春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「スモーガスボード in レストランストックホルム」

2015-03-10 00:00:01 | エッセイ、コラム


20150310
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十五夜満月日記3月どこかで春が(8)スモーガスボードin レストラン・ストックホルム

 友人のA子さんにお誘いいただいて、スエーデン料理の食べ放題「スモーガスボード」に行ってきました。

 スモーガスボードについての説明は、2008年8月にはじめてレストランストックホルムでこの北欧料理食べ放題を食べたときに説明したのだけれど、もう一度。
 
 日本で「食べ放題」フランス語の「buffetビュッフェ」と呼ばれたり、英語由来の和製カタカナ語として「バイキング」と呼ばれています。バイキングは、デンマーク旅行中の帝国ホテル支配人犬丸徹三が、食べ放題式のスモーガスボードを知り、日本に取り入れようとしたときのネーミングです。スモーガスボードでは意味が伝わらないと考え、北欧の海賊バイキングが盛大に食べるイメージで名付けたのだそうです。

 その元になったスモーガスボードは、スウェーデン語のスモーガス(smorgasパンまたはオープンサンドイッチ)とボード((bordテーブル) を合成した語。ちなみにスエーデン語とデンマーク語は、それぞれの言語を話す話者が意思疎通できる程度のいわば「方言の差」にすぎないほどの、近い言語(印欧語東ノルド語)。2000年には両国は海底トンネルでつながったので、両方の言語はもっと近づいているかもしれません。
 いずれにせよ、北欧では食べ放題はスモーガスボードです。

 食べ放題の前は、朝ご飯昼ご飯を控えようと思ったのに、妹モモが同じ日、「東京に出る用事があるから、お昼をいっしょに食べよう」といい、モモの用事が済むまで待っていました。けっきゃくランチが3時すぎになってからになり、イタリアンパスタランチでけっこうおなかいっぱいになったところに、夕ご飯の食べ放題。
 もう、ほんとおなかパンパンでした。



  
 
 にしんもサケもおいしゅうございましたが、もうちょっと腹ぺこ状態で食べるべきでした。
 A子さんとのよもやま話、あれこれの苦労話を交換して、次回までがんばって生きていこうとエール交換。

 もう、ほんと、来週は断食しようと思います。

<つづく>
 
  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぽかぽか春庭「カナルカフェスイーツ」

2015-03-08 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150312
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十五夜満月日記3月どこかで春が(8)カナルカフェ・スイーツ

 娘とふたりの「看護骨休め食べ歩き」。姑の入院が長くなればなるほど、私と娘はぶくぶく太っていくという図式。
 でも、娘が病院へ向かう前に、ちょっとでも気晴らしが必要と思うのです。3月4日は、今まで「コーヒー1杯800円もする喫茶店、うちらの選択肢にはないね」と言っていた、駅前お堀際のカフェへ。
 いつもなら、ヴェローチェのコーヒー180円、マクドナルドのコーヒー120円、セブンイレブンのイートインコーナーセルフサービスコーヒー100円。これが、私の選択肢。スターバックスは贅沢の部類なので、一人では入らない。

 「カナルカフェブティック」は飯田橋駅西口外堀、お堀端にあります。お堀のボートを眺めながらカナルカフェアウトデッキでお花見するのがおしゃれなんですけれど、今回は外はまだ寒いし、交差点角にあるほうのカナルカフェブティックへ。1階はケーキ屋になっている喫茶店。昔はマクドナルドが営業していたのですが、カフェに変わってから一度も入ったことがなかった。高いから。
 マックから変わったのは2010年12月だっていうけれど、実に4年たっての初入店。おお、なんだかハレの気分。

 ケーキとドリンクセットが税別1200円。プチスイーツつきのドリンクが800円。カフェタイムを楽しむOLさんには何でもない金額なのでしょうが、貧困家庭の我が家にはコーヒー一杯800円というのは贅沢の部類に入ります。

