春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「3回目ワクチン接種と近頃の世相」

2022-03-05 00:00:01 | エッセイ、コラム
20220305
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2022ふたふた日記春よこい(1)3回目ワクチン接種と近頃の世相

  2月23日の祝日、前回と同じように大手町自衛隊大規模接種会場に出向き、3回目のモデルナ接種完了。モデルナが敬遠されがちだということで、前回より予約が取りやすかったように思います。会場も待機の椅子はガラガラで、ほとんど待たずに進みました。

 東京は連日1万数千人という感染数のニュースが続き、わたしの知り合いにも「高齢の母親が感染した」「保育園から帰った子供が感染したけれど、私は検査結果陰性」などという話を聞くことが多くなって、感染が遠い出来事ではなくなったことを日に日に感じていました。

 なにしろ「基礎疾患のある高齢者は重症化率が高い」と脅されてきたので、ちょっと咳込んでも、「コロナの咳だったらどうする」と、周囲の人は不安になります。私の場合、たいていは自分のつばを飲み込むとき器官のほうに入ってむせてしまったための咳込みなのですが、電車の中でせき込むと周囲の人の白い眼が厳しい。PCR検査陰性&3回目ワクチン接種完了の札でも胸に下げていたい気持ちです。

 せき込んだときににらまれるほか、世の中、他者との関係がギスギスしてしまいがちなのは、コロナ時代の閉塞感がもたらしたことなのかなあと思います。カムカム
 2月後半のオンライン授業は3月も継続です。
 片道110分の通勤を続けていた時には、いろいろな人々のいら立ちを見ました。
 ある日のこと。降車駅ホームのエレベーターに入りました。私は3人目の女性。「閉」ボタンを押してからドアが閉まるまで、反応がおそいエレベーターです。でも、押さなくたって、少しすれば自動でドアがしまるのです。
 もうひとり女性が入ってきて、ドアの「閉」ボタンを押しました。あとからもう一人男性が入ってきてほんの2、3秒ドアが閉まらないのを見ていらだった声で「なんだ、ドアの閉めるボタン押さなきゃだめだろ」と言います。

 男性の声には「先に乗りんだ人たちは、時間を無駄にできる女性たち。ドアの閉めるボタンを押すこともできない無能な人たち」という、いら立ちを含んだ声でした。きっと現役時代にはバリバリのサラリーマンで、高齢者となったあとも、「女性はなにもできない」と思い込んでいる男性なんだろうなあと感じたので、思わず「ねぇ、閉めるボタン、押しましたよね」と声をかけると、ボタンを押した女性がうなずく。  
 「閉めるボタンを押したところにあなたが押し入ってきたから、ドアが閉まるのが遅くなったんですよ」
 私の前にエレベーターに乗っていた女性ふたりがくすくす笑いました。エラソーに女性に指示するす男性に一矢報いたことが痛快だった、という笑い声でした。
 男性は、閉まるボタンを押すべきは、無理やり閉まりかけのドアから入ってきた自分自身であったことを理解し「そりゃどうも」と言いました。

 この時のように自分は正しく、他の人が間違っていると思い込んで正義を振りかざす輩、人の落ち度を言い立てる輩のなんと多いことか。
 テレビを見ていたら、男性更年期の話をしていました。定年退職後の高齢男性やリモートワークで人とかかわることが少なくなくなった男性など、テストステロンというホルモンが減少し、イライラしたり、人を非難したりすることが多くなるんだそうです。なるほど。

 世の中閉塞の昨今、イライラ増加の高齢者を見たら、テストステロン減少でイラついているのかも、と思いましょう。
 私は、50歳過ぎに閉経期を迎えた後も更年期症状がほとんどありませんでした。もともと男性ホルモンテストステロン過多の女性だったゆえ、閉経で女性ホルモンが減少してもあまり影響がでなかったのでしょう。

 HALも自戒をこめつつモノ申さないと、いつボコられるかわかりない世の中ですが、言うべきことは言いたいタイプなので、ついつい余計な一言を言いがち。

 ともあれ、3回目の接種の副反応は注射を打った左肩が腫れて痛い、ということくらい。熱もだるさもなく、ようございました。これで安心とはいえませんが、ウィルスに抵抗する抗体値もよくなった体で春をまちましょう。

 悪疫退散の力を持つというアマビエをデザインした雛人形

 行きは地下鉄竹橋駅から歩きましたが、帰りは東京駅と大手町自衛隊大規模接種会場を結ぶ無料バスを利用しました。
 東京駅南口のKITTEビルでラーメンを食べ、青い鳥さんに送るはがきのための切手を買いました。
 郵便局のマスコット、ポスくまといっしょに撮影

 「春よこい!」

<つづく>
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぽかぽか春庭「三省堂の辞書に載る新語」

2022-03-03 00:00:01 | エッセイ、コラム
20220303
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>2022ことば集め(2)三省堂の「辞書に載る新語」

 毎年チェックしている三省堂の「今後の辞書に掲載されてもおかしくない今年の新語 2021」
 2021年の新語として応募数(ことなり語数)777語の中から選ばれたのは、
1位 チルい 2位 〇〇ガチャ 3位 マリトッツォ 4位 投げ銭 5位 人流

 2020年の新語「ぴえん(小さな泣き声で言う静かに泣く様子)」は、ネット若者用語としては「すでに終わっている」「つかったら恥ずかしい流行おくれ語」になっているというので、新語が日本語語意として定着するのはとても難しいことだとは思うのですが、日本語教師の職業訓練として、三省堂の「将来日本語辞書に載るかもしれない新語」のチェックは欠かせません。

 1位「チルい」。
 ネットの中で使われている用語に弱い高齢者には、お初の語でした。英語の「chill out」が語源。「落ち着く、心身の緊張がおさまる」という意味のchill outを「チルい」と形容詞化して、「心地よい・雰囲気がいい」という意味に用いています。ネット音楽を聴いて評価したことばが始まりだそうです。
 用例「ゆったりとしたチルい曲」「チルいギター」のように音楽で使うほか、「最高にチルい時間」「今日の天気はチルいね」などにも使われます。
 私の印象では「ぴえん」と同じように、来年になると「流行おくれ語」になる気がします。

 2位「〇〇ガチャ」は、「親ガチャ」として耳にしたことがあります。
 プラスチックのカプセルの中に、おもちゃなどが入っているけれど、なにが入っているかわからない、というガチャポン。ガチャポンの中身は選べません。気に入るものがはいっているかどうかは、運しだい。それと同じように、自分がどんな親のもとに生まれてくるかは選べない。それを「親ガチャ」と若者は言う。
 それを聞いて、「我が家の子らは、はずれの親ガチャだと思っているだろうなあ」と、感じました。「自分たちにはあまりよくなかった親」であることを、「親ガチャ、はずれ」とは、うまいこと言うなあ、と思って笑いました。

 3位の「マリトッツォ」は、2021年に急に売利上げが伸びたお菓子。
 イタリア発祥の、パンにクリームを挟んだ伝統的なデザートです。本来は、 マリトッツォ・コン・ラ・パンナ(イタリア語: Maritozzo con la panna=クリームはさんだパン )
 日本ではブリオッシュパンにクリームをはさみ、さらにクリームの中にいちごやキウイなどフルーツを入れ込んだものをよく見かけますが、イタリアではやわらかめコッペパンにクリームたっぷり挟むのが典型的だとか。


 日本では知られていなかったものが、ある日突然人気食品になる例は次々に出てきます。ティラミス、ナタデココ、プレッツェル、など。食品の場合、日本の市場に定着する率が高いので、2021年の流行に乗り遅れた年寄りが2020年によっこらしょとカフェで注文しても食べられそう。

 4位 投げ銭は、もともとの意味は、紙に包んだ小銭を大道芸や芝居の舞台に投げ入れること。
 インターネット時代の「投げ銭」は、インスタグラムなどで発表された音楽や絵、小説など、ネット公開された作品に対して、youtubeの「スーパーチャット(スパチャ)」の機能、ツイッターの投げ銭機能「Tip Jar(ティップジャー)」が使えるようになって、気に入った作品に報酬をおくれるようになったことで一般的になりました。

 2003年にブログを始めた時、ひつじ書房が「ネット投げ銭」で文芸を振興しようと提唱していたのを思い出します。爾来20年でネット技術が追いつきました。
 音楽を発表するにも文学を発表するにも、出版社やレコード会社などの「中間業者」を経ずとも聴衆読者に直接届けられる。ネット時代になった恩恵のひとつです。

 5位の「人流」は、まだまだ続くコロナ用語。蔓延防止(マンボー)や緊急事態などとともに、人流抑制も2020年も社会にとどまる語になるのでしょう。
 人流抑制と言われていても、これまでは休日に美術館などに流れていたけど、オンライン授業が始まったあとは、ひたすら自宅にひきこもり。と、言いつつ公園も美術館も出かけています。

 はずれの親ガチャとしては、娘が作るナッツチョコだのバナナケーキだのを残さず食べて「おいしいおいしい」とほめまくって少しは良いガチャ茶点数稼ぎ。よってメタボ生活はますます深みにはまっています。でも、これが私の「チルい生活」。

<おわり>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぽかぽか春庭「「かしく」を教わる」

2022-03-01 00:00:01 | エッセイ、コラム
20220301
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>2022ことば集め(1)「かしく」を教わる

 知らないことばをおしえてもらうとうれしくて、教えてくれた人に感謝。
 最近教えてもらったのは「かしく」という人名。yokoちゃんが読んだ本の中にあったと教えてくれました。

 「かしく」は江戸上方の遊女の源氏名。本名は八重だったそうです。江戸文学の中でも現代も上演が続く芝居のことは知っているつもりなのに、あまり上演されたことのない「かしく」をまったく知りませんでした。

 yokoちゃんに教わったのを機会にしらべてみれば。
 「かしく」は大阪の遊女。武士に見受けされたのちも大酒飲みの酒乱癖がなおらず、酒を戒めようとした実の兄を酒乱の果てに殺してしまいました。市中引き回しの上、処刑。1749(寛延2)年のこの事件は、打ち首の2か月後には、芝居に仕立てられて上演されました。(当時の浄瑠璃や歌舞伎は、心中事件などをすぐに芝居にすることで客を集めた)
 
 歌川豊国の浮世絵「(岩井半四郎が演じる)芸者かしく」


 おそらく、この芝居の中のセリフだったのだろうと思います。かしくは打ち首になる前に「死してのちは、悪酒を戒める霊とならん」と誓いを立てたのだと。
 
 そのため「かしくの墓石を削って飲めば酒乱の人をいましめる効果がある」と。いう言い伝えができました。
 「かしくの墓」が建てられた法清寺は一躍「かしく寺」として参拝者を集めることに。
 現代でも命日の3月18日には「かしく祭り」が行われ、芸能奉納などが実施されるのだとか。知りませんでした。知らなかったこと、まだまだ、世の中にいっぱいあると思うと、老い先短い身にも、楽しみがいっぱい。

<つづく>
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする