晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

遊里のこと(13) 8/7

2010-08-08 | 歴史・民俗

2010.8.7(土)

 ”ユリ”地名が丹波特有の地名であるせいか、各種地名に関する本に出てくることが少ない。”ユリ”地名探索の発端となった「丹波の話」(磯貝 勇著)には次のように述べられている。
 
(前文略)山中に限らず海岸でも、水の動揺によって平坦になった地形をユラ、ユリという例はわが国には多い。ユラグ、ユスルという言葉につながる呼名であるとせられている。この地方のユリも勿論この例であって、前記の土地を調べてみても何れも川岸か、或は、かつての川岸で、水の力で形成された特殊の地形であることに変りない。ただ丹波地方でいうユリと呼ぶ土地は一方が川、一方が山で比較的さびしい土地であるらしい。(後文略)
Img_4298  ユリ地形では片側に道があり、その反対側に川があり、両側は山となる場合がほとんどである。

 ここで氏が語っている由来は恐らく 柳田国男氏の説を踏襲しておられると思うが、両氏とも水の作用によってできた平地をユリと呼んでいる。前回分類した(1)山間の谷沿いに開けた地形(2)大きな川の片岸に開けた地形はこれに該当し、例も圧倒的に多く、最も典型的なユリといえよう。ところが(3)山間の狭道は、この説とは無縁である。付記した尾根のトラバース道(三和町史にある阻伝いの道とはこれであろうか)については、上り下りを平坦にしたという意味で柳田説を拡大解釈する事も出来る。丹波地方の方言と言われるユリ、山間の狭道だけが、柳田説に合致しないのは他に全然別の由来があるのかと思わせる。
 ここで道に関して少し考察してみたい。
ユリ地名にはユリノ上、ユリノ下、由里ヶ前、向由里など方向や位置を示す形容詞が付いているものが多い。それらが何を指しているかということは興味深いことである。例えば五泉町の遊里詰などは畑口川沿いのユリの詰めにあることがわかる。五津合町遊里の上遊里、下遊里は遊里という集落の上と下を表すか、街道の山側、川側を表しているようだ。この畑口川沿いのユリ地形は於与岐と共に最もユリ地形らしいユリだ。この大きなユリ地形の上と下を表しているのではない。菅坂に向かうその街道を上ってゆくと、ユリ道、ユリ下という小字がある。従ってここでいうユリは道を指しているのではないだろうか。本来はユリ道ノ上、ユリ道ノ下と呼ぶべきところを端折ってユリノ上などと呼んでいるのかもしれない。Img_4299
 
畑口川から左手に下遊里、上遊里を望む。


 同様の例が老富町にある。小唐内と市茅野の間、府道一号線を挟んで遊里ノ上と遊里ノ下がある。これもユリ地形の上下というより、道を挟んでの上下のようだ。つまりこれらの”ユリ”こそ丹波の方言といわれる山の狭道、阻道を表す”ユリ”なのではないだろうか。ではこれらの道を表す”ユリ”が柳田先生の言われる本来の山間部の平坦地と無縁かというとそうでなく、山間部の平坦地の片側の山裾を走る道であり、ユリの端を走る道=ユリ道=ユリという関係ではないだろうか。つづく(遊里のこと(12)は2010.8.6)

【作業日誌 8/7】
薪割り

今日のじょん:立秋の今日からなぜか朝が涼しくなってきた。朝散歩を再開しようと思ったが、陽の当たるところはやっぱり暑い。と言うわけでぽんぽこぽんとぽんぽこジャンプでお茶を濁す。気温が下がると食欲も出る、へたな天気予報より気候の変化がよくわかる。Img_1173


 
 
 
 

 

コメント
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