 娘はプチスイーツ&マンゴーティ。私はケーキセットを注文。
 モンブランとベイリーズコーヒーのセット。お酒が入ったコーヒー飲むのは始めてです。
 コーヒーカクテルというものがあることは知っていたけれど、私はコーヒーはコーヒーで、お酒はお酒で飲みたいと思っていて、せっかくそれぞれおいしい飲み物なのに、混ぜることもないと思っていました。紅茶はブランディ混ぜるのもOKなのに、どうしてか今までコーヒーはブラックが一番と思っていました。

手前がベイリーズコーヒーとモンブランケーキ。奥がマンゴーティーとプチスイーツ


 ほほう、調べてみれば、コーヒー入りの酒はカクテルに分類され、酒入りコーヒーはカフェ・コレットと呼ぶんですと。あまりお酒に縁がないもので、知りませんでした。
 で、ベイリーズコーヒーは、コーヒーに、 ベイリーズ・オリジナル・アイリッシュ・クリームというアイルランド原産のクリーム系のリキュール(ベイリーズ社製造)を混ぜた物。
 おいしゅうございましたが、一杯だけでは酔うということもなく、私にはマックの100円コーヒーと同じ。酔いたいんならお酒飲むし。

 上に栗の甘煮がトッピングされているのはコージーコーナーのモンブランも同じ。でも、モンブランの山を崩していくと、モンブラン550円は、山の中にも栗が入っていました。390円のコージーコーナーモンブランとの差に納得したけれど、まあ、私にとっては1200円ケーキセットは、特別なごほうびです。
 私は栗のお菓子が好きですけれど、マロングラッセも、いつもは「こわれマロングラッセお徳用」を食べます。(500円のお徳用袋入りを通常なら10分ほどで完食するのですが、こわれていないマロングラッセ一個300円なんてのは、もったいなくて食べられない貧乏性)

 娘がたのんだマンゴーティもとっても風味がよかったそうで、娘は飯田橋から病院へ行きました。私は仕事に必要な本をさがしに古本屋へ。

 今月23日で、これまで続けてきた仕事が終了になりますが、次の仕事の準備が始まります。
貧乏ヒマなしですけれど、ヒマになったら食べていけないのですから、食うために働かなくては。

<つづく>
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぽかぽか春庭「ベラルーシ料理ミンスクの台所」

2015-03-07 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150307
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十五夜満月日記3月どこかで春が(5)ベラルーシ料理ミンスクの台所in六本木

 前期後期の授業が終わったときの講師仲間のたのしみのひとつが、打ち上げ食事会。
 それぞれが教材開発や日本語教育研究にすぐれた業績をかさねつつ留学生に日本語や日本文学、日本文化などを教えている仲間達です。研究に加えて、津軽三味線の講師をしていたり、モダンダンスのダンサーだったり、多彩な才能を持つ人たちなので、それぞれの専門や趣味について話しをうかがうのも楽しみです。
 なによりも「教えた留学生の国の料理を制覇していく」という楽しみがあります。

 今回2月19日、六本木にある「ミンスクの台所」で食べることになりました。私は、旧ソ連に所属していた共和国では、ウクライナ、ラトビア、リトアニア、アゼルバイジャン、キルギス、タジクの留学生を教えたことがありますが、ベラルーシ(白ロシア)の留学生には出会っていません。

 ベラルーの家庭料理、というレストラン。私は、六本木の泉屋博古館を見に来たおりに、「ミンスクの台所」ランチで入ったことがありましたが、夕食のコースは初めてで、どんな料理が出てくるのか楽しみでした。4500円の会費は、いつもよりちょっと高いですが、コースにワイングラスいっぱい付き。それ以上飲みたい人は別料金。ワイン好きはグルジアワインを注文して会費千円UP。むろん私、ひとりで1本あけたいくち。

前菜とサービスワイン、キノコソテー
  
ピロシキとパプリカマリネ、サラダ
  
ボルシチ、ロールキャベツ、ポテト、ビーフストロガノフ、      

グルジアワイン
  

 メイン料理を食べ終わり、さて最後にデザートが出てくるかなと思っていたら、民族衣装の男女が入ってきました。ロシア民族音楽アンサンブルの「ガルモーシカ」のメンバーです。ガルモーシカというのは、ロシアの民族楽器となったアコーディオンです。ロシアの国民的人形アニメ「チェブラーシカ」が得意になって弾く楽器。アコーディオン類も、タンゴなどのラテン音楽で演奏されるバンドネオンとか、それぞれの民族の中で独自の音色を響かせます。
 ガルモーシカアンサンブルは、毎週木曜日には、ミンスクの台所でステージコンサートの宣伝をかねてミニライブをひらいているのだそうです。

 今回は、アコーディオンのガルモーシカの音色を聞くことはできず、バラライカ演奏のマキシムさんと、とても美しい歌い手さんが歌うロシア民謡。(名前言ったのだけれど、忘れた。たぶんラリーサさん)



「モスクワ郊外の夕べ」「カリンカ」「カチューシャ「1週間」など、60年代の若者が入り浸った歌声喫茶で人気のロシア民謡。
 「♫日曜日は市場へ出かけ糸と針を買ってきた~トゥリャトゥリャ~」とか「♫りんごの花ほころび、川面に霞立ち~」とか、昔歌った歌を思い出していっしょに歌いました。

 最後は、お客さんひとりひとりにロシアの民族打楽器が手渡されて、打楽器の合奏。みな、歌にあわせていっしょうけんめい打楽器を鳴らして楽しかった。

バラライカ演奏マキシムさん(パンフレットに、東京芸大で邦楽研究により博士号取得。尺八演奏者、という紹介があります)

ラリーサさんが手にしているスプーンは、カスタネットのように丸い木の部分を打ち合わせる民族打楽器です。


ガルモーシカのサイト
https://www.facebook.com/garmoshkatokyo
youtubeガルモーシカプロモーションビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=X_TDwha_gJg

 最後のデザート、アイスクリームも食べて、みな満腹のベラルーシ料理でした。
 ディナーコース4500円は、薄給の非常勤講師にはちょいお高めの値段設定でしたが、ショウチャージも入ってのことだったし、お料理が品数多かったし、おいしくて楽しい晩ご飯でした。


 
 まえに吉祥寺のグルジア料理を食べたときも、同じロシア文化圏ですから、ロシア料理とグルジア料理はそれほど変わりないメニューと思ったけれど、今回のベラルーシ料理もロシア料理だと言って出されればそう思う。こうなると、ウクライナとか、アゼルバイジャンとか、リトアニアとか、ラトビアとか、旧ソ連の料理をみな食べ比べて見たくなります。
 同じ漢字文化圏といっても、中国料理と韓国料理と日本料理では、味わいがずいぶん違うように思うのですが、西欧やアフリカの人から見たら、中国料理も日本料理も同じように思えるのかしら。私は中国のラーメンと日本のラーメン(日式拉麺)はずいぶん味が異なるように思うのですけれど。

 インターナショナル食べ放題、久しぶりの民族料理食べ歩きは、ベラルーシ料理のご紹介でした。

<つづく>
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぽかぽか春庭「お台場ランチと観覧車」

2015-03-05 00:00:01 | エッセイ、コラム

ゆりかもめから見たお台場パレットタウン観覧車

20150305
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十五夜満月日記3月どこかで春が(4)お台場ランチ&パレットタウン観覧車

 観覧車リベンジは、2月24日火曜日。あいにくの曇り空でした。
 観覧車に乗る前に、パレットタウンでランチ。地中海料理食べ放題というのにつられて入った店、食べ物のクオリティはイマイチでした。娘が中学高校のころ、食べ放題に凝って都内の主な店を食べ歩いた時期がありました。食べ放題評論家の娘にいわせると「渋谷や新宿の食べ放題激戦区だったら、この料理なら、ランチ千円くらい。でも、お台場料金がプラスされているから、二人で3800円になっちゃったんだよ」と、少々不満そう。おいしい物に目がないかわり、おいしくない料理には手厳しい。

 プレートに少しずつ取り分けた料理。娘のチョイスは見た目きれいに盛りつけていますが、私のは、量重視で、できるだけたくさん盛り込んであります。娘は、「食べ放題なんだから、何度でも取りに行けばいいのに、どうして母は一度に全部を盛りつけようとするの?」というのですが、最初に全部味見をしたい、というのも性格ですね。
    

娘が「私が作るポトフのほうがおいしい」という。トマト煮込みも。
  

 「お台場観光の通り一遍の客に、一度け食べさせれば経営がなり立つという場所柄の料理。平日お台場のお客の多くは学生同士デートカップルか、春節爆買客。
 むろん私は、おなかいっぱい食べました。

 曇り空2月の観覧車は空いていました。それで、娘もこれまで乗ったことがないという「シースルー観覧車」に乗ることにしました。足下までスケスケのゴンドラ。高所恐怖症の人には怖いかもしれません。あ、そもそも、高所恐怖症の人は観覧車に乗らないのか。



 一周16分のゴンドラの旅。娘とわーきゃー言いながら、東京ゲートウェイが見えた、東京タワーが見えたと眺めていました。曇り空ですから東京タワーも、もやった中に立っています。
   
 娘は観覧車から降りると豊洲までゆりかもめに乗って病院へ。私は、豊洲からUターンしてゆりかもめで新橋まで戻りました。乗り鉄の大好きな「一番前の席に座って、レールの曲がり具合を眺める」というのを楽しみたいのです。ゆりかもめは、運転手なしの無人運転モノレール。一番前の席で運転手気分も味わえます。
 娘とのランチデート、娘が、「ああ、楽しかった」と言ってくれて、看護付き添いの疲労を少しでもストレス解消できたのなら、なによりです。
 私は運転手気分でレインボーブリッジを往復できたし。

レインボーブリッジの中を通るゆりかもめ最前席


 ただし、1月2月のご褒美ランチで、我が家のエンゲル係数えらいことになっています。病院までの往復で交通費も。
 さて、これまでにもまして働かなければなりません。がんばります。

<つづく>
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぽかぽか春庭「汐留ランチ&旧新橋停車場」

2015-03-04 00:00:01 | エッセイ、コラム
 
旧新橋停車場のプラットホーム

20150304
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十五夜満月日記3月どこかで春が(3)汐留ランチ&旧新橋停車場

 病院付き添いを続ける娘へのごほうびランチシリーズ。
 私の病院通いは週末のほか平日は仕事のあいまを見てなのに対して、娘は平日はほぼ毎日付き添いを続けているので、疲れもたまってきます。私が病院に通うのは、姑の介護のためというより、体調万全ではない娘が疲れすぎないように、という思いからです。娘と交代して娘が休める日をつくること、娘においしいものを食べさせること、それくらいしか思いつきません。

 娘は「おばあちゃんが長生きできますように」という願いを込めて献身していますが、私は、ちょっと違います。90歳を超えた姑の命を1日延ばすために、娘の寿命が2年3年と縮んでしまうような奮闘ぶりが痛ましくてならないのです。娘が疲れすぎないように、健康をこれ以上損なわないように、寿命が縮まないように、私の願いはそちらのほうが大きい。

 娘が毎日のくらしに飽き飽きしないよう、たまには非日常を楽しむことも大事と思っています。家族の晩ご飯を作る役目の娘にとって、たまの外食はハレの日&ご飯作りの休日。だから、1月以来、外食日が増えています。

 2月21日土曜日、お台場へ行きました。お台場パレットタウンの招待券をもらったので、観覧車にのってひとまわりしてランチを食べようという計画でした。しかし、新橋の駅を降りてゆりかもめに乗ろうとして、娘が気づきました。「母、この券、平日のみ有効だって」 

