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ぽかぽか春庭「フィギュアスケート世界選手権2022」

2022-03-29 00:00:01 | エッセイ、コラム

20220329
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(3)フィギュアスケート世界選手権2022

 ウクライナへのロシア侵攻により、ロシア&ベラルーシは出場停止となった2022年フィギュアスケート世界選手権。よってロシア女子不在。男子は、チャンピオンのネイサンチェンも人気第一の羽生結弦も欠場。
 ロシア女子が表彰台独占するような昨今のフィギュア状況でしたが、今回は日本勢席巻の大会になるかな、と予想はついていました。予想通り、2014年の浅田真央羽生結弦のW金メダル以来の成績となりました。

 日本選手の活躍、すばらしかったです。
 ペア、りくりゅう銀メダル。アイスダンスかなだい、ショートもフリーもミスが出てしまい、16位。目標だった10位以内に届かず、2枠取りには成功しませんでしたが、来期も続けてほしいです。

 女子、坂本香織金メダル。
 樋口新葉11位河愛菜15位と、ミスが響いてしまい順位は希望通りにはいきませんでしたが、樋口選手のライオンキング、私も大好きな振り付けです。来シーズンの曲は変えるのかもしれませんけれど、私はこのナンバーの完成形をみたいです。

 男子、宇野昌磨金メダル、鍵山優真銀メダル、友野一希は、ジャンプミスがあり、ショート3位から後退しましたが、代役の代役として急遽日本代表になり調整も難しかった中、6位も立派な成績と思います。
 アメリカ代表として五輪代表に選ばれながら、コロナ陽性で出場できなかったビンセント・ジョウが銅メダルになったのも、よかったです。

 2019年世界大会の女子フリー試合とエキシビションをさいたまアリ―ナで観戦しました。5階席までぎっしり満員のようすを見てきたのに比べると、2022年フランスでの世界大会、女子ショートなど、ガラガラの座席が目立ちました。フランス人の女子有力選手が出場していないこともあると思いますが、日本でチケット抽選に当たることも難しい座席争奪戦から見ると、「あの、空いている席に飛んでいきたい」と思ってしまいます。コロナがなかったら、あの空席は全部日本から乗り込むファンで埋まったかもしれません。

 日本の女子3選手


 長く活躍してきた宮原知子選手が現役引退プロスケーターへ転身します。長年女子フィギュア競技を牽引してきた努力家、ほんとうにご苦労様でした。プロのスケートショウ、見に行きますよ。
 キーガンメッシングも引退。ネイサン・チェンもおそらく2022は学業優先、羽生選手の動向わからず。

 以上で、フィギュアスケート2022のリポート終わり。以下は、スケートにまつわる違和感表明のいくつか。
 
 違和感その1。2019年は、さいたまアリーナで、女子フリーとエキシビションを生観戦でき、よい時間をすごせました。
 女子フリーの試合のときのこと。会場の人々がにわかにざわつきました。何かなと思っていたら「タラソワさん、来てる」という声が聞こえました。浅田真央を指導したこともあるロシアのタチアナ・タラソワコーチが、ロシアの主だった選手の演技が終わったタイミングで、おつきの人に取り囲まれる形で会場を出ていくところでした。
 ふくよかな体形に毛皮のコート。(ふくよかな、というのは政治的に正しい表現であり、見た目の直接的な表現では「でっぷりの肉付き」)

 タラソワさん、数多くの名選手を指導したロシアフィギュアスケート界の重鎮、ロシアスケート連盟顧問 です。
 そのタラソワさんの坂本香織金メダルに対することば、釈然としません。

 スポーツ紙などの報道によるタラソワ発言
 「彼ら(出場選手)の中では一番優れていただけです。彼女たち(ロシア勢)がいなければ、本当の勝利とは言えないでしょう」
 「 彼女はすべてきれいにこなしたが、20年前のスケートだ。彼女は最高難度の要素を持っていなかったし、うちの子たちは技術的な完成度が常に進化している。どこでも1位になることは間違いないでしょう。日本人はよく滑ったけど、間違いなく最高レベルではない」

 なんてみっともない負け惜しみでしょう。トップ選手を育ててきた重鎮とは思えない発言です。ロシア女子が出場できなかった悔しさをぶつけたかったのでしょうが、「うちの子がどこでも1位。坂本の演技は20年前のレベル」という発言にいたっては、口あんぐりです。

 なぜ、ロシア勢が世界選手権から排除されなければならなかったのか、自国の政治に対する問題は完全無視し、さらには、カミラ・ワリエラ のドーピング問題に対するロシアフィギュア顧問としてのことばもなく、金メダリストに対する誹謗中傷のことば。ロシアが国家ぐるみでドーピングに励んで国威発揚に努めたことは、単なるうわさにすぎないとでも思っているのでしょうか。

 「うちの子が技術的完成度が進化している」ですって?少女に心臓薬を打って心臓強化で疲れない身体にし、ドーピング検査にひっかからない薬を進化させて筋肉増強を図る」それが「進化」だとでも?
 公平をむねとするスポーツ界で聞きたくないタチアナタラソワ・ロシア顧問のことばでした。
 日本のフィギュアスケート界から、この発言への反論はないのでしょうか。荒川理事もタラソワさんの指導を受けたことがあるから遠慮してるの?

違和感その2。フィギュアスケートは、ジャンプの回転数が多いほど高得点という、技術を争うスポーツであると同時に演技構成点という表現力を争う芸術性も評価のひとつです。羽生は自分自身を「スポーツ選手」と規定する一方「自分は表現者である」と言っています。表現力がなければ、いくら4回転をポンポン飛んだとしても、競技として完全ではない。

 六義園でミサイルママと花見おしゃべりしたときの話題のひとつ。ジャズダンスのミワ先生は、羽生の衣裳が大嫌いだ、という話でした。
 ミワ先生は、ジャズダンスの発表会でも、衣裳にフリルやスパンコールを飾ることを嫌い、出演者たちはできるだけシンプルな衣装にせざるを得ませんでした。ダンス参加者が高齢となるにともない、先生も体形をカバーするフリルなどを黙認し、華やかな衣装で年齢をごまかすことに文句をつけなくなりました。

 しかし、羽生の衣裳に対しては辛辣で、フリルや羽飾り、スパンコールに大反対だというのです。
 好みは人それぞれですから、ミワ先生が華やかな衣装を嫌い、シンプル衣裳での競技を望むのひとつの好みです。
 私は、羽生選手が華やかな衣装を着ることによって表現への意欲がたかまるのであれば、羽飾りもスパンコールもよいと思っています。
 ネイサン・チェンの「練習着のまんま出場してるんかい」というような、そっけないTシャツ衣裳も、それはネイサンの好みで、シンプルなほうが演技しやすいのならそれもよし。(ただし、北京冬季五輪のときのシャツはさすがに引いた。オレンジ色に宇宙模様?いいけどね。これが好みなら

 世界選手権で2021-2022のシーズンが終了。秋のグランプリシリーズまで、スケート観戦はお休みです。
 春休みもおわり、仕事は新学期に向けて始動。選手たちのがんばりに感謝しつつ、72歳老師がんばります。クワッドアクセルに挑戦し続けた羽生結弦の姿に励まされながら、留学生相手に奮励奮闘。

<おわり>
コメント
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