晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

獣害というハンデ 6/27

2010-06-28 | 日記・エッセイ・コラム

2010.6.27(日)曇、雨

 北近畿は梅雨の中休み状態だが、猛烈な湿気には参っている。湿度計では80%を越えている。この地方、暑さはしれているが湿気は一級品だ。京都や大阪方面から移住してきた人はまずこの湿気に驚く。服、靴、特に皮革製品をはじめ家具調度、台所、風呂場、洗面所、ありとあらゆるところやものが黴びる。食品もそうだ、冬の間に充分乾燥したもの、たとえば唐辛子や大根の切り干しなんかも放っておくと湿気を吸って黴びてしまう。対処法は色々あろうかと思うが、まず一度被害に合ってみないと人間対処できないものだ。サーキさんが「かびばやし」なんて言っておられて、大笑い。
 ところが解っていても対処できないこともある。それが獣害である。といっても我が家の畑などちょちょいと食べるだけの家庭菜園だが、それでもこれだけ腹が立つのだから、専業の農家の怒りはいかばかりかと思う。広域農道を福知山に向かうと道の両脇に広大な畑が映る、好きな野菜を好きなように作っているのだ。品種を選び、柵や電柵をし、夜には夜回りや花火までし、それでも獣害にあって収穫がふいになる。上林の農業のいかにハンデの多いこと。
 我が家の過去の獣害は、夏野菜がアナグマに、大根と椎茸がサルに、自然薯が多分アナグマにやられた程度である。そのすべては無防備であった。イノシシはすぐ隣まで来ているが、好物の餌がないためか、犬の臭いがするためか畑には入ってこない。鹿も境界までは来ているが、領土内には入ってきていない。
 頭の中では、これらに対する防御をしなければならんと考えているのだが、なかなか身体が動かない。さすがに椎茸だけは頭に来て、立派な椎茸小屋を作った。今のところナイロンのネットだが、これでも破られたらスチールのネットにしようと思っている。
 今の問題は夏野菜である。昨夏もトマト、ナス、キュウリがアナグマにやられた。応急的にネットを張ったが、もともと気合いの入ってない野菜作りだったからそう気にならなかった。ところが今年は違う、真面目に世話をしたら、味も収穫も雲泥の差だ。それだけにやられたら頭に来る。と言いつつ、全然気にしていなかったわけだ。そして今朝のことである、美味しいキュウリが成ってるかなあなんてノーてんきに収穫していると、畑の隅にキュウリの食いカスが落ちているではないか。よーく見るとツメの痕か牙の痕か筋状についている。くそーアナグマのヤローだ。しかしよく見ると被害は一本だけで、しかもきれいに食べている。昨夏の被害といい、サルの被害といい妙に食い散らかして行儀の悪いこと、というか食べ物を大切にしない者に対する怒りがひとしおであった。Img_0930 なかなか感心な奴だなあ、こんな調子なら食わしてやろーかなーんて甘いところを見せたら駄目。昨年の例では、果実を採るときに茎を折ってしまっていたのだ。胡瓜の一本や二本くれてやってもいいのだが、茎毎やられたんじゃ堪らない。というわけで、重い腰を上げて畑中ネットを張ることにする。ネットも杭も用意してあるのだが、杭はまだ皮むきと塗装が必要だ。こうなると一週間近くかかる、なんで今までにやっとかなかったのか、悔やんでみてもしょうがない。とりあえず実が成っている部分に応急的にネットを張る。そうこうしているうちに雨が降りだし、ずぶ濡れになる。こうなったら意地だ、ここで止めて今夜に襲撃されたら元も子もない。Img_0936

とりあえずネットを張ったがおしゃれじゃない。


 暗くなってようやく仕上げて、満足満足。 しかしお金かけて労力かけて、それで収量が増えるわけで無し、味が旨くなるわけで無し、なんともハンデの多い野菜作りだ。
 「野菜を作りたいんです」とのたまう田舎暮らし希望者には、上林は止めときなはれと言っている。

【作業日誌 6/27】
オリーブ移植準備(穴掘り、土運び)Img_0933
坊獣ネット張り




今日のじょん:夜の12時前後に毎日吠えている。それもおとなしく寝ていたのが急に飛び起きて吠えるのだから、仰天びっくり、どーもこれがアナグマのせいだったようだ。

 

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念道のこと(4-6) 6/26

2010-06-28 | 歴史・民俗

2010.6.26(土)雨

 本格的な梅雨の季節となった。各地から水害の報道が入っている。水害といえば2004年10月の台風23号が記憶に新しく、北近畿では舞鶴市の国道175号線でのバス孤立の事件が印象に深いが、本当に大きな被害があったのは兵庫県北部の豊岡、出石、但東方面であった。被害から3年後の2007年の5月に自転車旅行でそれらの地域を通過することとなった。出石川沿いの村々ではまだまだ復旧の工事が続いていた。遠望する山肌には崩壊の痕が無惨に残り、地元の人は「未だかつて経験したことのない雨と災害だった」とおっしゃっていた。降雨、それに伴う災害がかつてのものと少し違った形で現れていることは間違いない。Img_5828
 
台風から3年、出石川、国道426号は復旧工事中。(2007.5.20)


 地名を考証する際に各種の辞書や読み物を参考にするわけだが、とりわけ気に入っている本がある。「とちぎの地名を探る」という本だが、自然災害と地名を関連づけて栃木県内の地名を研究されている本で、自然災害に対抗するための地名の附定というのは実は本筋かもしれない。また各地名が索引で並んでいるので使いやすいという利点もある。その他にも優れた点はあるのだが、読了後に雨読欄で御紹介したい。Img_0903_2
 
いろんな辞書等を参考にしている。


 さてこの本で「念道」を見るのだがもちろん載っていない。昨日栃木県野木町に根渡神社があることをお知らせしたが、根渡についても記載はない。ただ「根」はほとんどの場合丘陵や岡の麓を表すと書かれている。なんとなく心強く思う次第だ。しかし「土、渡、戸」については直接は無いが組み合わせた地名としていくつか挙げられる。たとえば船渡(ふなと)となって渡し場、渡船場というのがある。川を渡るところが「ワタシ、ワタリ」ではなく「ト」と呼ばれていたら、これは最有力となる。念道は忠、武吉方面に行く重要な徒渉地点である。念道(ねんど)=根渡(ねのと)=蓮ヶ峯の麓の川を渡るところとなればこれほど解りやすい地名もない。Img_4690

上林川を渡って忠に向かう道、折山峠。


 「ド」には川幅の狭いところ、水門、堰という意味がある。念道橋下流は地形的にゆったりとした流れで、おそらく沼地、湿地帯ではなかったかと思える。そして両側の山が迫ってくるのは念道と小山のあたりで、航空写真で見るとそれから上流は畑口川出合いまで広大な川筋となっている。この部分は上林川中流域でのいわば喉のようなところであり、この地形を持って「ド」といったかもしれない。Img_2344
 
右の山が出ているところが最も狭いところ。


 他には処(ト)といって場所を表す意味もあり、平地を表す意味もある。
 単純に道を表すことは無いように思うのだが、それは特定の地域を表すには不適切だからだ。仮に念道=麓の道としたら上林中念道となってしまう。
 土はあるかもしれない。昨日書いたように根に腐ったという意味があったとしたら、腐った土とは沼地の肥沃な土をさすかもしれない。つづく

今日のじょん:雨の一日なのでカレンダー用の写真を撮る。合羽着てアジサイの前でパチリ。らしーでしょ。Img_0927


 

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