 しかたがないので、駅近くのビル汐留シティセンターの42階にある和食店でランチ。42階の高さに期待したのですが、目の前を電通の汐留カレッタビルがふさいでいて、東京湾のながめは期待して入店したほどではありませんでした。汐留カレッタの後ろに、レインボーブリッジが三分の二ほど姿を見せていましたが。

 ランチのお味はまあまあ。ただし、同じクオリティの和食に比べて眺望代金プラスの値段設定でした。娘は「席料込みにしては眺めがイマイチだね」との評価。

私の一の膳(一品食べたあと)二の膳
  
娘のステーキ膳とデザート
  

 ランチのあと、気を取り直して、娘がまだ行ったことないという旧新橋ステーション鉄道歴史展示室に行きました。私は、旧新橋ステーションの復元なったころ、何度か見学に来たことがあります。しかし、汐留再開発を終えた今、明治の光景を彷彿とさせた復元新橋ステーションも、汐留シティセンター42階とカレッタ汐留48階の間に挟まれて肩身狭そうになっています。

 ♫汽笛一声新橋を早わが汽車は離れたり~と、心の中で口ずさみながら、入館。旧新橋停車場駅舎を復元再構築したころ、「乗り鉄」の私、新橋にくるたびに見学しました。日本鉄道の父であるモレルの肖像レリーフを見学するために、わざわざ桜木町駅構内へ出かけていったりしました。

 娘ははじめてなので、2Fの展示室をゆっくり見て回りました。今回の展示は、昨年の東京駅開業百年記念事業に合わせた展示「東京駅開業とその時代」。当時の写真や錦絵が並んでいました。

 ランチと鉄道歴史に満足し、娘は病院へ。私はパナソニックビルにある汐留ミュージアムでパスキン展を見ました。パナソニック汐留ミュージアムに今まで入ったことがなかったのは、招待券ももらえず、東京美術館巡りのぐるっとパスにも入館券がなかったからです。お金を出して絵を見ることはめったにないことですが、今回は鉄道記念館が無料だったから、ま、いいかとチケット購入。パスキンの展示、充実していました。

<つづく>
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぽかぽか春庭「雅叙園のおひな様」

2015-03-03 00:00:01 | エッセイ、コラム


20150303
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十五夜満月日記3月どこかで春が(2)雅叙園のおひな様

 姑の病院付き添いにがんばってくれている娘へのご褒美ランチ会として目黒雅叙園の中華ランチを食べた話、1月末に書きました。3月3日のひな祭りなのに、会期最初の1月中のひな人形見物になったのは、招待券が1月中有効の券だったから。

 雅叙園『百段階段』は1935(昭和35)年に建設された、国の登録有形文化財指定の木造建築です。下から階段を上っていって、脇の部屋に展示してあるおひな様を見ます。毎年「みちのくのひな人形」とか「京のひな人形」などテーマがあるのですが、今年は「瀬戸内のひな人形」

 旧家に伝わってきたおひな様を中心に、各部屋に所狭しと並んでいます。
 豪商の家に伝わってきた雛壇やお殿様から拝領したという雛、お姫様がままごと遊びしたのかもしれない雛道具などが展示されていました。下から順次、
十畝の間(じっぽのま)姫路市の御殿飾り雛(日本玩具博物館所蔵)
漁樵の間(ぎょしょうのま)広島県福山市太田家住宅雛人形(K.Iコレクション所蔵)
草丘の間(そうきゅうのま)鞆の浦の雛景色(K.Iコレクション所蔵)
静水の間(せいすいのま)江戸の雛・京の雛(日本玩具博物館所蔵)
星光の間(せいこうのま)鞆の浦の雛景色(K.Iコレクション所蔵)
清方の間(きよかたのま)倉敷市野家のお雛さま(野家塩業歴史館所蔵)西宮市辰馬家のお雛さま(白鹿記念酒造博物館所蔵)
頂上の間(ちょうじょうのま)ちりめん細工(日本玩具博物館所蔵)

