」という展示時期に見にいく機会がなかったことが悔やまれます。
 また次の機会に。それまで借用画像をながめてすごします。

 中庭


 階段


<つづく>
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