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ぽかぽか春庭「紫式部日記絵巻 in 五島美術館」

2023-10-24 00:00:01 | エッセイ、コラム

 五島美術館所蔵「紫式部日記第一段 皇子誕生」

20231024
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 2024年1月からのNHK大河ドラマは、『光る君へ』。紫式部と藤原道長を描き、武士が台頭する前の京の歴史絵巻になるのだとか。
 紫式部は日記を残しています。宮仕えをしたあいだ、仕えた中宮彰子がのちの皇太子を出産する前後1年半の記録。

 その他の時代の紫式部は、ほとんど資料がありません。藤原道長の生涯も『栄花物語』などでたどることはできますが、鎌倉時代に書かれたものです。あまりの歴史離れはないと思うものの、どこまで史実がでてくるのか、興味深いところです。あくまでドラマですから、日記に書かれていない紫式部(宮廷の呼び名は藤原氏出身で兄の官職が式部ゆえ、藤式部)が、源氏物語(「紫の物語」とも呼ばれた。紫の上と呼ばれるヒロインの物語)を描いたというあだ名が「紫式部」
 上野毛の五島美術館で紫式部日記の展示がありました。
 
五島美術館の口上
『紫式部日記』は、『源氏物語』の著者紫式部(生歿年未詳)が、平安時代、寛弘5年(1008)7月から同7年(1010)正月までの約1年半の間に書き遺した日記。藤原道長の娘であり一条天皇の中宮であった彰子に仕えた紫式部が、彰子の2度の皇子出産とその祝賀の華やかな様子を中心に、当時の権力者道長をめぐる様々な平安貴族の様子を生きいきと描き出した日記文学の傑作である。「紫式部日記絵巻」は、それを約250年後の鎌倉時代前期に絵巻にした作品。もとは全10巻程度の巻物であったと推定。江戸時代以前の伝来は不明。現在はその約4分の1にあたる4巻分が伝わり、五島美術館のほか、大阪・藤田美術館、東京国立博物館、個人コレクターが所蔵する。詞書の筆者を鎌倉時代の能書後京極良経(1169~1206)、絵の筆者を鎌倉時代の絵師藤原信実(?~1233~1266~?)と伝えるが、詳細は不明。五島美術館が収蔵する三段分は、大正9年(1920)に名古屋の森川勘一郎(1887~1980)が発見した巻子本(全五段)の内の第一・二・四段目にあたる。昭和7年(1932)、益田鈍翁(1848~1938)が購入する際に第五段目を切断、森川家に残し(現在、個人蔵)、さらに翌年、鈍翁は第三段目を切り離し掛軸に改装(現在、東京国立博物館蔵)、残りの三段分はその翌年額装となり、戦後、高梨家を経て五島美術館が収蔵することとなった。
(五島美術館収蔵「国宝 紫式部日記絵巻」は、毎年秋に1週間程度展示の予定)

 絵巻は、展示室1に五島美術館所蔵の国宝が、復元模写と並べて展示されていました。模写には、傷んでいたり色が落剝している現在の状態をそのまま模写する現状模写と、描かれた当初はこうだったであろうという分析によって再現する復元模写があります。源氏物語絵巻が現状模写復元模写、どちらも完成したのは知っていましたし、東京芸大での展示も見ましたが、紫式部日記も模写が完成していること、知りませんでした。

 紫式部日記第三段
 中央で背中を見せている公家が藤原斉信。

 復元模写によって、そうか、当時の人はこのような色合いで絵巻を見ていたのか、と気づくこともあります。模写する画家さんはたいへんだろうけれど、大切な作業と思います。

 紫式部日記は、私が初めて「影印本」を読んだ古典作品です。武蔵野書房の本だったと思います。影印本とは、古写本をそのまま写真にとって本にしたもの。影印本によって、変体仮名の読み方を覚えていく古典文学の授業。私は紫式部日記の前半と伊勢物語の数段を影印本で読んでみて、たちまちgive up。発表割り当てのページは、影印本の文字の横に翻刻本(活字本)の文字をルビにふるというごまかしでこなし、レポート提出でなんとか単位は獲得。

 書道をやる人にとっては変体仮名の流麗な筆文字を読みこなすことも必要でしょうが、私には、変体仮名を覚える努力をするより、活字本でいいから、物語そのものに没頭したい、という気持ちが強かった、、、、ようは、地道な努力ができない人間でした、、、

 五島美術館で国宝の詞書を見てその美しさにうっとりでしたが、やはり「筆文字を努力して読んでみよう」と言う気持ちは起きませず。ただ、千年前にこのような日記を書いた女性がいたということに驚嘆し誇りに思う気持ちで、読めない文字を眺めてきました。

 第一段 渡殿の公達と紫式部

 第一段の登場人物
 渡殿にいる藤原斉信と藤原実成  つま戸の中にいる紫式部(手前)と宮の内侍(奥) 

 第一弾の詞書        

 詞書の翻刻
 くれて月いとおもしろきに宮のすけ女房にあひてとりわきたるよろこびもけいせさせんとにやあらんつまとのわたりも御ゆとののけはひにぬれ人のおともせさりけれはこのわたとののひむかしのつまなる宮のないしのつほねにたちよりてここにやとあんないし給さいしょうはなかのまによりてまたささぬこうしのかみおしあけて~

 さて、大河ドラマ「光る君へ」に、この渡殿のシーンが出てくるかしらなど、楽しみです。藤原斉信は、お笑い出身の「はんにゃ」金田哲が演じる、とキャストが発表されているので、第一段、第三段のシーンじゃなくても画面に顔を出しそう。劇伴ピアノ演奏が反田恭平っていうのも楽しみ。っていうのも、今の「どうする~」が、どうにもならないくらい私にはおもしろくなかったので、早いこと紫式部に光ってほしい。

<つづく> 
コメント
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