 華麗な雛人形、古拙素朴な人形など、さまざまな人形たちが並びます。といっても、たくさんの雛だし写真をとってはいけないっていうし、どれがどれやら、どの部屋にどの雛だったか、もはや記憶も曖昧に。

 岡山の殿様池田侯から拝領したという大型の享保雛のお内裏様。雛というより、座高80センチのニホン最大級というデカ人形は、2月11日までの限定提示だというので、見ることができてよかった。

日本最大級の内裏雛


 雅叙園の中の中華レストランでランチセットをいただき、娘は病院へ。私は、雅叙園の中をひとまわり見て歩きました。

 入り口に展示してあった雛は撮影許可


 雅叙園の装飾。天井や壁がキンキラで、「太閤秀吉が今の世にあれば好みそうな」という派手好み。ワビサビ的な美をお好みの向きには嫌われそうだけれど、このような金襴緞子を好む美的感覚もまた我らのDNAなのだ、と思う。
 たまにランチに来るくらいなら、螺鈿細工がついたトイレのドアもいいかな、と思うけれど、毎日ここで暮らせと言われたら疲れてしまいそう。所詮豪華絢爛には似合わない貧乏育ちなのでした。







<つづく>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぽかぽか春庭「明かりをつけましょ、いつでも今から」

2015-03-01 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150301
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十五夜満月日記3月どこかで春が(1)明かりをつけましょ、いつでも今から

 姑は、入院中に90歳の誕生日をむかえました。
 いつもは私が贈った祝い袋の中から、姑は靴や服など好きな物を買うのですが、今回は、買い物に行けないので、私が選んだものをまずふたつ買ってきました。
 ひとつは「テレビを見ると疲れるから、イヤホンで童謡をききたい」という姑のために、MP3という小さな音楽再生機をプレゼント。息子がおばあちゃんの希望通り「由紀さおりと安田祥子の童謡集」をCDからインストールしてくれました。

 姑は、童謡を歌う会に入っていて、私も毎年パーシモンホールで開催されていた「オペラ歌手による童謡コンサート」というのをいっしょに聞きに行っていました。姑の好みは、安田祥子、五十嵐喜芳、秋川雅史などの「発声をきちんと勉強した歌手」なのです。

 姑は昨年、近所のお年寄りに誘われて、デイケアセンターを見学にいったのですが、そのとき歌わされた「童謡」には、強い拒否感をもらしました。
 介護ヘルパーさんたちがお年寄りを集め、「むすんでひらいて」などをいっしょに歌って、おゆうぎなどをさせたのが、いたく気にくわなかったらしい。デイケアの職員さんたちが参加者みなが楽しめるように、いっしょうけんめいやってくれているのはわかります。けれど、「お年寄りは幼稚園児じゃないのに」と、姑は感じてしまったのです。

 ヘルパーさん達は、やさしさを示すために、幼児に対するようにやさしいことばをかけるのでしょう。認知症の方にはそういうほうが安心してもらえるのかも知れません。しかし、姑はそういう扱い方をされることになれていませんでした。姑は、長い人生経験を持った人間としての尊厳を尊重して、大人として扱ってほしいのです。

 以前、童謡を歌う会に入っていたのも、声楽の専門家が指導するコーラスの会だったから。単に童謡をなつかしんで歌えばいいのではなくて、きちんと音楽性を重視して歌いたい、という人なのです。
 介護ヘルパーさんにとっては、幼児のように自分を慕ってくれるお年寄りのほうが扱いやすく、へんにプライドを持つバーサンは扱いにくいことだろうと想像します。しかし、姑のようなプライドバーさんが存在するのも事実。

 ♫明かりをつけましょ、ぼんぼりに お花をあげましょ 桃の花 五人囃子の笛太鼓、きょうはたのしいひな祭り
 この時期になると、どこのスーパーでも商店街でもBGMにこの曲を流します。病院でひな祭りも迎えることになった姑の心にも、明かりがともるように、もうひとつのプレゼントを買ってきました。去年の9月に111歳になった東京都葛飾区在住の後藤はつのさんの著書です。(ライターが聞き書きや取材によってまとめたもの)。

 はつのさんは、1903年生まれ。姑のふるさと山形県とは山ひとつ隔てたとなりの新潟県妙高高原の赤倉温泉で育ちました。14歳で行儀見習いのため上京。20歳で結婚。息子と娘に恵まれましたが、炭鉱技師だったご主人を早くに失い、42歳から112歳の今年まで、さまざまな経験を経て、現在は息子の昭さん(86歳)らの助けを受けながら暮らしています。

 ニューヨークに赴任なさった娘さん一家のために、孫の子守を引き受け渡米。子守が終わって帰国したころ、73歳のときに息子さんのすすめで油絵を習い始めました。ふるさとの景色、子ども時代の思い出を描いた油絵は、現代童画展での入賞を続け、文部大臣賞も受けました。タタミ一畳ぶん、100号の大作は、家には並べきれないので、実家の旅館をついだ甥御さんの経営する赤湯の温泉ホテルに飾られているそうです。

『111歳、いつでも今から』表紙


 この本『いつでも今から』のプレゼントも、姑はとても喜んでくれました。これまで、姑のアイドルは日野原重明さんだったのですが、はつのばあちゃん、日野原先生よりさらに8歳年上なのですし、医療関係者に囲まれて過ごしてきた日野原先生のように、「手の届かない存在」という方とはことなり、はつのさんは、「下町のおばあちゃん」として身近な存在。山深い田舎から出てきて東京で結婚生活をおくったところも姑と共通しています。
 はつのさんは、本の中の写真をみると、103歳や108歳で撮影された写真も、赤やピンクの服を着こなすモダンばあちゃんです。

 姑はさっそく「はつのさんを目標に長生きする」と宣言しました。心臓ペースメーカー装着で、健康おたくだった姑も少し自信を失っていたところでした。しかし、姑の心に明かりがついて、本のプレゼント、ヨメとしては近年のヒット作です。
 はつのさんを見習って、いつでも今から。

 姑は『いつでも今から』を、娘が届けたメガネのおかげで「もう全部読んじゃった」と、言います。もともと文字の部分が少なくて、はつのさんの写真や展覧会に入賞した絵のページが多い本ですから、さくっと読み終わるはず。

 法律上の夫は、法律上の妻のすることなすこと、すべて気にくわない。『そんな、すぐ読み終わるような中身の薄い本を買ってきて、、、、」と、文句たらたら。
 すぐに読み終わることなど承知のプレゼントなのだから、すぐに読み終わったところで文句いうことないと思うけれど。姑は喜んで読んでくれたのだから。

 病室で読むのに、軽めの内容で、すぐに読み終わる本を選択するのは間違っていないと思います。たしかに、文字の部分は少なく、赤湯のワクイホテルHPに出ている後藤はつのさん略歴より詳しいことは書いてない。私としても、本にある経歴一覧のなか、42歳から65歳までの部分がすっぽり抜けていることが気にかかりました。だれでも一生のあいだには、人に公表したくないこともあります。でも111歳までがんばって生きてこられた方が、一番たいへんであったであろう、ご主人を亡くされてからの20年あまりが書かれていないこと、残念です。

 私も、この20年間、子育てと家計をひとりで支えるための日々、つらく苦しいこともたくさんありましたから、はつのさんの20年間の日々、いつか読めたらいいなあと思います。
 つらく苦しい日々も、「いつか明かりがともる日がくる」と信じることで歩んできました。

♫金の屏風にうつる火を かすかに揺する春の風 ♫
 春も近いと思います。 

<つづく>
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする