▲善光寺の紅葉は例年より少し早い感じであった
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すぐ書こうと思っていたのだが、仕事でトラブルが連発し、それどころではなかった(しかも自分が原因…)。
今回のえびす講花火は前日に長野入りした。
というのも、秩父観音霊場結願のお礼参りで、善光寺と北向観音を参拝しようと目論んでいたからである。
(以下結構長文です)
22日早朝、犀川土手で場所取りをして、善光寺へてくてくてくてく。
まっすぐ伸びる善光寺の参道は早朝ランニングの人やらなんやらで、店は1軒も開いていないにもかかわらず、意外と人通りがある。そうやって到着した善光寺では、お朝事の一番最後の部分であった。
▲善光寺本堂
お朝事は善光寺全僧侶が本堂に一堂に会して行う朝の法要である。ご本尊前のお戸帳(幕)が大勧進のお貫主や大本願のお上人によって上げられ、その一時だけご本尊が納められた厨子を拝することができる(なお、善光寺の本尊は絶対秘仏で、来年の御開帳は前立て本尊の御開帳となる)。
この日、私が立ち会えたのは大本願のお上人様の法要であった。大本願は尼寺であり、お上人様は代々尼僧が務める。その独特の声色の声明は今まで聞いたこともない美しさで、心に染みた。なんだか知らないが、涙が頬を伝うのである。
お朝事終了後、写経を納めて御朱印をいただく。
駅前のスタバでひと休みして、今度は北向観音へ。
なんだか知らんが、南向きに本尊がまつられている善光寺だけでは片参りで、北向きに観音様がまつられている北向観音と両参りしてこそ御利益があるとかないとか…。まぁ、それはきっかけで、北向観音は別所温泉にあるというのが本題である(笑)
信越線からしなの鉄道に直通して上田で乗り換える。JRから第3セクターに乗り換えると結構交通費がかかる気がしたのだが、これは以前からこんな運賃なのだろうか…。いや、少なくとも初乗り運賃は2重さつ取りされているよな…。
上田電鉄にはこんな車内吊りが…
▲キャラクターが萌え系だ。でもっていろんなグッズを売っている
のんびりと車窓を楽しんでいたら、途中でハモニカ車掌が乗り込んできて、うたごえ車両と化す。
▲いきなりうたごえ車両化(あえてぼけ画像で)
そういや、そんなイベント聞いたことあったなぁと、歌詞カードを片手に口ずさむ(童謡系は結構好きだったりする)。
そうして終点別所温泉到着。
駅前から緩い坂道を上って、北向観音へ。
境内からの眺めが良い
▲北向観音の境内から塩田平を望む
▲北向観音堂。善光寺本堂と同じ構造とのこと
▲お清め水が温泉というところが温泉地っぽい。秋冬は温かさが心地よい
▲規模は小さいが見事な屋台づくりのお堂が脇にある
▲愛染桂。残念ながら「愛染かつら」を読んだことはない
意外にもここで御朱印渋滞が発生。少々待って御朱印をいただく。これで秩父観音めぐり完全エンドである。
さて、そうなったら次は温泉 温泉♡
▲北向観音参道わきにある共同浴場、大師湯。慈覚大師が好んで入っていた温泉とのこと。別所温泉の共同浴場はすべて150円である。
入り口脇の自販機でチケットを買い、番台のおじいちゃんに渡していざ。今誰もいないよ~って声をかけられる。ヤッタ! 貸切だ!
▲タイル張りの小ぶりな浴槽が一つあるのみ
ということで、チャッチャと入浴。
硫黄臭のする透明な温泉はやや熱めだが、むしろ好み。上方に湯気が抜けて行くが、それでも結構真っ白な視界。なんにも見るものがないので、目を閉じてしゃっきりとした湯をじっくり楽しむ。やがて地元のおばあちゃんがやってきたので、入れ替わりで出た。
続いて石湯へ。
と、石湯の手前でそば屋に吸い込まれて腹ごしらえ。温泉で汗が引かないので、冷やしそばをいただく。
そしてすぐ隣の石湯へ。
こちらは、真田幸村の隠し湯とのこと。真田太平記で主人公が女性と出会う湯はここらしい。こちらは先客がいたので、中の写真はナシ
▲石湯。入り口脇の飲泉所の碑は、池波正太郎の筆によるものらしい
多分、ここが一番新しい建物と思われる。トイレもあったし(大師湯にはトイレがない)。浴槽の向こう側は大きな岩を組み合わせたもの。だから石湯なのか?
そして、3つ目の大湯へ。
▲大湯
▲浴槽も洗い場もここが一番広い
こちらも客のキレ目に入れたので、中の写真を失礼。この後、ザクザクと人が入ってきたので、本当にいいタイミングであった。
▲大湯には小さいけれど、露天風呂がある
露天風呂は外気に触れているからか、若干泉温が低い。だからのんびり入れるのだが、本当に空があるだけなのよね、ここ。昔ながらの温泉街は建物が密接しているので、しょうがないことだけどさ…。
さすがに3つ温泉をハシゴすると疲れる。大湯の前でジュースを飲みながらしばし休憩を取ってから、駅に戻った。
別所温泉、有名な旅館もあるけれど、3連休初日でこの閑散ぶりってちょっとなぁという気がした。みんな温泉旅館に入ってしまって外に出てこないのかな。午後には結構な車通りがあったので、明日には結構賑わうのだろうか…。
あ、別所温泉にはもう一つ、今風な日帰り温泉施設もあるよ。あと、日帰り入浴プランのある旅館も。
▲別所温泉付近の紅葉も美しい。
長野に戻ってホテルにチェックイン。
夕飯を済ませて、ベッドでゴロゴロしていた。その時なんだか変な揺れが…。
画面では安住アナが変な顔をしてなんだかアワアワしている。あ、東京でも揺れているってことは結構う大きな地震なんだぁと思っているうちに、揺れが激しくなってきた。
やがてベッドに横たわっているにかかわらず、体ごと揺さぶられるような揺れに。スマホからは緊急地震速報ではなく「地震です!地震です!」って声が聞こえる(わかっとるわ!うっさいわ!)
※ちなみに緊急地震速報は間に合わなかっただけではなく、約1時間後に一斉に鳴った(隣の部屋からも聞こえた)
10秒以上そんな揺れが続き、続いてビル特有の長周期の揺れが入るようになった。泊っているホテルはカステラをスライスしたような構造で、その細い方に揺れると結構困るなぁと思いつつ(でも4階だから他人事)、揺れが収まるまでベッドの上でゴロゴロしている。その頃には、長野市で震度6弱のテロップが…。
??????
そんなに強かったか!?
震度6弱を経験するのは実は2度目である。新潟県中越沖地震の際、たまたま帰省していて小千谷で体験済み。
あの時とは揺れの激しさが違うしなぁと思いつつ、テレビで情報収集。テレビが映っているということは、停電はナシ。外の街路灯も付いているし、信号も普段通り、歩いている人も何事もなかったかのようだ。
体感&目視情報では震度4ぐらい? でもテレビでは6弱って言っているし…。
なんだか廊下で人が騒いでいる。そういえば、ホテルからの放送も何もない(まぁ、安価なビジネスホテルではそういうものなのかもしれないが)。余震も来ないし、大丈夫だ。ドアを開けて説明しようと思ったら、そこに長岡の知人がいた(笑)。このホテル、花火関係者多く泊りすぎである(ほかにも何人か目撃)
東日本大震災の時は、東京の震度5ですら、ビルがミシミシピシピシ音を鳴らしていた。今回はそういう異常音が聞こえないので、安心であるという結論を導き出す。
さてどうしよう。
この後、犀川へ「保守」へ行くつもりだったのだが…。
ということで11時過ぎにホテルを出て犀川に向かう。エレベーターが停止していた。低層階宿泊でよかった。
駅の反対側に向かって歩いていく。長野駅は現在一大工事中ではあるが特に大きな変化はない。ただし、すべての列車は止まっているらしく、帰れない人と出迎えの人でそれなりに混雑していた。テレビ局がそんな人を捕まえてインタビューを撮っている。駅構内の様子を見ても震度6弱の痕跡(天井のボードが落ちかかるとか、壁にひびが入るとかする)は見当たらず。駅向こうの商店街も特に変わったことなし。
歩いていると、上空をセスナとかヘリが飛んでいる音がする。夜の地震は目視ができないので、なかなか被害が把握できないが、今この瞬間に困難に遭っている人がいるとしたら、早く助けてあげて欲しいと思いを馳せる。
さて、犀川の土手に着いたら、地震なんて何のこと??というぐらいに人がいて、それぞれ場所取りに忙しい(笑)。知人がこちらに向かっているとのことで、第2観覧予定場所を譲って帰ホテル。
長野駅ではどうやら動けない乗客を列車ホテルで休ませるようで、毛布やらなんやらの物資が大量に運び込まれている最中であった。
そして何よりもしらけさせるのが、相変わらずのマスコミ陣。その頭のヘルメットはさっきなかったじゃないですか! それ、東京のキー局に向けての演出ですか!? と問い詰めたい衝動に駆られる。JRの職員すらヘルメットかぶっていないんだぜ!
そして善光寺口には、酔っ払いがたくさんいて、地震なんてなんでもなかったんだというような、おそらくいつもの週末のにぎわいが繰り広げられていた夜中0時過ぎ。
まぁ、階段に一部亀裂が入ったとか少々の被害はあったようだけどさ、長野駅。
ホテルに戻ると、白馬村の被災状況が明らかになってきた。長野ローカルテレビ局が終夜放送の様相を呈している。それを見ながら、いったん休む。
翌朝は5時起きである。ホテルの朝食はまだなので、パンを咥え、シャワーを浴びて出発。
昨日の善光寺再びである。
実は、お朝事前に貫主が参拝者に数珠を当ててくれる「お数珠頂戴」を体験しようという目的である。
長野市街は、善光寺口も大した被害は見られない。だが、善光寺の境内に足を踏み入れると、少々様相が変化。
石塔が崩れている。それも一つや二つではない。
手洗いの水屋も近づけないようにロープで括られている。
そして本堂前にはこの看板
▲ご注意くださいと言われても…。まぁ、観音様が守ってくださるということで…。
▲お貫主さまによるお数珠頂戴。お上人さまもお数珠頂戴をしてくださる
昨日は、後半しか聞けなかったお朝事をフルに聞く。とても1時間は正座はできないので、後方で立ったままである。多くの人が、お貫主さま(天台宗)の法要が終わると立ち去るが、やはりお上人さま(浄土宗)の声が美しく、心が震える。
お朝事が終わり、ようやく境内を見て回ると、結構なことになっていた。報道によると石塔60基以上が崩壊・崩落しているらしい。一見ちゃんとしているように見える石塔も、向きが変わっていたり、少しずれていたりと、細かく見ればそれ以上の被害数に及ぶことが分かる。
▲本堂すぐ前の石塔も崩れているし、回っている
▲こう見ると、奥の石塔だけが崩れているよう見えるが…
▲手前のお地蔵様?も結構向きが変わっている
▲本堂脇の石塔。揺れで細い部分が割れて下に落ちた。奥にはテレビ局のカメラも
▲本堂の両脇でこのありさまである
▲山門の脇では警察が見聞に来ていた
▲仁王門の脇の石塔は崩れて土産物店に被害が…
善光寺周辺は結構被害が出ていて、壁が崩れた宿坊などもあった。
なんか、今回の長野の地震の震度の詳細を見てみると、震度6強は長野市でも戸隠や鬼無里辺りだったことが分かる。
では私がいたホテルの辺りは…と確認すると、一番近い観測ポイントは長野市役所のある「長野市鶴賀緑町」と思われる。ということは震度4。なんだか納得。しかし、同じ市街地でも善光寺のある「長野市箱清水」は震度5強となっている。石塔が60基以上も崩壊していることを考えれば納得の震度である。
だけど、市役所から徒歩で20分もかからないところでこの違いとは…。
地震とは、震度の深さや(今回は中越地震よりもより浅いところに震源があったようだ)規模、地盤状況などによって、表向きの被害が全く異なることを改めて認識させられる。